2009年06月11日

理念経営のすすめ(3)

社長の話がわかりにくい時代に求められる
新たな理念経営

 理念コンサルティングの仕事をしていると、「社長の話がわかりにくい」という声を聞きます。

 社長からは「何度話しても、自分の考え方や方針が伝わっていないようだ」、社員からは「社長が何を考えているか、どうしたいのかよくわからない」と。

 社長の話がそもそもわかりやすいかどうかの問題もありますが、わかりにくくなっている原因の一つは時代にもあります。

結論を先にいうと、時代のせいにしていても何も解決しません。自覚して、これまで以上に社長はわかりやく話をしないと、社員に伝わっていかないということです。

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戦後の高度成長期。日本の会社は年功序列と終身雇用制という、独自の制度と共にありました。終身雇用制は、終身をもって付き合う仲間との会社生活、いわゆる家族経営を意味していました。

お父さん社長が会社の方針を示し、お兄さんが弟に忠実に伝えていく。お兄さんは自分より長く勤めていて、社長の話を何度も聞いている。弟からすれば、お父さん社長がそばにいなくても、お兄さんたちのいうことを聞いていれば、間違いがなかったのです。

自分も年数を重ねるだけお兄さんになっていき、弟たちに伝えていく役割を担っていました。
 
 現在の日本はどうでしょうか。
九〇年代以降、転職者は一気に増加。好条件での引き抜き、いわゆるヘッドハンティングの話も身近で聞こえるようになってきました。

雇用環境の変化では、外国拠点も含めた外国人の採用、転職の日常化に加え、勤務形態の多様化という、非正規雇用者の増大もありました。アルバイト、パート、派遣、契約社員、自動車業界などに代表される期間従業員。

表向きの変化もさることながら、そこには目に見えないコミュニケーション上の問題が潜んでいました。

社長の話を聞く回数は、転職した回数だけ少なくなる。上司や先輩社員も、中途入社の人が多くなって、社長の話を後輩に伝えられなくなる。後輩もそれを期待しない。

おのずと社長の話が日常の仕事で話題にならなくなり、社員は自分に与えられた役割をこなして給料をもらえばいいやと考えるようになっていく。

いわんやアルバイトやパート社員は、社長の話を聞く機会など皆無で、一度や二度話されたところで、自分には関係ないと思って聞いていない。

90年代以降の日本企業における雇用環境の変化が、社長の話をわかりにくくしていたのです。現在は“社長の話がわかりにくい危機的状態”にあるともいえます。

 社長に求められていることは、従来の企業理念と浸透方法を見直すことです。

  四文字熟語や抽象的な言葉を掲げて、社員で唱和しているだけでは、社長の方針や考え方は何も伝わっていきません。よくわからないまま、流されていくだけです。

正社員以外も含めただれもが理解できる言葉で、わかりやすくまとめ直す。まとめたものを、以前よりもしつこく、さまざまな場面を通して、幹部と現場に伝えていく。

新たな理念経営の時代です。

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 7月にPHP研究所より 『なぜ社長の話はわかりにくいか』というタイトルの本を上梓します。手に取っていただければ幸いです。


rinenshintou at 17:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 【企業理念・事業戦略】 

2009年04月27日

理念経営のすすめ(2)

“めざす理想”を追求することで
業績は自ずとついてくる


「理念を追求すれば、業績が向上するのですか」という質問をいただきます。

 目的と手段をまちがえています。「こんな会社をめざしたい」という理念=“めざす理想”があるから追求するだけです。業績は、2つの意味で自ずとついてくるはずです。

 1つは、“めざす理想”を掲げて理念経営を推進することで、共感する社員が生き生きと働く。それが顧客や社会に伝わり、受け入れられていくと、結果として業績につながらないわけがないという意味です。

 前回のコラム、理念経営のすすめ(1)「理念経営で会社は変わる 苦しい時こそ、理念は真価を発揮する」を読み返してみてください。

 もう1つは、“めざす理想”を実現するためには、数字も必要条件となるという意味でです。勘違いされている方が少なくないのですが、理念の内容を追究し続けていくためは、業績が必要なのです。

