18日、北アイルランドで開かれていたG8(主要国首脳会議)が閉会しました。翌19日には中国と北朝鮮の間で戦略会議が行われています。G8では今まで影の薄かった日本も、アベノミクスで名を売ったこともあって、我が国の世界経済への影響力の大きさをアピールできたようですが、一方で北朝鮮をはじめ近隣諸国間に山積する問題にこれからどのように対峙してゆくのかが注目されるところです。今日の万葉歌は奈良時代、一人の外交官への餞別のために贈られた大伴家持の歌です。

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Photo: 遣唐使船 (新羅、渤海への航海も同様の船が使われたものと思われます)

青海原 風波なびき 行くさ来《く》さ 
障《つつ》むことなく 船は早けむ

  ~大伴家持 『万葉集』 巻20-4514

青い海原は風も波も穏やかで、行きも還りも
差し障りなく 船は早く進むことでしょう

 757(天平宝字1)年、小野田守《おののたもり》という人が、遣渤海使に任命されました。渤海(ぼっかい)は7世紀末、新羅の北方、現在の北朝鮮北部から満州、ロシア沿岸にかけて版図を広げた新興国でした。渤海との交易には唐や新羅に対する牽制の意味がありました。遠交近攻は外交の常ですね。当時の船で日本海を渡るのは命がけなので、往復の無事を祈った歌ですが、その甲斐あってか、続日本記の記事によると、小野田守は翌年、渤海の国使、楊承慶ら23人を連れて無事帰国しています。この時、唐で安禄山の反乱が起こったことを報告、唐王が渤海に宛てた勅書を入手するなどしたのを受けて、朝廷は大宰府に対し、事変に備えるよう命じています。また彼が、遣新羅使を務めた折には、新羅が外交上の礼を欠いたとして、使者の任務を執行しないで帰国したとも記されています。今の日本にも、これくらい気骨のある駆け引きができる外交官や政治家がいてほしいものですね。

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