佐々木俊尚さんの“自分でつくるセーフティネット”(大和書房)を読みました。今日はその素晴らしさについて書かせていただきます。
まず感想を書く前に、僕が本を読む前から考えていた事を二つ、書かせていただきます。
僕は10年以上、中小零細企業の方達を支援する仕事を行っています。その中で、色々な問題と向き合い、考えさせられるのは、“バブル”の時代が日本に与えてきた影響です。僕は30代で、“バブル”を知らない世代になるのだと思うのですが、“バブル”時代の価値観や、“バブル”時代を生きてきた方達の悩みと向き合っていくうちに、自分なりの『“バブル”って何だったのだろう??』に対する答えが見えてきたように感じます。それは、『“バブル”は麻薬のようなものだったのではないか??』 です。そして、“バブル”と言う麻薬が日本人に与えたのは『“安定した人生”と言う幻想だったのではないか??』と、考えています。僕がお話をしてきた、かなり多くの方が、“安定した人生”を望んでいるように感じます。そりゃそうですよね。死ぬまで安定して仕事があって、食うのにも困らず生きていける事が約束されている人生は、とても理想的な人生だし、僕も欲しいです。だから、『安定した人生=幸福』と言う図式は間違ってはいないと思います。でも、この考え方をしていくと『不安定な人生=不幸』 という事になってしまいます。この考え方は、正しいのでしょうか??間違ってはいないとは思いますが、寂しいなぁ、と感じてしまいます。だって、『私は今、幸せだけど、安定してないから本当は不幸なの』という事になっちゃいます。そうなると、“将来に対する漠然とした不安”が蔓延してきて、みんな不幸になってしまいます。最近周りを見回すと、この考えに陥ってしまっている方もいるように感じます。
そこで少し視点を変えて“不安定な人生=不幸”なのかという事を考えてみたいと思います。中小零細企業の事業主は、みんな“不安定”な中に身を置いていると思います。だって、明日売上がなくなってしまったら、生きていけない状況なのですから。でもね、常に不安定な中に身を置いていると、不安定な状況に対応出来る能力が鍛えられていくのだと、近くで見ていて思うのです。野生の動物達は、身を守るために、色々な特殊能力、つまり勘を持っていると言われていますが、僕は人間にもあるのではないかと思っています。これは決して、霊感的な話ではありません。常に何かを選択しなければいけない状況に身を置いている人と、状況判断や選択する必要のない環境にいる人と、同じ選択を迫られた時に、どちらの方が選択が早く、自分の中の判断基準が多いかを考えれば、自ずと答えが出てくるように感じます。更に、そもそも“バブル”でも、“バブル”じゃなくとも、“安定”なんてものは、初めからなかったのではないか、と、僕は思うのです。誰にでも、明日仕事がなくなる可能性はあると思うのです。だから、自分の幸福を判断する時に、“安定”と言うモノサシは使わない方が良いのではないかと思います。逆に自分が“安定”していると油断していると、突然“不安定”な場所に追いやられてしまった時に、対応出来なくなってしまうし、そうなってしまうと、不幸どころか悲劇な状況になってしまうと思うのです。でもね、“安定”がないという事は、決して不幸だというではないと思うのです。
ここまで来たら、そのまま本の内容に行きたい所ですが、もう一つ僕の考えをお聞き下さい。 “バブルの麻薬”が教えてくれたもう一つの事は、『お金さえあれば、一人でも生きていけるという幻想』です。戦後の日本はみんなで支え合いながら生きてきました。その理由は、日本人的な美徳もあったのだと思いますが、何より切実な理由として『お金も物資もなくて、一人では生きていけなかったから』だと思います。そもそも『人間は一人では生きていけない』です。これは誰もが知っている事だと思います。でも、仕事があり、お金があれば、面倒な人間関係を最低限にして、自分だけのペースで生きていく事も出来るのだと思います。でも、バブルが崩壊して、仕事も減ってきた今、改めて人との繋がりが必要な時代が来ているのだと思います。SNSが発達してきたのはそんな時代の流れの中で必然だと思うし、FACEBOOKはある意味、そんな人との繋がりが分断されがちな今、新しい人間関係を築くためのツールなんだという所までは、僕も考えていたのですが、その先にある、具体的な活用方法はわからないままにいました。
