2005年01月09日

狼人間を撃つ銀の弾はない

今年は、クライアントにシステムの教育をする御仕事を担当する予定です。
無茶苦茶、難しいことを教えるわけではなく、クライアントの会社に導入されたシステムの使い方や、そのシステムを使うために必要な、コンピュータについての基本的な事を教育するだけです。でも、教えるって難しいんですよね。まだ、私の方が教えられる立場なのに、先生役なんてしていいのかしら。
入社して、しばらくしてから先生に渡された本に「人月の神話」というのがあります。ブルックスという方が書かれたシステムエンジニアリングに関する本です。出版から既に30年近く経っていますが、日進月歩のこの業界において、未だにエンジニアリングの本質を鋭く表現した名著です。(と、先生に言われました。私も読んで、そう思いました。)
読んでみて印象に残ったところを抜粋してみましょう。

遅れているソフトウェアプロジェクトへの要員追加はさらに遅らせるだけだ

もう常識となりつつ感もありますが。開発が遅れているからと言って、人員を新規に増やしても解決しないと言うことです。人間は機械の部品じゃありませんからね。付け替えてすぐに動けと言っても出来ません。そのプロジェクトにおける教育が必要になります。マネージャの人は増員した人の管理業務が増えます。メンバー間に必要となるコミュニケーションの量も増えます。人を増やせば、それだけいろんなものが増えて行くのです。

コンセプトの完全性こそ、システムデザインにおいてもっとも重要な考慮点だと言いたい。一つの設計思想を反映していれば、統一性のない機能や改善点などは省いたシステムの方が、優れていてもそれぞれ独立していて調和のとれていないアイデアいっぱいのシステムよりましである。

これは、クライアントとの仕様検討会で時々、実感できます。関連開発会社の方は、開発中のシステムが何故、開発されることになったかと言う基本設計から外れないように、システムの機能を設計し、提案しています。けど、目先の問題を解決するためだけに、とか、こちらの方が技術として新しいから、とか、中には「○○部長がお気に入りなので」などの理由で、本来、そのシステムには不必要な機能まで実装しようとされるクライアントがいらっしゃいます。統一されていないコンセプトの下、爆発的に予算が膨らみ、自滅して行ったシステムを、先生は幾つも御覧になったそうです。コンセプトを明確にすることの重要さは、今も昔も変わりません。

彼らに欠けていたのは、コミュニケーションとそれから生まれる組織の二点であった。

これは、創世記の物語「バベルの塔」の工事が何故失敗に終わったか、その理由について書かれた一文です。映画などで観られたかも知れませんが、天に届くような高い塔を建てようとした人間たちに、神がその言葉が通じなくなるように、それまで一つしかなかった言語を何種類も発生させました。このため、人間たちは互いの意思を伝えることが出来なくなり、バベルの塔建設は頓挫してしまった、ということです。システム開発においても、メンバー間のコミュニケーションが上手くとられていなければ、作業は上手く進まないということですね。円滑な情報伝達手段が確立されていないと、誰かが作りこんだ同じバグをもう一度解決することになったり、データ仕様の変更を知らずにDBを構築してしまったりと、考えるだけでも悲惨な出来事が多発することになるでしょう。簡単だと思われているかも知れませんが、人と人とのコミュニケーションは、本当に大事なことですね。

◆「銀の弾などない」について

そして、最も印象に残ったのは、エンジニアリングにおいて、特効薬、もしくは、永遠不滅の道具となるようなものは存在しない、という箇所です。狼人間のお話では、銀の弾を撃ちこめば、彼らは必ず死ぬことになっています。そのような便利な道具は、エンジニアリングには存在しないということです。
クライアントの中にも、よく「このシステムさえ導入すれば、業務上の問題は全て解決されますか」と言うような質問をされる方がいらっしゃいます。答えはノーです。システムで何かが全てクリアされることはありません。導入後、人がそれを活用して初めて、業務が改善されたり、今まで困難だった業務が良い方向に修正されて行くのです。
なんて、またまた前回に引き続き、偉そうに言ってますが。まだまだ実践の足りない私ですが、先生とお仕事し、お話する中で、この「銀の弾」については、いろいろ考えさせられました。
システム開発会社の中でも、このツールさえ使えば、こう言うときは必ずこうやれば、と「銀の弾」式に行動された結果、悲劇的な結末を迎えられた方もいらっしゃいます。この日進月歩の業界で、永遠不滅ということはないようです。
ただ、エンジニアリングにおいても、問題解決のための技法、システム検証の技法などを「より良いものは存在しないか?」と模索し続けていくアプローチは、常に正解のようです。その方式が固定されることは無いようですが。

