rhidetoのblog

数学に現れる定義,定理,証明を理解するために,これまでいろいろと考えてきたことを主に書いていこうと思います。「数学を絵で理解しよう」

2013年02月

例4. 収束の証明の例

まず,数学を理解することについてを読んでください。以下もその例です。

収束の定義を絵で見ることができるようになったところで,収束に関する命題の証明を絵で考える例を示します。

命題.数列 $(a_n)_{n \ge 1}, (b_n)_{n \ge 1}$ がそれぞれ $a, b$ に収束すれば,数列 $(a_n + b_n)_{n \ge 1}$ は $a+b$ に収束する。

記号で書くと,$\displaystyle\lim_{n \to \infty} (a_n + b_n) = \lim_{n \to \infty} a_n +\displaystyle \lim_{n \to \infty} b_n$.
絵で表すと(いつものように動画としてみてください):
(1) (任意の $\varepsilon_1 > 0$ に対してある番号 $N_1$ がとれて [この部分は動画の出現順序で表されます])
収束の証明の例2-ep1
(2) (任意の $\varepsilon_2 > 0$ に対してある番号 $N_2$ がとれて)
収束の証明の例3-ep2

以上が成り立つならば,
(3)  (任意の $\varepsilon > 0$ に対してある番号 $N$ がとれて)
収束の証明の例7'
注意.上で,$\varepsilon_1, \varepsilon_2, \varepsilon$ の間には何の関係もないので,異なる記号を用いました。

証明の計画.  $\varepsilon$ を任意の正の実数とします。
収束の証明の例1
目指すのは,
収束の証明の例7'
となるような番号 $N$ を見つけることです。

試行.
上の(1), (2)が成り立っているとするとします。このとき,番号 $N$ を $N_1$ と $N_2$ のどちらよりも大きくとると,
収束の証明の例4-epep

となります 。
(なぜなら,例えば
$a-\varepsilon_1 < a < a + \varepsilon_1$ と
$b-\varepsilon_2 < b < b + \varepsilon_2$ の辺々を加えると
$(a+b) -\varepsilon_1 -\varepsilon_2 < a+b < (a+b) + \varepsilon_1+\varepsilon_2$ となるからです。 [これも,式それ自身を絵として用いた,一種の視覚的な証明になっています。] 以下の証明では三角不等式を用いて書きました。)
ですから,$\varepsilon_1 + \varepsilon_2 = \varepsilon$ となるように $\varepsilon_1, \varepsilon_2$ をとって(1), (2)を適用すればいいわけです。
 例えば,そのようなものとして $\varepsilon_1 = \frac{\varepsilon}{2} = \varepsilon_2$ を取ることができます ($\frac{\varepsilon}{2}$ も正の実数であることに注意)。

証明にもどる
$\varepsilon_1=\frac{\varepsilon}{2}$ に対して,(1) を用いると,ある番号 $N_1$ がとれて,
収束の証明の例5
$\frac{\varepsilon}{2}=\frac{\varepsilon}{2}$ に対して,(2) を用いると,ある番号 $N_2$ がとれて,

収束の証明の例6
するとめでたく,$N_1$ と $N_2$ のどちらよりも大きい番号 $N$ をとると,
収束の証明の例7
以上の3枚の絵を頭に描いて,それを式で表せば,ちゃんとした証明になります:

完成した証明.
$\varepsilon$ を任意の正の実数とします。$\frac{\varepsilon}{2}$ も正の実数なので,これに対して,仮定を適用すると,ある番号 $N_1$ がとれて,そこから先のすべての番号 $n$ に対して,$|a_n - a| < \frac{\varepsilon}{2}$.  また,ある番号 $N_2$ がとれて,そこから先のすべての番号 $n$ に対して,$|b_n - b| < \frac{\varepsilon}{2}$.  このとき,番号 $N$ を $N_1$ と $N_2$ のどちらよりも大きくとると,$N$ 以上のすべての番号 $n$ に対して, $$\begin{aligned}|(a_n+b_n) - (a+b)| &= |(a_n -a) + (b_n -b)| \\&\le |a_n -a| + |b_n -b| \\&< \frac{\varepsilon}{2}+\frac{\varepsilon}{2} = \varepsilon.\text{  □}\end{aligned}$$

例3. $\varepsilon$-$\delta$ 論法による関数の極限(図入り)

まず,数学を理解することについてを読んでください。以下もその例です。

数列の収束と同じように,関数の極限も絵で表すことができます。

定義.$f \colon \mathbb{R} \to \mathbb{R}$ を関数とし,$a, b \in \mathbb{R}$ とする。どの正の実数 $\varepsilon$ に対しても,ある正の実数 $\delta$ がとれて,$0<|x - a| < \delta$ となるすべての $x \in \mathbb{R}$ に対して,$|f(x) - b| < \varepsilon$ となるとき,$x$ が $a$ に近づくときの $f(x)$ の極限は $b$ であるといい,記号 $\displaystyle\lim_{x \to a} f(x) = b$ で表す。