そして、そんな僕の問題的に一つの答えを示してくれるのが、佐々木俊尚さん著“自分でつくるセーフティネット”です。“安定”が存在しなくて、常に“不安定”にさらされてしまっている今、必要なのが、もしもの時のための準備をしておく事です。つまり、自分でセーフティーネットを張り巡らせておく事が必要になる訳です。逆に言えば自分なりのセーフティネットを築いておく事により、“安定”しなくても大丈夫な状況を作り出しておく事が出来るのだと思います。そして、この本はセーフティネットの作り方を、鋭い視点で目から鱗の方法論を解いて下さっています。まずは総透明化社会の時代の背景を示し、その中でのあり方。そして、同調圧力を生む強すぎる“きずな”に対する疑問とゆるい繋がりのあり方については、戦後社会に先祖帰りするのではなく、今この時代の新しい関係性について。
この本を読み進めていって頭に浮かんできたのは、社会人になって10年以上が経過して、仕事をしていく上で、最近感じていた『生きていくためには、結局小学生の頃に教わるような、凄く基本的で当たり前な事が大切だったんだなぁ。』という事でした。ちゃんと、ありがとうと、感謝の気持ちを持ちましょう。とか、人に優しくしましょう。とか、挨拶はちゃんとしましょう。とか、良い事をすれば、ちゃんと自分の所に帰ってくるし、悪い事をしたら、それもまた、自分の所に帰ってきますよ。とか。
また、仕事の後輩達を育てていく上で今、僕が苦しんでいる部分についても書いてありました。“成熟するとは、汚れを引き受けること”。この部分を読んで思わず唸ってしまいましたし、6章から終わりに掛けては文字通り、ぐうの音も出ないほど、佐々木さんの考え方に共感しました。
ちなみにこの本の僕の脳内テーマソングは THE BEATLES の名曲“WITH A LITTLE HELP FROM MY FRIENDS”です。Joe Cocker の熱い感じじゃなく、あくまでBEATLESのサラッとした感じ。
結局、社会を良くするために必要なのは、僕たち一人一人がこの社会を良くしようと考え、善い行いをしていく事なんだなぁと思います。逆に言えば、僕たち一人一人が当たり前の善い行いをしていく、そんな小さな力が重なり合う事が、世界を変えていく原動力になりうるんだなぁ。そんな勇気を頂きました。ありがとうございます。
ソーシャルメディアタレントのリッキーでした。
まず感想を書く前に、僕が本を読む前から考えていた事を二つ、書かせていただきます。
僕は10年以上、中小零細企業の方達を支援する仕事を行っています。その中で、色々な問題と向き合い、考えさせられるのは、“バブル”の時代が日本に与えてきた影響です。僕は30代で、“バブル”を知らない世代になるのだと思うのですが、“バブル”時代の価値観や、“バブル”時代を生きてきた方達の悩みと向き合っていくうちに、自分なりの『“バブル”って何だったのだろう??』に対する答えが見えてきたように感じます。それは、『“バブル”は麻薬のようなものだったのではないか??』 です。そして、“バブル”と言う麻薬が日本人に与えたのは『“安定した人生”と言う幻想だったのではないか??』と、考えています。僕がお話をしてきた、かなり多くの方が、“安定した人生”を望んでいるように感じます。そりゃそうですよね。死ぬまで安定して仕事があって、食うのにも困らず生きていける事が約束されている人生は、とても理想的な人生だし、僕も欲しいです。だから、『安定した人生=幸福』と言う図式は間違ってはいないと思います。でも、この考え方をしていくと『不安定な人生=不幸』 という事になってしまいます。この考え方は、正しいのでしょうか??間違ってはいないとは思いますが、寂しいなぁ、と感じてしまいます。だって、『私は今、幸せだけど、安定してないから本当は不幸なの』という事になっちゃいます。そうなると、“将来に対する漠然とした不安”が蔓延してきて、みんな不幸になってしまいます。最近周りを見回すと、この考えに陥ってしまっている方もいるように感じます。
