日本がドイツと違って戦後処理をしっかりとして来なかった、ことは、
何かの機会に論じられていたが、従来その議論は限られた有識者の範囲
での意見に留まり、現実社会に大きな影を落とすことは今迄なかった。
その咎めが、戦後派の安倍首相に至って、遂に現われた、というのが、
   今回の中国、韓国の対日批判、への、私の見方である。

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中国、韓国に限らず、諸外国が“日本人の靖国参拝”に拘るのは、
   其処にA級戦犯が合祀されている、ためである。
此処の所を理解出来るか、出来ないか、そこの「ずれ」が問題なのである。

“北朝鮮の問題を共通に抱えているのに、靖国参拝をすぐに外交問題に
発展させる韓国の対応は冷静を欠いている”、と書く日本のメデイアは、
その辺の理解が全く出来ていない。
或いは分からないフリをするのかもしれないが、それは更に悪質である。

兎も角も、中国、韓国には戦時被害者の肉親たちが未だ多く
     生存していて、戦争中の状況、出来事を記憶している。
日本の戦後育ち世代で、当時の実情を知らず、それを
    (ドイツと違って)教えられていない人達、とは違うのである。
中国、韓国の人達にとっては、A級戦犯だけでなく、祀られている
    戦死者を含む一般の日本人への思いも複雑である筈だ。
しかし、彼等はそれを問題にしているのではない。
戦後半世紀以上経った現在、二国間の平素の付合いでは、
    未来を志向して戦争中の事を黙っている。
でも、脳裏に記憶のあるのと、全く無知なのとでは、
     同じ言葉で話しても受け止め方が違うのだ。

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日本人同士の間だって、本土の住人と沖縄とで、同様な事情、がある。
第2次世界大戦の敗戦後、サンフランシスコ講和条約の
   発効によって連合国の占領が終わったのが1952年4月28日。
その4月28日を、安倍政権は「占領下から脱却して主権を回復した日」
   と位置づけ、政府が都道府県知事らを招いて憲政記念館で
   4月28日に「主権回復の日」の記念式典を開くことにした。
しかし、この「記念式典」に沖縄県から反発が出ていて、
   1972年5月15日の沖縄本土復帰を記念した式典の開催を、
   政府が見送る方針を固めた。

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菅義偉官房長官、は
     4月22日に、「夫々の国には夫々の立場がある」、と言い、
     「首相が参拝していないという重みを理解してほしい」
      と4月24日に言った。
歴史の理解が全く出来ていない。 或いは分からないフリをする
     のかもしれないが、国の指導者として、困った人物である。