 「もっと世の中のために」や「より多くのお客様に」という理想の実現に近づくためには、提供する商品・サービスをより多くの相手に届け、受け入れていただくことが必要ではないでしょうか。
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rinenshintou at 17:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 【企業理念・事業戦略】 

2009年04月03日

理念浸透のすすめ(1)

理念経営で会社は変わる
苦しい時こそ、理念は真価を発揮する

 私が、「苦しい時こそ、理念は真価を発揮しますよ」あるいは「理念の浸透に大規模な投資はいりませんよ」と申し上げると、企業理念が「未曾有の経済危機を乗り切るための手段」のように聞こえてしまうでしょうか。

 今が苦しい経営者ほど、「とにかく現状を乗り切るための手段を知りたい」というのが心の叫びでしょう。それに対して私は、「経済危機を乗り切るための手段ではありませんが、乗り切るために、今こそ企業理念と向き合ってください」と申し上げています。

 なぜ、「企業理念への回帰で、経済危機を乗り切れる」というのでしょうか。

 単純な話ですが、人間は、やりたいことをやる方が、そうでないよりも何倍もパワーを発揮できます。それは社長も末端の従業員も同じです。同じく得意なことをやる方が、そうでないよりもうまくいく。

 あなたの会社が企業理念として掲げていることは、あなたの会社が「やりたいこと」でも「得意なこと」でもないでしょうか。(もしそうだとしたら、理念そのものの見直しが必要ですが・・・)。

 目の前のやるべきことはやりつつ、自分たちがめざす理想に向かって、やりたいことや得意なことで何かできないかをみんなで考えて、並行して取り組むのです。

 どん底に近い未曾有の危機は、やるべきことだけをやって乗り切れるものでもないはずです。どん底で耐えているだけでなく、浮上するためのプラスの力が必要です。
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rinenshintou at 11:05|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 【企業理念・事業戦略】 

2009年02月24日

企業が“変わる”ための2つのヒント(2)

 前回の「企業が“変わる”ための2つのヒント(1)」のおさらいです。

 1.企業の永続的な成長発展のためには、常に変化や適応が必要である
 2.企業は人でできている
 以上から、「人を上手に素早く変えられる企業が、より変化対応力のある企業」であり、永続的に成長する可能性の高い企業である。
 ところが、3.「人間、20歳を過ぎたら、容易には変われない」ので、そのことを前提に、企業は社員との付き合い方を考えなければならない。

 時代に合わせて変わるために企業に必要な「大人(=容易には変われない)」の社員とのつきあい方」とは?
 そのヒントの一つは、自社が「変えないこと」と「変えること」を “企業理念のレベル”ではっきりさせて、社員に宣言し、約束することである・・・というお話でした

今日はもう一つのヒントについてご紹介します。
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rinenshintou at 10:05|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2009年02月16日

企業が“変わる”ための2つのヒント(1)

 私の口癖の一つに「人間、20歳を過ぎたら、容易には変われない」があります。

 一人浮世離れして生きていくなら変われなくてもいいのでしょうが、社会に適応していく、あるいは新たな成長をめざすのであれば、誰もが変わらざるをえないのが現実です。

 それでも敢えて私が「人間、20歳を過ぎたら、容易には変われない」と言うのは、「容易には変われない」ことを前提として、お互いどう付き合っていけばいいかを考えていかないと、人は結局は変われないと信じるからです。禅問答のようですか?

 「企業は人でできている」という事実から、このことを見て行きましょう。

 企業の永続的な成長発展のためには、常に変化や適応が求められる時代です。「企業は人でできている」以上、「人を上手に素早く変えられる企業が、より変化対応力のある企業」であり、永続的に成長する可能性の高い企業といえるでしょう。

 ところが、先ほど触れたように、企業で働く人のほとんどは、「20歳以上の大人」です。人間形成に影響を与えた価値観や失敗・成功体験が、判断規準としてできあがっていて、容易には変われないのです。

 では企業は“変わる”ために、大人の社員とどうつきあっていけばいいのでしょうか。

 ヒントは2つあります。
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rinenshintou at 13:35|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 【企業理念・事業戦略】