注意.$f(a)$ の値は $b$ とは異なることもあり得ます。そのときは,$\varepsilon$ を $|f(x) -b|$ より小さくとると $\delta > 0$ をどのようにとっても,上の下線部分が $x = a$ のところで成り立ちません。このような場合も取り扱うためには,$x = a$ を除外しておけばいいわけです。($f(a)$ の値に関係なく,$f$ の $a$ の近くでの値を問題にしています。)そのために $0<|x - a|$ としてあります。このことは,絵では,$a$ のところに孔を空けて表します。開区間 $(a - \delta, a + \delta)$ から $a$ を取り除いた,孔あき開区間を $(a - \delta, a + \delta)'$ で表しておきます。

この定義を,絵で表しておきます:
極限の定義kbアニメ4

この絵を次のような動画としてみてください。

極限の定義kbアニメ

(0) 背景は,上下の2本の数直線と $a$ と $b$ です。そこに,

(1) まず $\varepsilon$ が与えられ,それによって,下の数直線上に開区間 $(b - \varepsilon, b + \varepsilon)$ が現れ,

(2) 次に,$\delta$ がとられて,上の数直線上に孔あき開区間 $(a - \delta, a + \delta)'$ が現れます。

(3) 最後に上の孔あき開区間 $(a - \delta, a + \delta)'$ から下の開区間 $(b - \varepsilon, b + \varepsilon)$ に向かって関数の対応を表す赤い矢印が一斉に下に向かって降りていく。


以下の3枚の絵もこのようにしてみてください。

上の関数 $f$ がこの性質をもつとします。このとき,本当に $x$ が"限りなく" $a$ に近づくと,$f(x)$ が"限りなく" $b$ に近づくように見えるか確かめてみます。

準備.
(1) まず,任意に正の実数 $\varepsilon_1$ をとります。するとこの $\varepsilon_1$ に対して,正の実数 $\delta_1$ がとれて,$(a-\delta_1, a+\delta_1)'$ のなかのすべての点 $x$ が $f$ によって,$(b-\varepsilon_1, b+\varepsilon_1)$ のなかに移されます。
極限kbのアニメ1
(2) 次に $\varepsilon_1$ より小さい正の実数 $\varepsilon_2$ をとります。するとこの $\varepsilon_2$ に対しても,正の実数 $\delta_2$ がとれて,$(a-\delta_2, a+\delta_2)'$ のなかのすべての点 $x$ が $f$ によって,$(b-\varepsilon_2, b+\varepsilon_2)$ のなかに移されます。
極限kbのアニメ2
このとき,この $\delta_2$ は $\delta_1$ より小さくとっておくことができることに注意しておきます。(なぜかというと,$\delta'_2$ をいまとった $\delta_2$ と $\delta_1$ のどちらよりも小さい正の実数とすると,上のことから $(a-\delta'_2, a+\delta'_2)'$ のなかのすべての点 $x$ が $f$ によって,$(b-\varepsilon_2, b+\varepsilon_2)$ のなかに移されます。ですから,$\delta_2$ をこの $\delta'_2$ に取り替えれば,上の性質をみたしながら,$\delta_2 < \delta_1$ もみたします。)
(3) さらに $\varepsilon_2$ より小さい正の実数 $\varepsilon_3$ をとります。するとこの $\varepsilon_3$ に対しても,正の実数 $\delta_3$ がとれて,$(a-\delta_3, a+\delta_3)'$ のなかのすべての点 $x$ が $f$ によって,$(b-\varepsilon_3, b+\varepsilon_3)$ のなかに移されます。
極限kbのアニメ3

ここでも,$\delta_3 < \delta_2$ となるようにとっておくことができることに注意しておきます。
(4) 同様にして,$\varepsilon_4, \delta_4, \varepsilon_5, \delta_5, \dots$ をとっておきます。

アニメーション.
以上の準備の下で関数 $f$ の動きを観察してみましょう。
極限kbのアニメ
$a$ の周りの半径 $\delta$ の孔あき開区間 $(a - \delta, a+\delta)'$ を考え,$\delta$ を小さくして行きます。
(1) $\delta$ が $\delta_1$ より小さくなったら $(a - \delta, a+\delta)'$ のなかの点はすべて $(b-\varepsilon_1, b+\varepsilon_1)$ のなかに移されます。
(2) $\delta$ が $\delta_2$ より小さくなったら $(a - \delta, a+\delta)'$ のなかの点はすべて $(b-\varepsilon_2, b+\varepsilon_2)$ のなかに移されます。
(3) $\delta$ が $\delta_3$ より小さくなったら $(a - \delta, a+\delta)'$ のなかの点はすべて $(b-\varepsilon_3, b+\varepsilon_3)$ のなかに移されます。
(4) 同様にして,$\delta$ が $\delta_4$ より小さくなったら$\cdots\cdots$
($x$ と $a$ との距離を表す) $\delta$ が小さくなるにつれて, $(a - \delta, a+\delta)'$ の移り先がどんどん $b$ の近くに縮んでいく様子が見えるでしょう。$f(x)$ がいくらでも $b$ に近づけるのは,定義のなかで最初に与える $\varepsilon$ を任意としてあるからです。

