最近、不正を行う総経理が後を絶たない。昨年は、二件、本年は、すでに一件私の方で処理したが、その処理の過程で、定款に総経理解任事由をわざわざ限定している会社が少なくなった。
すなわち、総経理を解任できる事由としてわざわざ、「私利を貪り又は著しい失職を行ったこと」を要求しているのである。
総経理は、不正を行っているのだから、これを記載していても問題ないのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれないが、それは違う。
当該事由は、訴訟になった場合、会社側が立証しなければならない。しかし、例えば、取引業者からリベートをもらっていたり、友人又は親族の会社を代理店としてその代理店に多くの商品を取引させていたとしても、これら事実を訴訟で勝てるような証拠として掴むことは現実問題なかなかできないのである。
おそらく、当該事由は、中外合資経営企業法実施条例第38条に、「総経理、副総経理及びその他の高級管理職に私利を貪り又は重大な失職行為がある場合は、董事会決議を経ていつでも解任できる」という条文から来ているのであろう。
しかし、外資企業法法及びその実施細則並びに公司法には、そのような限定はない。
だから、少なくとも独資企業に関しては、そのような限定をつける必要がないのである。総経理を情況に応じて董事会の決議でいつでも解任できるようにするためも、以上のような不必要な事由は削除しておいて方がよいであろう。
ついでにもう一つ指摘しておこう。
多くの会社は、雛形の惰性からか、利益配当は一年に一回しか行わないと規定している。確かに、中国では中間配当を認めていないので、年度決算が終わって利益が確定しないと利益は配当できない。
しかし、未処分利益については一年に一回しか配当してはならないという法律上の規制はない。会社によっては、一度に利益を配当するのではなく、情況に応じて、何回かに分けて配当していくという必要が生じる場合がある。
これに対応するためにも、一年一回の配当という限定ははずしておいたほうが会社にとっては利便性が向上するのではないかと思われる。