November 20, 2008

膵頭十二指腸切除における膵腸吻合の手技は何がいいんだろうか?2

膵癌(膵頭部癌)に対する「膵頭十二指腸切除術」がありました。日本では大体5年目くらいで基本的にはマスターしておきたい手術ですね。

移植外科医でもあるDr.Sが執刀してました。いや、正確に言うと綺麗な女医さんのレジデントが執刀し、Dr.Sは指導という形でした。

この手術で術後管理に最も影響するのは膵空腸吻合部の縫合不全、いわゆる「膵液漏」ですね。これを予防する為に様々な手術方法が考案されているのですが、未だに単一の手技へのコンセンサスが得られていないということは、全世界共通に「最も良いと思われる方法が確立されてない」と言えるでしょう。

ミシガン大学の移植外科では5-0PDSを用いた「膵管空腸全層結節吻合」が用いられてます。小児用栄養チューブ(8Fr)を用いた内瘻チューブを挿入し、腸管内lost tubeとしています。直径2mm程度膵管に6〜8針かけていきます。
膵断面空腸漿膜縫合は両端を前後壁一括 over sutureにし、それ以外は水平マットレス縫合でした。このあたりはちょっとカルチャーショック。

主膵管以外の分枝リークはあまり気にしないとは言え、これで分枝からのleakを問題ない程度に抑えることが出来るのかとちょっと疑問ですね。

全体的に見ても、日本と違ってリンパ節郭清をほとんどしない。肝動脈周囲リンパ節をサンプリングした以外はまったくといっていいほど郭清なし。日本ではこれは癌の手術とは言えませんね。どちらがいいのかはよくわかりませんが・・・・。日米で膵癌では手術単独生存率にそれほど差がないみたいですし・・・・。やはり系統的リンパ節郭清術というのは日本独特の考え方なんでしょうか。

胃癌や大腸癌における手術単独成績がアメリカより勝っているのは周知の事実ですが、世界的には「リンパ節郭清は一群でよい」という方向に進んできている様子です。悲しいですね。日本でも縮小手術が徐々に浸透しつつありますが・・・・。

こういう点が世界的に通用する技術を持ちながらも日本人外科医がイマイチ評価されない理由の一つでしょうか。「器用さ」をウリにしても「エビデンス」を重視したトライアルをしないと駄目なんですね。



rigasure at 23:00│Comments(0)TrackBack(0) 手術手技 | ミシガン大学病院研修

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