2005年02月04日

マニキュア(原稿用紙換算枚数 36枚)

 以下の文章には、性描写が含まれています。
 男性の方、18歳未満の方、性描写の苦手な方はご遠慮くださいますよう、お願い申し上げます。

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 それはまるで、「改札口はどこですか?」とでも訊くような、気軽な口調の言葉だった。
 いつも通学で使っている電車を降り、いつものようにブレザーの制服の内ポケットから定期券を出しながら、階段を下りようとしていたときのことだった。
「あのう」
 背後から女の人の声がして、同時に肩を叩かれた。
 足を止めて振り向く。人の流れは岩に当たって流れを変える川のように、自然と両脇に逸れていく。
 そこにいたのは、濃い緑色のスーツを着た女の人だった。
 初めて見る顔ではなかった。いつも同じ車輌に乗ってくる人だ。結構美人なので覚えている。鮮やかな赤い口紅は、オバサン臭い、と言えなくもないけれど、同じクラスの女子にはない色気が漂っている。
 確か彼女はいつも、俺が降りるときもまだ電車の中にいるはずだ。どうして今、ホームに立っているのだろう?
 一体何の用事なのだろうかと、首を捻りながら応える。
「はい?」
「これから、高校?」
「そうですけど……」
 訳が分からず、口ごもる。これから何が待ち受けているのか分からなかった。
 同じ電車から降りた人はもう殆ど改札口へ向かったのだろう。その時にはホームの人影はまばらになっていた。
「ねえ、キミさえよかったら」
 女の人の、形の良い赤い唇が動く。
「私と、遊ばない?」

 で、どうして俺は、電車で見かけるだけの人と一緒に歩いているのだろう。
 確かにずっと気になってはいたのだ。彼女は必ず俺が乗り込む次の駅から同じ車輌に乗ってきて、まっすぐ歩くと反対側のドアの傍に立つ。そしてずうっと頭をドアに持たせかけて、窓の外を眺めている。美人なだけに、それは絵になっていた。
 軽くウエーブした栗色の髪。細い首筋。白い指先の爪はいつも、薄いピンク色のマニキュアが塗られていた。
 あんまりじっと見つめていたからだろう、彼女が視線を感じたのかこちらへ振り向いたこともある。俺は慌てて視線をそらすことしかできなかった。
 ところが今日は、その彼女は隣にいる。いつものように彼女の爪は薄いピンク色だった。
 何の言葉も交わさないまま駅前の大通りを歩いていると、ふと彼女が口を開いた。
「誘っておいて、なんなんだけど」
「はい?」
「高校、大丈夫?」
「ええと、今はもう自由出席だから」
 もう既に進路が決まっているヤツばかりだから、登校する人間の方が少ないくらいだ。まだ決まっていなくとも、学校に行くよりは塾に行った方がいいなんて言って休むヤツもいる。
「あ、でも念のため、訊いてみます」
 俺はカバンの中から携帯電話を取り出した。彼女はきょろきょろと辺りを見渡して、近くの小さな公園を指差すと、「あそこのベンチに座ろう」と提案した。
 俺は頷きながら携帯電話を耳に当て、同じクラスの藤崎にコールする。
 彼女がベンチに腰掛けて一息ついたところで、藤崎が電話に出た。
「もしもし?」
「あ、俺、中田。今日、サボろうかと思うんだけど、お前、学校?」
「おお、もう着いてるよ」
「何にもないよな?」
「ないんじゃない? ほとんど来てねえし。何、どこにいんの?」
「駅の近く。駅までは来たんだけど」
 言いながら、俺は彼女の隣に座った。彼女はバッグの中から煙草を取り出すと、ライターで火をつけ、最初の煙を吐いた。
「……たるくなっちゃって」
 彼女のことを彼女の前で説明するのは憚られて、俺はそう言葉を濁した。藤崎も深くは追求しなかった。
 それから二、三、言葉を交わして電話を切る。
「自由出席、ってことは、三年?」
 電話を切ると同時に彼女が言った。
「あ、はい」
「進路は決まってるの?」
「推薦で……」
「じゃ、大学生になるんだ」
「そう、です」
「ふうん」
 彼女は大して興味もなさそうに、俺の方は見ずに正面を見つめたままだった。
 ついてきたはいいけれど、一体これからどうするんだろう? 彼女の方から誘ってきたのだから、俺は彼女の次の言葉を待った方がいいのだろうか?
 そんなことを考えて、所在なさげに指を組んだり離したりしていると、彼女はふと、口を開いた。
「あ、推薦だったら、悪いことできないかな」
「悪いことなんか……」
「今から、悪いことに誘おうとしてるの」
「え?」
 彼女は傍らにあった灰皿に、まだ長い煙草を押し付けて捨てると、こちらに振り向いた。
 そして俺の顔を覗き込むようにして、囁いた。
「私と遊ばないか、って言ったでしょ」
「遊ぶって……」
 戸惑う俺の反応を楽しむように、彼女は白い指先を伸ばして、俺の頬に触れた。
「ホテル、いかない?」

