2005年10月21日

会社は誰のものか、の新たな視点 【グーグル】

 こんにちは。 

 先週のコラム「理念の転換を伝える覚悟ダイエー】」では、読者の方から さまざまな感想をいただきました。ありがとうございます。


・「その通りですね。パンツが買いにいけるよう努力します(笑)」

・「身の回りのものはほとんど自分で買います。特に、外で人目に触れる部 分は全部自分で買います。」
 この方(40代の経営者の方)のこだわりはすごかった、脱帽です。

 身の回りのものだけでなく、たとえば「ふりかけ」や「納豆」も自分で見て 買ってほしいです。主婦の方は当たり前にやっていますね。

 買うことができたら、次には「なぜこの値段なのか」「他にどんな商品が棚 にならんでいて、どう違うのか」「売れているのはどれで、自分が買いたいの はどれで、なぜなのか」といろいろと考えること。

 でないとただ日常の買い物をしているに過ぎませんからね。



┏ 今週のテーマ ━━━━━━━━━━━━━┓
  会社は誰のものか、の新たな視点 【グーグル
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 先週ですが、グーグルの慈善活動に関するニュースを見かけました。



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 米グーグル資産9億ドルの財団・慈善活動に

 【シリコンバレー=村山恵一】米グーグルは資産規模が9億ドル(約1030億 円)を超える財団を設け、貧困救済など慈善活動に積極的に乗り出す。同社は インターネット検索事業で急成長しており、利益の一部を還元することで社会 貢献の姿勢をアピールする。同社はこれまでも個別に寄付などをしてきたが、 今後の慈善活動は「グーグル・ドット・オルグ」の名称で統一的に手がける。 主に貧困者の救済やエネルギー、環境問題に重点を置き、これらの分野で活動 する非営利団体に寄付する。

 同社は昨年8月に株式を公開し、株式の1%と利益の1%を財団に拠出し社 会貢献に使うと表明していた。現在の株価などで計算すると合計9億ドル強の 金額になる。9億ドルを超える基金の規模は企業が運営する財団としては最大 級とみられる。 (NIKKEI.NET 2005年10月13日)

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 9億ドルですよ。日本円で1000億円以上。

 それだけのお金を、社会貢献にぽーんと投じられる企業はもちろん限られて いますし、金額だけを見ると「公開企業なのに、よく株主を説得できるな」と か、「なんのために儲けているんだ」とか、「そんなに儲かっているなら値段 を下げろ」「社員に還元しろ」。いろんな意見があるのでしょうね。

 小さいなあ。

 グーグルは顧客に法外な売値をふっかけたり、騙して高い利益を上げている わけでも、従業員を低い待遇で酷使しているわけでもないでしょう。顧客に十 分なサービスを提供してまっとうに儲けて、株主と従業員にも還元した上で、 それでも儲かった中から社会のために還元しているのです。

 日本でいえばトヨタもそうですね。1兆円利益をあげたからといって、儲け すぎだと怒っている顧客も従業員も株主もあまり聞きません。

 これだけの金額を投じても株主を納得させられる事実に、私はグーグルのす ごさと「らしさ」を感じます。(トヨタの場合は、1000億円を違う使い方をす るでしょうが、それもトヨタの「らしさ」です。)

 付いている株主の多くも「グーグルのそんなところが好き」という人が多い のではないでしょうか。株主だって「私の会社が社会にこれだけ貢献している」 と誇れるのではないですか。彼らはちょっと儲かりそうな銘柄を見つけたから というだけで、グーグル株を手放す気にはならないでしょう。

 人間を信じる限りは、これ以上に確かな買収防衛策はないのではないでしょ うか。

 「グーグルは特別だ、何を甘えたことを言っているんだ」という反論がある でしょう。M&Aコンサルティングの村上さんは、「株主は投資した金額への 最大リターンを期待しているのであって我々はそれに答えるだけ、それがわれ われのビジネスだ」という主旨の発言をされています。

 そういう株主さんには村上さんが必要です。その代わり最大リターンが得ら れなければすぐにどっかに行っちゃいます。そうですね。つまり安定株主には ならないから、買われる方は常に買収の危機にさらされっぱなし。おちおち本 業もやっていられません。

 一次的に株価が上がっても、本業の利益は落ちていくでしょう。まあ、投資 家は売り抜けられればそれでいいのですが、顧客と従業員はたまりませんね。


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 「会社は誰のものか」という議論が盛んにされています。


 株主、顧客、パートナー企業、従業員、社会。さまざまなステークホルダー (利害関係者)の利害は一致しないという前提に立って、「株主のものだ」 「いや従業員のものだ」「経営者のものだ」と、さまざまな主張がぶつかって います。

 人や立場が違えば、目指す方向がまったく一致することはないのかもしれま せん。しかしながら東西南北のどっちに行くのかくらいを一致共有させること はできるはず。

 今のステークホルダーで方向性が一致しないとしても、方向性を明確に打ち 出すことで、「合うステークホルダーだけを集める」ことはできます。

 まず、企業の考え方、理念を株主、顧客、従業員、社会に示すこと。そして 徹底的に実行すること。すると、賛同する人が集まり本当のファンになってく れる。ある人は顧客として、ある人は株主として、ある人は従業員として。

 結果として一つの明確なブランドが生まれます。それが企業であり、企業は 方向性を打ち出す経営者を含めて、集まってくれたステークホルダーみんなの ものになれるのではないでしょうか。

 米グーグルが慈善事業に1000億円の利益を投じるニュースを読んで、そんなこ とを思いました。


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 個性ある、わかりやすい企業がいっぱいあれば、株主も顧客も従業員も、自 分にぴったり合った企業を選ぶことができます。

 私が「理念浸透コンサルティング」を通して実現したいのはそんな社会です。

rinenshintou at 21:18│Comments(1)TrackBack(0) 【企業理念・事業戦略】 

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この記事へのコメント

1. Posted by こまちゃん   2006年06月28日 10:26
1.投機目的の株主
2.経営に携わりたい株主
3.企業を育成したい株主
が居るようですね。村上さんは1。
グーグルの株主は3でしょうね。
海外の投資家にはこのタイプが多いそうです。日本では皆無に近いとか。
そもそも、手数料で儲ける輩の勧める不純な投資でしかないのかな。

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