万葉歳時記 一日一葉

「万葉集」から1300年の時を超えた現代短歌・俳句まで、
昔と今を結ぶ日本人のこころの歌を歳時記にしました。

音楽

#4833 よしさらば幾への山もわれゆかむ 心ひとつにしるべせよ君

令和7年12月29日(月) 【旧 11月10日 友引】 冬至・麋角解(おおしかのつのおつる)

赤蜻蛉とまつてゐるよ竿の先
  ~三木操(1889-1964)

 三木操《みさお》は作詞家三木露風の本名。12歳のときに詠んだというこの俳句をそのまま童謡「赤とんぼ」4番の歌詞にしています。そしてこれに曲を付けたのは山田耕筰でした。

251229_よしさらば幾への山もわれゆかむ
Photo:山田耕筰 ~DIAMOND online

 今日は日本を代表する作曲家山田耕筰が80年の生涯を閉じた日です。山田耕筰は三木露風だけでなく、「この道」や「からたちの花」など北原白秋の詩に曲を付けた童謡や唱歌を多く残しています。彼は作曲家であって、自身で俳句を詠んだり作詞をしたりすることはありませんでしたが、楽曲の楽想源泉として短歌を詠むことはあったのです。1917年に作曲したピアノ曲「ただ流れよ (ABANDONNEZ-VOUS A LA FORTUNE)」の楽想の源泉としてプログラムノートに記されていた短歌がこちらです。

よしさらば幾への山もわれゆかむ
心ひとつにしるべせよ君

  ~山田耕筰(1886-1965)


Youtube:ただ流れよ (ABANDONNEZ-VOUS A LA FORTUNE) 2’37”

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#4812 オーロラの凝る大地にシベリウスの転調のごと芬蘭国成る

令和7年12月8日(月) 【旧 10月19日 仏滅】 大雪・閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)

火のカンナ火のシベリウス断続す
  ~加藤秋邨(1905-1993)『怒濤』

 フィンランド第二の国歌と言われる『フィンランディア』を作曲したジャン・シベリウスが生まれたのは1865年12月8日。今日が生誕160年に当たります。

251208_火のカンナ火のシベリウス断続す
Photo:Jean Sibelius(1865-1957)

 7つの交響曲やヴァイオリン協奏曲の他、「カレリア組曲」「タピオラ」「レンミンカイネン組曲」など国民的題材を元にした作品が多く、フィンランドが帝政ロシアからの独立を目指す最中、音楽を通じて国民意識を高めた偉大な作曲家であると認められています。2002年にユーロが導入されるまでは100マルッカ紙幣にはシベリウスの肖像が描かれていたほどで、現在でも12月8日は「フィンランド音楽の日」として祝っています。

オーロラの凝る大地にシベリウスの転調のごと芬蘭国《フィンランド》成る
  ~林龍三(1952-)


Youtube:シベリウス『カレリア組曲』からⅢ .行進曲風に(4’33”)

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#4811 雪のみや降りぬとは思ふ山里にわれも多くの年ぞ積もれる

令和7年12月7日(日) 【旧 10月18日 先負】 大雪・閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)

雪のみや降りぬとは思ふ山里にわれも多くの年ぞ積もれる
  ~紀貫之(872-945)『新古今和歌集』 巻6-0676 冬歌

雪だけが降ったと思っていたが、山里に埋もれた私も多くの年を積もらせてきたものだ。

251207_雪のみや降りぬとは思ふ山里に
Photo:Adobe Stock

 二十四節気の21番目は「大雪《たいせつ》」。雪が激しく降り始める頃で、『暦便覧』では「雪いよいよ降り重ねる折からなれば也」と説明しています。また、期間としての大雪は次の「冬至」までの半月間でそれを三等分した最初の5日間は七十二候の第61候「閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)」。天地の気が塞がって本格的に冬になり、今年も残すところあと僅かと実感し始める頃ですね。

ヴィヴァルディ「四季」の大トリ雪荒ぶ
  ~林龍三(1952-)


Youtube:ヴィヴァルディ協奏曲集『四季』から冬の第3楽章(3’19”)

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#4798 潮騒に伊良虞の島辺漕ぐ舟に妹乗るらむか荒き島廻を

令和7年11月24日(月) 【旧 10月5日 友引】 小雪・虹蔵不見(にじかくれてみえず)

ダフニスとクロエのかける夏野かな
  ~山田禮子 「遠嶺」 2001年10月

 シャルル・デュトワの指揮による一昨日土曜日の大阪フィル定期演奏会、後半のプログラムは『ダフニスとクロエ』でした。原典は紀元2世紀のギリシャの詩人ロンゴスの著した散文作品。山羊飼いの少年ダフニスと羊飼いの少女クロエの苦難に打ち勝った純愛の物語をフランスの作曲家モーリス・ラヴェルがバレエ音楽にしています。三島由紀夫もこの物語を知って、そのプロットを活かした文芸作品を書き上げました。

251124_ダフニスとクロエのかける夏野かな

 『ダフニスとクロエ』の舞台はエーゲ海に浮かぶレスボス島でしたが、三島は舞台を設定するに当たって『万葉集』の中の一首に着目したのです。

潮騒に伊良虞《いらご》の島辺漕ぐ舟に妹乗るらむか荒き島廻《しまみ》を
  ~柿本人麻呂(662-710)『万葉集』 巻1-0042 雑歌

潮流がざわめく今ごろ、伊良虞の島のあたりを漕ぐ舟に、愛しい人も乗っているのだろうか、あの波の荒い島のまわりを。

 人麻呂の歌にある「伊良虞の島」について、直接水産庁にまで問い合わせて見つけたのが三重県鳥羽市の歌島(神島の古名)でした。そして主人公の山羊飼いと羊飼いは若く純朴な漁夫と海女に置きかえられました。日本的風景の中に溶け込んだ純愛小説『潮騒』は世界中で翻訳され、アメリカではベストセラーになりました。そして日本では映画化だけでも5度、テレビやラジオ、舞台などでも数限りなく脚本化されています。

251124_潮騒に伊良虞《いらご》の島辺 漕ぐ舟に

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#4768 涙よりウインナワルツを流しをけ我が臨終の枕の辺には

令和7年10月25日(土) 【旧 9月5日 先勝】 霜降・霜始降(しもはじめてふる)

ヨハンシュトラウスのワルツにあはせ団扇ふる
  ~大類つとむ

 今日はヨハン・シュトラウス2世(1825-1899)の生誕200年にあたります。毎年のお正月にウイーン楽友協会で行われている行われるニューイヤーコンサートはご存知の通りヨハン・シュトラウスの一家とその時代に活躍した作曲家にまつわる音楽がプログラムされています。

251025_ヨハンシュトラウスのワルツにあはせ団扇ふる
Photo:ウイーン市立公園にて(2025年1月6日)

 私の好きな作曲家を挙げればバッハやベートーヴェン、ブラームスなど、傍目には比較的お硬いドイツ系の音楽を並べてしまうし、その中でもどちらかと言うと短調の曲に惹かれます。しかし、音楽は文字通りに楽しくなければいけません。その意味ではマーチやポルカ、ギャロップ、それにワルツが楽しい系の音楽。人生の最後に何を食べたいかと聞かれたら、特上のステーキより、永谷園のお茶漬けだと思う私が、人生の一番最後に聞きたい音楽はマタイ受難曲や第九ではなく、間違いなくシュトラウスのワルツを選びます。

涙よりウインナワルツを流しをけ我が臨終の枕の辺には
  ~林龍三(1952-)

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