諌早市にある馬事公苑で障害飛越の練習をしていた時の話だ。
障害を飛べるからといって僕は馬術が優れている訳ではない。馬を旨く乗るのに必要なのは「抜群のバランス感覚」か「怖さ知らず」のどちらかひとつ有れば良い。
勿論、僕は後者。僕にもうひとつ有るとしたら馬の気持ちが少し判ること。何れにしても技術はたいしたことはない。

その日は障害のバーを少し上げて跳ぶ練習をしていた。跳ぶのは実際は馬なのだが乗っている人間がその踏み切りのタイミングを馬に伝えなければならない。タイミングだけではない本当は馬は跳びたくないかもしれないところを跳ぶ気にさせなければならない。気迫と集中力だ。馬のリズムと人間のリズム。人間の気迫と馬が人間の意識を理解しようと集中した時。瞬間400kgの巨体がガバッと宙に浮く。一瞬だ。次の瞬間、今度は巨体は前脚から地面に落ちその衝撃で跳ね上げられそうになるのを僕は旨く膝を使って抜く。ああ。。。もう最高。。ウィルお利口!
・・・となる筈だった・・・
僕はバーを跳んだ。でもウィルは跳ばなかった。バーの直前で僕の指示に反して急ブレーキをかけたのだ。彼が悪いのではない僕の技量の無さだ。技量は無いが怖さ知らずだからリズムもタイミングも合っていないのに闇雲に突っ込んでいく僕が悪い。
宙を舞った。青い空が目の前に広がったまま地面に叩きつけられた。本来は手綱を握って放さなければこうまでならないのだがこの時は不幸なことに手綱が切れた。下手をしたら頚椎骨折するところだった。
馬場の砂の上に大の字になって「やっちゃった…」と放心状態でいる僕の顔の上にバー越しにウィルが覗き込んできた。眼と眼が合ったらウィルは「ハッ」とした顔つきをした。「ああ。僕のこと心配してるんだ!」と思っていたら、さっさと厩舎の方に歩き出した。乗り手が馬を降りる時はレッスンの終わりを意味するから彼はそう思ったらしい。
「ウィ~ル!」
「まだ終わってないって~!」
(ちなみに、落馬したらその日の内にもう一回乗りなおさないと次回から怖くなって乗れなくなる人があります。)
障害を飛べるからといって僕は馬術が優れている訳ではない。馬を旨く乗るのに必要なのは「抜群のバランス感覚」か「怖さ知らず」のどちらかひとつ有れば良い。
勿論、僕は後者。僕にもうひとつ有るとしたら馬の気持ちが少し判ること。何れにしても技術はたいしたことはない。

その日は障害のバーを少し上げて跳ぶ練習をしていた。跳ぶのは実際は馬なのだが乗っている人間がその踏み切りのタイミングを馬に伝えなければならない。タイミングだけではない本当は馬は跳びたくないかもしれないところを跳ぶ気にさせなければならない。気迫と集中力だ。馬のリズムと人間のリズム。人間の気迫と馬が人間の意識を理解しようと集中した時。瞬間400kgの巨体がガバッと宙に浮く。一瞬だ。次の瞬間、今度は巨体は前脚から地面に落ちその衝撃で跳ね上げられそうになるのを僕は旨く膝を使って抜く。ああ。。。もう最高。。ウィルお利口!
・・・となる筈だった・・・
僕はバーを跳んだ。でもウィルは跳ばなかった。バーの直前で僕の指示に反して急ブレーキをかけたのだ。彼が悪いのではない僕の技量の無さだ。技量は無いが怖さ知らずだからリズムもタイミングも合っていないのに闇雲に突っ込んでいく僕が悪い。
宙を舞った。青い空が目の前に広がったまま地面に叩きつけられた。本来は手綱を握って放さなければこうまでならないのだがこの時は不幸なことに手綱が切れた。下手をしたら頚椎骨折するところだった。
馬場の砂の上に大の字になって「やっちゃった…」と放心状態でいる僕の顔の上にバー越しにウィルが覗き込んできた。眼と眼が合ったらウィルは「ハッ」とした顔つきをした。「ああ。僕のこと心配してるんだ!」と思っていたら、さっさと厩舎の方に歩き出した。乗り手が馬を降りる時はレッスンの終わりを意味するから彼はそう思ったらしい。
「ウィ~ル!」
「まだ終わってないって~!」
(ちなみに、落馬したらその日の内にもう一回乗りなおさないと次回から怖くなって乗れなくなる人があります。)
コメント
コメント一覧 (1)