万葉歳時記 一日一葉

「万葉集」から1300年の時を超えた現代短歌・俳句まで、
昔と今を結ぶ日本人のこころの歌を歳時記にしました。

【歳月・懐古】

#4835 何となき世の人事に紛れきて暮れはててこそ年は惜しけれ

令和7年12月31日(水) 【旧 11月12日 仏滅】 冬至・雪下出麦(ゆきわたりてむぎいづる)

麦の芽をもう踏みたくてたまらない
  ~櫂未知子(1960-)『貴族』

 二十四節気「冬至」の末候は七十二候の第66候「雪下出麦(ゆきわたりてむぎいづる)」。積もった雪の下で人知れず麦が芽を出す頃。せっかく芽吹いた麦を踏むとは櫂先生も酷い事をする、などと言うなかれ。「麦踏み」は霜柱による土壌の浮きを防いで根張りを良くすることと、麦の穂の伸び過ぎを抑えるために行う日本独特の風習なのです。

251231_麦の芽をもう踏みたくてたまらない
Photo:踏まれても踏まれても強くなる ~スクールブログ

 今日は大晦日。あっという間に過ぎていった一年だと思う人もいれば、長い長い一年だったと考える人もいるでしょう。長く生きていればそれぞれの年にそれぞれの思い出がありますが、辛いときも楽しいときも二度と戻ることはありません。来年も良い年になりますように。

何となき世の人事に紛れきて暮れはててこそ年は惜しけれ
  ~藤原公雄(鎌倉時代)『新後拾遺和歌集』 巻6-0572 冬歌

何となく世の人事にまぎれて忙しなく過ごしてしまった惜しい一年であったよ。

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#4831 藤原の大宮仕へ生れつぐや処女がともは羨しきろかも

令和7年12月27日(土) 【旧 11月8日 赤口】 冬至・麋角解(おおしかのつのおつる)

藤原の大宮仕へ生《あ》れつぐや処女《をとめ》がともは羨《とも》しきろかも
  ~作者未詳 『万葉集』 巻1-0053 雑歌

藤原京の大宮に仕えるべく美しく生まれ継いできた乙女たちはうらやましいことです。

251227_藤原の大宮仕へ生れつぐや
Photo:藤原京ジオラマ ~当尾からの風の便り

 ナントリッパナヘイジョウキョウと語呂合わせで覚えた平城遷都は710年。ここからが奈良時代ですがその前は飛鳥時代。でもその飛鳥時代の最後の都は飛鳥ではなく大和三山と呼ばれる香具山・畝傍山・耳成山に囲まれた藤原京でした。飛鳥から藤原京への遷都が行われたのは西暦694年の今日12月27日(持統天皇8年12月6日)のことでした。冒頭の和歌は藤原宮に仕える美しい采女のことを詠んだ歌ですが、万葉集には後に小倉百人一首にも採られた有名な歌がありました。

春すぎて夏来にけらし白妙の衣ほしたり天の香具山
  ~持統天皇(645-703)『万葉集』 巻1-0028 雑歌

春が過ぎてもう夏が来てしまったようです。衣替えの白い衣を干してあるという天の香久山に。

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#4813 三十年《みそとせ》へて君と訪ひたる英国の学び舎に思ふかの日々の夢

令和7年12月9日(火) 【旧 10月20日 大安】 大雪・閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)

三十年《みそとせ》へて君と訪ひたる英国の学び舎に思ふかの日々の夢
  ~皇后雅子(1963-)~令和7年歌会始

 かつて天皇誕生日を「天長節」と言ったのに対し、皇后の誕生日は「地久節」と呼ばれていました。現在の皇后陛下雅子様のお誕生は1963年12月9日。今日めでたく62歳のお誕生日をお迎えになられます。父上の小和田恆《ひさし》氏が外交官であったため、幼い頃からソ連・スイス・アメリカで過ごされ、ボストンのハイスクールを、そして1985年にハーバード大学を卒業されました。

251209_三十年へて君と訪ひたる英国の
Photo:ELLE

 帰国後は東京大学に外部入学するも途中退学し外務省に入省。1988年に外務省の研修留学生としてオックスフォード大学に入学されています。冒頭のお歌にある「英国の学び舎」とはオックスフォードのベリオールカレッジのことです。ここでは国際関係論を専攻し、日本の国防(軍需)産業や次期支援戦闘機選定問題について学部長のアダム・ロバーツ教授とよく語り合っていたという意外なエピソードも残されています。

恩師より贈られし本ひもとけば若き学びの日々のなつかし
  ~皇太子妃(当時)雅子 ~平成27年歌会始

 余談ですが、天皇の歌を「御製《ぎょせい》」と呼ぶのに対し、皇后の歌は「御歌《みうた》」と言います。さらにその他の皇族の方々の歌は「御歌《おうた》」。漢字が同じなので最近は混同を避けるために皇族方の場合は「お歌」と書かれることが多いようです。

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#4741 少年のわが見し蛇の裔なるか今くねりつつ草に消えゆく

令和7年9月28日(日) 【旧 8月7日 友引】 秋分・蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)

冬眠のはじまりガラスが先ず曇る
  ~伊藤淳子(1932-)

250928_冬眠のはじまりガラスが先ず曇る
Photo:ニホンアマガエルの冬眠 ~Damon Bay Photography

 今日は七十二候の第47候「蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)」。二十四節気「秋分」の次候に当たり、虫が土中に掘った穴をふさぐという意味。でも、逆にコオロギやスズムシなど、秋の虫たちはこれから鳴き始めるのでは?と疑問に思うわれるかも知れませんが、昔の人の言う「虫」の中には蛙や蛇、トカゲなど主に冬眠する両生類や爬虫類も指していました。

少年のわが見し蛇の裔《すえ》なるか今くねりつつ草に消えゆく
  ~三井修(1948-)

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#4672 海原の遠き渡りを遊士の遊ぶを見むとなづさひぞ来し

令和7年7月21日(月) 【旧 6月27日 友引】 小暑・鷹乃学習(たかすなわちわざをなす)

海原の遠き渡りを遊士《みやびを》の遊ぶを見むとなづさひぞ来し
  ~作者未詳 『万葉集』 巻6-1016 雑歌

遠くから海原を渡って雅びな人たちが遊ぶ様子を見るために苦労してやってきたのです。

250721_海原の遠き渡りを遊士の
Photo:佐渡のナイトシーカヤック ~にいがた観光ナビ

 今日、7月の第3月曜日は「海の日」。「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」ことを趣旨としています。周囲を海に囲まれた国は他にもたくさんありますが、海の日を国民の祝日としているのは唯一日本だけだそうです。また、一昨日7月19日は夏の土用の入りでもありました。この時期に発生する大波を「土用波」といい、古くから漁師の間では警戒されています。既に各地で海や川の事故が増えてきているようです。くれぐれも海を甘く見ませんように。

若き日を語ればそこに夏の海
  ~稲畑汀子(1931-2022)

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