万葉歳時記 一日一葉

「万葉集」から1300年の時を超えた現代短歌・俳句まで、
昔と今を結ぶ日本人のこころの歌を歳時記にしました。

#4714 をぎの葉にかはりしかぜの秋のこゑやがて野分の露くだくなり

令和7年9月1日(月) 【旧 7月10日 仏滅】 処暑・天地始粛(てんちはじめてさむし)

二百十日厄難兆す日となれり
  ~大橋晄(1938-2024)「雨月」

 今日は立春から数えて210日目。雑節のひとつ「二百十日」は台風や強風が吹き荒れてくる日といわれます。この時期の台風は本土に上陸するコースをとることが多いのです。実際に1959年には「伊勢湾台風」が上陸して甚大な被害をもたらしています。特に農家にとって「二百十日」は、「八朔」、「二百二十日」とならんで、天候が悪くなる三大厄日とされています。

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Photo:野分 ~裏磐梯ペンションレラ ブログ

 もっと大きな歴史的災害といえば、1923(大正12)年のこの日に発生した「関東大震災」。9月1日はこれらを忘れることなく災害に備えようという意味でも「防災の日」とされています。農家ならずとも、またどんな災害にも慌てないように心構えをしておきましょう。

をぎの葉にかはりしかぜの秋のこゑやがて野分の露くだくなり
  ~藤原定家 (1162-1241)『玉葉和歌集』

荻の葉に吹く風が秋の声を聴くような趣きにかわり、やがて野分が残した露を砕き散らしてゆくようだ。

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#4685 大仏様も背中を開けて涼をとる台風一過鎌倉の夏

令和7年8月3日(日) 【旧 閏6月10日 先負】 大暑・大雨時行(たいうときどきにふる)

大仏様も背中を開けて涼をとる台風一過鎌倉の夏
  ~松田和生 「第21回NHK全国短歌大会」

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Photo:鎌倉の大仏 ~photoAC(よしかっぱさん)

 台風9号は関東地方に向けてまっしぐらにやって来るかと思いましたが、途中で方向を変えて本州に上陸することなく過ぎていきました。適度な雨と風なら炎天下で座っている大仏様も喜んでくれるかもしれませんが暴風雨となると話は別。小笠原の海は荒れていたでしょうが、大きな災害にはならずに何よりでした。ともかく台風の発生数も日本に接近・上陸する数も最も多くなるのは8月。夏休み、レジャーの予定と重なるときもあるかもしれませんが、危険があれば予定変更もやむなしと覚悟しておかなければなりません。

ゴムボート玄関に入れ台風待つ
  ~右城暮石(1899-1995)『散歩圏』

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#4627 机べに青蟷螂がひそと来て威儀正しをれど誰も気付かず

令和7年6月6日(金) 【旧 5月11日 先負】 芒種・「蟷螂生(かまきりしょうず)」

机べに青蟷螂がひそと来て威儀正しをれど誰も気付かず
  ~前川佐美雄(1903-1990)『鳥取抄』

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Photo:カマキリとねこ ~かご猫 Blog

 二十四節気「芒種」の初候6日間(6月5~10日)は七十二候の第25候「蟷螂生(かまきりしょうず)」。カマキリが孵化してくる季節です。カマキリという昆虫は、ひょっとしたら地球上でもっとも好戦的、且つ北の独裁者も顔まけの無慈悲な生物かもしれません。メスは交尾中にオスを頭から食い殺すし、たくさん生まれた子どもたちは共食いを繰り返し、強いものだけが成虫になっていくのです。俳句の季語では既に成虫になったカマキリなので「秋」とされています。

いくさありと鎌切急ぐ嵐かな
  ~正岡子規(1867-1902)

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#4440 衣手にあらしの吹きて寒き夜を君来まさずはひとりかも寝む

令和6年11月30日(土) 【旧 一〇月三〇日 先負】 小雪・「朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)」

衣手にあらしの吹きて寒き夜を君来まさずはひとりかも寝む
  ~作者未詳 『万葉集』 巻13-3282 相聞歌

衣の袖に嵐の風が吹きこむような寒い夜を、貴方がおいでにならないのでわたし一人で寝ることになるのですね。

241130_衣手にあらしの吹きて寒き夜を
Photo:1990年 台風28号の進路 ~WeatherNews

 一昨日から特に日本海側では雪や雷雨を伴う荒れた天気が続きました。もちろん台風ではありませんが、記録には1951年の統計開始以降最も遅く日本列島に上陸した台風として1990(平成2)年11月30日、紀伊半島に上陸した台風28号がありました。沖縄や伊豆・小笠原諸島でもこの時期に接近することはほとんどないというこの時期には珍しい「季節外れ台風」で、あと10時間遅れていたら「師走台風か」という新聞の見出しが踊ったとか。被害は死者・行方不明4人、負傷12人、損壊・浸水家屋1706棟でした。さらに公式の統計以前には1894(明治27)年12月10日に台風が上陸したという記録があるのですが、上陸地点が九州南部か房総半島か、あるいは両方なのかはっきりしていません。油断大敵ですね。

蒼天の一刷の雲冬嵐
  ~飯田蛇笏(1885-1962)

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#4435 散るをいとふ世にも人にもさきがけて散るこそ花と吹く小夜嵐

令和6年11月25日(月) 【旧 一〇月二五日 仏滅】 小雪・虹蟄不見(にじかくれてみえず)

散るをいとふ世にも人にもさきがけて散るこそ花と吹く小夜嵐
  ~三島由紀夫(1925-1970)辞世

 今日は三島由紀夫を追悼する「憂国忌」。1970(昭和45)年の今日、東京市ヶ谷の自衛隊駐屯地に「楯の会」のメンバー5人が訪れ、益田兼利東部方面総監を拘束しました。世にいう三島事件です。

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Photo:自衛官の前で演説する三島由紀夫

 三島の目的は自衛隊員らに対して、憲法改正に向けて立ち上がれと言う趣意の演説を行うこと。現行憲法の下でその存在を否定されている自衛隊員たちにまずは訴えるべきことだと考えたのでしょう。ところが、意に反して隊員たちの野次と怒号によって三島の声はかき消されました。この訴えをするのなら自衛官ではなく、せめて会期中の国会議事堂前で行うべきではなかったろうかと残念でなりません。更に演説の後の割腹自殺という行為が右翼、あるいは改憲論者イコール暴力的というイメージを社会に与えるという逆効果を生んだことも否めません。三島が残した辞世は二首ありました。もう一首です。

益荒男《ますらを》がたばさむ太刀の鞘鳴りに幾とせ耐へて今日の初霜
  ~同

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