 ご都合主義の漫画みたいな展開だな、なんてホテルのソファの上で考えた。
 シャワーの音が聞こえてくる。
 正直、何にも期待していなかった訳じゃなかった。「遊ばない?」と言われたのだから、それ相応の想像をしてしまっていた。
 あの後、彼女は俺の手を引いて、慣れた様子でラブホテルの中に入った。
 ラブホテルに入るのは初めてだった。もの珍しげにきょろきょろと室内を見回す。キングサイズのベッドが一つと、ソファとガラステーブル。大型のテレビの下にはビデオとプレステ2が設置されていた。マイクもあるから、カラオケだってできるのだろう。充実した設備に、感嘆の溜息を洩らした。
 ホテルに入るのは初めてでも、セックスの経験がない訳ではない。親のいない隙に自室でしたり、彼女の部屋でしたりしていた。
 この間までつきあっていた彼女が、「あたしのこと、身体だけなんでしょ」とくだらないことを言うのが頭にきたので、「そうだよ」と返したら、翌日から俺は極悪人ということになっていて、クラス中の女子から無視され続けている。
 同い年の女の子なんて面倒なだけだ。きっと年上の女の人ならそんなこともないんだろうと、勝手に憧れたりもしていた。
 そして今日、どうやらその憧れの事態になっているらしい。
 けれども、こう上手く事が進むと、何か罠が待ち構えているんじゃないかとか、疑ってしまう。
「キミも、シャワー浴びたら?」
 ふいに、彼女がバスルームから顔を出して、そう話し掛けてきた。俺は慌てて立ち上がると、「あ、ええと、はい」としどろもどろになりながら、ブレザーを脱いだ。
 彼女は裸体にバスタオルを巻いて、先に出てきた。そして俺とすれ違うと、そのままベッドの端に足を組んで座る。
 大人の女の人ってこうなのかな、と思った。一応、バスタオルで身体を隠してはいるけれど、慣れているのか堂々としている。
 俺は色々な妄想を抱いて、手早くシャワーを浴びた。バスルームから顔を覗かせてベッドの方を見ると、彼女は煙草を吸っていた。
 俺に気付くと、彼女はにっこりと微笑んだ。
「終わった?」
「はい」
 なんだか恥ずかしくて、腰にタオルを巻きつけて、バスルームを出る。どうしていいのか分からずに、俺はちょこんと彼女の隣に座った。
 そしてさっきからぐるぐると頭の中を駆け巡る、疑問を口にしようと思い切って顔を上げた。
「あの、訊いてもいいですか」
「ん? 何?」
「何で、俺を誘ったんですか」
 けれども彼女はそれに答えずに、逆に俺の方に向かって首を傾げて訊いた。
「名前」
「え?」
「名前、知らないね。あたし、エリ。絵画の絵に、里。で、絵里」
「俺……慎吾。カトリくんと一緒の」
「そうか。慎吾くんか」
 彼女はそういって、また微笑んだ。「名前も知らない人とするのは味気ないでしょ?」と言うと、いきなり顔を寄せてきた。
 唇が、触れる。柔らかな舌が侵入してくる。
 どうして彼女が俺を誘ったのかとか、彼女は一体何者なのかとか、いつもこんな風に誰かを誘っているのかとか、たくさんの疑問が溢れてきたけれども、それらの質問は俺の頭の片隅に追いやられた。
 彼女は俺の上に覆い被さり、なおも俺の口の中をかき回した。シャワーを浴びたばかりだからか、シャンプーのいい匂いがして、俺はもう何も考えられなくなってきた。
 なすがままだった。女の人が上に乗ってくるなんて、少なくとも俺は経験したことがなかったし、そんなに情熱的に求められたこともなかったから、それはとても刺激的だった。
 彼女の唇が離れ、そして下に移動していく。
 ピンクのマニキュアが塗られた指先が、俺の敏感な部分に触れた。
「あっ」
「もう、立ってる」
 ふふ、と満足げな笑みを零すと、彼女はそれに口元を寄せた。筋の部分を下からすうっと舌でなぞる。初めての刺激に、それだけでいきそうになってしまったけれど、何とか持ちこたえた。
 彼女の舌は巧みに動く。同時に華奢な手で柔らかく握って上下に擦る。
「あ、そんなにすると……あっ」
 もう我慢の限界だ、と思った直前、彼女はそれを口に含んだ。驚いたけれども止められず、俺はそのまま彼女の口の中に射精してしまった。
「う……」
 彼女は俺の射精がすっかり終わるまで、口を離すことはしなかった。そしてゆっくりと口から抜くと、今度は汚れを落とすかのように、全体を舐めていく。
 そして顔を上げて俺の方を見ると、言った。
「飲んじゃった」
「えっ、え……? 嘘」
「ほんと」
 そしていたずらっぽく笑った。その笑顔があまりに無邪気で、この場にそぐわないのが妙な感じだった。
「あ、ごめん……なさい」
「どうして謝るの?」
 言いながら彼女は立ち上がり、バスタオルをもう一度巻きなおすと、備え付けられている冷蔵庫の方へ向かった。
「いや、だって……」
「何か、飲む?」
 口ごもる俺の言葉を無視して、彼女は冷蔵庫を開けた。自分用にビールを一缶取り出して、そしてこちらを向いて首を傾げた。
「じゃあ……コーラか何か」
「ん」
 彼女は冷蔵庫の中から赤い缶を取り出すと、それを投げてよこした。俺は慌てて手を伸ばして受け取る。
 動揺しながらプルトップを開けると、投げたせいか、少しだけ泡が飛び出した。
「わっ」
 零すまいと口をつけてそれを飲むと、その様子を見ていた彼女は面白そうに笑った。
「あのう」
「なあに?」
 彼女もビール缶のプルトップを開けて、一口、口につけた。
「訊いてもいいですか」
「だめ」
 その即答に、俺は口を尖らせた。
「まだ何も訊いていませんけど」
「さっき、訊いてきたじゃない。それだけじゃないんだろうけど」
 彼女はそう言うとまたこちらにやってきて、ベッドの上に乗ると、ベッドヘッドにビール缶を置いた。それから俺の方に振り向いた。
「ナイショよ。また今度、教えてあげる」
「今度って……」
 何も知らされないまま、また次回もあるってことなのだろうか。釈然としないまま、俺は視線を泳がせた。
 彼女は小さく笑うと口を開いた。
「ねえ」
「はい?」
「キスして」
 そう言って、顔を寄せる。何だかいいように扱われているような気がして、面白くなかった。
「嫌です」
「……そう、か」
 意外にも、彼女が目を伏せて傷ついたような表情を見せたので、俺は慌てて取り繕う。
「だ、だって、何も聞かされないのに、こんなのおかしいですよ」
 そう言うと、彼女は人差し指を立てて、俺の方に見せた。
「じゃあ、一つだけ答えるわ。そうね、『いつもこんなことをしているのか』」
 確かにそれも訊きたかったから、黙って頷く。
 彼女は両腕を伸ばしてきて、俺の首にその腕を巻きつけながら言った。
「初めてよ。こんな、逆ナンパみたいなこと。落ち着いているように見えるでしょう? でも本当はすごくドキドキしてるの」
「ドキドキなんて、嘘」
「ほんとよ。心臓の音、聞こえない?」
 彼女がそう言うから、俺は彼女の身体を隠していたバスタオルをそっと剥いだ。形のよい乳房が現れる。俺はその上に自分の掌を当てた。
「……ほんとだ」
 彼女の鼓動が、まるで掌を動かすかのように伝わってくる。
「ね?」
「じゃ、なんで……」
 俺なんですか、と訊きたかった。けれども彼女は首を振って次の言葉を言わせなかった。
「だめ。一つだけって言ったじゃない」
「でも……」
「キスしてくれる?」
 なぜか不安そうにそう言うから、無我夢中で彼女の唇に自分の唇を押し付けた。舌を差し入れると、彼女もそれに応えてきた。
 我慢できなくて、そのまま彼女を押し倒すように、上に覆い被さった。それから口元を下にずらして、先ほどやっと現れた彼女の乳房をもみしだくと、乳首を口に含んで転がした。
「あっ……」
 そんな声がしたかと思うと、彼女の身体が仰け反った。感じているんだと思うと嬉しくなって、更に彼女を責めた。
 彼女は悩ましく身体をくねらせる。手を彼女の下半身に這わせ、指を彼女の中に侵入させると、そこはしっとりと濡れていた。
「……入れて」
 そういうと、彼女は手を上に伸ばして、ベッドヘッドにあったコンドームを取ると、俺の方に差し出した。
「ちゃんとつけてね」
「あ、はい」
 みっともないけれど動揺してしまって、袋が上手く破けなかった。彼女は半身を起こしてそれを受け取ると、袋を破いて中からコンドームを取り出し、そしてそれを丁寧に、俺のペニスに被せた。
「俺、もう」
 我慢できなくて、彼女を荒々しく押し倒すと、いきなり挿入した。彼女のそこはまだとても濡れていて、すんなりと俺を迎え入れる。
「ああっ……」
 荒い吐息が、耳に届く。自分の欲望の命ずるまま、腰を突きつける。彼女に訊きたいことはまだたくさんあったけれど、そんなことはどうでもいいことのようにすら、思えた。
「あ、もう……だめ」
「いきそう?」
「はい……」
「いいのよ、いって」
 彼女がそう言ってくれたから、遠慮なく激しく腰を動かして、絶頂を迎える。力尽きた俺は、どさりと彼女の上に身体を横たえた。
「すいません……」
 射精してしまった途端に羞恥と後悔の念が沸いてきて、俺は彼女を見ることができずに、そのままの姿勢でそう言った。
「また。何を謝るの?」
「だって、さっきも今も、俺、早くて」
 しかも、飲ませてしまった。飲んでくれたのは嬉しいけれど、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「いいのに、そんなこと。私、早いのは嬉しいの」
「え?」
 顔を上げると、彼女は柔らかく微笑んでいた。
「だって、それだけ気持ちよかったってことでしょう? 嬉しいわよ?」
「なら、いいけど……」
 俺は身体を起こすと、彼女の横に並んで横たわった。
「えと……絵里さん」
「何?」
「でも絵里さんは、いってないでしょ?」
「まあね」
 そう言うと、彼女はくすりと笑う。
「生意気な高校生だなあ。最初からいかせようってか」
 その小馬鹿にしたような口調が少し、癪に障った。
「生意気とか、嫌なんですけど」
「ごめんごめん、でも大丈夫。あたし、初めての人じゃいかないから」
 言いながら、ベッドヘッドに置いてあった飲みかけのビールを手にとって、口に含む。上向いた顎から伸びた細い首筋が、妙に色っぽかった。
「いかなくても、いいの。充実感があったら、それで」
「充実感……ありましたか?」
「あったわよ」
 そう言うと顔を寄せてきて、軽くキスしてきた。
「どうしようかと思ってたんだけど、勇気を出して声を掛けてよかった」
 そう言って、彼女はにっこりと微笑んだ。

