万葉歳時記 一日一葉

「万葉集」から1300年の時を超えた現代短歌・俳句まで、
昔と今を結ぶ日本人のこころの歌を歳時記にしました。

沖縄

#4297 スマートフォンあやつる人ら満載し電車は夜の馬喰町過ぐ

令和6年7月11日(木) 【旧 六月六日 大安】・小暑 温風至(あつかぜいたる)

スマートフォンあやつる人ら満載し電車は夜の馬喰町過ぐ
  ~栗木京子(1954-)

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Photo:アイフォーンを手にしたアップル創業者スティーブ・ジョブス氏~毎日新聞経済プレミア

 初代のiPhoneが最初に発売されたのは2007年でしたが、このときは日本の通信方式に対応していませんでした。翌年2008年の今日7月11日に2代目のiPhone3GがSoftBankから初めて日本で発売されました。一方、無償で提供されているGoogle社のAndroidOSを搭載した携帯電話も同じ頃に発売されはじめ、今では老若男女のほとんどがどちらかの端末を使うようになりました。発売当初は外出中にまで電話に追いかけ回されるのはお断りとばかりに、携帯を拒否する人も少なくなかったのですが、社会は技術の進歩に抗うこと出来ないようです。

吾子三才スマホでつなぐ尖閣の冬
  ~山本徳二(北海道)~第2回「海上保安の日」俳句コンテスト特選句

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#4278 矢弾尽き天地染めて散るとても魂還り魂還りつつ皇国護らん

令和6年6月23日(日) 【旧 五月一八日 仏滅】・夏至 乃東枯(なつかれくさかるる)

矢弾尽き天地染めて散るとても魂還り魂還りつつ皇国護らん
  ~牛島満(1887-1945)辞世 1/2

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Photo:181人の名の刻まれた3枚の銘板追加される「平和の礎」~NHKニュース(2024年6月19日)

 今日は「沖縄慰霊の日」。太平洋戦争における沖縄戦が一応終結したとされる79年前、1945年6月23日にちなみます。この時の沖縄守備軍司令官が牛島満中将でした。沖縄戦の終結は牛島司令官が自決して組織的な防衛戦が終わったことを意味しますが、その後も悲惨な抵抗戦が各地で頻発し、多くの命が失われ続けました。それから79年経った今年も糸満市の平和祈念公園では新たな申告により181名の刻銘板が設置されました。この中には沖縄戦に向かう途中で撃沈された戦艦大和の乗組員なども含まれているそうです。これで「平和の礎」に刻まれた人は合わせて24万2225名になっています。

秋待たで枯れ行く島の青草は皇国の春に甦らなむ
  ~牛島満 辞世 2/2

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#4057 七五三髪のりぼんが揺れるのをおほごまだらのスキップと呼ぶ

令和5年11月15日(水) 【旧 一〇月三日 赤口】・立冬・地始凍(ちはじめてこおる)

七五三髪のりぼんが揺れるのをおほごまだらのスキップと呼ぶ
  ~知花くらら(1982-)

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 「大胡麻斑《オオゴマダラ》」は白黒のまだら模様のアゲハチョウ。知花くららさんのふるさと沖縄など南西諸島に広く分布しています。七五三の晴れ着の女の子のリボンがそんな模様だったのでしょう。さて、七五三は子供の成長を祈願する日とされていますが、一応年齢は数え年三歳と七歳の女の子と五歳の男の子とされています。ただ細かく言えば本来は旧暦11月15日の行事だったのを新暦に直して行っているくらいですから、年齢だけを数え年に拘る必要はないのではと思います。拘るといえば今日は六曜の「赤口」なので怪我をしやすく縁起が悪いので、この日を避ける人がいるかもしれません。徹底的に拘りたいなら12月27日(旧暦11月15日)は「先勝」で満月。この日に数え年のお子様を連れてどうぞ。

雨にのび佳日を得たり七五三
  ~水原秋櫻子(1892-1981)『蘆雁』

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#3912 七十余年五十キロ爆弾は眠りたり国際通りの真ん中の地下

令和5年6月23日(金) 【旧 五月六日 仏滅】・夏至・乃東枯(なつかれくさかるる)

七十余年五十キロ爆弾は眠りたり国際通りの真ん中の地下
  ~玉城洋子(1944-)『現代万葉集』 2019年版

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Photo:不発弾処理のため通行止めとなった国際通り(2017年9月23日)~琉球新報Style

 太平洋戦争の沖縄戦は1945(昭和20)年3月26日、米軍の慶良間諸島への上陸に始まりました。そして約3ヶ月間の戦いを経て6月23日、牛島満司令官の割腹自殺によって日本軍の組織的戦闘は終結します。今日は沖縄戦集結から78年目の「沖縄慰霊の日」です。沖縄では今なお、観光客で賑わうビーチや国際通りの地下から米軍の不発弾が発見されるという現実があります。沖縄県の2016年版「消防防災年報」によると日本に復帰した1972年から2016年までに処理された不発弾は36,579件。空襲を受けた大阪でも数年に一度、不発弾発見の新聞記事を見ることがありますが、沖縄県のこの数字は平均すると1日に2個以上ということ。沖縄県民と我々本土の人間との、戦争に対する意識の違いはこんな所にも見られるようです。

沖縄の終戦の日や花梯梧
  ~松崎鉄之介(1918-2014)『濱』

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#3894 仏桑華くれなゐ深く咲き垂るる首里王城の池をめぐれり

令和5年6月5日(月) 【旧 四月一七日 友引】・小満・麦秋至(むぎのときいたる)

仏桑華くれなゐ深く咲き垂るる首里王城の池をめぐれり
  ~岡野弘彦(1924-)

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Photo:ハイビスカスと海 ~ニモモさん(photoAC)

 5月の末頃から咲き始める「仏桑華《ぶっそうげ》」はアオイ科フヨウ属に含まれる植物の中で熱帯から亜熱帯の種。すなわちハワイの原産で州花としても知られているハイビスカスのことです。赤・黄色・白・ピンク・オレンジ・紫など豊富にあり大きさも大小さまざまですが、やはりイメージとして最も思い浮かぶのは真っ赤な大輪のハイビスカス。朝に開いて太陽の降り注ぐ昼間は咲き続け、夜にはそっと閉じてしまうところも南国の花らしいところです。沖縄の街路樹や民家の生け垣でよく見かけるのは、丈夫な枝が防風に役立つからという理由もあるそうです。

生け垣の赤き花さく仏桑華昼ひそかなる部落を過ぎつ
  ~佐藤佐太郎(1909-1987)

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