先生は、よく「システム教育までが開発」と言われます。プログラムを完成させただけでは仕事は終わっていないと言うことです。クライアントが、注文したシステムを使いこなせるようになって、開発完了だと。
「銀の弾」の教えを胸に、私も、常により良い方法を模索しながら、教育係を務めたいと思います。

参考文献 「人月の神話」/フレデリック・P・ブルックスJr.[ピアソン・エデュケーション]  
Posted by riekogu at 00:48Comments(0)TrackBack(0)お仕事の基本技

2004年12月09日

変わる勇気 変わる楽しさ

今の会社に入って、どういう姿勢で仕事に取り組むべきか、と言ったお話しを先生から伺いました。
こう言うと、上司が部下に考え方を押し付けている場面を想像されるかも知れません。けれど、お説教はいっさいありませんでした。むしろ、先生は、どういう姿勢が大事か、私自身が気づくように導いてくださいました。
最初に「これ、読んでみたら?」と薦められた本が何冊かあります。「チーズはどこへ消えた?」「7つの習慣」「フィッシュ!」など。これらの本を読む内、私なりに「(仕事をする上で)あるべき姿勢って、こういうことかな」と分かって来ました。今回は、「チーズはどこへ消えた?」についてお話しします。

一時期、話題になったので、すでに読まれた方もいらっしゃると思います。物語に登場するのは、迷路に住む2匹のネズミと2人の小人。2匹と2人は、チーズを食べ、毎日、幸せに暮らしていました。ところが、ある日、彼らのチーズが無くなってしまいました。すぐにチーズを探しに行動を起こした2匹のネズミたち。少し考えた後、チーズを探す行動に出たひとりの小人。そして、最後まで迷い、その場に留まっていたもうひとりの小人。住み慣れた日常に変化が訪れた時、それに対応する人々の様子を採り上げて、変化に対してどのようにこれを捉え、行動するべきか。そのヒントをこの本は教えてくれます。

全世界の大企業で、この本が社員研修に採用されているとのこと。私も読んで、いろいろと考えさせられました。これほどの名著ですから、採り上げるべき材料はたくさんあります。ですから、ここでは、私が最も心を動かされた「変わる勇気」についてお話しします。物語の中の平穏な日常が破られた時、ネズミたちに少し遅れてから、小人のひとりがチーズを探すために行動します。彼としては、大変な決意をしたわけです。チーズが無くなったとは言え、とりあえず安全な場所から、外の世界に出て行くことにしたわけですから。本の中では、この辺りのところを「もし恐怖がなかったら何をするだろう?」「従来どおりの考え方をしていては新しいチーズはみつからない」などの文章で要約しています。
私も経験があるのですが、仕事をしていて、慣れ親しんだ方法を変えなければならない事態が発生した時など、この本に書かれていることが、とてもよく分かるのではないでしょうか。慣れているから、楽だから、という甘えで、いつまでも今のやり方に固執していると、やがて来る変化に対応出来ません。その変化は、仕事で使われている技術の進化なのか、ライバル会社の成長なのか、世の中そのものの変化なのか。とにかく、いつまでも今のままでやり通せるということは、とても稀です。現実的には無いと言えます。その来るべき変化に備え、自分も変化しなければいけません。
正直言って、慣れたやり方を変えることは怖いです。でも、変えなければ、やがて大きな変化の波にのまれ、悲劇的な結末を迎えることになります。そこで、どうして変えることが怖いのか、じっくり考えてみるんです。そうしたら、大抵の場合、新しい方法で行動した後の、予測不能な状況を、被害妄想している自分に気づきます。上手く行かなかったら、上手く行かなかったら・・・と。でも、やってもいないのに悪い結果だと決めつけ、何もしないのは愚かなことです。そう思って、ちょっと行動を起こしてみます。すると、思っていたより、結果はずっと良くて、次に進む気が湧いて来ます。それに、いつまでも旧いやり方のままでいると、今より良くなることは決して無く、確実にいつかは最悪になることは分かっています。何もしないのは、いちばん危険なことです。