 その日は結局、ラブホテルを出てそのまま別れた。
「仕事、行かなくちゃ」
 なんて彼女が言うから驚いてしまった。ホテルから仕事へ直行するなんて、そんなこと許されるんだろうかと思った。そして何より、今更行っても遅刻なんだろうし。
「いいの、フレックスだし」
「フレックス?」
「ああ、まあ……時間はあまり気にしなくていいってことよ」
 彼女は適当に言って、「誘ったから」とホテル代を全額払ってしまった。そして携帯電話の番号とメルアドを電話を掛け合って交換した後、彼女はまたね、と手を振りながら、再び駅に向かって歩き出した。
 また、ということは、次回もあるんだろうか。その想像はとても刺激的だった。
 翌日も、彼女はいつも通り電車に乗り込んできた。何か声を掛けようかとか思ったけれど、彼女は俺の存在が目に入らないかのようにまっすぐ歩くと、まるで何事もなかったかのようにいつもの場所に立った。
 俺が電車を降りるときも、彼女は微動だにせず、窓の外を眺めたままだった。
 淋しいような、腹立たしいような、妙な感情が湧き上がってきて、俺はその感情を押さえ込むことができずに、荒々しい足取りで階段を下りた。
 ちょうど改札を抜けたところで、携帯電話のバイブが震えた。着信画面を見ると、彼女からだった。
(声を掛けようかと思ったんだけど、電車の中だとまずいかな、と思ってやめちゃった。またメールするね)
 そのメッセージを読んだだけで上機嫌になってしまう自分が、少し情けないような、そんな気もした。

 自由出席なのだから、そう毎日学校に行かなくてもいいのだけれど、彼女に会えないのが淋しくて、俺は毎日電車に乗り込んだ。
 彼女はいつも通り、俺の方には振り返らない。
 短いメールを時々交換したりしているけど、それも即座に返事が返ってくる訳でもない。俺に対しての思い入れは、そうないように感じられた。やっぱり他にも、俺にしたように、見知らぬ男を誘ったりしているんじゃないだろうか、とか考えたりもした。
 やめた、色々考えるのもアホらしい。オバサンとか相手にしてる場合じゃないっしょ、とか思った途端にメールが入ったりするので、なかなか完全に忘れるのも難しい。
 そんなある日、またしてもメールが入った。いつもにも増して短い文章だった。
(デートしない?)
 たったそれだけだったけど、有頂天になって喜んだ。それから珍しく頻繁にメールのやりとりをして、時間とか場所とか決めた。見たい映画があったので、それを一緒に見ることにしたのだった。

 そして当日。待ち合わせの駅前広場に着く。あまり早く着くと、軽く見られそうな気がしたので、時間ぎりぎりに広場に足を踏み入れた。彼女は既にやって来ていて、ベンチに座って俺を待っていた。
 いつもスーツ姿しか見ないから、ショートコートにジーンズのミニスカート、ロングブーツという出で立ちの彼女は新鮮だった。けれども爪だけは、いつもと同じピンク色をしていた。
 彼女は俺の姿を認めると微笑んで、立ち上がった。
「あたし達、姉弟に見えるかな」
「あー、そうかも」
「じゃ、腕組んじゃお。こうしたらカップルに見えるかも」
 そう言うと、するっと腕を絡ませてくる。ついでに身体も押し付けてきたから、胸の感触が俺の二の腕にあって、どきまぎしてしまう。
「カップルっつーか、若いヒモ連れてるみたいかもしんないです」
 あまりに照れ臭かったので、そう言って茶化すと彼女は口を尖らせた。その仕草が可愛くて、年上ということを一瞬忘れてしまいそうになる。
「わかったわよ、ヒモくん。じゃ、行こっか」
「絵里さん」
「何?」
「大人げないです」
 そう言うと、彼女はますます口を尖らせたのだった。

