万葉歳時記 一日一葉

「万葉集」から1300年の時を超えた現代短歌・俳句まで、
昔と今を結ぶ日本人のこころの歌を歳時記にしました。

宮城

#4678 きみが好みしアガパンサスが花つけぬ去年は四本ことし三本

令和7年7月27日(日) 【旧 閏6月3日 友引】 大暑・桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)

きみが好みしアガパンサスが花つけぬ去年は四本ことし三本
  ~小池光(1947-)『思川の岸辺』

250727_きみが好みしアガパンサスが花つけぬ
Photo:アガパンサス ~暦生活

 アガパンサスはおよそ梅雨が始まる5月下旬ごろに咲き始め、8月上旬くらいまで公園などで何気なく咲いています。南アフリカ原産で「アフリカンリリー」という別名もあり、暑さにはめっぽう強い植物です。ヒガンバナ科なのでその立ち姿が曼珠沙華に似て、背丈の割に茎も丈夫。風が吹いて揺れる姿も泰然としていて「紫君子蘭」という和名にふさわしい優美さを備えています。花言葉は「愛の訪れ」、「知的な装い」。

新しい朝の雨音アガパンサス
  ~川島由紀子(1952-)『アガパンサスの朝』

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#4640 反芻をしてわれ生きむ馬くさき昭和の入口昭和の出口

令和7年6月19日(木) 【旧 5月24日 仏滅】 芒種・「梅子黄(うめのみきばむ)」

反芻をしてわれ生きむ馬くさき昭和の入口昭和の出口
  ~山田富士郎(1950-)

 今日は「元号の日」。『日本書紀』によれば皇極天皇の在位4年を改めて「大化元年」としたとあり、1380年前の皇極天皇4(645)年6月19日に公布されたと考えられています。そもそも、元号は中国前漢の武帝が定めた「建元」が始まりですが、「乙巳の変」の後に皇位を引き継いだ孝徳天皇は中国との冊封関係を断つ意味で独自の元号を創始したのではないかと思われます。

250619_ポケットに星屑ありし昭和かな
Photo:昭和100年プロジェクトより

 そして、今年2025年は「昭和100年」です。大正天皇の崩御をうけて裕仁親王(昭和天皇)が即日践祚されたのは1926年12月25日だったので昭和元年はたったの7日間。しかしそれ以後、20世紀の大半を包含した「昭和」という年号は世界史上最長の64年間の長きにわたりました。でも正確に言うと「昭和100年」になるのは12月25日。今日は「大化1380年」ですね。

ポケットに星屑ありし昭和かな
  ~高野ムツオ(1947-)『蟲の王』

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#4616 曇りなき心の月を先だてて浮世の闇を照してぞ行く

令和7年5月24日(土) 【旧 4月27日 赤口】 小満・「蚕起食桑(かいこおおきてくわをはむ)」

曇りなき心の月を先だてて浮世の闇を照してぞ行く
 ~伊達政宗(1567-1636) 辞世

曇りのない我が心の月を頼りに、この乱世の闇を照らして生きてきたのだ。

 病に冒されていた戦国の雄、伊達政宗が参勤交代のために江戸入りしたのは寛永13(1636)年4月21日。既に絶食状態になっていると聞いた徳川家光は自ら伊達家上屋敷に赴いて政宗を見舞いました。政宗は行水し、身を清めて将軍を迎えたのですが、お目見え後には奥に戻るのにも杖が必要な状態だったのです。

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Photo:伊達政宗騎馬像(宮城県仙台市青葉区)~RETRIP

 伊達政宗が息を引き取ったのは同年5月24日。病状の記録から、食道噴門癌による癌性腹膜炎であろうとされています。遺体は生前と同じような大名行列で仙台に戻り、遺言通り瑞鳳寺に隣接する瑞鳳殿に埋葬されました。江戸では7日間、京都では3日間にわたって、魚鳥を捕まえることと音曲を奏でることを幕府は禁止しています。仙台の瑞鳳殿にはこの時殉死した家臣15名と陪臣5名の宝篋印塔《ほうきょういんとう》が並び、現在では毎年新暦5月24日に「伊達政宗公遠忌法要」が執り行なわれています。

老鶯《ろうおう》や瑞鳳殿に道続く
  ~大塚洋子 「酸漿」

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Photo:瑞鳳殿(宮城県仙台市青葉区)~Adobe Stock

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#4587 目のまへに大きなる山晴れをりて梓の川の音はひびかふ

令和7年4月27日(日) 【旧 3月30日 友引】 穀雨・「霜止出苗(しもやんでなえいずる)」

目のまへに大きなる山晴れをりて梓の川の音はひびかふ
  ~佐藤佐太郎(1909-1987)『地表』

 今日は恒例となっている「上高地開山祭」。今年は第55回だそうです。上高地は昨年11月15日に閉山式が行われ、翌11月16日から昨日まで冬季閉鎖となって一般の利用が制限されていました。

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Photo:上高地の梓川、かっぱ橋と穂高連峰 ~るるぶ&more

 佐藤佐太郎の歌にある「大きなる山」とは穂高連峰。アルバムを繰ると私が小学生の頃に連れて行ってもらった時の色褪せた写真が2葉残っていました。写真で温度は伝わりませんが、8月なのに梓川の雪解け水が驚くほど冷たかったこと、宿泊した「五千尺ホテル」の名が当地が標高1500メートルに由来すること、大正池の静けさやかっぱ橋から雄大な穂高を見上げていた景色が今でも鮮明に思い出します。もう一度訪れたい観光地のひとつです。

ゆく春の穂高にしるき雪崩あと
  ~服部鹿頭矢《はっとりかずや》(1940-)

250427_梓の川の音はひびかふ
Photo:母と梓川にて(1962年8月8日)

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#4580 ブロックの塀の上までのびいでて咲くクレマチス雨に濡れたる

令和7年4月19日(土) 【旧 3月22日 赤口】 清明・「虹始見(にじはじめてあらわる)」

ブロックの塀の上までのびいでて咲くクレマチス雨に濡れたる
  ~玉城徹(1924-2010)『汝窯』

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Photo:港の見える丘公園に咲く紫色のクレマチス ~四季の花図鑑

 クレマチスはキンポウゲ科センニンソウ属のガーデンプランツ。一季咲きのグループの他に長期間に渡って次々に花が咲く四季咲きのグループもあります。シーボルトによって日本の原種であるカザグルマがヨーロッパに紹介され、中国の原種であるテッセン(鉄線)もまた植物学者フォーチュンによってヨーロッパにわたりました。これらを元に多くの園芸品種が作出されています。テッセンは江戸時代に中国から渡来し、日本でもテッセンとカザグルマを交配した品種が作られていて、クレマチスのことをテッセンと呼ぶこともあるようです。

呵責に落ちて鉄線花の風むらさき
  ~河野多希女(1922-1995)

250419_咲くクレマチス雨に濡れたる
Photo:函館元町・東京芝公園・横浜山下公園に咲くクレマチス ~四季の花図鑑

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