万葉歳時記 一日一葉

「万葉集」から1300年の時を超えた現代短歌・俳句まで、
昔と今を結ぶ日本人のこころの歌を歳時記にしました。

御詠歌

#2375 春は花夏は橘秋は菊・・・

【旧 三月四日 赤口】清明・玄鳥至(つばめきたる)

灌仏の日に生まれあふ鹿の子哉  〜松尾芭蕉 「笈の小文」

 今日は灌仏会《かんぶつえ》。花祭りとも呼ばれるお釈迦さまの誕生を祝う日です。お釈迦さまが生まれるとすぐに7歩あるいて、右手で天を、左手で地を指し、『天上天下唯我独尊』と唱えました。すると9匹の龍が現れて甘露の雨が降りだしたといいます。その言葉を訳すと「天上天下に私よりも尊い者はいない」となり、後に「唯我独尊」が自惚れ者を謗る言葉となりましたが、釈迦の本意は「この世で解脱する唯一の存在である」という予言のようです(諸説ありますが)。キリスト教やイスラム教、神道にも共通するこの手の伝説に関しては事実かどうかの詮索にはほとんど意味がありません。ともあれ釈迦の誕生仏はこの時の姿を写しています。これに甘茶をかけるのは甘露の雨によるのだそうです。

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Photo :誕生仏

春は花 夏は橘 秋は菊 いつも妙なる法《のり》の華山
  〜一乗寺 御詠歌

 兵庫県加西市の法華山一乗寺は西国三十三所の第26番。孝徳天皇の勅願で650年に創建された古寺です。開基の法道仙人は天竺から紫雲に乗って播州に飛来し、八葉蓮華の形をした霊山を見つけて法華経のこの寺院を建てたと伝えられています。このお話も釈迦の誕生伝説と同じく、雲に乗って云々はともかく、法道仙人なる人物が実在したことは事実のようです。

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#909 松風や 音羽の滝の 清水を ・・・

【旧 二月十五日 仏滅】春分・雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)
 清水寺といえば、もちろん世界遺産の京都の音羽山清水寺が真っ先に思い出されますが、全国には「せいすいじ」と読むお寺も含め約90の清水寺が存在します。「全国清水寺ネットワーク」はそのうち約30の団体が加盟しています。4月3日はそのネットワークが定めた「清水《しみず》の日」。毎年この日には京都の清水寺に集い、水と環境に思いを寄せて「心と地球の浄化祈願法要」と会議を催しています。

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松風や 音羽の滝の 清水を 
むすぶ心は 涼しかるらん
  ~松尾芭蕉

 これは西国三十三所第十六番、音羽山清水寺の御詠歌です。清水寺の拝観券に印刷されていますので、訪れたことのある人は見たことがあるはずです。御詠歌とは仏教の教えを三十一文字の和歌として曲に乗せて唱えるものです。この歌の直接の意味はあえて通釈する必要もありませんが、ここに説かれた教えは聞いてみなければわからないので、一応以下に掲載しておきます。

清浄の覚りに導く菩薩の説法に接し、慈悲の聖水で心を洗い清めることを通して、諸々の煩悩の心熱から解脱することが出来れは、心は寂滅の平安に達して清涼な心境を維持することが出来るであろう。

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