りかこの乳がん体験記

 30代でみつけた左乳房のしこり。 「“良性”だからそのままにしておいていいよ」。 視触診だけで簡単に下された診断。 そして私は医師の言う通り放置した。 4年8ヶ月後、大きくなったしこりを切除。 “良性”だと思っていたのに、病理検査の結果は悪性――乳がんだった・・・。

入院・通院

術後11年の検査

結局、11年目の検査はおっぱいだけ

採血、CT(単純+造影)、骨シンチなしの、
マンモグラフィとエコー検査のみ


検査の予約を入れたのは、2週間ほど前

CTや骨シンチがない分、
すぐに予約が取れた

CTや骨シンチもするのであれば、
おそらく検査は、早くて3週間後...

...と、いったところだろう



はらはらと舞う雪の中

ダウンコートに身を包み、病院へと向かう

「ダウンは好きじゃないから、もう買わない」

そう決めていたが、
昨年のセールで
あまりの激安に負け、購入

冷え込んだ日や雪の日は、
やはり、ありがたい存在だ



院内は暑いくらい暖房が利いている

良いのか悪いのか、
この新しい病院にも通い慣れてしまった


外科で受付を済ませ、
まずはマンモグラフィ検査から

放射線科へ向かい、暫し待つ

こうして待合所の椅子に腰かけていると、
患者気分満載だ



撮影室に促されると、
室内は少し薄暗い

昨年までは、
部屋中が煌々と照らされていた記憶がある

マンモは恥ずかしい検査でもある

検診に来た人たちも、
薄暗いことで
恥ずかしさも軽減されるだろう


それにしても今の病院は、
「気遣いがすごい」と感心する


撮影は、女性の技師さん

数年前に1度、
男性の技師さんに当たったことがあったが、
やっぱり女性の方が気持ちが楽だ

今回の技師さんは、かなり手早い

アクリル板の締めつけも、緩め

なので、苦痛が少なく、
いつもより楽に受けられた



予定より少し早めにマンモが終わり、
再び外科へ

次はエコー検査だ


どのくらい待っただろう


エコー室に入ると、
ここでも女性の技師さんが迎えてくれる

女性の技師さんが検査をしてくれるのは、
今や当たり前となった

そして、
ここでも室内の照明を落としてくれる気遣い

ありがたい


検査は、
いつもは手術をしていない右胸からだが、
今回ははじめて術側からだった

今回の技師さんは、
あまりプローブを押しつけない

けっこう力を入れる人もいるので、

“エコーは痛くない検査”

と言われていても、
ちょっとは痛かったりする

術側の胸なら尚更だ

  あと、
  やたらとゼリーを付ける技師さんとか...



毎回エコーを受けるたび、
必ず技師さんの手が止まる場所が数か所ある

何度もプローブを押し当て、
パソコンに打ち込んでいるのか、
何か作業を繰り返す

それが今回は、2か所ほど増えた

もともと、右胸にもしこりがある

術後の乳房にも怪しげなものがある

その場所にプローブが何度も止まると、
いつもぞっとするのだ



エコー検査が終わると、
最後に医師の診察

「マンモグラフィと
 エコー検査をやってもらいましたが...」

と、主治医はパソコンに映し出された、
私の乳腺を見ている

「...大丈夫そうですね。
 再発も、新しいがんもできていないようです」


そして、来年の検査の計画を話し合い、
今日の受診は終了


2つしか受けてない検査

なのに、ぐったり...



マンモグラフィとエコー検査のあとは、
やっぱり少しだけおっぱいが痛む



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検査予約

毎年、1月の末から2月にかけて受けている、
1年に1度の大掛かりな検査

CTや骨シンチ検査がいつも予約がいっぱいで
3週間またされることもある


なので、本来なら、
昨年末か今年に入ってすぐに
外科外来に予約を入れなければならないのだが、

考えた末、やはり今年は、
CTと骨シンチは受けない方向で...


...ということで、
検査はマンモグラフィとエコーのみ

  あ...、採血はするのだろうか...

おそらく、
CTや骨シンチほど混んではいないと踏んで、
今日、ようやく予約へ...


  面倒だな、病院...

  嫌だな、検査...


...とは言ってはいられないのだが、
やっぱり面倒である

お金もかかるし、
時間も取られる

検査は痛いし、恥ずかしい...