 映画館に入ると、俺たちは後ろの方の席に座った。ポップな恋愛ものだからか、やたらカップルが多くて、前の方は埋まってしまっている。
 お決まりのポップコーンとコーラを買って、というか、結局彼女が支払いしてしまったのだけど、それ以外は普通のカップルみたいに並んで座る。
 映画が始まって、場内が暗転する。
 本当にこの映画を見ることは楽しみにしていた。でも、彼女が足を組んだりするから、スカートから伸びた足がやたら気になって映画どころではなくなった。それがまた情けなくて、落ち込んでしまう。
 結局のところ、俺たちは一体何なんだろう。
 いつも同じ車輌に乗っていて、で、一度だけセックスしたことがあって、それから時々はメール交換したりして。
 恋人同士とは呼べないだろう。でも恋人でもないのにセックスはしている。何だか変な関係だ。
 ちらりと彼女を盗み見ると、その視線を感じたのか、彼女もこちらを振り向いた。その視線を受けて、すっかり狼狽してしまって、慌てて正面に向き直った。
 すると。
 彼女の右腕が、俺の方に伸びてきたかと思うと、足に触れた。それが少しずつ上がってきて、性器を捜して彷徨う。
 刺激的だったけれど、同時に嫌悪感が沸いてきた。
 俺は勢いよく席から立ち上がった。そして振り返らずに、扉に向かって歩く。
「ちょっ……」
 彼女の慌てたような声が背後から追ってきたけれど、俺は構わず扉を開けた。彼女も一緒にロビーに出てきて、背を向けたままの俺の肩に触れた。
「ごめん、怒った? つい」
「ついって……俺のこと」
 身体だけなんですか、と思わず言いそうになって口をつぐんだ。以前、つきあっていた彼女から言われた言葉だった。
 俺は振り返ると、小首を傾げている彼女の手首を掴んで、歩き出した。
「えっ、ちょっと、何、どこに行くの」
 彼女が戸惑いながら言うその言葉は完全に無視して、お手洗いの中に彼女を引っ張り込む。それから個室に押し込めると、後ろ手に鍵を閉めた。
「嘘でしょ?」
 怯えたような彼女の声音が少し意外で、一瞬だけ躊躇したけれど、思い切って彼女を後ろ向きに壁に押し付けた。
「ちょっと、やっ」
「うるさい」
 そう言うと、俺は背後から左手で彼女の口元を覆う。今はまだ上映の真っ最中だから、人はまず入ってこないだろうとは思ったけれど、彼女の口から発される拒絶の言葉は聞きたくなかった。
 身体を押し付けて、身動きがとれないようにする。彼女はいくらか暴れていたけれど、俺の作業の邪魔になるほどじゃなかった。
 いくら年上だって、力じゃ男の方が勝っている。
 スカートをたくし上げる。といってもミニスカートだから、すぐに下着が現れた。その中に手を入れる。
 くぐもった小さな悲鳴が聞こえたけれど、完全に無視して指で中を探った。
 濡れていた。
 矛盾しているようだけど、それがまた腹立たしい。
 馬鹿にしやがって。
 やっぱり淫乱なんだ。きっと他にも俺みたいな男がいるに決まってる。
 無茶苦茶にしてやりたかった。俺は手早く自分のジーンズを下ろす。
 彼女の下着は下ろさずに、横から自分のペニスをあてがう。そして彼女の中に一気に侵入した。
 彼女の身体が仰け反る。俺の左手の中に彼女の声が吸い込まれる。
 何度も何度も、腰を突きつける。
 馬鹿にしやがって、馬鹿にしやがって。
 それだけしか考えられなかった。けれども本能の方は、快楽を連れてくる。
「いく……」
 中に出してやろうかと思ったけれど、それは怖かったから、絶頂を迎える寸前に抜いて、精液をトイレの床にぶちまけた。
 自分がいってしまってから、彼女の口を押さえていた左手を離し、それからゆっくりと身体を離す。
 彼女は崩れ落ちるように、その場にうずくまった。
 彼女は泣いていた。しゃがみこんだまま、嗚咽を洩らして肩を震わせる。必死で洩れ出る声を抑えようとしているのが分かった。
 彼女をこんな風にしてしまったのは他ならぬ自分自身だけれど、小さく丸まった彼女を見ると、申し訳ないような気持ちでいっぱいになった。
「……んね」
「え?」
 小さな、本当に小さな声で彼女が何か言うから、俺はジーンズを履き直しながら、彼女の傍にかがんで耳をすませた。
「ごめんね」
 彼女は、そう言っていた。顔を上げようとはしない。
「何を謝って……」
「傷つけてたんだ……」
 そう言うと、ますます小さくなって泣き続ける。
 俺のしたことに対して泣いているのだと思っていた。けれども彼女は自分の行動に対して涙を流していた。
「ねえ、絵里さん」
 訳が分からなくなって、そう囁いた。
「どうして俺を誘ったの?」
 それを訊かなければ何も理解できないような気がした。彼女はしばらくは黙っていたけれど、ふいに顔を上げて真っ赤になった瞳で俺を見つめた。そして何か大切な秘密を打ち明けるかのように、そっと言った。
「見てくれたから」
「え?」
「あたしのこと、見てくれてたから」
 電車の中で。
 それが嬉しかったのだと言った。そしてまた俯いて、涙を零す。
 彼女の過去の恋愛や、環境なんかは全然知らない。けれども、彼女がどうして俺に声を掛けたのかは分かったような気がした。
 淋しかったのだ。
 ただ、それだけだったのだ。
「見てたよ。見てるから」
 俺は彼女を後ろから抱きしめて言った。
「俺のことも見てよ」
 腕の中の彼女は、ぴくりと肩を震わせたあと、小さく頷いたのだった。

