晩秋

カテゴリーを一般と書いたが、関心が多く、まとまりの悪いブログを書いています。 言語や礼儀作法の誤用が一般化して、正しい用法をする人の方が異様に見られる世の中になりました。 現在のテレビアナウンサーの日本語に腹を立て、ドラマ・歌曲の劣化に絶望している老人です。 竜宮城でよい思いをして帰ってきたら「若い時の優秀な仲間が皆、亡くなり一人だけ残された長生きの悲哀」で、2012年に浦島と変名し、名刺を作り直しました。 

2012年02月

光市母子殺害事件と悪徳弁護士

光市母子殺害事件
長い司法手続きが終わって、今週漸く結論が出た。
●99年4月14日に事件発生 →●00年3月、無期懲役(山口地裁)
 →●02年3月、無期懲役(広島高裁) →●06年6月、差し戻し(最高裁)
 →●08年4月、死刑(広島高裁) →●12年2月20日、死刑(最高裁)
          の途中経過を辿って、控訴審判決が確定した。 
無期懲役を最高裁が破棄・差し戻したケースで、死刑が確定するのは
  永山則夫(19歳で連続4人射殺)を含めて戦後3例目、
  事件当時18歳30日だった大月孝行(30)の死刑確定は、
  最年少である。 (記録が残る66年以降で)
.
この事件の長い司法手続きの途中での私の所感は、
     ▲”光市母子殺害事件の差戻し審判決: [L-33]:[08/4/23]
     ▲ 「山口県母子殺害事件=美しい国を(3)」:[L-20]:[07/06/28]
            に書いておいた通りである。 
最高裁で20日に結論が出た後でも、例によっていろいろな人が
   いろいろな発言をしているが、それらに対する現在の私の
   感想も全て、これらのブログ記事に以前に書いた通りである。
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ただ一人だけ、 佐木隆三氏が21日の毎日新聞に寄稿している
   『「新供述」弁論は有害無益』の一文は、私がぼんやりと感じて
   いたことを明確に表現していて、
   流石ノンフィクション作家の力量は違う、と感心した。
不正確になる惧れはあるが、敢えて論旨の概略を紹介すると、
   「この事件の弁護団の活動が大月被告を死に追いやった」、
   となる。 死刑確定記録上最年少の被告、しかも
   少年犯罪事件で死刑判決のあった中で被害者数が最小の
   二人だったのに、大月孝行が死刑になったのは、
   弁護団の不誠実さの結果であった、ことを述べている。

      ★ ★ ★ ★ ★

被害者遺族の本村洋氏は最高裁での決定が出た時に、
   「反省の情があれば、死刑は下らなかった。 残念だ」、
   と述べている。 本村氏は13年間もの司法手続きの間の、
   時には感情を表わした言動に対して、「死刑の推進者」
   などというイメージで語られることもあったという。 
   現実は、「恰好良く死刑廃止などを謳う連中が
      (佐木氏の言うとおり)大月の死刑を齎したのだし、
   本村氏は「残念だ」が第一声であった。
私は13年間の何かの機会にテレビ画面でじっくりと語る
   本村氏を見るたびに、その人柄の良さを感じていた。 
   あの詐欺師とかペテン師とかいう感じの弁護団の連中
   とは、本村氏の人間の誠実さの相違が一見して分かる感じだった。

      ★ ★ ★ ★ ★

佐木氏が新聞紙上で述べていることの一つ一つに、
   私は同感であり、ここで死刑が確定した
   大月孝行もある意味で被害者であったと思うので、
   大月孝行への同情の意味も含めて、
         簡単に佐木氏の論旨を紹介する。

父親の暴力、中一のときの母親の自殺などの劣悪な家庭環境
   に育ったのに、一審の時に大月の精神鑑定が
   なされなかった。 これも前記のブログに書いてある通りの
   法律関係者のいい加減さである。 
第四審(差戻し控訴審)の時に、著名な死刑廃止論者
   安田好弘、を中心とする大弁護団、が編成された。
   実質は連中の売名行為だったのだろうが、その活動が
   世論を敵に回したのが、大月孝行の不運だった。 
   大月の新供述と称して、「母体回帰ストーリー」(被害者を
   殺害後に姦淫したのは、自分を母の胎内に回帰させる
   母子一体化の実現)を出し、大月を窮地に追い込んだ。
大月のその他の発言も含めて、弁護人たるものは、被告の
   言い分を垂れ流すのでなく、信用に値するのかどうか
   きちんと検討すべきだ。

      ★ ★ ★ ★ ★

事件の周辺では、裁判の進行以外にもいろいろあった。 
09年に大月孝行の実名を記したルポルタージュ本が出版され、
   大月側は「事前に原稿を見せて貰って実名の可否を
      決めるつもりだった」、と出版差止めを求め、
   著者側は損害賠償を求めて、訴訟を起こした。
07年には橋下徹(現大阪市長)がテレビ番組で、
   差戻し控訴審で殺意否認に転じた大月孝行の弁護団
   を批判し懲戒請求を呼び掛けた。 弁護団は橋本氏を
   相手に賠償を求める訴訟を起こしたが、最高裁は
   昨年7月に「呼掛けは不法行為には当たらない」、
   と判断、賠償を命じた二審判決を破棄し、
   橋下側の逆転勝訴が確定した。

本記事の冒頭に書いた通り、私は数年前に書いた
   ブログ記事の内容が確かめられた気分である。

「日本劣化」の指摘

私が今年になってからたった一度だけ公開した記事:
    ▲ 年初に思う:[L-88][12/1/22]
を書いた翌日の毎日新聞「余録」欄に、私の記事と同趣旨の話題があり、
  更に今月2/11の読者欄に、その「余録」に共感するとの投稿があった。
自分と同様な感想を持つ人がいるのを知ったので、
     此処にその概要を紹介する。
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      ★ ★ ★ ★ ★
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その「余録」には、韓国人・李根元の、
      「ここ何年かで日本が劣化した印象がある」、
   という日本人論が紹介されていて、
   新聞読者である投稿者・井上清(堺市)氏は共感した。 
テレビでは視聴率を追及して、芸のない「タレント」が出演する
   バラエテイ番組が多くなり、政党や政治家は大衆に迎合する。 
このことを、李さんに指摘される前から井上氏は気になっていた。

井上氏は、カエサルの言葉、
   「人間ならば誰にでも、現実の全てが見える訳ではない。
      多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない」、
   を引用し、見たくない現実からも目をそらさずに、
   真正面から見つめなければならない、と書いている。
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私は、この井上氏の投稿文は全く正しいと思う。 が、これが
   現状を正す効果を持つと期待できないのが悲しい。
そして、私が昨年末に書いた:
   ▲日本が滅亡しても:[L-85][11/11/26]
                  に述べたように、
何年後かの日本には、個人開業医と、代議士と、株屋だけが残り、
   納税者は居なくなって、廃墟と化して行くのだろう、と思っている。 
   でも、東南アジアなどに残った国々に人類が滅びずに
   残るのかもしれない。
. 
改めて歴史を振返ってみると有史以前も以後も、国は滅びても
   人類は滅びずに存続して今日に至ったのだった。 
   現状は歴史の一コマであって、特に変わったことでは
   ないのだろう。 
日本が滅亡しても人類が存続すれば、それでよいのだろう
      との感想は、変わらない。
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