何より冬は、
吹雪にならないか心配なのだ


骨シンチは撮影のために、
特殊な薬剤を静脈に注射する

薬の使用には期限があり、
その時間に検査を受ける患者用に作る

なので、ドタキャンすれば、
薬代は無駄になり、実費

約3~4万円を支払わなければならない

...ということで、
冬の検査は天候がとても気になるのだ

  その点、今回は、ちょっとだけ気が楽...



検査...か...


なんだか、どっぷりと患者気分だ

何年経っても、
やっぱり検査は憂鬱なものである


そして、検査のたび、
“私はがん”という言葉が去来するのだ――


  “がん”からは、
  一生逃れられないんだなぁ...



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急遽、婦人科へ...

おっぱいが張り、痛みが強い

下腹部も張ってきた

お腹も痛い

「そろそろ、来そうだな...」


そんなことを思った昨日、
案の定、生理がはじまる


が、止血剤がない

あと2日分...


明日は日曜、
病院は休み

月曜は、
なんとか時間が取れれば
病院には行けるが...

効果があまり見られない止血剤だが、
やはり無いとなると不安だ


...ということで、急遽、婦人科へ


土曜のため、本日の診療は午前だけ

急いで支度をし、
完全ノーメイクで家を出る

    婦人科受診 ①


外はものすごい強風

ぽつぽつと落ちてくる雨粒...

空を見上げると、
大きな灰色の雲が迫ってくる

『夕方ならまだしも、
 こんな時間に夕立的、雨?』

予報にはなかった天気に驚きながら
先を急ぐ


いつもは平日に来ていた婦人科

止血剤をもらうようになってからは
不定期になった


土曜日はこれで3度目

土曜と平日では、
患者層が違うような気がする

仕事をしている女性たちが、
土曜の休みめがけて
受診をしているように見受けられるのだ

お腹の大きな妊婦さんや、若いご夫婦、
小さなお子さんを連れたお母さん、

そして、

“まさに、妊娠したばかり”という、
若い女性が多い平日とは違い、
土曜日の婦人科は、

なんだかいつもより少しだけ、
居場所があるような気がする



今日の婦人科も混んでいた

1時間ほど待たされ、ようやく呼ばれる


「止血剤、2週間分出しておくね」

という医師の言葉は、
もうお決まりのフレーズだ

が、今回は2週間分より多めに欲しい

なぜなら、2週間分だと、
また1ヶ月後に薬をもらいに来なければならないからだ


「1ヶ月分、出してもらう訳にはいきませんか?」

思い切って聞いてみる

「1ヶ月分? いいよ、出しておくよ」


2種類の止血剤をわっさりもらい、
安心して家路につく

    婦人科受診 ②



またしばらく、
痛みと、出血による体調不良と、
熟睡できない夜との闘い(つき合い)が続く



鎮痛剤も、
もう少し使った方がいいのだろうが、
どうしても我慢してしまう

“鎮痛剤は身体に悪いもの”というイメージが
未だに抜けないのだ

消炎効果もある鎮痛剤

あまり無理せず、
少しは飲んだ方がいいのかもしれない



そして出血をすると、
体液が失われているせいか、喉が渇く

水を飲んでも喉を通っていかない

「そうだ!!」

こんなときは、
スポーツ飲料がいいことを忘れていた

    婦人科受診 ③


常備しているパウダータイプのものを、
いつものように1.5倍に薄めて作る

ごくりと飲み込むと、
身体に沁み込んでいく気がしてくる

水よりも簡単に飲めるのは、
やはり体液に近い成分だからなのだろう



『子宮、取ってしまいたい』――

今月も、またそんなことを思う日々が来た



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急遽、婦人科へ―― ~禁忌のホルモン治療...?~

今日も暑く、33.3℃

夜は少し涼しいのが救いだ

...が、家の中は熱がこもっている


そんな今日のはじまりは、
起き掛けに一気に出血

それと同時に体調が悪くなり、
急遽、婦人科へ行く羽目になる


出血がはじまって、今日で11日目

止血剤も、
出血がはじまってからすぐに飲んでいる

おとついあたりから、
量も少し落ち着いてきた

「あと3日もすれば収まってくれるかな...」

今朝の出血は、
そう思っている矢先だった


止血剤の服用は、1日3回

実は、すでに
今日のお昼までの分しか残っていなかった

しかも明日は日曜で、病院は休み

薬が切れるのは少し不安だったが、
状況から見て、

“薬をもらいに行かなくでも大丈夫”

だと思っていた


ふらふらする頭と、
バフバフする心臓

できればベッドに横になっていたかったが、
薬を求めてクリニックへ


まぁ、止血剤を飲んだところで、
ピタッと出血が止まるわけでもなし、

頭のふらつきや血圧、脈拍が
正常になるわけでもない

体調は良くはならないが、
それでもこの薬に頼るしかない


土曜の午前の婦人科は、
ほとんど行くことのない時間帯

“空いている”と、勝手に想像して行ったのだが、
待合室はすごい人...