 しばらくトイレの個室の中に篭って、彼女が泣き止むのを待った。泣き止んだかと思ったら、ふいに彼女が言った。
「あのね」
「何?」
「外出しって避妊にならないの、知ってる?」
「嘘」
「ほんと。友達がそれで妊娠したの」
 血の気が引くのが分かった。妊娠なんて遠い世界のことのような気がしていた。大体、コンドームを使わなかったのは、今が初めてなのだ。それでヒットしてしまったら、俺はなんて間の抜けた男なんだろう、そんなことになったら大学はどうなるんだろう、とか、ぐちゃぐちゃと色んなことを考えた。
「びっくりしてる?」
「……うん」
 俺が小さくそう言うと、なんと彼女は満足げに笑った。
「大丈夫よ。今日はピルを飲んでるから」
 開いた口が塞がらなかった。
 つーか、ピルって、ヤル気マンマンだったってことですか? それでもって、大丈夫なことが分かっているのに、どうしてこの人はわざわざ俺を苛めるようなことを言うんですか?
「仕返しよ」
 彼女はくすりと小さく笑うと、個室の鍵を開けた。
「映画、一緒に見よう」
「うん……」
 なんだか釈然としないまま、お手洗いを出る。次の上映までにはまだ時間があったから、ロビーの椅子に、二人並んで座った。
 彼女が俺の方を見て言った。
「ピンクのマニキュア、好きでしょ?」
「え? いや別に、何色でも」
「嘘。いつも指先を見てるから、好きなんだと思ってた。だからずうっと変えてなかったのに」
 彼女は心底驚いたように言って、自分の手を前にかざして首を傾げた。
「……なんで、俺が見てるの知ってんの?」
 確かに一回だけは目が合ったけれど、それ以外はいつもドアの外を見ているくせに。
 彼女は前にかざしていた手を引っ込めると、膝の上に置いた。
「ドアに映るじゃない。気付いていなかったの? もしかして」
「あー……」
 ドアの外の風景を見ているのかと思っていたら、そこに映っている俺を見てたってか。
 恥ずかしー。フツー気付くよな。俺って、とことん間抜け?
 がっくりして肩を落としていたら、追い討ちをかけるように、彼女の声が降ってくる。
「たまにはいいわね、ああいうのも」
「ああいうの?」
 そう問うと、彼女は俺の耳元に顔を寄せて囁いた。
「興奮しちゃう」
 そして、ふふ、と悪戯っぽく笑った。
 その言葉を聞いたら急に力が抜けてしまった。
 さすが年上。
 何枚も上手だ。これは敵わない。
「あ」
 場内から人が何人もロビーに流れてきた。どうやら上映は終わったらしい。
「行こう」
 俺は立ち上がり、彼女に手を差し出した。彼女は少しはにかんで、俺の手に自分の手を乗せた。ピンクのマニキュアが光る。
「似合うと思うよ」
「え?」
「その、マニキュア」
 すると彼女はまた、無邪気な笑顔を見せたのだった。


-了-
Posted by rika777 at 13:39│Comments(22)
この記事へのコメント
私はこういったジャンルの小説を読んだことがないので
的はずれなことを書いてしまうかも知れませんが。

「絵里」は何歳くらいなのかなあ。
なんとなく、ですが20代後半くらいかな?(つまり、読者層と同じ感じ?)
私が色恋沙汰で一番勉強した年代でした。
逆ナンはしなかったと思う(笑)けど、似たような年の差カップルやって
相手のあまりのガキっぷりにキレて(笑)ひどい別れ方をしたこともありましたなあ。
でも、あの頃いろいろ経験しておいて良かったと今は思います。
・・・あ!妙なことを思い出しちゃったじゃないですか(笑)。

この小説に具体的な性描写って必要なのかなあとちょっと思いました。
もう少し遠回しというか、イメージが膨らむような描写でもいいのかな。
「慎吾」の戸惑いとか気持ちのゆらぎを表現するためには
このくらいが良いのかしら?

絵里が慎吾をさそった理由がちょっと分かりにくいかもです。
「あたしのこと、見てくれてたから」
今まで彼女がつき合った相手は、彼女を見てくれてなかったのでしょうか。
外出しで妊娠したのは、もしかして友達ではなく
彼女を見ていなかった相手との・・・・。
彼女が意を決して慎吾に声をかけることになったきっかけは・・・。
そういう回答編みたいな挿話がちょっとあると
いっそう読みやすくなるかな、みたいな。

なんか私、「オレンジジュース」のときも似たようなコメント書いた気がします。
私の方が頭かたいのかも。

すいません、またいろいろ勝手なことを書いてしまいました・・・・。
Posted by しのぶ at 2005年02月05日 04:17
>しのぶさん
 またまた感想くださいまして、ありがとうございます〜。

>「絵里」は何歳くらいなのかなあ。
 ビンゴ! 28歳を想定して書きました。
 年齢を出すべきかどうか悩んだのですが、書くところが見つからなかったという……(汗。彼女についてはほとんど記述していない、というかできなかったもので……。とほー。

>・・・あ!妙なことを思い出しちゃったじゃないですか(笑)。
 思わず、ふむふむ、と楽しんで読んじゃいました(笑)。
 実は私は、年下とおつきあいしたことはないんですよ。同い年か年上ばかりで。年下ってどんなもんかな〜、と完全に想像で書きました。そのリアリティのなさがいけないのかも(汗。

>具体的な性描写って必要なのかなあとちょっと思いました。
 実は正直、加減が分からなかったんです(汗。
 今公開されている最終候補作なんかを読むと、全然盛り込まれていなくて、「これくらいでもいいのか!」と軽めにショックを受けています。
 まさにしのぶさんの言う通り、
>イメージが膨らむような描写
 を心がけるべきでした。
 これは本当に「完全に失敗した」と思っている点です。とほー。

>絵里が慎吾をさそった理由がちょっと分かりにくいかもです。
 うっ。
 実は作者的には、故意にぼかしたつもりでした。
>「あたしのこと、見てくれてたから」
 というこのセリフで「自分に重ねて下さい!」みたいな。
 年をとれば、ちやほやされなってきたり、恋人と別れたりとか人によって様々だろうから、それに重ねて欲しいなあ、という作者の希望でした(汗。寂しさだけは全ての人に共通しているものだと思いまして……。
 でもラスト近くで、そういうあざといことをしている場合でもありませんでしたね。反省です。

 ちなみに私の中では、彼女は上司と不倫中で、新人にその彼を取られたという設定でした。なんじゃそりゃ。

>またいろいろ勝手なことを書いてしまいました・・・・。
 いやいや、しのぶさんのような読書家の方に読んで感想をいただけるのは、本当に嬉しいです〜。(ってコレ、前にも書いたな(汗。次回作に向けて、参考にさせていただきますっ。
 しかも二作続けて感想をくださるとは、もう東京に足を向けて眠れません!

 丁寧な感想、本当にありがとうございました。ぺこー。
Posted by リカ at 2005年02月05日 14:46
朝、読ませて頂いたんですけど、時間がなくてコメント今デス。
経験から言って朝っぱらからホテル行って、シャンプーはしないと思うんですが…?(シャワーを浴びたばかりだからか、シャンプーのいい匂いがして…と、ある)
そして、ホテルで言った絵里の一言、(初めてのひとじゃいかないから)…あ、あたしみたい…(えへ?)
と、やっぱ高校生の男の子の目から見てるストーリーなんで、細かい描写はいらないかな?
その位の男の子っていろいろ考えながらしてるかなぁ〜?

昔、ダブル不倫してました。10歳も年下の彼でした。短い期間だったけど、読んでて思い出しちゃいました。今、近所に住んでるんですよ。だから終わらせたってのもあるけど…。
カンケイナイ話でした(縮)

最後の終わり方はホッとしました。慎吾のかわいさと、年上女の何枚も上手を行く会話に!
続きのストーリーもあるんですか?

