2005年09月05日

琵琶湖の向こうはアメリカ

私の住む地域の話をします。
滋賀ですから琵琶湖があります。
琵琶湖しかないとも言われています。
はなわが滋賀出身でなくてよかったと思ってる人も多いでしょう。
 
その昔、小学校の低学年の頃
私は毎朝、湖岸沿いの道を歩いて登校していました。
毎朝、琵琶湖を眺めて登校していました。
いつもどんよりとして、かすんでいるので
向こう岸が見えない日が多いのです。

それで頭のなかでは琵琶湖はどこまでも広がっていて
そのまま泳いでいけばアメリカがあるってずっと妄想していました。
私の頭の中では外へ外へと向かっているはずなのに
実際は内へ内へと向かう旅なのです。
岸から泳ぎだすという同じ行為が
片方では異国へとつながり
もう片方では自分自身へと向かっている。

昔、読書感想文がすごく嫌いで
まともに本を読んだことも
感想文を書いたこともありませんでした。
そんな自分が15歳頃から急に文学に目覚め
小説や詩を読んで、
詩や文を書いた。

昔、音楽がちんぷんかんぷんで
音楽の時間は苦痛以外の何ものでもなかった。
それが中学へ入った後、
いろいろレコードを聴き
ギターを弾くようになり高校へ入学するとピアノを習い始め
ウイーンにオペラを聴きにいき
サンバを聴くためにブラジルまで行った。

中1のとき英語がわからなくてさんざんな点数だった。
ひどくて人に言えずに1年間ほおっておいた。
中2になったときから一からやり直した。
なぜか英語が好きになった。
留学までして親に迷惑をかけた。
今人に英語なんか教えている。

大学で詩を書いていた頃は
お金儲けなんて絶対に無理だって思っていた。
傷つきやすいこころをもって社会の風に当たれば
リルケのように死んでしまうと思っていた。
相当に恥ずかしい思い出だ。
マジで恥ずかしい。
今は自分で税金の計算をしている。

学ぶということは外へ向けて自分を漕ぎ出しているようにも見える。
けれどどうしてそれを学ぶのかといえば
それは自分自身を見つめるためのような気もする。
自分自身の負い目を克服するために
今まで勉強してきた部分もある。

迷路は琵琶湖に似ています。
それはいつも内面を映す鏡なのです。
迷路に夢中になっている時間は 自分を探している時間なのです。
最近流行の自分探しの旅と同じかどうかは知りません。
自分のできないところとできるところを 自分自身がはっきりと認識でき
それと同時に克服までもしてしまうのが迷路です。
そんな迷路を作りたいと思っています。

迷路には始まりがあり終わりがあります。
入り口があって出口があります。
長いトンネルを鳥瞰しているようです。


子供たちは小さくても自分を探しています。
勉強が自分を見つめることに思えなくなった日に
迷路を差し出すと ちゃんと気付いてくれます。
勉強は自分を探すためのもの。
世界を広げると同時に
自分の内側を探るものでもある。
 
こんなこと、塾の先生が言うことではない。
けれど、もういい。 書きたいことを書きます。

なんかちょっとおかしいでしょ?
まだ私は迷路の入り口にいるんです。



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この記事へのコメント

1. Posted by テツ   2005年09月05日 22:09
嫁も息子も早く寝たので、ゆっくりパソコン...おっと仕事できます。傍ら、ブログがおもしろい...。
自分を知らない人が多すぎるというのは実感してます。努力もせず、ただ何となく親が放つ光の端に座って輝かせてもらっている。そんな二、三世では先が見えている。
もっと己を知るために、イエスマンだけに会わず、ノーマンにも会って欲しい。しかし、気付くのが遅いのですよねえ(笑)。
2. Posted by JackAmano   2005年09月05日 22:32
やはり、りんごさんは詩人であったか。
僕は、中学のときは推理小説のようなものとショートショートのようなものを一所懸命書いていた時期があります。
音楽に目覚めたのも小学生時代と早熟でしたが、腕前は人に言えません。歌だけは自信もあったのですが、もう声は思うように出なくなりました。
でも、それらを全てあきらめたんじゃありません。迷路の中で、ウロウロしている自分を楽しんでます。
3. Posted by 桜子   2005年09月05日 23:54
こんばんは、りんごさん。一日の終わりに何気なくクリックしてみると、さらに素敵なブログに変わっていました。秋バージョンでしょうか?

>けれどどうしてそれを学ぶのかといえば
それは自分自身を見つめるためのような気もする。
自分自身の負い目を克服するために今まで勉強してきた部分もある。

同じです。分からないことが長いこと負い目で、それを放って置く自分がいやでしたね。
一つずつ苦手分野に手を出し始めると、今度はわかることがとてもうれしくなって。

一つ迷路を抜けると、また新しい迷路が待っています。今はそれを四苦八苦して通り抜けることが楽しみになってきました。

「レコード」とおっしゃるりんごさんに親しみを覚えます。笑。今はレコードといってもわかってくれない方がおられますからね〜。

またお邪魔します〜〜。おやすみなさいませ。



4. Posted by ヨシミとチホのママ   2005年09月06日 06:58
りんごさん、おはようございます!
今日の記事でちょっぴり安心したりして。笑
こんな素晴らしい文章を書くりんごさんも、昔々は読書感想文があまり得意でなかったなんて。
私が本を読み始めたのは中学3年くらいに成ってからでした。
それまで運動バカで、活字も数字も苦手だった私が持て余した時間に読んだ詩集がきっかけでした。
確かその頃から勉強もするように成って。
本を読むこと、勉強することで自分の目が外に向いたんですね。
今日やっと急に自分が勉強好きに成った理由が解りました。
5. Posted by こだま   2005年09月06日 12:24
>岸から泳ぎだすという同じ行為が
>片方では異国へとつながり
>もう片方では自分自身へと向かっている。

