万葉歳時記 一日一葉

「万葉集」から1300年の時を超えた現代短歌・俳句まで、
昔と今を結ぶ日本人のこころの歌を歳時記にしました。

植物

#4810 一生を棒に振りたるくやしさにかかはりもなく木瓜の花咲き

令和7年12月6日(土) 【旧 10月17日 友引】 小雪・橘始黄(たちばなはじめてきばむ)

一生を棒に振りたるくやしさにかかはりもなく木瓜の花咲き

  ~永井陽子(1951-2000)『小さなヴァイオリンが欲しくて』

 「一生を棒に振る」とはなんとも悲しい言葉です。まだ末長い人生を残す若者にかけられるからでしょう。元総理を殺害するような重犯罪を犯したならばいざ知らず、つまらないいたずら動画をアップしたり、コンピュータウイルスを企業に送りつけたりして、一生を棒に振るような賠償金を背負う若者の何と多いことでしょう。

251206_その愚には及ぶべからず木瓜の花
Photo:寒木瓜の花 ~はじまりの朝

 それはさておき今日はそんなアホ・ボケ・カスのボケではなく、中国原産のバラ科の落葉低木植物「木瓜《ボケ》」のお話。この植物が渡来したのは平安時代。『本草和名』では毛介《もけ》という和名で紹介されています。名前の由来は果実が瓜に似ているのに木になっているからと考えられています。とはいえ、冒頭の短歌もそうですが、ボケという語感に着目した俳句もたくさん見受けられます。花の季節は11月頃から5月頃まで。季語としては晩春ですが「寒木瓜」は晩冬の季語とされます。

寒木瓜も売れて三越十二月
  ~松藤夏山(1890-1936) 『夏山句集』

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#4807 ゆふされば大根の葉にふる時雨いたく寂しく降りにけるかも

令和7年12月3日(水) 【旧 10月14日 大安】 小雪・橘始黄(たちばなはじめてきばむ)

流れ行く大根の葉の早さかな
  ~高浜虚子(1874-1959)

 大根の旬は寒い冬の季節。アブラナ科の植物で実は地中海・中東地方が原産だそうです。弥生時代には既に日本でも栽培されていて地下に伸びた根を食用にしていました。春の七草の一つ「すずしろ」は大根のこと。花を咲かせるのは3月から5月頃です。

251203_ゆふされば大根の葉にふる時雨
Photo:大衆道楽割烹三代目あかつ

 食用としては春大根、夏大根もあって一年中いただくことができますが、春夏の大根は辛味が強くなります。代表的な青首大根の旬は冬。冬の大根は寒さに耐えるために甘みが増してきます。そのうえ、大根にふくまれるビタミンCは免疫機能の維持に欠かせない役割があるので風邪の予防にもぴったりです。おでんやぶり大根などしっかりと出汁が染み込んだ大根の味は絶品ですね。ちなみに葉に近い部分が最も甘く、尻尾のほうが辛味が強くなります。

ゆふされば大根の葉にふる時雨いたく寂しく降りにけるかも
  ~斎藤茂吉(1882-1953)

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#4806 街をゆき子供の傍を通るとき蜜柑の香せり冬がまた来る

令和7年12月2日(火) 【旧 10月13日 仏滅】 小雪・橘始黄(たちばなはじめてきばむ)

やぶさめや橘青き実をつけて
  ~細見綾子(1907-1997)『曼荼羅』

 今日は七十二候の第60候「橘始黄(たちばなはじめてきばむ」。橘の青い実が黄色くなる頃。二十四節気「小雪」の末候5日間にあたります。


 和歌や俳句の中で橘が取り上げられる場合は夏の季語でもある「花橘」、すなわち実より花のほうを詠まれることが圧倒的に多いようです。橘とは柑橘類の総称として使われており、黄金に輝く橘の実は不老不死の理想郷を指す「常世」の象徴と考えられていました。いまの蜜柑のように秋から冬にかけて食することのできる果物という一般の生活に近しい存在ではなかったのかもしれません。

街をゆき子供の傍を通るとき蜜柑の香せり冬がまた来る
  ~木下利玄(1886-1925)『紅玉』

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#4804 十一月尽の空気のつめたさに木立ダリアの花を見上げる

令和7年11月30日(日) 【旧 10月11日 友引】 小雪・朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)

十一月尽の空気のつめたさに木立ダリアの花を見上げる
  ~花山多佳子(1948-)『木立ダリア』

 木立ダリアはキク科の球根植物。普通のダリアの草丈は1メートル程度ですが、木立ダリアは5メートル以上の高さまで成長します。皇帝ダリアとも呼ばれ、寒くなった今頃の季節に咲く短日植物です。

251130_おほぞらへ皇帝ダリアしんと立つ
Photo:キダチダリア(皇帝ダリア)~権現堂公園

 短日植物とは日照時間が短くなることで花芽を形成する植物のこと。日に日に昼の時間が短く、夜の時間が長くなる11月から12月が木立ダリアの開花期となります。ただし、原産地がメキシコなど中米地域なので、耐寒性はあまり高くなく、霜が当たると地上部が枯れ、さらに地中の温度が5度を下回ると球根も枯れてしまうことがあります。大きく育つので鉢植えは難しく、しっかりと日光が当たる庭植えのほうが良さそうです。花言葉は「乙女の真心」あるいは空に向かって真っすぐ伸びるところから「優雅」「威厳」。

おほぞらへ皇帝ダリアしんと立つ
  ~櫂未知子(1960-)

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#4802 病む妻の帰宅近きを願ひつつプリムラの花庭に植ゑゐつ

令和7年11月28日(金) 【旧 10月9日 赤口】 小雪・朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)

病む妻の帰宅近きを願ひつつプリムラの花庭に植ゑゐつ
  ~渡辺謙《わたなべゆずる》(1920-?)『プリムラの花』
 
 渡辺謙《ゆずる》氏は佐藤佐太郎に師事された歌人。俳優の渡辺謙さんとは別人です。

251128_室咲のプリムラここに雨の音
Photo:プリムラ ~Webゆうゆうtime

 さてプリムラ。ヨーロッパやアジアに自生するサクラソウ科サクラソウ属の植物。ヨーロッパで品種改良されて観賞用園芸植物として多くの種類が栽培されています。11月になると園芸店に並び始めますが、これは温室で育てて出回っているもの。本来は冬から春にかけて咲く植物です。多少の耐寒性はありますが冷たい霜にあたると傷むので真冬になると夜は玄関に取り込むほうが良いとか。春を先取りする花とも言われています。花言葉は「信頼」「青春の恋」など。

室咲のプリムラここに雨の音
  ~山口青邨(1892-1988)

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