Posted by よっち at 2005年02月06日 22:43
ど・ど・どーもー、一応オンナなもんで、お、おじゃまします。(動揺)

男性(というより男の子か?)が主人公なんですね。私は男性が書いた女性が主人公の話はあまり好きじゃないんです。なんかどこか違和感があるというか、違うなーと思っちゃう。そういう表現しないよって思うこともあるしね。(例:普通パンストって言わなくない?ストッキングだろーみたいな)だから、男性側から見たらどんな感じなんでしょうね?ちょっと興味があります。

ずいぶん淡々とした文章だなーって思って読み進めました。「遊び人の大人の女」っていう冷たい感じで、やな女だなーって感じだったんですが。

最後の方、突如リズミカルになって、急に一気に読めたって感じでした。なんだ、ホンワカしたイイ女性だったんだーって。前半部とのギャップにびっくりしました。

他の方のコメントにもあるように、ここまでの性描写じゃなくても良かったのかなーと思いました。ホンワカした終わり方だし、実はかわいらしい女性だったしね。

素人が偉そうにすみません(汗)しかも的得てるのかどうかわからないし。図工に続き、国語の読解力も苦手だったんで(爆)さらっと流してくださいね。
Posted by pure at 2005年02月07日 00:01
読みましたーー。
読書量が少ない上に、昔から読解力というものがないもので、リカさん的に「ハァ?」って感じのことを書いてしまうかもしれないのですが、一応、感想です↓

上(しのぶさんへのレス)で書かれている絵里の背景や過去を知った上で読んだら、また違う印象になって、ぐっとくる度がアップしたので、そういうのとか、あと、二人のそれぞれの行動にいたる心理をもう少し深く知りたいなあと思いました。
(↑短編&男の子の一人称だとムズカシイとは思うのですが。。。)

性描写は「エロ」ではなくて「官能」って感じで良かったです。でも、やはり皆様のおっしゃるように、この小説の全体的な雰囲気に合わせるとちょっとばかり派手だったかもしれません…(トイレの床にぶちまけるシーンなんて個人的には好きなんですけど(笑))

全体的にすごく纏まってますね。読みやすかったです。
書き慣れている感も出てて、さすがだなあと思いました。
もちろん文章はお上手で、詰まらずにスラスラと読めましたし、場面変わるところの書き方(←すみません語彙がなくて…)とか超自然でウマイですね、羨ましいかぎりです。

なんか、いつまでパソコンいじってんだって同居人がキレかけているので(笑)ココマデで失礼します。
何か失礼&的外れなことを書いてしまっていたらスミマセン。
Posted by ももの at 2005年02月07日 02:17
>よっちさん
 感想、ありがとうございます〜。

>朝、読ませて頂いたんですけど、時間がなくてコメント今デス。
 おおっと、朝からこんなもん読んでもらってスミマセン〜。さぞ、さわやかな朝をお邪魔したことでしょう(汗。

>シャンプーはしないと思うんですが…?
 ……え? ……う?
 あ、ほんとだ! マジで今、気付きました〜。ひえ〜、恥ずかしい〜! ご指摘、ありがとうございます。

>その位の男の子っていろいろ考えながらしてるかなぁ〜?
 ……さあ?(をい。実際のところはどうなんでしょうね。正直、男性心理は聞いた話から書くか想像しながら書くしかないので、現実とかけ離れないことを祈りながら書いています。
 かけ離れちゃっているかもしれません(汗。精進します〜。

>昔、ダブル不倫してました。10歳も年下の彼でした。
 そりゃまた、ハードな経験をなさってますね(汗。
 でも、私の書いたもので自分の過去を思い浮かべて下さるのは、嬉しいことです。それが設定のみで、文章力のせいではないとしても(苦笑。

>最後の終わり方はホッとしました。
 ありがとうございます〜。実は、ここを書きたいがために、前半をむりやり捻出しました。そう言っていただけると嬉しいです。

>続きのストーリーもあるんですか?
 頭の中にはありますが……この話がないと成り立たないので、投稿作として書くことはないと思います。ですから、もしデビューできたとして、許されるなら、改稿改稿で書くこともあるかと(汗。
 夢みたいな話ですが、いつか実現できればいいと思います。

 拙作を読んで下さいましてありがとうございました。おまけに感想まで。参考にさせていただきます!
Posted by リカ at 2005年02月07日 09:52
>pureさん
>一応オンナなもんで、お、おじゃまします。(動揺)
 やだなあ。pureさんはバリバリの女性じゃないっすか〜。何を動揺して……あ、漢クラブ会員だから(笑)?

>男性(というより男の子か?)が主人公なんですね。
 こちらはそうです。こちらは、というのは、二作投稿したのですが、もう一つは女性の一人称でした。ですから、まさかこっちが残るとは思っていなかった(汗。いくら漢クラブでも、一応女性心理の方が分かるはずですもの。残るとしたら、そっちだと思っていたんですけど……女性心理を描くのにも問題アリの模様です。とほー。

>(例:普通パンストって言わなくない?ストッキングだろーみたいな)
 この例、分かりやすっ! うんうん、そうですよね〜。
 元々、R-18文学賞自体、「男性が書く官能小説に対抗」的な意味合いがあるみたいです。リアリティに欠ける、と思わないか? と。だから女性側から性をテーマにして書いてみよう、と。
 でも男性視点で書いてしまいました(汗。
 男性から見たら、「こんなのおかしいよ」と思われるかもしれませんね。

>最後の方、突如リズミカルになって、急に一気に読めたって感じでした。
 ほっ。そう言ってもらえると安堵します。多少はそれを意識して書きました。前半部から謎で引っ張って後半部へ突入したかったんです。
 絵里についてもそうです。前半は謎めいた感じで進めて、後半で一気に共感できるようにしたかったんです。
 狙い通りにはなってませんけど(汗。

>ここまでの性描写じゃなくても良かったのかなーと思いました。
 はりきりすぎました。ハズカシー。
 しのぶさんへのコメントにも書きましたが、加減が分からなかったんです。どこまで書いていいものか、と。「性をテーマに」というからには、これくらいは必要なのではないかなーと思っていました。
 最終作品を読んで、がっくりしています(苦笑。

>素人が偉そうにすみません(汗)
 いえいえ、とんでもない。非常に参考になります。前作に引き続き、再び感想をいただいて感謝感謝です。
 ありがとうございました!
Posted by リカ at 2005年02月07日 10:15
>もものさん
 拙作を読んでいただきまして、ありがとうございますっ。

>「ハァ?」って感じのことを書いてしまうかもしれないのですが
 いえいえ、とんでもない。こころして聞かせていただきます! 未だに受賞できないということは、私の作品に欠点があるということだけは確実なんです。その欠点を見つけて下さるのは本当にありがたいことです。気付かれたことがあれば、何でもお願いします〜。ぺこぺこー。

