万葉歳時記 一日一葉

「万葉集」から1300年の時を超えた現代短歌・俳句まで、
昔と今を結ぶ日本人のこころの歌を歳時記にしました。

愛知

#4500 夢に見し隕石の原青氷いま我立てりやまと山麓

令和7年1月29日(水) 【旧 一月一日 先勝】 大寒・水沢腹堅(さわみずこおりつめる)

夢に見し隕石の原青氷いま我立てりやまと山麓
  ~永田武(1913-1991)第1次~第3次南極観測隊長

250129_夢に見し隕石の原青氷
Photo:南極に到着した海上自衛隊の砕氷艦「しらせ」~海上自衛隊

 今日1月29日は「昭和基地開設記念日」。1957(昭和32)年のこの日、日本の観測隊が昭和基地を開設したことによります。永田武は第1次南極地域観測隊の隊長として接岸不能地域とみなされていたプリンスハラルド海岸の東オングル島における昭和基地の建設を指導した人物です。「やまと山麓」は現地の氷の盛り上がりを見て、探検隊が名付けたもので実際の山ではありません。しかし、大陸東部のヴィクトリアランドには永田武の功績に基づいて名付けられた標高2140mの「永田山(Mount Nagata)」が存在します。

南極地より捕鯨船剥げて着く
  ~山口誓子(1901-1994)

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#4465 約しある二人の刻を予ねて知りて天の粉雪ふらしむるかな

令和6年12月25日(水) 【旧 一一月二五日 大安】 冬至・「乃東生(なつかれくさしょうず)」

降誕祭睫毛は母の胸こする
  ~中村草田男(1901-1983)

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Photo:聖母子像  イル・サッソフェッラート(1609-1685)

 クリスマスは「降誕祭」とも呼ばれますが、実際のところイエス・キリストの誕生日は、日にちどころか西暦の基準になった2024年前であることすら全くわかっていません。もともと”Christmas"とは救世主のミサという意味で、イエス・キリストの誕生日ではなく、一部の教派が行っていた「誕生を祝う日」が広まったものでした。キリスト教徒にとって本当に重要な宗教行事はクリスマスではなく「復活祭(イースター)」のようです。非キリスト教徒の人々はお正月の前夜祭としてクリスマスを楽しんでいるのかもしれませんね。

約しある二人の刻を予ねて知りて天の粉雪ふらしむるかな
  ~岡井隆(1928-2020)

Youtube:中島美嘉 『雪の華』(歌詞入り)


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#4460 来る去るの差異はともあれかくもあれ東京駅は人生の門

令和6年12月20日(金) 【旧 一一月二〇日 赤口】 大雪・「鮭魚群(さけのうおむらがる)」

東京の汽車来て嬉し稲の露
  ~前田普羅(1884-1954)『普羅句集』

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Photo:東京駅丸の内駅舎 ~Rakuten Travel

 東京駅が開業したのは大正3(1914)年12月20日。今日は開業110年目にあたります。鉄道の歴史は明治5年の新橋-横浜間から始まりましたが、それから12年後には東京の中心部に中央停車場を設置し、これを起点に各方面に向けて路線を増やす構想が持ち上がりました。中央停車場は皇居の正面に設定され「東京駅」と命名。駅の規模や配置はドイツの技術者フランツ・バルツァーが設計しています。当初バルツァーは日本風の駅舎を提案したのですが日本側がこれに反対しています。駅舎の設計は辰野金吾と葛西萬司が任され、彼らが設計した丸の内駅舎は国の重要文化財に指定されています。それから110年、現在の列車発着本数は約4000本にのぼる日本一のターミナル駅になっています。

来る去るの差異はともあれかくもあれ東京駅は人生の門
  ~春日真木子(1926-)

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#4320 透き羽とみどりのからだもつ蝉よ鳴けば水玉うまるるごとし

令和6年8月3日(土) 【旧 六月二九日 仏滅】・大暑 「大雨時行」(たいうときどきふる)

透き羽とみどりのからだもつ蝉よ鳴けば水玉うまるるごとし
  ~栗木京子(1954-)『ランプの精』

240803_透き羽とみどりのからだもつ蝉よ

 朝一番に目を覚まさせてくれるのは、目覚まし時計ではなく蝉の声。セミの種類もたくさんありますがネットで声を検索すれば犯人はすぐに分かりました。クマゼミでした。日本産のセミだそうで、朝のうちは街中何処に行っても蝉時雨に包まれてしまいます。でも昼過ぎになるとピタリと静かになる不思議な生態です。最近は夕方にも再び鳴き始める時があるのですが、まあこれは許すとしても、早朝だけはやめていただきたい。だだでさえ、この暑さで寝不足気味ですから。

かうなれば蝉の殲滅計りたし
  ~高澤良一(1940-)

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#4297 スマートフォンあやつる人ら満載し電車は夜の馬喰町過ぐ

令和6年7月11日(木) 【旧 六月六日 大安】・小暑 温風至(あつかぜいたる)

スマートフォンあやつる人ら満載し電車は夜の馬喰町過ぐ
  ~栗木京子(1954-)

240711_スマートフォンあやつる人ら満載し
Photo:アイフォーンを手にしたアップル創業者スティーブ・ジョブス氏~毎日新聞経済プレミア

 初代のiPhoneが最初に発売されたのは2007年でしたが、このときは日本の通信方式に対応していませんでした。翌年2008年の今日7月11日に2代目のiPhone3GがSoftBankから初めて日本で発売されました。一方、無償で提供されているGoogle社のAndroidOSを搭載した携帯電話も同じ頃に発売されはじめ、今では老若男女のほとんどがどちらかの端末を使うようになりました。発売当初は外出中にまで電話に追いかけ回されるのはお断りとばかりに、携帯を拒否する人も少なくなかったのですが、社会は技術の進歩に抗うこと出来ないようです。

吾子三才スマホでつなぐ尖閣の冬
  ~山本徳二(北海道)~第2回「海上保安の日」俳句コンテスト特選句

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