万葉歳時記 一日一葉

「万葉集」から1300年の時を超えた現代短歌・俳句まで、
昔と今を結ぶ日本人のこころの歌を歳時記にしました。

#4807 ゆふされば大根の葉にふる時雨いたく寂しく降りにけるかも

令和7年12月3日(水) 【旧 10月14日 大安】 小雪・橘始黄(たちばなはじめてきばむ)

流れ行く大根の葉の早さかな
  ~高浜虚子(1874-1959)

 大根の旬は寒い冬の季節。アブラナ科の植物で実は地中海・中東地方が原産だそうです。弥生時代には既に日本でも栽培されていて地下に伸びた根を食用にしていました。春の七草の一つ「すずしろ」は大根のこと。花を咲かせるのは3月から5月頃です。

251203_ゆふされば大根の葉にふる時雨
Photo:大衆道楽割烹三代目あかつ

 食用としては春大根、夏大根もあって一年中いただくことができますが、春夏の大根は辛味が強くなります。代表的な青首大根の旬は冬。冬の大根は寒さに耐えるために甘みが増してきます。そのうえ、大根にふくまれるビタミンCは免疫機能の維持に欠かせない役割があるので風邪の予防にもぴったりです。おでんやぶり大根などしっかりと出汁が染み込んだ大根の味は絶品ですね。ちなみに葉に近い部分が最も甘く、尻尾のほうが辛味が強くなります。

ゆふされば大根の葉にふる時雨いたく寂しく降りにけるかも
  ~斎藤茂吉(1882-1953)

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#4806 街をゆき子供の傍を通るとき蜜柑の香せり冬がまた来る

令和7年12月2日(火) 【旧 10月13日 仏滅】 小雪・橘始黄(たちばなはじめてきばむ)

やぶさめや橘青き実をつけて
  ~細見綾子(1907-1997)『曼荼羅』

 今日は七十二候の第60候「橘始黄(たちばなはじめてきばむ」。橘の青い実が黄色くなる頃。二十四節気「小雪」の末候5日間にあたります。


 和歌や俳句の中で橘が取り上げられる場合は夏の季語でもある「花橘」、すなわち実より花のほうを詠まれることが圧倒的に多いようです。橘とは柑橘類の総称として使われており、黄金に輝く橘の実は不老不死の理想郷を指す「常世」の象徴と考えられていました。いまの蜜柑のように秋から冬にかけて食することのできる果物という一般の生活に近しい存在ではなかったのかもしれません。

街をゆき子供の傍を通るとき蜜柑の香せり冬がまた来る
  ~木下利玄(1886-1925)『紅玉』

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#4799 草むらにまろべる胡桃の黒き実を一人の青年が跨ぎてゆけり

令和7年11月25日(火) 【旧 10月6日 先負】 小雪・虹蔵不見(にじかくれてみえず)

草むらにまろべる胡桃の黒き実を一人の青年が跨ぎてゆけり
  ~山崎方代(1914-1985)『方代』

251125_胡桃踏んでしばし足裏いきいきす
Photo:認知症予防コラム

 クルミの花は5月から6月頃にかけて開花し、食材としてのクルミが採れるのは10月から12月。日本では縄文時代の遺跡にもクルミの実が発見されていることから、相当古い時代から食材に利用されていたことが確認されています。また平城京から出土した木簡にクルミが献上されていることが記されています。そして、クルミには認知機能の低下を予防するオメガ3脂肪酸、ポリフェノール、メラトニンなどの抗酸化物質などの栄養素が豊富に含まれているとか。殻を割って食べるのが面倒な人には健康に良いこんな利用方法もありました。認知症の予防になるかどうかは存じませんが。

胡桃踏んでしばし足裏いきいきす
  ~加藤秋邨(1905-1993)

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#4794 注文した通りのピッツァが届くだろう悪役が死をたまはる頃に

令和7年11月20日(木) 【旧 10月1日 仏滅】 立冬・金盞香(きんせんかさく)

トマト好き故にピザ好き紅茶好き
  ~高澤良一(1940-) 『素抱』

 トマトソースの上にモッツァレラチーズとバジルの葉を載せたのがナポリピッツァの代表的メニュー pizza Margherita。ピザではなくてピッツァ・マルゲリータと言わないと語呂がしっくりこないので、ピザ or ピッツァ論争はピッツァの勝ちかもしれません。

251120_トマト好き故にピザ好き紅茶好き
Photo:pizza Margherita ~The CHEF'S BANK

 マルゲリータというのはイタリア王妃の名前に由来するもので、バジルの緑・モッツァレラチーズの白・トマトソースの赤がイタリア国旗の三色と同じであるとして、王妃が大変気に入ったそうです。なんだか日の丸弁当みたいなお話ですね。その王妃マルゲリータ・ディ・サヴォイア=ジェノヴァの誕生日が11月20日であったことから今日はピザの日だとか。宅配ピザが届くまでサスペンスドラマでも見ながら待っていましょうか。

注文した通りのピッツァが届くだろう悪役が死をたまはる頃に
  ~魚沼晋太郎

251120_注文した通りのピッツァが届くだろう
Photo:Margherita Maria Teresa Giovanna di Savoia(1851-1926)

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#4792 掘りあげた芋の重さに比例する歓声あがる空まであがる

令和7年11月18日(火) 【旧 9月29日 先勝】 立冬・金盞香(きんせんかさく)

焼芋の固きをつつく火箸かな
  ~室生犀星(1889-1962)

 さつまいもはヒルガオ科サツマイモ属の多年生植物で原産地は中南米だそうです。中国名である「甘藷《かんしょ》」とも呼ばれ、あるいは「唐芋」という別名もあることからも、おそらく中国経由で渡来したのでしょう。

251118_焼芋の固きをつつく火箸かな
Photo:ZOJIRUSHI 暮らしのかくし味

 享保の大飢饉では薩摩で栽培されていた甘藷が多くの人々を救ったということもあり、青木昆陽が徳川吉宗に上申し、小石川薬園で本格的に栽培されるようになりました。この時はあくまで災害や飢饉に備えた救荒食としての栽培でしたが、今では秋の味覚として欠かすことのできない食材となっています。サツマイモご飯やおかずの煮物としてだけでなく焼くだけでもスイーツになることから、この時期の幼稚園でも「芋掘り体験」が盛んに行われています。先日も孫がでかいのを持って帰ってくれました。

掘りあげた芋の重さに比例する歓声あがる空まであがる
  ~栗山由利 「南の魚座 福岡短歌日乗」

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