生徒会長になった咲良シンが実は自分が魔王だと知り、生徒会はリ・クリエなる現象に乗じて人間界にやって来る魔族と戦う役目を持っており、板挟みになる展開です。
とは言え、PSP版の新規シナリオも含めてさしてシリアスな展開もなく、基本的にはまったりとゆるい雰囲気です。
新ヒロインの追加、およびサブヒロイン1名のヒロイン昇格と、移植作品の追加要素としてはまずまずです。
PC版の「ティンクル☆くるせいだーす」同様にやりこみ要素もあり、サブヒロインにも色々とシナリオがあったり、長く遊ぼうと思えば遊べる作品です。
バトルもシンが強すぎるからか、他のヒロイン達にも新技が。
ロロットは防御障壁を張る「アブソリュートティアーズ」の追加によって状況に応じての使い分けも可能になりましたし、他のヒロインの場合は詠唱した場合の強化技なのですが、その時間稼ぎもしやすくなっています。
と言っても、やはり終盤のシンは魔王だけに別格ですけどね。
聖沙とナナカについては、シンがほぼ上位互換ですし。
そして、新シナリオではメリロット、マカロン、サリーが味方として戦闘メンバーに加わるバトルもあります。
バトルに関しての調整は良かったと思いますが、バトル中にリロード出来なくなっているのはマイナスです。
バトル関連のトロフィー集めでは、ヘレナの訓練場においては、同じレベルの同じバトルに限ってですが、2回目以降のリロードが早いので、やり込みについては問題ないでしょうが…
「G級で賞」は何度かやれば取れますが、「息がぴったり合ってるで賞」は相変わらず相当運に左右されます。
ちなみにトロフィーですが、コンプリートするとヘレナのお部屋に迷い込んだマカロンが、ヘレナにひん剥かれて大変な事になるという、ちょっとしたやりとりがあります。
しかし、PC版と違ってコンプリートした事で見れるCGとかがある訳ではないので、本当に自己満足を満たす程度の価値しかないです。
新シナリオ追加に伴う不満点としては、まずは新シナリオの出来があまり良いとは思えなかった事です。
加えて、新ヒロインのシナリオにも同様の事が言えるのですが、PC版のヒロインのシナリオではHシーンが無くなり、その代わりとなるイベントが特に用意されていないので、恋愛要素が非常に薄くなっています。
この作品では生徒会として学園のイベントの準備などをしたり、クルセイダースとして魔族退治や特訓をするのが基本で、例えばデートなどの恋人同士になってイチャイチャするようなイベントに欠けています。
他にも、マカロンの登場イベントは序盤から用意されているのですが、そのせいでチグハグな部分があります。
例えば、人型の魔族として最初にマカロンに会っているのに、サリーに会って人型の魔族が…なんて驚いたり、長期の発売延期をした割にはチェックが甘いです。
システム面で気になったのは、音質が悪い事、文字が小さめで見にくい事、若干動作が重い事でしょうか。
他にもセリフの表示より音声が若干遅れて同期していなかったり、ロード時間が長かったりします。
ロード時間に関してはPC版でもバトル前などにはあったので、ある程度は了承していましたが、やはり快適とは言えません。
CGについてはPC版から下着描写の修正が一切なく、それゆえにコンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)のレーティングは、購入制限のなされない限度であるDなのですが、正直手抜きな印象です。
些細な修正をする位なら、その分CGを増やして欲しいとは思いますが、その手間を省いた分CGが増量されている訳でもなく(ヒロインに昇格したのにメリロットのCG少なすぎ)、PC版を買った人にとってはパンツ丸見えの新規CGが見れる位しか意味をなしていません。

マカロン(CV:阿澄佳奈)
シンが魔王なのに、魔王(見習い)を語る新ヒロインのマカロンはやはり一番気になる所でした。
パッキーも何かしら忘れているようなと、気にするそぶりを見せたりする訳なのですが、そんな深い話がある訳でもないので、さして期待はしない方がいいです。
魔王目指して頑張るマカロンが魔王になってくれればいいと、正体を隠し続ける姿勢は悪く言えば他力本願で、あまり見ていて気持ちいいものではなかったです。
結局、マカロンのピンチに力を使って、マカロンがどれだけ努力したって得られない程の力を持ているぞと見せ付ける形になって仲違い。
そして、シンはマカロンに欠けている力を、マカロンはシンに欠けている信念を補い合って、2人で魔王を目指すなんて形になります。
マカロンは見た目も中身もお子様なのですが、それに似合わない家事能力などキャラとしては面白かったと思います。
ただ、既存のルートではシンは普通に「イー」としか言えない魔族とも意思疎通出来ているのに、このルートではマカロンの通訳を必要としたり、突っ込み所が多いです。

メリロット(CV:こやまきみこ)
サブヒロインとしてPC版でも一応シナリオはあったものの、ちょっとした小話程度だったのですが、ヒロイン昇格で色々とメリロットの事が語られます。
普段はクールで、魔将の中でもバイラスに次ぐ実力者であるメリロットが虫に取り乱したり、意外な一面が見れるのが良かったです。
引きこもりがちなメリロットを、シンが手を引いて外に連れ出していこうというのは悪くないと思いますが、図書室に行ったり特訓したりするばかりで、生徒会としての表の仕事である聖夜祭の準備の描写もなく、シナリオとしてはイマイチ。
他にもフィーニスの塔は完全に謎の建造物で、他の所でそういう話もあるのに、色々と設定が出てくる矛盾があり、あまり出来が良いとは言えませんでした。
サブヒロインだったPC版のルートも残っており、こちらはフィーニスの塔で迷ったシンとメリロットなのですが、何者かにメリロットがさらわれて、塔の最上階を目指すと言う物なのですが、「ティンクル☆くるせいだーす」において最強クラスの実力を持つメリロットを一方的に拉致したのって誰なんだと突っ込みたい展開です。

