万葉歳時記 一日一葉

「万葉集」から1300年の時を超えた現代短歌・俳句まで、
昔と今を結ぶ日本人のこころの歌を歳時記にしました。

宮崎

#4757 松茸のかをりを嗅げば村住の友がこころに触るるおもひす

令和7年10月14日(火) 【旧 8月23日 赤口】 寒露・菊花開(きくのはなひらく)

盃にとくとく鳴りて土瓶蒸
  ~阿波野青畝(1899-1992)

251014_盃にとくとく鳴りて土瓶蒸
Photo:陶磁庵

 秋の味覚のうちでいつの間にやら高級食材になってしまった松茸。土瓶蒸しを最後に頂いたのはいつのことやらすっかり忘れてしまいました。若い頃は焼き松茸や松茸ご飯などとともに土瓶蒸しもよく食卓に上がっていましたが、いまはたまに食べるのも輸入物ばかりです。輸入物は香りが違うといいますが、たしかに、永谷園の松茸の味お吸い物のほうがそれらしい香りが立っているようです。恥ずかしながら国産松茸の香りは忘れてしまったのでなんとも言いようがありませんが。

松茸のかをりを嗅げば村住の友がこころに触るるおもひす
  ~若山牧水(1885-1928)

  にほんブログ村 ポエムブログ 短歌へ にほんブログ村
d ^_^;  よろしければ 1Day 1Click を↑

#4730 白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ

令和7年9月17日(水) 【旧 7月27日 友引】 白露・鶺鴒鳴(せきれいなく)

岩ばしる水のしろがね牧水忌
  ~鷹羽狩行(1930-2024)『狩』

 旅の歌人若山牧水が亡くなったのは1928(昭和3)年の9月17日。今日は「牧水忌」です。享年43歳。死因は肝硬変でした。毎日一升の酒を飲んでいたというから、さもありなん。宮崎県の出身ですが、旅が大好きで、日本各地に歌碑が残されています。彼の長男に旅人《たびと》と名付けたのは、旅が好きだったからなのか、あるいは『万葉集』で有名な「酒を讃むる歌」13首を詠んだ大伴旅人にちなんだのか、どちらでしょうか。

250917_岩ばしる水のしろがね牧水忌
Photo:若山牧水 ~若山牧水記念文学館

白鳥《しらとり》はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ
  ~若山牧水(1885-1928)『海の聲』

 多くの名歌を残した牧水の歌の中から一首だけと言われれば、やはり迷わずに出てくるのはこの歌。何と言っても中学校で最初に習った短歌だったように記憶しています。大正4年、北下浦(神奈川県)で詠まれた歌で、この白鳥《しらとり》はハクチョウではなくカモメを指しています。

  にほんブログ村 ポエムブログ 短歌へ にほんブログ村
d ^_^;  よろしければ 1Day 1Click を↑

#4621 熟麦のうれとほりたる色深し葉さへ茎さへうち染まりつつ

令和7年5月31日(土) 【旧 5月5日 先負】 小満・「麦秋至(むぎのときいたる)」

熟麦《うれむぎ》のうれとほりたる色深し葉さへ茎さへうち染まりつつ
  ~若山牧水(1885-1928)『黒松』

250531_熟麦のうれとほりたる色深し
Photo:tenki.jp

 今日は七十二候の第24候「麦秋至(むぎのときいたる)」。二十四節気「小満」の末候5日間にあたります。麦が熟して黄金色に色づく頃、いわゆる麦秋《ばくしゅう》ですね。秋ではありませんが麦にとっては収穫の秋に相当するので名付けられた季節です。多くの人は麦と聞けばビールが欲しくなる季節でもありますが、私はほぼ下戸に近いので美味しいパンが欲しくなります。青空と麦畑をモチーフにしたウクライナの国旗を思い出す人もあるでしょうか。

耳たぶにいま麦秋の風熱し
  ~河野多希女(1922-?)「月沙漠」

  にほんブログ村 ポエムブログ 短歌へ にほんブログ村
d ^_^;  よろしければ 1Day 1Click を↑

#4577 花水木の道があれより長くても短くても愛を告げられなかった

令和7年4月16日(水) 【旧 3月19日 先負】 清明・「虹始見(にじはじめてあらわる)」

花水木の道があれより長くても短くても愛を告げられなかった
  ~吉川宏志(1969-)『青蝉』

250416_花水木の道があれより長くても
Photo:ハナミズキの花 ~photoAC(Kazu0425さん)

 ハナミズキはミズキ科ミズキ属の落葉高木。原産地は北アメリカ東海岸からミシシッピ川辺り。初春から晩春にかけて南部から順次咲いていく模様は日本の桜前線と同じように「ハナミズキ前線」が報道されるそうです。この植物が日本に渡ってきたのは1912年に日米親善のために尾崎行雄が日本から桜を送ったことにありました。その返礼として1915年に贈られたのがハナミズキだったのです。しかし、太平洋戦争の勃発によりポトマック川の桜が傷つけられ、日本に贈られたハナミズキに至ってはそのほとんどが伐採されてしまいました。戦争の憎しみは罪のない植物にまで向けられたのですね。

家裏に廻る夕日や花みづき
  ~草間時彦(1920-2003)『櫻山』

  にほんブログ村 ポエムブログ 短歌へ にほんブログ村
d ^_^;  よろしければ 1Day 1Click を↑

#4538 松原にいつ生ひにけむひともとのアカシヤ生ひて花咲けり見ゆ

令和7年3月8日(土) 【旧 2月9日 仏滅】 啓蟄・蟄虫啓戸(すごもりのむしとをひらく)

松原にいつ生ひにけむひともとのアカシヤ生ひて花咲けり見ゆ
  ~若山牧水(1885-1928)

 今日3月8日は「国際女性デー」。ミモザはその象徴となる花とされています。日本ではフサアカシアやギンヨウアカシアなどのマメ科アカシア属の植物の俗称として使われています。

250308_松原にいつ生ひにけむひともとの
Photo:ギンヨウアカシア ~浜名湖ガーデンパーク

 ただ、アカシアについては一つの混乱があります。明治時代に輸入されたニセアカシアのことをアカシアと呼んだことから混同されるようになったのです。現在アカシアと呼ばれている植物は同じマメ科ですがハリエンジュ属の落葉高木なので、実はアカシアではありません。ところがこのニセアカシアが本物のアカシアよりもすっかり幅をきかせるようになりました。

250308_花咲きて落つアカシヤの樹のまはり
Photo:童謡「この道」に歌われた北海道北1条通のアカシア(実はニセアカシア)並木。~SAPO★CAN

 例えば「アカシア蜂蜜」はニセアカシアの蜂蜜だし、札幌のアカシア並木もニセアカシア。さらに以下の曲の歌詞に登場するのはすべてニセアカシアだそうです。
 北原白秋の「この道」、西田佐知子の「アカシアの雨がやむとき」、石原裕次郎の「赤いハンカチ」・「恋の町札幌」、松任谷由実の「大連慕情」、レミオロメンの「アカシア」などなどすべて。偽物が本物を駆逐する一つの例ですね。

花咲きて落つアカシヤの樹のまはり
  ~山口誓子(1901-1994)

Youtube:「この道」


  にほんブログ村 ポエムブログ 短歌へ にほんブログ村
d ^_^;  よろしければ 1Day 1Click を↑
記事検索
🎼 I love music ♪

読んでくれたひと(感謝)
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

過去記事すべて見られます▼
📖私の著作です


  • ライブドアブログ