Q2. 注意 1.1.26で,積の普遍性が,写像(1.4)の全単射性と同値になるのはどうしてですか.

A2. まず,全単射の特徴付けの復習から始めます.(1), (2)は定義から明らかでしょう.

命題. $F \colon X \to Y$を写像とする.このとき,次が成り立つ.
(1) $F$ が全射であることは,各 $y \in Y$ の逆像 $F^{-1}(y)$ が1個以上の元を持つことと同値である.
(2) $F$ が単射であることは,各 $y \in Y$ の逆像 $F^{-1}(y)$ が1個以下の元を持つことと同値である.
したがって,
(3) $F$ が全単射であることは,各 $y \in Y$ の逆像 $F^{-1}(y)$ がちょうど1個の元を持つことと同値である.

さて,積 $(\pi_i \colon x \to x_i)_{i \in I}$ の普遍性とは,任意の $y \in \mathcal{C}_0$ と任意の $\mathcal{C}$ の射の族 $(\rho_i \colon y \to x_i)_{i\in I}$ に対して,図式
universality-prod
がすべての $i\in I$ に対して可換になる (つまり $(\pi_i \circ f)_{i\in I} = (\rho_i)_{i \in I}$ となる) ような $\mathcal{C}$ の射 $f \colon y \to x$ がただ1つ存在することでした.つまり写像$$F \colon \mathcal{C}(y, x) \to \prod_{i\in I}\mathcal{C}(y, x_i), \quad f \mapsto (\pi_i \circ f)_{i\in I}$$を考えると,各 $(\rho_i)_{i\in I} \in \prod_{i\in I}\mathcal{C}(y, x_i)$ の逆像がちょうど1個の元 $f$ をもつということです.

 したがって,上の命題を適用すると,積 $(\pi_i \colon x \to x_i)_{i \in I}$ の普遍性は,任意の $y \in \mathcal{C}_0$ に対して,この$F$ が全単射であることと同値になります.