万葉歳時記 一日一葉

「万葉集」から1300年の時を超えた現代短歌・俳句まで、
昔と今を結ぶ日本人のこころの歌を歳時記にしました。

広島

#4863 竹林のおくに斑雪の銀閣寺庭しづやかに山にむかへる

令和8年1月27日(火) 【旧 12月9日 友引】 大寒・水沢腹堅

竹林のおくに斑雪《はだれ》の銀閣寺庭しづやかに山にむかへる
  ~中村憲吉(1889-1934)

 銀閣寺を創建した室町幕府第7代将軍足利義政が亡くなったのは1490年1月27日(延徳2年1月7日)のこと。3代将軍義満の手になる豪壮華麗な鹿苑寺金閣に比べて慈照寺銀閣の佇まいの静かさ、幽玄さに心を奪われる外国人は少ないかもしれません。しかしこの建物は私たち日本人の心の奥にある侘び寂びを理解するヒントになりそうです。

260127_竹林のおくに斑雪の銀閣寺
Photo:慈照寺銀閣の雪景色 ~4travel.jp

 日本文学者であった故ドナルド・キーン博士は日本人の美意識は足利義政の東山時代にそのエッセンスが確立されたと、著書「日本人の美意識」の中で述べています。この時代以降の建築や日本庭園、茶の湯や連歌能楽、絵画など、義政の趣味が昂じて育て上げた東山文化がなければ、今の日本文化は違っていたかもしれません。コテコテの大阪文化の中で育った私が言っても説得力はなさそうですが。

述懐
わが思ひ神さぶるまでつつみこしそのかひなくて老いにけるかな
  ~足利義政(1436-1490)『慈照院集』

我が思いが年月を経て趣き深く古びてゆくまで抱いてきたが、その甲斐もなくただ老いてしまったことだ。

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#4860 過ぎ去った命を想うとき人はきっと静かな顔をしている

令和8年1月24日(土) 【旧 12月6日 大安】 大寒・款冬華

過ぎ去った命を想うとき人はきっと静かな顔をしている
  ~星野真里(1981-)

 女優の星野真里さんが台湾の九份に向かう途中に偶然立ち寄った金瓜石《きんかせき》鉱山跡地での体験を短歌に綴ったもの。1893年に金鉱が発見され一躍ゴールドラッシュの様相を呈したそうです。

260124_金山坑出て現世名残り月
Photo:MONEY PLUS

 今日1月24日は「金の日(ゴールドラッシュデー)」。1848年のこの日、カリフォルニア州で金の粒が発見され、一攫千金を夢見て大勢の人々が集まったとによります。歴史的にはアメリカを含めた世界各地で金鉱に人々が集まる現象が既にありましたが、「ゴールドラッシュ」という言葉が現れたのはカリフォルニアから。今ではほとんどの金鉱山は廃坑となり、新たこな金が採掘されることは少なくなりました。昔は南アフリカ共和国が世界の産出量3分の2を占めていましたが、減少の一途を辿り、現在は13%のシェアを占める中国がトップだそうです。

金山坑出て現世名残り月
  ~堀内律子(1934-)

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#4793 この絵筆誰のものかと問う声に苦笑う人AIと答え

令和7年11月19日(水) 【旧 9月30日 友引】 立冬・金盞香(きんせんかさく)

機械にも涙がわかるか秋の暮
  ~藤田湘子(1926-2005)

 AI(artificial intelligence)、すなわち人工知能の進化には目を見張るものがあり、今では理系の分野を抜け出して文学・芸術の分野にも利用されています。

251119_機械にも涙がわかるか秋の暮
Photo:SIGNATE総研

 既にSF映画や派手なアクションシーンにAIの生成画像は欠かせないツールになりました。最近では英国の映像制作会社がAIを使ったバーチャル俳優も生みだされ、全米映画俳優組合が猛烈に抗議しているという現状もあります。たしかに自分たちの容姿や演技が解析され、その情報が無断で使用されて良いものではないでしょう。無限の可能性を秘めた科学技術の発展は結構なことですが、良きも悪しきも利用する人間次第というのがこれからの課題のようです。

この絵筆誰のものかと問う声に苦笑う人AIと答え
  ~田島絵里子

 絵や彫刻、写真などの肖像さえあれば、歴史上の人物御本人に出演してもらって簡単に映画ができてしまいます。俳優さんたちの仕事は声とモーションモデルだけになってしまうかもしれません。そりゃあ危機感募りますよね。


Youtube:歴史上の偉大な戦士たちが現代に蘇ると(8’08”)


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#4784 三基あるエレベーターがばかだからみんなして迎えに来てしまう

令和7年11月10日(月) 【旧 9月21日 大安】 立冬・山茶始開(つばきはじめてひらく)

三基あるエレベーターがばかだからみんなして迎えに来てしまう
  ~山階基 『風にあたる』

 あるあるの光景ですね。せっかく3基もあるのに、3基とも同じ階にあって同じ方向に動いてる。機械にチームワークを求めてはだめかと思うのですが、超最新のコントロールシステムだとこれを解決しているとか。

251110_秋晴れて凌雲閣の人小さし
Photo:東京百景(浅草凌雲閣)~ToMuCo

 そんなエレベーターの歴史を紐解けば、日本で初めて電動式のエレベーターが登場したのは今から135年前、1890(明治23)年11月10日のことでした。場所は東京の浅草。地上12階建ての高層ビル「凌雲閣」の落成とともに披露されました。今日はこれに由来して「エレベーターの日」とされています。当時は「浅草十二階」とも呼ばれ、大阪の通天閣、神戸の神戸タワーとともに「日本三大望楼」と称されたそうですが、1923(大正12)年の関東大震災で8階部分から折れるように崩壊し、以後再建されることはありませんでした。

秋晴れて凌雲閣の人小さし
  ~正岡子規(1867-1902)

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#4735 昨日のむはずの薬が食卓にぽつんと居りておはやうといふ

令和7年9月22日(月) 【旧 8月1日 友引】 白露・玄鳥去(つばめさる)

後の月戦艦大和のドックにて
  ~川崎展宏(1927-2009)

 ドック(Dock)とは船の建造・修理・係船・荷役作業のために築かれた港のこと。最近ではスマホの充電台や画面の中のアイコン領域を指す言葉にもなっています。 そして「人間ドック」。もちろんこれも船のDockを人間に当てはめて、健診のための短期入院や健康診断を行いますが、基本的に修理はしてくれません。

250922_後の月戦艦大和のドックにて
Photo:胃部バリウム健診 ~Girls Channel

 ということで、一昨日私も勇気を出して人間ドックに行ってきました。何と言ってもバリウム健診が一番キライなので、例年は無料の国保特定健康診査で済ませています。今回のドック入りは約3年ぶり。当然ですが前回に比べて数値が良くなっているところは一つもありませんでした。赤色の項目が少しづつ増えて、紹介状付きの要再診も一つ。年相応に劣化が進むのはやむを得ないところですが、同年齢の方々よりは全体的にかなり健康だという医師の言葉に少しだけホッとしています。ただし、脳の検査は普通の人間ドックの項目にないので心配ではありますが。

昨日のむはずの薬が食卓にぽつんと居りておはやうといふ
   ~林龍三(1952-) 『塔』2019年7月号

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