万葉歳時記 一日一葉

「万葉集」から1300年の時を超えた現代短歌・俳句まで、
昔と今を結ぶ日本人のこころの歌を歳時記にしました。

秋田

#4888 ほの暗き苞のうちなる座禅草の花は俗世にとおきしずかさ

令和8年2月21日(土) 【旧 1月5日 大安】 雨水・土脉潤起

ほの暗き苞のうちなる座禅草の花は俗世にとおきしずかさ
  ~佐藤ヨリ子(1933-)

260221_ほの暗き苞のうちなる座禅草の
Photo:雪を融かして開花したザゼンソウの花 ~PhotoAC(Mトトロさん)

 先日、テレビのローカルニュースを見て初めて知ったのがこの「座禅草《ザゼンソウ》」というサトイモ科の多年草。名前の通り、仏像の光背に似た紫色の葉の重なり(仏炎苞)に包まれた形が座禅を組む僧侶の姿に似ています。別名「達磨草《ダルマソウ》」というのも、花を達磨大師の座禅する姿に見立てた名称でしょう。開花時には25℃くらいまで発熱し、周りの雪を解かして顔を出します。この時に放つ悪臭で蝿をおびき寄せて花粉を媒介させるそうです。よって、仏様とは無縁の英語圏での呼び名は「スカンクキャベツ(Skanku Cabbage)」。開花期は1月から3月。花言葉は「沈黙の愛」だそうです。

座禅草をんなの息に堪へてをり
  ~藤田湘子(1926-2005)『てんてん』

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#4879 戦争を始めた人が飼っているおれの故郷のうつくしい犬

令和8年2月12日(木) 【旧 12月25日 赤口】 立春・黄鶯睍睆

戦争を始めた人が飼っているおれの故郷のうつくしい犬
  ~神丘風(1990-)

 神丘風氏は秋田県出身の歌人。したがってこの「うつくしい犬」とは秋田犬であり、それを飼っている「戦争を始めた人」とはロシアのプーチン大統領のこと。2012年に東日本大震災に対する被災地支援へのお礼として秋田県がプーチン大統領に雌の秋田犬「ゆめ」を贈りました。そしてロシアのウクライナ侵攻が始まったのはそれから10年後の2022年2月。この戦争はまもなく4年を経過して未だに終わりそうな気配がありません。

260212_戦争を始めた人が飼っている
Photo:秋田犬「ゆめ」(手前)と戯れるプーチン大統領(2013年4月) ~AFP NN News

 昨年の今日(2025年2月12日)にはプーチン大統領とアメリカのトランプ大統領がこの戦争が始まって以来初めての首脳会議を行っています。およそ1時間半にわたる電話によるもので、トランプ大統領は意義のあるものと自負しましたがウクライナ抜きの合意をゼレンスキー大統領が受け入れるわけもなく、今もって両国民の殺戮合戦が続いていることは周知の通り。昨年の1月、ロシア大統領府は「ゆめ」が健在であると伝えていますが、露宇両国の人たちはどれだけ命を落としていることやら。

春の日に
家なき友の
花語り

  ~アンナ・ビズミチノバ『俳句が伝える戦時下のウクライナ』

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#4861 寒中の氷結もまた人をとめ結びの妙の縁あるらむ

令和8年1月25日(日) 【旧 12月7日 赤口】 大寒・水沢腹堅

寒中の氷結もまた人をとめ結びの妙の縁《えにし》あるらむ
  ~稲美里佳

 稲美里佳さんは秋田県在住の歌人。秋田国際俳句川柳短歌会の会員でもあり、この短歌は英語でも詠まれています。

in deep winter
freezing also makes
me stop
it may have
the ethereal knot of fate

260125_寒中の氷結もまた人をとめ
Photo:奥日光・華厳の滝 ~photoAC(スプププさん)

 二十四節気「大寒」の次候は七十二候の第71候「水沢腹堅(さわみずこおりつめる)」。沢に氷が厚く張りつめる頃。
「沢」を『大辞林』で引くと2つの意味がありました。
 ① 山あいの谷川。源流に近い流れ
 ② 水が浅くたまり、葦・荻などの草の茂っているところ。
 どちらかと言うと、①の沢が凍りつめるほうがより寒そうに感じますね。奥日光の華厳の滝のように大きな滝が氷結するには水量にもより-10℃~ー30℃くらいになってからだそうです。

滝壺のつらら八寒地獄之図
  ~川端茅舎(1897-1941)

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#4829 みづからを溶かして燃ゆるキャンドルのいつぽんづつのやさしいほのほ

令和7年12月25日(木) 【旧 11月6日 仏滅】 冬至・乃東生(なつかれくさしょうず)

胡桃など割つてひとりゐクリスマス
  ~山口青邨(1892-1988)

251225_みづからを溶かして燃ゆるキャンドルの
Photo:クリスマスケーキとキャンドル ~photoAC(kaohjpさん)

 今日はクリスマス。だけど毎年この日に思うのはちょうど1週間後には新しい年のお正月になってしまうこと。令和7年は今日を含めて後7日で終わり、もう二度と戻ってこない時間が過ぎていきます。キリスト教徒ではないけれど、そんな事を思いながらフライドチキンやケーキを食べながら、キャンドルに火をともして来年もいい年を迎えることができるようにと星に願いを。

みづからを溶かして燃ゆるキャンドルのいつぽんづつのやさしいほのほ
  ~富樫由美子(1976-)

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#4818 われなくも必ず捜せ南極の地中の宝世にいだすまで

令和7年12月14日(日) 【旧 10月25日 仏滅】 大雪・熊蟄穴(くまあなにこもる)

われなくも必ず捜せ南極の地中の宝世にいだすまで
  ~白瀬矗 (1861-1946) 辞世

 1911年のこの日、ノルウェーの探検家アムンセンと4人の隊員が南極点に達したことから今日は「南極の日」とされています。一方、日本人の南極探検の先駆者といえば冒頭の辞世を詠んで85年の生涯を終えた白瀬矗《しらせのぶ》。一般に「白瀬中尉」と呼ばれることのほうが多い陸軍軍人です。

251214_われなくも必ず捜せ南極の
Photo:白瀬中尉の記念切手と南極観測船しらせ

  アムンセンに遅れること1ヶ月、白瀬中尉も1912年1月に南極大陸に上陸し、28頭の牽く犬ぞりで南極点に向かって走行しましたが、氷点下20℃の厳しい寒気とブリザードのために9日目、走行距離282kmの地点で断念しました。しかしここで見渡せる地域を「大和雪原(やまとゆきはら)」と命名し、日本領土とすることを宣言しています。余談ですが、日本海軍及び海上自衛隊の艦船に人名を冠することは忌避されているため、現在の南極観測船「しらせ」は白瀬中尉ではなく、白瀬中尉を記念した地名である「白瀬氷河」を由来としています。

ペンギンと共に師走を肱二つ
  ~ドゥーグル・J・リンズィー(1971-)

 Dhugal J. Lindsayはオーストラリアの海洋生物学者で俳人。肱をつきながら野生のペンギンを観察していたのでしょうね。

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