万葉歳時記 一日一葉

「万葉集」から1300年の時を超えた現代短歌・俳句まで、
昔と今を結ぶ日本人のこころの歌を歳時記にしました。

#4856 父母と今朝もたばしる白玉の霰のさやぎ見るが幽けさ

令和8年1月20日(火) 【旧 12月2日 先勝】 大寒・款冬華

闇の中今日大寒とだれか言う
  ~宇多喜代子(1935-)『象』

 今日はこの句のとおり、ほぼ新月の闇の中で二十四節気の24番目「大寒」を迎えました。

260120_闇の中今日大寒とだれか言う
Photo:AllAbout 暮らし

 昨日の大阪は予想外に3月並みの陽気でしたが、今日は一転して真冬の寒さに戻りそうです。そもそも「大寒」は一年を通して最も寒さが厳しくなる時季。『暦便覧』に「冷ゆることの至りて甚だしきときなれば也」とあるように、ここが寒さの底ということで、この半月が終わると二十四節気も振り出しに戻って「立春」になります。あとしばらくは寒さに耐えて身体をこわさないようにしなければと思う今日このごろです。

父母と今朝もたばしる白玉の霰のさやぎ見るが幽けさ
  ~北原白秋(1885-1942)『雀の卵』

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#4668 あられふる交野の御野の狩ころもぬれぬ宿かす人しなければ

令和7年7月17日(木) 【旧 6月23日 仏滅】 小暑・鷹乃学習(たかすなわちわざをなす)

鷹狩をよめる
あられふる交野の御野の狩ころもぬれぬ宿かす人しなければ
  ~藤原長能(949-1009?)『詞花和歌集』 巻4-0152 冬歌

霰が降る交野《かたの》の御領地で狩人の衣は濡れてしまった。濡れぬように雨宿りをさせてくれる人がいなかったので。

 交野《かたの》は現在の大阪府交野市。皇室の御領で、古来狩猟地とされていました。この歌には多くの技巧が凝らされています。「御野」は箕、「狩ころも」は借り衣との掛詞になっています。そして「ぬれぬ」は「狩衣ぬれぬ」で狩衣が濡れたという完了の助動詞と、「ぬれぬ宿」という打ち消しの助動詞の両使いがなされているのです。

250717_あられふる交野の御野の狩ころ
Photo:尾白鷹 ~季語とこよみ

 さて、今日は七十二候の第33候「鷹乃学習(たかすなわちわざをなす)」。二十四節気「小暑」の末候にあたります。鷹狩は冬の風物詩とされていて、俳句でも鷹は冬の季語として扱われます。しかし、その鷹の幼鳥が飛ぶことを覚え始めるのは夏。半年を掛けて立派なハンターに育てるのですね。そんな夏の鷹を詠んだ俳句がありました。

目つむりていても吾《あ》を統《す》ぶ五月の鷹
  ~寺山修司(1935-1983)

 この句に対する俳人藤嶋務氏の評を引用しまておきます。
「五月のエネルギーが、羽ばたけ、羽ばたけと青年の心を揺さぶる。飽きずに眺める大空には舞う鷹、目をつむっても残像が舞っている。今この新緑の中に何かに魅せられた様に多くの青年達が旅立ってゆく。青年修司は二十歳で俳句を断ち別の思念へと旅立って行った」~「俳句」(2015年5月号)所載。(藤嶋務)

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#4130 竹の葉にあられ降るなりさらさらに独りは寝ぬべき心地こそせね

令和6年1月27日(土) 【旧 一二月一七日 仏滅】・大寒 水沢腹堅(さわみずこおりつめる)

手枕の夢にふりこむ霰かな
  ~二葉亭四迷(1864-1909)

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Photo:霰が降った時の瓦 ~photoAC(あみん30さん)

 二葉亭四迷の本名は長谷川辰之助。国語の授業では言文一致体の小説『浮雲』を世に出したことを習いましたが、読んでないのでペンネームが「くたばって仕舞《しめ》え」から来ているということだけが頭に残っております。さて、俳句にある霰《あられ》の話。霰には雪霰と氷霰に分けられ、天気予報では雪霰は「雪」氷霰は「雨」と予報されるそうです。ただし観測された場合は単なる「霰」。ちょっとややこしいですね。短歌や俳句でもよく取り上げられますが、木々の葉に降り注ぐ音が詠まれることが多いようです。

竹の葉にあられ降るなりさらさらに独りは寝ぬべき心地こそせね
  ~和泉式部(978?-?)『和泉式部続集』

竹の葉に霰が降り、さらさらと音が聞こえて一人では寝る気にはなれません。

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#3770 萌野ゆきむらさき野ゆく行人に霰ふるなりきさらぎの春

令和5年2月1日(水) 【旧 一月十一日 大安】・大寒・鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)

萌野ゆきむらさき野ゆく行人《かうじん》に霰ふるなりきさらぎの春
  ~与謝野晶子(1878-1942)『舞姫』

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 今日から二月。報道では「十年に一度」と言われる寒気が続いているので、「きさらぎの春」と言ってもピンとこないかもしれません。今日は少し寒さが和らぎそうですが、暦の上で最も寒い日は二十四節気でいうところの「大寒」ではなく「立春」です。仮に暦上の気温を折れ線グラフにすると「立春」を起点にして気温が上がっていくというわけですから、その日が寒さの底と言うことですね。春の気配にふれることができるまで、あと少し待ちましょうか。

湯上りに髪解き放ち如月の春の気配に身をゆだねたり
  ~松田和生 「第43回全日本短歌大会(令和4年)」 優良賞

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#3040 萌野ゆきむらさき野ゆく行人に ・・・他一首

令和3年2月1日(月) 【旧 十二月二十日 先勝】・大寒・鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)

萌野ゆきむらさき野ゆく行人に霰ふるなりきさらぎの春
  ~与謝野晶子 『舞姫』

210201_萌野ゆきむらさき野ゆく行人に

 月末、お月さまが新月に向かって籠もっていく「つきごもり」から「つごもり(晦)」となり、明けるとこれから月が立ってゆく「つきたち」が転じて「ついたち(朔)」になったといいます。新しい年に変わってから今日で早一ヶ月がすぎました。さて心配なのは東京オリンピック。やるかやらぬか、いや、出来るか出来ぬか何やら非公式情報ばかりが独り歩きしているようですが、決断しなければならない時は刻々と迫っています。

悲しみて二月の海に來て見れば浪うち際を犬の歩ける
  ~萩原朔太郎 『短歌』

 詩人、萩原朔太郎(1886-1942)の「朔」の字も、彼が(11月の)一日生まれであることから名付けられたそうです。

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