ただ座って待っているだけでも、
身体に堪える

横になりたいが、そうもいかない



「どうしました?」

いつもの先生の言葉から診察がはじまる

「止血剤を...」


毎月のように、このクリニックへ来ている

先生も、“止血剤”ということは、
ほぼわかってのことだ

「何日分、要る?」

と、医師

どのくらい必要なのかは、
最近は私の判断になっている


が、
11日間服薬しても、未だ収まらぬ出血
 (いつも10日~3週間続く)

「○○(ホルモン剤の名前)、出すかい?
 これだったら出血止まるよ」


これまでのこの医師とのいきさつ(下記記述)を
辿っても、
ホルモン剤を勧められることは考えられない

エストロゲンが原因で乳がんになった私には、
ホルモン剤は禁忌だ

『何か新しい薬でも出たのかな...』

そう思い、医師に聞いた

「...え? “ホルモン剤”?
 大丈夫なんですか?」

「大丈夫だよ。
 乳がんとかやってないよね?」

そう言いながら、
医師は分厚く膨れたカルテをぱらぱらめくる

「乳がん、やってます...」――


  過去にもこんなことがあった

  それはこのクリニックの別の医師

  乳がんのホルモン治療である、
  デポ注射(LH‐RHアゴニスト製剤)終了後、
  タモキシフェン服用中に、
  月経が“大量出血”という形で再開したときだ

  毎月の大量出血に翻弄されていた私に
  医師が提案したのは“ピル”

  「乳がんにピルは駄目なはずでは...」

  という私の言葉に医師は、

  「うーん...。
   でも、“生理が来る”ということは、
   “女性ホルモンも出ている”ということだから、
   これくらい(ピル)大丈夫だけどね~」

  『そんなはずはない』

  と思ったが、

  「もう少しで外科を受診することになっているので、
   そのとき主治医に聞いてみます」

  と、その場を切り抜けた

    もちろん、外科の主治医は、
    驚いて渋い顔...


  数年経って、この先生が転勤したあと、
  現在かかっている医師にそのことを告げた

  すると医師は、

  「え~!! ダメだよ、ピルは!!
   乳がんにピルはダメだからね」

  と、飽きれた表情を見せていた


  が、それから暫くしてこの医師は、
  “ピル事件”の医師と同じ過ちを犯すことになる

  それは、やはり大量出血で受診したとき

  「ホルモン剤、使うかい? 出血収まるよ」

  と...

  完全に、
  “乳がん”のことは忘れられていたのだ


  そして、再び、今回のこと――


乳がんでかかっている病院なら、
どの科を受診しても、
電子カルテでデータを共有している

なので、このようなミスは、きっとあり得ない

が、ほかのクリニックとなると、
既往までは考えてはくれない
 (もちろん、
  そうではないクリニックはたくさんある)

ここ(婦人科)に来れば、
医者は“婦人科”のことだけだ


こうして私は3度目の、
禁忌を勧められたのだ



そして、いつものように、
“ホルモン剤の入っていない止血剤”を
処方してもらい...

    止血剤


このクリニックに通って11年

子宮筋腫の手術をしたときから
お世話になっている

こんなに長い間...

もう、数えられないほど、
この医師に診てもらっているのに...

『おそらく、ここで筋腫の手術をしたのも
 忘れているんだろうな...』

なんとも微妙な面持ちで
クリニックをあとにする



夕刻――

夕 陽

西の空には、今日もきれいな夕焼け...


美しい景色に感謝――



  このまま出血が止まらなければ、
  “掻爬”することになる

  それだけは勘弁だ...



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婦人科へ...

今日は婦人科へ

止血剤をもらいに行くためだ

「ここのところ、随分と、
 婦人科にかかることが増えてしまったな...」


出血がはじまると体調が悪くなる

頭がふらふらとし、
心臓が宙で脈を打っているような感覚

これをおそらく、“動悸”というのだろうか

そして全身を包み込み倦怠感...