このイメージ、大好きです。感激です!
ヨーロッパ映画の素敵なワンシーンを想起させる、深い余韻を残すような・・・。
ありがとうございました。
6. Posted by    2005年09月06日 12:47
こんにちは。

タイトルから素敵ですね。私が琵琶湖のほとりに初めて立ったのは大学の時です。その前に猪苗代湖で「湖なのに対岸が見えない」という体験をしていたので、琵琶湖ではそれほど驚きませんでしたが...。北の、賤ヶ岳あたりの景色が印象に残っています。余呉湖もいいですね...。

関係ありませんが「パズルコレクション」という雑誌が出ましたね。ご存知ですか?創刊号は490円で木製の「ハノイの塔」が付いてくるので、早速手に入れました。教室に置いておいたら、中3が苦労しながらも完成!私もムキになって昨日夜中までかかってできました。この後も面白そうな物は手に入れようと思っています。
7. Posted by Sachi(学習塾講師のブログ通信Sachi-net)   2005年09月06日 15:17
 りんごさん、こんにちは。ブログ環境はどうですか? 僕の方はもう、ダメダメです。。。
 ブログ生活に支障があることはちょっぴり許しがたいです。。
 さて、琵琶湖。いいですよね。中学生時代のルアーフィッシング以来、思い出深い場所です。詩的で素敵な文章、ありがとうございました。
 僕も読書感想文は苦手でした。「感動に言葉はいらない」とか言って開き直ってましたけど。でも、小説なんかだと特に、やっぱり今でも感想文なんてきれいには書けないと思います。でも詩は昔から好きで、中学生の頃からこっそり書いてました。僕の場合は、「愛」の詩ですけどね(笑)。
 では、このへんで。
8. Posted by りんご   2005年09月06日 17:20
テツさん、いつもありがとうございます。

台風だと忙しいようで。

どうかお気を付けてお仕事がんばってください。

こちらも風が強くなってきました。

では。
9. Posted by りんご   2005年09月06日 17:25
ジャックさん、こんにちは。

歌われてましたか。私は中学のときは授業が終われば廊下に出て、休み時間はずっと歌っていました。学校が終われば自転車で帰り道、ずっと歌い、風呂に入って歌い、夜部屋で歌ってました。

二十歳になってやっと気付きました。
「私は音痴なんだ!」って。
すごく驚きました。

では。
10. Posted by りんご   2005年09月06日 17:42
桜子先生、こんにちは。

>分からないことが長いこと負い目で、それを放って置く自分がいやでしたね。

なんでもそうですよね。けれどこの年になってもまだまだ克服しないといけないものはたくさんあります。なんでも器用にできてしまうってことはないので、ちょっと苦労します。まだまだ宿題がたくさん残っています。

それでは。
11. Posted by りんご   2005年09月06日 17:55
ママさん、こんにちは。

>昔々は読書感想文があまり得意でなかったなんて。

「あまり」ではなくすごく得意ではなく、大嫌いでした。人に読めって言われると、ダメなんです。感想を言えっていわれるとダメなんです。貝のようになってしまいます。困ったものでした。

>本を読むこと、勉強することで自分の目が外に向いたんですね。
今日やっと急に自分が勉強好きに成った理由が解りました。

すごい!そうなんですか。
じゃ、私のやることはひとつ。
おもしろいお話を書く、です。
では。
12. Posted by りんご   2005年09月06日 18:06
こんにちは、こだまさん。

このような感覚に反応されるのがこだまさんですね。やっぱり。うれしいです。この感覚で小学生向けの読み物を書いてみようって思っています。別のブログで週1くらいで短い話が書けたらいいなって思ってます。

それでは。
13. Posted by りんご   2005年09月06日 18:12
桐さん、こんにちは。

>北の、賤ヶ岳あたりの景色が印象に残っています。余呉湖もいいですね...。

よくご存知ですね。
秋に散歩したり、春に桜のトンネルをくぐったりすると、いいですね。

「ハノイの塔」は買って塾に置いてます。
私の場合、生徒が買え買えってうるさいんです。続けて買わないと。けど持ってるのも多いんです。とほほ・・・。

またよろしくおねがいします。
14. Posted by りんご   2005年09月06日 18:21
サチさん、いつもすいません。

琵琶湖と言えばミシガン・・・じゃなくてルアーフィッシングですね。サチさん、滋賀が大好きですからね。

ブログは私もまいってます。もしかしたらはてなに引っ越すかも。

ライブドア今まですごく早かったのに残念です。今度相談しま〜す。
では。
15. Posted by 表街道   2005年09月27日 00:00
はじめまして!
実は僕も大の琵琶湖好きです。
月に一度は必ず琵琶湖のほとりでぼんやりながめています。
いいですよねぇ、琵琶湖。
一箇所からは全体が見えないというのがなんとも想像をかきたてるというか・・・。
16. Posted by りんご   2005年09月27日 20:12
表街道さん、こんにちは。

>月に一度は必ず琵琶湖のほとりでぼんやりながめています。

そんな時間を持たれておられるんですね。
すごい。

私は毎朝犬と一緒にぼーっと歩いてます。
これからもよろしくお願いします。

それでブログはシーサーのほうへ引っ越しました。

http://ringojuku.seesaa.net/

こちらもよろしくお願いいたします。

では。

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