第2章(特に2.3節)ではページ数が足りなくなったために,説明を問に替えて,最低限,全体の流れが分かるようにしておきました。その説明を追加するために,そのような問に解答を与えておきます。
今回は,まず問 2.2.15の解答です.

問 2.2.15. $A$ を多元環 $M \in (\mathrm{Mod}\ A)_0$ とする.このとき次が同値であることを示せ.
(1) $\mathrm{Mod}\ A$ において $M \cong M_1 \amalg M_2$ ならば,$M_1 = 0$ または $M_2 = 0$ となる.
(2) $M_1, M_2 \le M,\ M = M_1 \oplus M_2$ ならば,$M_1 = 0$ または $M_2 = 0$ となる.

解答例.
(1) $\Rightarrow$ (2).  (1)が成り立つとする.このとき,(2)を示す.
そのために,加群$M$とその部分加群$M_1, M_2$に対して,$M = M_1 \oplus M_2$となったと仮定する.このことは,準同型
$$\Sigma \colon M_1 \amalg M_2 \to M, \quad (m_1, m_2) \mapsto m_1 + m_2$$が同型になることと同値であることに注意する.したがって,$M \cong M_1 \amalg M_2$が成り立っている.すると(1)より,$M_1 = 0$ または $M_2 = 0$となり,(2)が成り立つ.

(2) $\Rightarrow$ (1).  (2)が成り立つとする.このとき,(1)を示す.
そのために,同型 $f\colon L_1 \amalg L_2 \to M$が存在すると仮定する.
各$i=1,2$に対して,$\sigma_i \colon L_i \to L_1 \amalg L_2$を標準入射とし,
$f_i:= f \circ \sigma_i$とおき,$M_i:= \mathrm{Im}\  f_i$とおけば,$f_i$から同型
$f'_i\colon L_i \to M_i$が導かれる.また,
f_1+f_2
も同型となり,可換図式
comm-diag
が得られる (($\because$) $f(x_1, x_2) = f_1(x_1) + f(x_2)\ (x_1 \in L_1, x_2 \in L_2)$).
よって,この $\Sigma$ も同型となり,上の注意から$M = M_1 \oplus M_2$ となる.したがって(2)より,$M_1 = 0$ または $M_2 = 0$.  ここで $f'_1, f'_2$ は同型であるから,$L_1 = 0$ または $L_2 = 0$.   □