なんて、とても偉そうに書いてますね。今だから、他の人にこんなことが言えますが、この会社に来るまでの私は、何もしない人でした。でも、ここに来て、先生から、変わる勇気を教わりました。簡単な例で言いますと、パソコンの表計算ソフトなど、あまり凝ったことはしていなかったのですが、マクロの組み方など、少しずつ勉強して、使って行く努力をしました。その際、最初に先生から「自分が一番使いたいところから。使えるようになったら嬉しいと思えるところから、やってみよう」と後押しされました。別に他人と同じようにしなくていいので、失敗しながらでいいとも言われました。それで、ホントに少しずつですが、表計算や経理関係のソフトの、今まで使ってなかった機能を使って行くようにしました。意外に簡単なところもあれば、上手く行かなくて落ち込む時もありましたが、思っていたよりは早く、結果が見えて来ました。マクロなどで自動処理をして行くようにしたので、日々の作業的な仕事時間が、徐々に減って行ったのです。あれから数ヶ月経ちますが、もし、あの時、「自分を変えて」やり方を新しくしていなければ、大変なことになっていたかも知れません。会社のクライアントは多様化し、私自身、クライアントに提案するような仕事もやるようになってますから、定型的な業務に長時間かけてられないんです。
んー、先生のアドバイスと言うか、先見の明のおかげでございます。クライアントとやりとりするような仕事を担当し始めた時も、ホントに最初は怖かったんです。でも、先生のお言葉を信じて、思い切ってやるようになって良かったと思います。何より、スーツで書類ケースとか持ってると キャリア・ウーマン て感じだし :-)
変わることは、最初、怖いのですが、変わることができると楽しいです。今の私は、実感を持って言えます。皆さんに、と言うより私自身にも言いたいのですが、何か変化に対応する状況が発生した時は、チャンスだと思って、取り組んで欲しいです。

※「チーズはどこへ消えた?」/スペンサー・ジョンソン(扶桑社)  
Posted by riekogu at 11:45Comments(2)TrackBack(0)お仕事の基本技

2004年11月18日

何はともあれ ブラインドタッチ

入社して最初に「あ、ちょっとはスペシャリストに近づけたかも」と思ったのは、ブラインドタッチを練習したとき。本当に大したことでは無いかも知れないけど、機械おんちの私にしたら、大変な衝撃だったんです。
入社直後は、雑務が多く、先生(社長のこと。本サイト参照)からワープロ入力などの仕事をいただいてました。ところが、機械おんちの私。入力が遅い・・・。
で、ある日、先生が「タイピングの練習をしてみよう」と言われました。練習ソフトとして薦められたのが「Type Trainer」という無料のソフト。先生がおっしゃるには「1日30分の練習で、4日間は我慢して練習しよう」とのこと。機械に対する苦手意識を無くしてくれた先生のお言葉。信じて練習開始。4日くらいなんだ、パンテーンだって14日かかるんだ・・・。
はじめは、小指と中指がつりそうでした。しくしく。でも、人差し指と親指の感覚はすぐにつかめ、少しでもキーボードを見ないで打てることが、とても気持ちよかったです。そして、4日めが過ぎる頃、本当に、たどたどしくではありますが、手元を見ないでタイピングできるように! 1週間も経つと、とりあえずブラインドタッチしている状態になれました。まあ、秘書みたい・・・と自分にうっとり。
私の上達ぶりを先生も喜んでくれました。またまた先生いわく「ブラインドタッチの利点は、早く打てることよりも、手元を見ないで打てることの方が大きい。画面を見たまま、あるいは原稿と画面を見ながら打てるので、眼が疲れにくい。もし、手元を見ていると、画面、原稿、手元と目線の移動する先が多く、眼の疲れもひどくなる」とのこと。まさに、その通りで、手元を見ないで打つようになってから、1日の仕事が終わっても、眼が痛くなくなりました。また、画面を見続けながら打てるので、文章などを考えながら入力し続けられるのも利点のひとつだとか。
「プラインドタッチができることが、仕事ができることの絶対条件ではないけど、出来て得することが多いのなら、出来るようになっておいて損はないだろう?」と先生。あれから何ヶ月か経ちますが、今では嘘のようにバシバシバシとタイピングしてます。
ちょっとしたことを習うだけで、こんなにもパソコンに対する感覚が変わるものかと、痛感した私なのでした。先生に感謝。

★Type Trainerはここから入手出来ますよ。  
Posted by riekogu at 19:17Comments(0)TrackBack(0)お仕事の基本技