九浄 リア(CV:坂田有希)
リアの場合は、元々九浄家で魔王の正しい話が伝えられているので、悪いイメージ所か憧れていますが、人間も魔族も天使も分け隔てなく接するシン見て、シンが魔王だったらと思うようになっていきます。
年上のお嬢様で、能力的にも優れているはずなのですが、非常に態度が子供っぽいのであまりそれを感じさせません。
よく言えば親しみやすいと言えるのでしょうけど、もう少しそれっぽっくても良かったような気はします。

夕霧 ナナカ(CV:水霧けいと)
主人公に対して好意を寄せ、面倒見の良い幼馴染なのですが、やはり好きにはなれません。
ナナカルート以外では、ヘタレてグズグズしているうちに誰かとくっつく展開になるものの、きちんと祝福出来て脇役として悪くはないのですが、ナナカルートで嫌な面が沢山見えます。
生徒会の役員という立場を私利私欲や私怨で使おうとしたり、試験で自分が成績が悪いからといって現実逃避に巻き込んで足を引っ張ったり、寝込みにキスしたり、自分の都合のいい時だけ一方的に突っかかっていた相手に頼ったり…
極めつけはナナカを狙い撃ちで敵が追い詰めていたとはいえ、シンに魔王の力がなければ全滅するような局面で逃亡したり…

聖沙・B・クリステレス(CV:阪田佳代)
シンを一方的にライバル視して突っかかってくるのですが、それ自体が大してキツくない上、いつもシンに敗北し、聖沙の敗北がイベント扱いと化していて、ネタになってしまっているので、憎めないキャラになっています。
いわゆるツンデレキャラなのですが、あまりツンは強くないです。
聖沙ルートでは、ナナカを交えた三角関係になります。
聖沙に惹かれるシン、シンに惹かれる聖沙ですが、ナナカが聖沙に探りを入れて、素直になれない聖沙がシンの事は好きじゃないと言った挙句に、ナナカを応援するなんて言ってしまって面倒な事に。
聖沙ルートには攻略制限はないのですが、設定を理解していないとイマイチ状況が理解しにくい部分があるので、2周目以降にやる事を推奨します。

ロロット・ローゼンクロイツ(CV:七穂元美)
本人は正体隠しているつもりですが、しょっちゅう羽を出していて天使とバレバレです(笑)。
ロロットのルートでは好奇心旺盛で食いしん坊な子供のようなロロットが、恋愛を通して成長していくというのが見せ場です。
反面、ヒロインのルートで唯一、シンが魔王として覚醒しないまま終わってしまうので、その辺りで物足りなさも感じます。
あとは、天使であるロロットがどのようにしてローゼンクロイツ家の人々と家族となったのかという疑問も解決せず、説明不足な気はします。

アゼル(CV:阿部留美)
いわゆるクーデレキャラですが、序盤はほとんど無視されてまともな反応が返ってきません。
そんなアゼルが写真に興味を持った事で、徐々に感情豊かになっていきます。
アゼルルートはアゼルの設定ゆえに、リ・クリエの意味なんかにも触れる話となっています。

高橋 さちほ(CV:下田麻美)
親友のナナカを応援しているはずが、ボケボケな行動で結果的に邪魔をする事になるという…
なんともさっちんらしい展開です(笑)。
明確には触れていませんが、高橋組なんて言葉やさっちんの家についての僅かな描写からすると、極道娘だったりしますが、このキャラだけに理解しているのかも怪しかったり…

飛鳥井 紫央(CV:長谷川明子)
人間の力では魔族に勝てるはずがないのに、いちいちでしゃばってくるのがちょっとウザく感じました。
そんな紫央の無駄ともいえる努力に付き合っていく事になる訳ですが、他にやる事はいくらでもあるのでは…

御陵 彩錦(CV:吉住梢)
リアやロロットにはなかった、お嬢様ゆえのしがらみとかから逃げ出すお手伝いをするのですが、全てを放棄して逃亡するとんでもない展開です。

サリー(CV:いのくちゆか)
サリーのルートは、サリーを一番多く選んだか否かでエンディングが分岐します。
一番多く選んだ場合は、トラブルでLillianの過去作の「プリンセスうぃっちぃず」の世界、魔女界に飛ばされる事になります。
シンの哀れな結末に合掌。
リリアン、メイヴィスがゲスト出演します。
一番多く選んでいない場合は、いつも通り生徒会活動をしていて、帰ろうとしたらなぜか外は何もなく、生徒会室を残して世界が滅んでいたという訳の分からない事に。
これで終わって良いのか…

エミリナ(CV:今井麻美)
エミリナのルートでは歌に興味を持った事を通して、人間界により興味を持っていくエミリナを支えていく展開です。
ルートに入るには聖沙ルートを失敗すればよいので、聖沙を多く選んで、必須イベントで分岐直前の11月27日に聖沙を選ばなければ良いので、簡単です。

リースリング遠山(CV:浅川悠)
ルートに入るにはロロットルートへ入るのを失敗させればよいので、分岐直前の必須イベントの11月27日にロロットを回避で入れます。
訓練と言う名の悪夢を味わう事に…

パッキー(CV:後藤麻衣)
パッキーの場合はサブヒロインでさえないのですが、このルートは凄まじいバッドエンドで、ある意味では最もインパクトがあります。
悪い方向でですが…
サブヒロインのルートは全て本筋から離れますが、これは酷い…
ルートに入るにはリアルートへ入るのを失敗させればよいので、分岐直前の必須イベントの11月27日にリアを回避で入れます。