万葉歳時記 一日一葉

「万葉集」から1300年の時を超えた現代短歌・俳句まで、
昔と今を結ぶ日本人のこころの歌を歳時記にしました。

音楽

#4589 割烹着も見えて昭和の迎へ傘かかる小景を呼びやまず歌は

令和7年4月29日(火) 【旧 4月2日 大安】 穀雨・「霜止出苗(しもやんでなえいずる)」

割烹着も見えて昭和の迎へ傘かかる小景を呼びやまず歌は
  ~島田修造(1950-)

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Photo:昭和32(1957)年春、新宿駅前の風景 ~新宿歴史博物館

 ゴールデンウイーク最初の祝日は「昭和の日」。2007年に施行された改正祝日法で新設された祝日で、その趣旨は「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」とされています。20世紀の大半を占める「昭和」は世界でも最長の元号であり、それ故に前期、中期、後期それぞれに国家や国民の生活を含めた社会の様相が著しい変化を遂げた時代でもありました。戦前、戦中、戦後という世代の分け方があるのも昭和ならではですね。

おもかげに荒草まじる昭和かな
  ~永末恵子(1954-2016)

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#4497 考古学専攻生の着メロのインディー・ジョーンズが響くトレンチ

令和7年1月26日(日) 【旧 一二月二七日 友引】 大寒・水沢腹堅(さわみずこおりつめる)

接吻もて映画は閉ぢぬ咳満ち満つ
  ~石田波郷(1913-1969)

 この俳句で思い出したのはジョゼッペ・トルナトーレ監督の『ニュー・シネマ・パラダイス』。しかしこの映画は1988年公開なので69年に亡くなった石田波郷が観ているはずはありません。彼が観た映画が何だったのか少し気になります。ということで、一昨日(1月24日)、大阪フィルハーモニー交響楽団の第584回定期演奏会「ジョン・ウイリアムズ プログラム」に行ってきたので、今日は映画音楽のお話。

250126_接吻もて映画は閉ぢぬ咳満ち満つ

 この日のプログラムの前半はジョン・ウイリアムズの純クラシック作品。チューバの協奏曲は新鮮でした。そして後半は映画音楽。十数年間大フィルの演奏会に通い続けていますが、「定期演奏会」で映画音楽というのも、指揮者のスラットキンがマイクを持って解説を入れるというのも初体験。音楽でかつて観たいろんな映像が蘇るというのは当然のことですが、スラットキン曰く、観たことのない映画でもジョン・ウイリアムズの音楽を聞くと内容が想像できるというのは確かに至言です。アンコールには「帝国のマーチ」(ダースベーダーのテーマ)のおまけ付き。大入り満員で盛り上がった楽しい演奏会でした。

考古学専攻生の着メロのインディー・ジョーンズが響くトレンチ
  ~麻倉遥 「サ・ン・バ」第68回角川短歌賞 佳作作品より

Youtube:レイダース・マーチ


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#4487 尖塔の長き影延ぶ石畳聖歌漏れ出ず大聖堂より

令和7年1月16日(木) 【旧 一二月一七日 仏滅】 小寒・雉始鳴(きじはじめてなく)

聖イシュトヴァーン大聖堂
尖塔の長き影延ぶ石畳聖歌漏れ出ず大聖堂より
  ~林龍三(1月7日)

250116_聖イシュトヴァーン大聖堂
Photo:聖イシュトバーン大聖堂

 ハンガリーの首都ブダペスト。ここにはマーチャーシュ教会と聖イシュトヴァーン大聖堂という世界遺産の宗教建築があります。ヨーロッパのいわゆる大聖堂と呼ばれる建物に入ると間違いなくその華麗さ、あるいはこれでもかというような荘厳さに圧倒されるのです。10年ほど前にバチカンのサン・ピエトロ大聖堂を訪れたときに初めて経験したあの感情です。日本の伊勢や橿原の神宮、あるいは東大寺や東寺のような大寺院を訪れた時の、包みこんでくれるような静けさとはまた違う緊張感を伴うのです。ローマ・カトリック教会で歌われるグレゴリオ聖歌を聞けば、聖堂の中に足を踏み入れた感覚が味わえるかもしれません。

聖堂に嚏《はな》ひしひとや出で来る
  ~山口誓子(1901-1994)

250116_聖イシュトヴァーン大聖堂2
Photo:聖イシュトバーン大聖堂

Youtube:グレゴリオ聖歌: アレルヤ唱 - 神聖な教会にて



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#4473 残雪をワルツのリズムで踏み分ける彼女のスカート春風を呼ぶ

令和7年1月2日(木) 【旧 一二月三日 友引】 冬至・「雪下出麦(ゆきわたりてむぎのびる)」

残雪をワルツのリズムで踏み分ける彼女のスカート春風を呼ぶ
  ~松田和生 「2024年 第45回全日本短歌大会」秀作賞

 今年はワルツ王ヨハン・シュトラウス2世(1825-1899)の生誕200年目に当たります。元日には90以上の世界の国々に向けてライブ中継されたウイーン・フィルのニューイヤー・コンサートがありました。

250102_ヨハンシュトラウスのワルツにあはせ団扇ふる
Photo:ウイーン楽友協会大ホール ~ONTOMO

 ところで、「ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団」とは「ウイーン国立歌劇場管弦楽団」の一部なのをご存知ですか。ウイーンフィルは歌劇以外の演奏会のために特別に構成された楽団なのです。更にニューイヤーコンサートの演奏者は毎年その中から選ばれています。そして今年のマエストロはイタリア出身のリッカルド・ムーティ。シカゴ交響楽団の名誉指揮者であり、ウイーンフィルの名誉団員でもあります。ちなみに昨年亡くなった我らが小澤征爾も名誉団員に名を連ねている一人です。でもコンサートの主役はやはりヨハン・シュトラウス1世、2世とヨーゼフ、エドワルドのシュトラウス一家。そしてその時代のワルツやポルカですね。

ヨハンシュトラウスのワルツにあはせ団扇ふる
  ~大類つとむ

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#4445 モーツァルトを聴く部屋の椅子 いつか死ぬ者として在るこの世の隅に

令和6年12月5日(木) 【旧 一一月五日 先負】 小雪・「橘始黄(たちばなはじめてきばむ)」

冷やかにモーツァルトのト短調
  ~稲畑廣太郎(1957-)

241205_モーツァルトを聴く部屋の椅子

 12月5日。今年もW.A.モーツァルト(1756-1791)の命日にちなんだ俳句と短歌を探してきました。「モーツァルトのト短調」と聞いてすぐに、ああ、あの曲だなと分かる人はかなりの通ですね。それがこちらの曲。

Youtube:モーツァルト交響曲第40番ト短調 K550(第1楽章)


 もう一つ有名なト短調があって、これは交響曲第25番ト短調 K.183。こちらは「小ト短調」とも呼ばれています。どちらも名曲であることはもちろんですが、全部で41曲ある彼の交響曲のうち短調で書かれているのはこの2曲だけということも、こんな愛称で呼ばれるようになった理由なのかもしれません。2曲とも出だしを聞けば誰でも一度は耳にしたことがあると思います。

モーツァルトを聴く部屋の椅子 いつか死ぬ者として在るこの世の隅に
  ~中山明(1959-)『ラスト・トレイン』

Youtube:モーツァルト交響曲第25番ト短調 K.183 (第1楽章)


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