少量の出血なら体調には響かないのだが、
ある程度の量になると、
一気に不調が襲ってくる


こんなときは、できれば動きたくない

が、薬は今日までの分しか残っていない

行くしかない

『体調が悪くて病院に行かなくてはならないのに、
 体調が悪くて病院に行けない』

という、なんとも理不尽な都合...


高齢者が病院の待合室で、

「今日、あの人来てないねぇ」

「体調でも悪いんじゃない?」――

そんな笑い話が頭を過ぎる


そんなこんなで、
今日は午後からゆっくりと受診する予定だったが、
夕方から大雨になるらしく...

今朝になって、急遽、午前中に行くことに

こんなときは、どこかで倒れてはいけないので、
これを身につけて...

  ブレス
    病気のことと、
    左腕に採血・血圧測定ができないことが
    書かれているブレスレット

まぁ、倒れることはないとは思うが、
一応、“念のため”...

  事故に遭わないとも限らないし...


院内は、嗅ぎ慣れたいつものにおい

乳がんの治療で子どもが産めなくなった私が
この“幸せな場”に来るたび
嫌悪感を催していたが、
ようやく慣れてきた

心がざわつく感覚も、
女性としての劣等感も、
鳴りを潜めてきた


診察室に呼ばれると、
「今日はどうしました?」

の、いつもの医師の言葉

「また出血したので、止血剤を...」

そこまで言うと、

「がん検査しよう」

と、医師

『え...、この間したばかりなのに...』

そう思っていると、

「しばらくしてないでしょ?」

と、カルテをぱパラパラめくりながら、
前回のがん検診のページを探している

「先月しました」
 (今日から6月。本当は、“先々月”)

4月に受けた、
体がんと頸がんの検査

カルテを見つけた医師は、

「ああ、受けてたね」

『あー、びっくりした。
 またあの痛~い検査、
 しなきゃいけないのかと思った。
 しかも、出血中に...』


「止血剤、何日分いる?」

そう医師に聞かれ、

「2週間分」

...と、最近は自己申告

「2週間経っても出血が収まらなかったら、
 (病院に)来てね」

と、いつもの台詞で、
本日の受診、終了


『薬を2週間飲んでも出血が止まらなかったら、
 何をするんだろう...』――


  止血剤
    飲むのが怖かった止血剤も、
    今ではすっかり頼みの綱だ

    正直、
    「効いてる!!」というほどの
    効果は得られないのだが、
    この薬しか頼るものがないのだ



  帰り道

  男性1人を、
  警察官が7~8人で
  取り押さえようとしている場面に遭遇

  物々しい雰囲気...

  「何があったのだろう...」


  安心して街も歩けない世の中に
  なってしまったな...



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りかこプロフィール

★病院開設のがんサロンにて、2009年5月よりエッセイ執筆 ★2010年9月、市広報にて体験記掲載 ★2011年8月31日、乳がん体験記『4分の3の乳房(ちぶさ)』出版 ★2016年9月14日、フジテレビ『めざましテレビ』放送 ★講演、ラジオ出演など啓発活動

『4分の3の乳房(ちぶさ)』購入希望の方は・・・

お名前・メールアドレス、本文に住所と注文冊数をご記入の上送信してください。折り返し、メールで詳細をお送りします。  ※いただいた個人情報は、書籍発送以外に使用することはありません。

名前
メール
本文
乳がん履歴
★2002年3月3日(日)
左乳房にしこりをみつける    

★2002年3月4日(月)
視触診の結果“良性”と診断  

★2006年11月8日(水)
左乳房のしこり再受診        

★2006年11月15日(水)
左乳房のしこり切除      

★2006年11月28日(火)
乳がん告知            

★2007年1月11日(木)
左乳がん手術          

★2008年7月8日(火)
局所再発の疑いで、
細胞診・組織診(結果は良性)  

★2009年2月17日(火)
対側(右)乳がんの疑い
(昨年からしこりあり)経過観察     

★2010年2月16日(火)
右乳房細胞診(結果は良性)   
手術・治療の経緯
★がん細胞の種類(左乳房しこり3つ)
 ・明細胞がん(クリアセル)、
  非浸潤性乳管がん
 ・核グレード 2
 ・ER 90%
 ・PgR 10%
 ・HER2 (-)

★術 式
 ・腋窩リンパ節郭清
 ・扇状部分切除
  (4分の1強切除)

★治 療
 ・放射線23回照射
 ・LH-RHアゴニスト製剤投与
  4週間に1度、2年間(23回)
 ・抗エストロゲン剤
  (クエン酸タモキシフェン)
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           © Rikako,2011

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