>絵里の背景や過去を知った上で読んだら、また違う印象になって、ぐっとくる度がアップしたので
 そうですよね。ほんと、反省です。
 枚数的には余裕があるはずなんですが……応募要綱では、
>400字詰め原稿用紙換算で30〜50枚まで(1行40字で300〜500行まで)。
 となっているんですよね。ということはあと14枚使えるはずなのですが、なぜか1行40字で換算すると、この枚数がギリギリだったんです。おそらく改行がやたらに多いのがいけないのだとは思うのですが、もう一つが完全にオーバーしていたので(原稿用紙換算だと入っている)、こちらはムリヤリまとめてしまいました。
 それで心理描写がおろそかになっては本末転倒ですね。省略すべきところを間違えました。

>この小説の全体的な雰囲気に合わせるとちょっとばかり派手だったかもしれません…
 ううう。やっぱり(汗。
 前回の最終候補作への書評を読んだ時(そのときにはもう既に候補作は読めなくなっていた)、「ここに自慰行為が入っていないのはおかしい」とかいう一文があって、それでビビってしまって書き込みすぎました。作風にあった描写というものがありますよね。考えが足りませんでした。

>全体的にすごく纏まってますね。読みやすかったです。
 ありがとうございますっ。そう言っていただけると自信に繋がります!
 読みやすさだけは本当に気にして書いています。けれども未だ、言葉の選択を間違っているのではないかと不安に思うことも多々あります。
 その中でお褒めの言葉をいただき、本当にありがたいです。

>なんか、いつまでパソコンいじってんだって同居人がキレかけているので(笑)ココマデで失礼します。
 ややや。同居人さん、ごめんよ〜。もものさんの時間をちょっと拝借しちゃったよ〜、許して。てへ。
 ……とお伝えください(笑)。

 機会があれば、もものさんの作品も読んでみたいです。そして参考にさせていただきたいです〜。えへ。
 感想、ありがとうございましたっ。参考にさせていただきます!
Posted by リカ at 2005年02月07日 10:50
すっかりご無沙汰しています。

先日は、ウチのブログにコメントいただき、ありがとうございました。

さて。拝読いたしました。
うん、他の方も書かれていますが、うまくまとまっていると思います。

心理描写も、枚数制限から考えるとギリギリのラインだと思いますし、性的描写も、ちょうどいい感じがします。
(このへんは、あくまで個人的ですが。)

みなさんがコメントされているので、これ以上内容には触れませんが・・・・・


今度スロット教えてください(爆笑)
実は、もう15年くらいやってません。


ではでは。
Posted by azzurro_t at 2005年02月13日 05:53
>azzurro_tさん
 お久し振りです〜。
 一時期、更新がストップしていたので心配しておりましたが、再開(?)されたのですね。頑張ってください!

 拙作を読んでいただき、ありがとうございます。
 前作と比べて、いまひとつ進歩が見えていなくて申し訳ないです……。

>他の方も書かれていますが、うまくまとまっていると思います。
 お褒めの言葉、ありがとうございますっ。自信に繋がります。
 心理描写の分量、性描写の分量、なかなか自分ではどれくらいが丁度いいのか判断できません。
 性描写の方は、かなり課題を残した状態になっていますが、次回作に向けて精進したいと思います。

 受賞した暁には、サイン本を……という約束は、まだまだ果たせそうにありません。ごめんなさい。しょぼーん。

>今度スロット教えてください(爆笑)
 ワタクシに教わると、すごいことになりますよ(苦笑)。収支を見ていただければ分かりますが、そりゃもう、すごいことに(涙。
 15年前ですか……かなり変わっていますよね。昔のスロを楽しんでいた方は、今のスロは逆につまらないかもしれないですね。

 ではでは、感想、ありがとうございましたっ! 約束が果たせるよう、精進いたします〜。
Posted by リカ at 2005年02月13日 16:26
 リカさま、ご機嫌麗しゅう? 読ませていただいたわ。とっても楽しめましたのよ。

 私、絵里さんって実はすごくウブな方なのだと思いますの。遊んでる女のフリをして主人公を誘惑したのは、振られる事が怖かったせいじゃないのかしら? 誘っても断られたらどうしよう、絶対に断られないような方法はないか、じゃあ体を使って誘惑すればいいんじゃないか、という発想なのだと思うわ。
 それが、主人公も自分自身も傷つけてしまったのだから悲しいわね。体だけの関係に悩んでいた主人公を、体だけの関係で誘惑してしまった絵里さん。でもお互いに本当に憧れているのは体だけの関係じゃない恋愛なのだから、お二人はお似合いだと思うわ。偶然の出会いかもしれないけれど、話の登場人物としては必然的だと思いますの。とっても素敵ね。

>「あたしのこと、見てくれてたから」
 しのぶさんも仰ってますけど、この言葉の裏にどんな葛藤があるのか気になりますわ。

>中に出してやろうかと思ったけれど、それは怖かったから、絶頂を迎える寸前に抜いて、精液をトイレの床にぶちまけた。
 トイレの中は狭いし、若い殿方は上に反りかえってますから壁に飛んでった方が自然かと思いますわ。そのテのビデオでは女の方のお尻にかけている方もいらっしゃいますわね。いえ、もちろん人から聞いた話ですのよ。
 それとも彼、勢いが弱いのかしら(笑。

 正直に言いますと、この長さではすこし物足りないですわ。もっと二人の間でいろんなやり取りがあっていいと思いますの。

 では、次も楽しみにしていますわ。頑張られてくださいのことよ。


Posted by chew(オカマ廃業) at 2005年02月19日 15:48
>chewさん
 ほほほほほ。ごきげん麗しく。
 拙作を読んでくださって感謝感謝ですのよ〜。

>絵里さんって実はすごくウブな方なのだと思いますの。

 その通りですわ、さすがchewさん、女心がよく分かっていらっしゃる。ああ、女性ですから当たり前ですわね。ほほほ。
 清廉潔白な女性ではないけれど、割と純真だという設定ですの。その純真さ故に傷つくのを極端に恐れているんですの。そして自分が好かれているだなんて思いもしない女性なんですのよ。好かれることに慣れていないんですのね。

>偶然の出会いかもしれないけれど、話の登場人物としては必然的だと思いますの。とっても素敵ね。
 
 完全創作の話に「必然」という言葉を使っていただけるのは、何よりの喜びですわ。この気持ち、chewさんなら分かっていただけると思うの。ありがとうございます。

>この言葉の裏にどんな葛藤があるのか気になりますわ。

 ぬああああ。やっぱりそこが一番のネックなのですね。ううう。作者の独りよがりな思い込みによって、ああいった流れにしてしまいましたわ。反省しております……。

>それとも彼、勢いが弱いのかしら(笑。
 
 ワタクシの経験値が低いことが露呈してしまいましたわ。ええ、純真無垢なんですもの。立ちポーズは経験ないからあ。ほほほほほ。
 ちょっと身体をずらして手で持ったらできません? できませんか、すみません。
 貴重な情報、ありがとうございます。お知り合いの方によろしくお伝えくださいませ。うふ。

