2004年10月22日

何をよしとし、何を否定しているか

 今日注目のニュースはこれ。

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「何も変わらない組織」が全体の3割強、組織DNA調査速報
  [2004.10.20 UPDATE 日経ビジネスエクスプレス]

 「一見すると社員の気心は合っており、大きな変革についてのコンセ ンサスも形成できる。ただし誰も実行しないため、何も変わらない。日 本の組織の36%はこうした状態にある」。コンサルティング会社、ブーズ・アレン・ハミルトンが実施した「組織DNAに関する調査」でこのよ うな結果が出た。



  組織タイプは全部で7つある。日本での調査の中間結果によると、も っとも多かった組織タイプは「パッシブ−アグレッシブ型」で、回答者 の36%がここに属した。パッシブ−アグレッシブ型とは、一見気心が合 っているようだが変革を実行できない組織である。

 次に多かったのが、「フィット・アンド・スタート型」。これは、有 能でやる気がある人が多いものの、同じ方向に向かって力を合わせられ ない組織である。回答者の16%はこの型に属していた。3番目は「管理 過剰型」で15%を占めた。管理の階層がいくつもあり、動きが取れない 組織である。

 パッシブ−アグレッシブ型、フィット・アンド・スタート型、管理過 剰型はいずれも、変革を実行できない健全とは言えない組織である。こ れら3つのタイプに所属する回答者が7割近くいたことになる。

  残る4タイプの結果は次の通り。事前に準備をしているわけではない が変化には即座に対応できる「ジャストインタイム型」が8%、一貫した 戦略を持ち、しかも変化に迅速に対応できる「レジリエント型」が4%、 少人数のトップマネジメントによって指揮されている「軍隊型」が4%、 少人数のトップでマネジメントできない規模にもかかわらず権限委譲が できていない「過剰成長型」が2%。

▼米国との違いは戦略の有無?  ブーズ・アレン・ハミルトンは日本に先駆けて、米国をはじめ世界各 国で同様の調査を実施している。2003年12月に実施した米国における調 査結果は次のようになっている。パッシブ−アグレッシブ型29%、管理 過剰型17%、レジリエント型16%、ジャストインタイム型9%、フィッ ト・アンド・スタート型8%、軍隊型4%、過剰成長型3%。

 日米比較をしてみると、最も違うのが「レジリエント型」の割合であ る。日本が4%であるのに対し、米国が16%となっている。レジリエント とは不死身といった意味で、環境変化に対して強いことを表現している。

 先に簡単に述べたように、レジリエントな組織の特徴は一貫した事業 戦略を持つことである。常に戦略に整合的な行動を取ろうとするため、 変化をできる限り先取りして考え、対策を前倒しで検討する。米国企業 の方が日本企業より企業戦略を明確に決めることが多いため、こうした 結果になったのであろうか。

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 ニュースが長くなってしまいました(これでも削ったんですが)。 さっそく「らしさ」の視点で見てみましょう。

 「組織DNA」とは「らしさ」の組織的な一面といえます。ブーズアレン では7つに類型化しているわけですが、いくつに分けるか、ネーミング はコンサル会社や人によって違うでしょうし、今回あえて触れません。

 ではなぜ7つ(この場合は)の方向性、違い、「らしさ」ができてき たのでしょうか?

 ひと言で言えば、この組織のあり様の違いは、「何をよしとして、何 を否定してきたか」の違いであると考えます。あとは誰がそれを決めて きたか。オーナー経営者が一人で決めて今も頑張っているのか、1人目 の経営者が育てた人たちがメンバーにそうしてきたのか。あるいは、誰 もそれをやってこなかったのか。

 オーナー型企業の場合は、この「何をよしとして、何を否定している か」をオーナーが日々どのように表現しているかが大きいと感じます。 毎日うるさく言っているオーナー企業の場合、まず直接怒られる役員や 幹部が敏感に反応し、末端の従業員に毎日伝わっていきます。トップダ ウンではありますが、ある意味で「浸透している」組織です。

 困るのはオーナーが「日々言っていることが違う」ケース。現場は大 混乱。わけがわからない、というのが本音でしょう。こうなると人は「 とりあえず怒られることだけは止めとこう」に100%の力を注いで、 それ以外のことはやらなくなります。だって、努力の無駄だから。この パターンの日本企業を私はたくさん見てきました。

 でも本当に日々言っていることが違うとすれば、そのオーナーは気違 いでしょう。多くの場合、真実はそうではなく、「真意が伝わっていな いだけ」なのです。それをわかりやすくする方法の一つが、上記ニュー スにある7タイプのうちの「レジエント型」です。わかりやすい事業戦 略で、従業員の判断基準をシンプルにしてしまうのです。これは、純粋 な「らしさ」とはちょっと違いますが、強い組織を作る一つの方法です。

 たとえば仕組みでエブリデイロープライスを実現する=ウォルマート。 世の中のいいとこ取りをして安くていいものを提供する=デル、という ように。このへんはアメリカ企業が得意ですね。

 日本のオーナー経営者にお会いして感じるのは、それぞれの思いは強い のに、「うまく表現できない、従業員に伝えられない」方がとても多いこ と。「俺が日々言っていることが違うようにみんな言うけれど、実は同じ ことを言っているだけなのに」、と。


 真実に全員が気がついた瞬間に、組織は変われると思います。

rinenshintou at 12:00│Comments(0)TrackBack(0) 【企業理念・事業戦略】 

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