万葉歳時記 一日一葉

「万葉集」から1300年の時を超えた現代短歌・俳句まで、
昔と今を結ぶ日本人のこころの歌を歳時記にしました。

愛知

#4810 一生を棒に振りたるくやしさにかかはりもなく木瓜の花咲き

令和7年12月6日(土) 【旧 10月17日 友引】 小雪・橘始黄(たちばなはじめてきばむ)

一生を棒に振りたるくやしさにかかはりもなく木瓜の花咲き

  ~永井陽子(1951-2000)『小さなヴァイオリンが欲しくて』

 「一生を棒に振る」とはなんとも悲しい言葉です。まだ末長い人生を残す若者にかけられるからでしょう。元総理を殺害するような重犯罪を犯したならばいざ知らず、つまらないいたずら動画をアップしたり、コンピュータウイルスを企業に送りつけたりして、一生を棒に振るような賠償金を背負う若者の何と多いことでしょう。

251206_その愚には及ぶべからず木瓜の花
Photo:寒木瓜の花 ~はじまりの朝

 それはさておき今日はそんなアホ・ボケ・カスのボケではなく、中国原産のバラ科の落葉低木植物「木瓜《ボケ》」のお話。この植物が渡来したのは平安時代。『本草和名』では毛介《もけ》という和名で紹介されています。名前の由来は果実が瓜に似ているのに木になっているからと考えられています。とはいえ、冒頭の短歌もそうですが、ボケという語感に着目した俳句もたくさん見受けられます。花の季節は11月頃から5月頃まで。季語としては晩春ですが「寒木瓜」は晩冬の季語とされます。

寒木瓜も売れて三越十二月
  ~松藤夏山(1890-1936) 『夏山句集』

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#4711 あの夏と呼ぶべき夏が皆にあり喉うごかして氷みづ飲む

令和7年8月29日(金) 【旧 7月7日 先勝】 処暑・天地始粛(てんちはじめてさむし)

あの夏と呼ぶべき夏が皆にあり喉うごかして氷みづ飲む
  ~小島ゆかり(1956-)

250829_あの夏と呼ぶべき夏が皆にあり
Photo:トラベルボイス

 私が小中学生の頃は夏休みといえば7月20日前後から8月31日までの40日間と、大体決まっていたと記憶していますが、学研キッズネットによると今は自治体によって随分違うようです。北海道が30日間というのは気候の関係でわからないこともありません。大阪市もそうですが、およそ37日間で以前より早めに休み、8月の最終週にはすでに2学期が始まっています。でもお隣の兵庫(神戸市)は31日までの44日間だとか。大阪がいつも学習成績の下位に低迷しているからゆっくり休んでいる場合ではない。なんていう理由ではないでしょうけど。

絵日記に残りし頁夏休
  ~稲畑汀子(1931-2022)

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#4656 痛快なり大谷翔平がアメリカでメジャーの猛者らを驚かせゐる

令和7年7月5日(土) 【旧 6月11日 仏滅】 夏至・「半夏生(はんげしょうず)」

いつの日も僕のそばにはお茶がある
  ~大谷翔平(1994-)カリフォルニア州ロサンゼルス

 「大谷翔平」を騙るSNSがたくさんありますが、これはほんとに大谷翔平選手の作(とされています)。「お茶」が季語であるかどうかは別にして、彼が伊藤園の「お〜いお茶」ブランドアンバサダー就任の際の句で、アンバサダー就任記念ボトルにもキャッチコピーとしてこれが書かれていました。


 今日は大谷選手31歳のお誕生日です。肘の調子も完治して「投手」大谷も復活しましたが、近頃彼に対する死球が増えているので怪我だけが心配です。この「万葉歳時記……」も今回で4656回目になりましたが、始めて間もない第14回の記事では、日ハムが大リーグ志望であった高校生の大谷君を強行指名した時のことを取り上げています。今から14年も前のことですが、この時点ではまだ日ハムの指名を受け入れるかどうかもわかりませんでした。そんな時に誰が現在の大谷選手の活躍を予想できたことでしょう。多くの専門家たちが否定した「二刀流」を育て上げた当時の栗山監督も「あっぱれ!」でしたね。

痛快なり大谷翔平がアメリカでメジャーの猛者らを驚かせゐる
  ~梧桐学《ごとうまなぶ》

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#4613 夏衣龍田の山の若楓秋の色にはあらぬものかな

令和7年5月23日(金) 【旧 4月26日 大安】 小満・「蚕起食桑(かいこおおきてくわをはむ)」

若楓枝を平に打重ね
  ~冨安風生(1885-1979)

250523_夏衣龍田の山の若楓
Photo:若楓 葉に透き通る川の流れ ~西藍希さんのno+e

 「若楓《わかかへで》」は読んで字のごとく楓の若葉、あるいは若葉の萌え出ている楓を指す言葉で初夏の季語として使われます。秋の紅葉もさることながら、初夏の陽光を浴びた初々しい若葉の緑にも格別な美しさを感じます。紅葉の名所とされているところもこの時期はそのまま爽やかな若楓の名所となるので、決して季節外れの観光地ではありませんね。

夏衣龍田の山の若楓秋の色にはあらぬものかな
  ~慈円(1155-1225)『拾玉集』

夏の衣を纏った龍田山の若楓は、秋の色には決して見られない息吹が感じられるものだ。

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#4609 アラビアに雪降らぬゆえただ一語 ثلج と呼ばれる雪も氷も

令和7年5月19日(月) 【旧 4月22日 先勝】 立夏・「竹笋生(たけのこしょうず)」

アラビアに雪降らぬゆえただ一語 ثلج 《サルジュ》と呼ばれる雪も氷も
  ~千種創一(1988-)『砂丘律』

 ثلج 《サルジュ》は雪を表すアラビア語。作者の千種創一氏は東京外国語大学アラビア語学科在学中に三井修氏の授業「短歌創作論」の受講生らと「外大短歌会」創立されています。

250519_このストールを巻くたびに遭うかなしみの
Photo:Thomas Edward Lawrence(1888-1935)

 さて、ちょうど90年前の今日、一人のイギリス軍人がバイクの転倒事故で亡くなっています。デヴィッド・リーン監督の映画『アラビアのロレンス』の主人公にもなったトーマス・エドワード・ロレンス中佐。映画ではピーター・オトゥールが演じていました。現在の中東情勢を複雑化させた当時の英国の外交姿勢も垣間見える作品で、制作年は1962年。SFXのない実写でこれだけの映画が作られたことに驚嘆します。音楽はモーリス・ジャール。映像は今見ても何ら古さを感じさせません。途中に休憩を挟む207分の超大作ですが映画ファンなら必見の名作です。

このストールを巻くたびに遭うかなしみの砂漠へ放つ、一羽の鷹を
  ~同


Youtube:『アラビアのロレンス』序曲

追伸:
 現在開催中の「2025 大阪・関西万博」のヨルダンパビリオンにはロケ地となった砂漠地帯の保護区「ワディ・ラム」の赤い砂およそ22トンが敷き詰められてちょっぴり現地の気分を味わえます。

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