>この長さではすこし物足りないですわ。

 枚数制限がよく分からないまま、無難な枚数に留めてしまいましたの。もう少し検討するべきでしたわ。書き込み不足、ですわね。物足りなさを感じさせてしまって申し訳ないですわ……。

 拙作を読んでくださり、ありがとうございます!
 chewさんにはいつもお世話になりっぱなしですみません〜。

 ところで、合わせてこの口調にしてみましたけれども、私には無理が……あっ、いえっ、これが地なんですのよ。おーほほほほ。

 ではでは、丁寧な感想、ありがとうございました! ぺこー。
Posted by リカ at 2005年02月19日 17:53
はじめまして、ミチルといいます。
せっかくここに寄らせて頂いた記念として、ついでに感想もさせて頂くことにしました。
えっと、実は私も作家志望なんですよ。
作家を目指していらっしゃるということなんで、本当にお世辞も社交辞令も抜きで、正直な感想を言いたいと思います。

以下、長いんでコメントを分けて書いてます。↓
Posted by ミチル at 2005年11月27日 01:04
…えっと、まずインパクトがありません。学生が年上の女性に誘われて…というシチュエーションもありがちな印象を受けました。
きついこというようで、すいません。
学生で電車登校…っていうのも、現実で多くの人が経験していることなので、つい読み流してしまいます。
物語の最後の部分で主人公が彼女のことを気にしていた…という風なもっていき方をされていましたが、それだったらもうちょっと前に伏線を張っておいたほうがいいと思います。
Posted by ミチル at 2005年11月27日 01:06
一番初めに顔見知り程度の人に話しかけられた、という印象を受けたので、もったいないと思います。どうせならもういっそ初めに、主人公が電車の中で彼女の指先を気にしているシーンを入れるとか…情報がないと読者はストーリーに感情移入ができませんから、それだけで作品が大分良くなると思います。
こういう日常の話を書いていくのは、非常にセンスが必要とされると思います。作家の江国香織さんがその代表格ですね。ありふれたような日常のなかに、読者がおやっと思うような作者の感性をはさんでいかなければならないので、大変です。ヘタな人が書くとただの日記のような文章になってしますので、書きこなすのが非常に難しい分野だと私は思っています。
Posted by ミチル at 2005年11月27日 01:06
それでも同じ作家志望としてがんばってほしいと思うので、あえてきつい意見ばかり言いました。

以上で感想終わりです。
失礼なことばかり言って、すいませんでした。
Posted by ミチル at 2005年11月27日 01:09
★ ミチルさん
 はじめまして、ようこそお越しくださいました♪
 「ぽやぽや。」の方からお越しくださったのでしょうか? こちらは本当に物置……いや、あかずの間と化しているので(笑)、新たなコメントが入っていることに非常に驚きました。ありがとうございます!

>まずインパクトがありません。
 まったくもって申し訳ありません(汗。
 正直、これは前々から言われていることで、「アクがなさすぎる」「こじんまりとしすぎ」など、色々な方からご意見を頂いています。
 作家を志す者として、致命的な欠陥ですね、ハイ。
 かといって、すぐさまインパクトのあるストーリーや設定を思いつけるかというと、なかなかそうもいかず……。こればかりはセンスを身につける努力をしていくしかないので、これからも精進していきます。ご指摘、ありがとうございますっ。

 続きます。
Posted by リカ at 2005年11月27日 14:16
>主人公が彼女のことを気にしていた…という風なもっていき方
 これは、「彼女」が「彼」のことを気にしていた、ということでいいでしょうか?(汗。違っていたらすみません。
 もしそうなのだとしたら、伏線は「こちらへ振り向いたこともある。」のみですものね。確かに、読者の方には唐突に思われてしまう書き方ですね。
 もし「彼」が「彼女」のことを気にしていた、ということであるならば、物語は「彼」の一人称で進んでいるし、彼女を気にしていたことは冒頭の方で書いているので、このくらいではないかと思っていたのですが……。

つづきます。
Posted by リカ at 2005年11月27日 14:19
>顔見知り程度の人に話しかけられた、という印象を受けたので
 その通りです。顔見知り程度です。二人には何の接点もなく、「電車でいつも同じ車両に乗る人」でしかありません。ただお互い、その他大勢の中から頭一つ抜け出て意識していた程度、という設定なのですが……そのへんが、どうにも不親切に書いてあるのですね。マニキュアを最初から意識していた、というのは書いたつもりだったのですが、伝わらなければ何の意味もありませんでした。反省です。

>書きこなすのが非常に難しい分野だと私は思っています。
 そうですね。今までほとんど書いたことのない分野でしたので、その難しさを痛感いたしました(汗。
 今は本当に「ただの日記」状態ですが、なんとか書きこなせるようになりたいものです。

つづきます。
Posted by リカ at 2005年11月27日 14:20
>失礼なことばかり言って、すいませんでした。
 いえいえ、とんでもございません(汗。拙作を読んでいただいた上に、感想までくださって、感謝感謝です。
 何一つ結果が伴っていないわけですから、欠点だらけなのは間違いないのです。必然的に褒めるところはほぼないはずなのです(涙。

 感想、ありがとうございました! 参考にさせていただきたいと思います。ぺこー。
Posted by リカ at 2005年11月27日 14:20
読ませていただきましたです。
枚数とか文字数制限の世界の中では難しい事ばかりですね。
設定なども、「どこかで見た・・・」になりがちですよね。
でも、それを恐れず、「そんな感じのお話の中で、一番印象に残る!」を目指して頑張ってください!
応援しています☆
Posted by maya at 2007年07月14日 03:42
★ mayaさん
>読ませていただきましたです。
 ほんと、三作も読んでいただきまして、お疲れ様でございました(汗。

>難しい事ばかりですね。
 そうですね〜。私にとってはなかなか難しいです(汗。
 やはり、50枚なら50枚、300枚なら300枚にふさわしい話があるはずで、そのあたりのバランスのとりかたがヘタなのかもしれません。

>「どこかで見た・・・」になりがちですよね。
 新人賞を目指すなら、なおさら、印象に残るものを書かなければならないのですが……なかなか(汗。
 小さく縮こまった殻を破るくらいの気概で書いていかなければなりませんね。

>応援しています☆
 ありがとうございます! 応えられるように頑張っていきたいと思います。

 拙作に感想をくださいまして、ありがとうございます。
 感謝感謝です〜!
Posted by リカ at 2007年07月15日 11:57