そこで少し視点を変えて“不安定な人生=不幸”なのかという事を考えてみたいと思います。中小零細企業の事業主は、みんな“不安定”な中に身を置いていると思います。だって、明日売上がなくなってしまったら、生きていけない状況なのですから。でもね、常に不安定な中に身を置いていると、不安定な状況に対応出来る能力が鍛えられていくのだと、近くで見ていて思うのです。野生の動物達は、身を守るために、色々な特殊能力、つまり勘を持っていると言われていますが、僕は人間にもあるのではないかと思っています。これは決して、霊感的な話ではありません。常に何かを選択しなければいけない状況に身を置いている人と、状況判断や選択する必要のない環境にいる人と、同じ選択を迫られた時に、どちらの方が選択が早く、自分の中の判断基準が多いかを考えれば、自ずと答えが出てくるように感じます。更に、そもそも“バブル”でも、“バブル”じゃなくとも、“安定”なんてものは、初めからなかったのではないか、と、僕は思うのです。誰にでも、明日仕事がなくなる可能性はあると思うのです。だから、自分の幸福を判断する時に、“安定”と言うモノサシは使わない方が良いのではないかと思います。逆に自分が“安定”していると油断していると、突然“不安定”な場所に追いやられてしまった時に、対応出来なくなってしまうし、そうなってしまうと、不幸どころか悲劇な状況になってしまうと思うのです。でもね、“安定”がないという事は、決して不幸だというではないと思うのです。
ここまで来たら、そのまま本の内容に行きたい所ですが、もう一つ僕の考えをお聞き下さい。 “バブルの麻薬”が教えてくれたもう一つの事は、『お金さえあれば、一人でも生きていけるという幻想』です。戦後の日本はみんなで支え合いながら生きてきました。その理由は、日本人的な美徳もあったのだと思いますが、何より切実な理由として『お金も物資もなくて、一人では生きていけなかったから』だと思います。そもそも『人間は一人では生きていけない』です。これは誰もが知っている事だと思います。でも、仕事があり、お金があれば、面倒な人間関係を最低限にして、自分だけのペースで生きていく事も出来るのだと思います。でも、バブルが崩壊して、仕事も減ってきた今、改めて人との繋がりが必要な時代が来ているのだと思います。SNSが発達してきたのはそんな時代の流れの中で必然だと思うし、FACEBOOKはある意味、そんな人との繋がりが分断されがちな今、新しい人間関係を築くためのツールなんだという所までは、僕も考えていたのですが、その先にある、具体的な活用方法はわからないままにいました。
そして、そんな僕の問題的に一つの答えを示してくれるのが、佐々木俊尚さん著“自分でつくるセーフティネット”です。“安定”が存在しなくて、常に“不安定”にさらされてしまっている今、必要なのが、もしもの時のための準備をしておく事です。つまり、自分でセーフティーネットを張り巡らせておく事が必要になる訳です。逆に言えば自分なりのセーフティネットを築いておく事により、“安定”しなくても大丈夫な状況を作り出しておく事が出来るのだと思います。そして、この本はセーフティネットの作り方を、鋭い視点で目から鱗の方法論を解いて下さっています。まずは総透明化社会の時代の背景を示し、その中でのあり方。そして、同調圧力を生む強すぎる“きずな”に対する疑問とゆるい繋がりのあり方については、戦後社会に先祖帰りするのではなく、今この時代の新しい関係性について。
この本を読み進めていって頭に浮かんできたのは、社会人になって10年以上が経過して、仕事をしていく上で、最近感じていた『生きていくためには、結局小学生の頃に教わるような、凄く基本的で当たり前な事が大切だったんだなぁ。』という事でした。ちゃんと、ありがとうと、感謝の気持ちを持ちましょう。とか、人に優しくしましょう。とか、挨拶はちゃんとしましょう。とか、良い事をすれば、ちゃんと自分の所に帰ってくるし、悪い事をしたら、それもまた、自分の所に帰ってきますよ。とか。
また、仕事の後輩達を育てていく上で今、僕が苦しんでいる部分についても書いてありました。“成熟するとは、汚れを引き受けること”。この部分を読んで思わず唸ってしまいましたし、6章から終わりに掛けては文字通り、ぐうの音も出ないほど、佐々木さんの考え方に共感しました。
ちなみにこの本の僕の脳内テーマソングは THE BEATLES の名曲“WITH A LITTLE HELP FROM MY FRIENDS”です。Joe Cocker の熱い感じじゃなく、あくまでBEATLESのサラッとした感じ。
結局、社会を良くするために必要なのは、僕たち一人一人がこの社会を良くしようと考え、善い行いをしていく事なんだなぁと思います。逆に言えば、僕たち一人一人が当たり前の善い行いをしていく、そんな小さな力が重なり合う事が、世界を変えていく原動力になりうるんだなぁ。そんな勇気を頂きました。ありがとうございます。
ソーシャルメディアタレントのリッキーでした。
コメント