万葉歳時記 一日一葉

「万葉集」から1300年の時を超えた現代短歌・俳句まで、
昔と今を結ぶ日本人のこころの歌を歳時記にしました。

熊本

#4748 風に舞うレジ袋たちこの先を僕は上手にいきられますか

令和7年10月5日(日) 【旧 8月14日 先負】 秋分・水始涸(みずはじめてかる)

葱長きビニール袋くもりけり
  ~長谷川櫂(1954-)『天球』

 以前は買い物をすると「ポリ袋」に入れてくれていましたが、今は呼称も変わって「レジ袋」と呼ばれるようになっています。日本では2020年7月に経産省の通達によりレジ袋の有料化が一般化されるようになりました。

251005_風に舞うレジ袋たちこの先を
Photo:Impress Watch

 そもそもは有料化される18年前、2002年の今日10月5日に日本チェーンストア協会がごみ減量のためにマイバックの持参を呼びかけるようになったのがきっかけだったそうで、今日は「レジ袋ゼロデー」とされています。レジ袋の過剰な消費から、繰り返し利用できる買い物袋の使用に切り替えることで、ごみの削減、二酸化炭素などの温室効果ガスの削減、レジ袋の原料となる原油の節約効果は実際に認められています。その一方でマイバッグを利用した万引き被害も増えたというのは小売店にとってはまた笑えない話でもあるようです。

風に舞うレジ袋たちこの先を僕は上手にいきられますか
  ~法橋ひらく(1982-)

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#4674 花ふかむ桐の木群のとのぐもりこもれる君が空もわかなく

令和7年7月23日(水) 【旧 6月29日 仏滅】 大暑・桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)

花ふかむ桐の木群のとのぐもりこもれる君が空もわかなく
  ~北原白秋(1885-1942)『桐の花』

 七十二候の第34候は「桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)」。二十四節気「大暑」の初候6日間(7月22日~27日)です。

250723_花ふかむ桐の木群のとのぐもり
Photo:桐の若い実 ~photoAC(ラスさん)

 桐の花の開花期は4月から5月にかけて。したがって、「花を結ぶ」というのは「花が実を結び始める」と言う意味。梢の高いところに花を咲かせるからでしょうか、花言葉は「高尚」。そういえば皇室も非公式に使う替紋には桐紋を使っています。桐紋は花と蕾の数で五七の桐(皇室、豊臣家、日本政府)、五三の桐(明治神宮)など、他にも多くの桐紋が存在します。500円玉の裏には桐紋をリアリティーに描き戻したデザインがありましたね。ただし、「桐の花」は夏の季語ですが「桐の実」は秋の季語。実が成って音がするくらいになるのはもう少しあとですね。

桐の実のいつせいに鳴る日まで待て
  ~鷹羽狩行(1930-2024)

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#4673 葉の細みそよぐ梢のさみしさよ大暑の照りは和ぎて明きに

令和7年7月22日(火) 【旧 6月28日 先負】 大暑・桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)

葉の細みそよぐ梢のさみしさよ大暑の照りは和ぎて明きに
  ~北原白秋(1885-1942)

250722_葉の細みそよぐ梢のさみしさよ
Photo:入道雲とキョウチクトウ ~ひろしまフォト歩き

 今日は二十四節気12番目の「大暑」。『暦便覧』には「暑気いたりつまりたるゆえんなればなり」と記されています。その前の「小暑」の間に梅雨が明け、すでに気温も上がり続けて真夏日や猛暑日が続きいています。白秋の短歌では大暑の日差しは少し和らいできたので細い葉が寂しくそよいでいる様子を詠んでいます。「大暑」の半月間を無事に過ごせば次は「立秋」です。もちろんすぐに涼しくなるわけではないでしょうが、それまではなんとか体調を崩さないように乗り切りましょう。

仏間より香のきこゆる大暑かな
  ~日野草城(1901-1956)

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#4655 ものおもふわかき男の息づかひそなたも知るやさるひあの花

令和7年7月14日(月) 【旧 6月20日 先勝】 小暑・「蓮始開(はすはじめてさく)」

ものおもふわかき男の息づかひそなたも知るやさるひあの花
  ~北原白秋(1885-1942)『桐の花』

250714_サルビアにおもふダンテの煉獄編
Photo:サルビア ~HORTI by Green Snap

 サルビアはシソ科の多年草で原産地はブラジル。和名に「緋衣草《ヒゴロモソウ》」とあるように真紅の花が特徴です。6月頃から花を咲かせ、花期は11月頃まで。俳句では夏の季語として扱われています。秋から冬頃まで咲いているため初秋の季語としている歳時記もあるようですが正解はどちらかわかりません。それだけ花期が長いということでしょう。ただ、この花の圧倒的な赤さから「燃える」イメージと重ねた俳句は多いようです。英名の "sage" とは賢人という意味なので、花言葉は「知恵」「尊敬」など。

サルビアにおもふダンテの煉獄編
  ~高澤良一(1940-)『素抱』

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#4636 米櫃に米のかすかに音するは白玉のごとはかなかりけり

令和7年6月15日(日) 【旧 5月20日 赤口】 芒種・「腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)」

米櫃に米のかすかに音するは白玉のごとはかなかりけり
  ~北原白秋(1885-1942)

 明治3年6月15日、戊辰戦争の一つである北越戦争に敗れて窮乏した長岡藩に、支藩である三根山藩から百俵の義援米が贈られてきました。しかし、藩の大参事であった小林虎三郎はそれを藩士に与えず、売却して国漢学校を設立する費用に当ててしまいました。虎三郎は大挙して抗議にやってきた藩士たちにこう語っています。

「百俵の米も、食えばたちまち無くなるが、教育にあてれば明日の一万、百万俵となる」

250615_米櫃に米のかすかに音するは
Photo:米百俵の群像(新潟県長岡市) ~長岡市米百俵財団

 いわゆる「米百俵」の故事です。2001年当時の小泉純一郎総理が所信表明演説で引用したことで一躍有名になり、この年の流行語大賞にも選ばれています。さて「令和の米騒動」とも呼ばれる火中の栗を拾った現在の農水大臣は御子息の小泉進次郎氏。備蓄米の解放がどれだけの効果をもたらすものか、じっくりお手並みを拝見いたしましょう。

選挙近し新米古米まぜて炊く
  ~大元祐子 『人と生まれて』

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