歯槽膿漏

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  • さらに,歯槽膿漏から来る口臭は消えるとのことです。
  • 歯医者に行く前,最後の可能性として,デントールを購入し,1ヶ月使ってみました。
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  • 以上,1ユーザーからの報告でした。個人的にはかなりお勧めです。

例2.写像の絵

まず,数学を理解することについてを読んでください。以下もその例です。

前回の数列の収束についての記事では, 数列を絵として思い描けることを仮定していました. これができていないと, 説明を途中から聞いたことになり, 理解しにくくなります. この記事では,この部分について補足します. まず定義から.

定義.
(実)数列とは, 関数 $a \colon \mathbb{N} \to \mathbb{R}$のことである.

ということですので, 関数を (あるいはもっと一般に写像を) 絵として思い描ければ, その特殊なものとして数列も思い描けるようになります. (写像というのは, 関数 $f \colon A \to B$ の定義のうち, 数の集合に限定されていた $A$, $B$ を, 数の集合とは限らない一般の集合にとりかえたものと思ってください.) 写像 $f \colon A \to B$ を絵として描く方法には, 大きく分けて4通りあります.
  1. $A$ に重点を置いて描く.
  2. $A$ と $B$ の間に重点を置いて描く.
  3. $B$ に重点を置いて描く.
  4. グラフを描く.

1. これは, $A$ の元 $a$ の上に, $f(a)$ を乗せて描く方法です.

2. これは, $A$, $B$ をベン図として描き, 対応する元の間をシッポつきの矢印 $\mapsto$ で結びつけて描く方法です.

3. これは, $A$ の元 $a$ の移り先である, $B$ の元 $f(a)$ のところに $a$ を描く方法です.

4. これは, 中学校で習っている方法です.

続きを読む

数学を理解することについて

式と絵.
  • 数学に現れる定義,定理,証明を理解するために,これまでいろいろと考えてきたことを書いていこうと思います。
  • 経験上,これらはほとんど (動きのある) "絵"として描けます。つまり,式で書かれた文章を,絵にすることで意味を理解していくことができます。絵にできていないものは,自分には理解できず未消化なものとして残っています。
  • 式を絵にするにはかなり考えなければなりませんし,時間がかかります。
  • 逆に,絵から式への翻訳は,ずっと容易で,練習(論理の練習)で身につきます。
  • ですので,この練習さえきちんとしておけば,あとは絵で自由に考えることができます。
  • 例えば,証明を表す絵を頭の中に見ながら,それを正確に式に翻訳すれば,正式な証明が得られます。
  • この方法で,何も見ないで講演することもできます。(若い頃は w)
  • さて,式を絵にする方法はかなり個人的なもので,各自が自分で工夫してきたものと思います。
  • そのため,自分の考えた方法を公表するのには,恥ずかしさが伴います。他にももっとよい絵の描き方や,別のもっとよい理解の仕方もあるかもしれませんので。
  • しかし,これを考えるには時間がかかりますし,かならずしもうまく行くとも限りませんので,それを知らせることは,多くの人に役立つように思います。
  • ただし,繰り返しますが,この式を絵にする方法はかなり個人的なもので,そこには個人の偏った見方が入っています。ですので,見方はこれだけではなく,つねに他の見方もあると思いながら取り入れる必要があります。この点には特に注意してもらいたいと思います。

理解の成長.

  • 新しいものを理解するには,その理解したいものと,すでによくわかっているものとの間に関係を見つければよく,その関係が強ければ強いほど,それだけ深く理解できます。
  • これを繰り返すことで,理解が成長していきます。
  •  絵による理解以外に,このことも使います。

論理の練習方法の例.

  • 私の場合,この練習はブルバキ集合論1の第1章とその練習問題を題材にして行いました。
  • 最終的には,何も見ないで最初から最後まで内容を思い出し,ほぼ全部の練習問題を解くことを何度も繰り返しました。そのあと,その内容を忘れました。
  • ありがたいことに,忘れると身につきます。
次に例を書くと,1記事あたりの文字数制限を越えましたので,ここでいったん切ります。次の記事から,式を絵にする例を書いていきます。
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  • Q&Aコーナー Q6 問 2.3.23 (3)解答例続き2(圏論的取り扱い)
  • Q&Aコーナー Q6 問 2.3.23解答例続き1(冪等元全体)
  • Q&Aコーナー Q3. 問 2.2.15の解答
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