October 02, 2005

責められるのは、親だけなのか

とある休日に、スーパーのフードコーナーで親子で昼食を食べていた時。
前の席に親子連れが座る。幼稚園ぐらいの子供達二人。
途中で、おもちゃの貸し借りを巡り、お姉ちゃんに貸してもらえなかった弟が
ひどく泣き始めた。
よくある光景と思っていると、尋常でない大泣きはいつまで経っても収まらず、
その中でお母さんとお姉ちゃんは、いつものことらしく普通に食事を続け、
のけぞって暴れる弟をお父さんは抱っこして、少し離れた所に移動する。
私達が食事を終え食器を片しその場を離れて、そのフロアで30分ほど
買い物を続けている間も、その子の泣き声は遠くからずっと途切れることなく
聞こえ続けた。


子供の問題は、親のしつけの問題でしょ!という意見がある。
それはもちろん正論だし、ある意味当たり前と言えば当たり前すぎること。
しかし。先のフードコーナーの親子の一件にしても、
もしかしたらそこに、親のしつけだけで解決できない何かを抱えているかもしれない、という事は容易に想像できる。

子供側の問題だけではない。
今の時代、しっかりしていて賢い母親、父親が頑張って子育てをしなければ
子供はまっとうに育たない、というのが実情なのかもしれない。
でも病気その他の色々な事情のため、気持ちはあっても多くの時間を子供のために
割けない母親、父親もいる。
そういう場合、昔なら親の足りない部分を支える、現場の教師や地域のつながりが
あったものだが今はそれも期待薄だ。

今時の若い母親のとんでもない子育てぶりは、色んな所で取りざたされ、非難される
けれども、しょせん人は自分が育てられたようにしか育てられない。
その母親も、もしかしたらその親に酷い育てられ方をした犠牲者かもしれない。
だからそこから抜け出すために悩むし、苦しむ。そしてまたその子供も。

親のしつけの問題でしょ!
と言われてみると、白か黒かどちらか二者択一を迫られている気分になる。
白か黒かで割り切れないグレーゾーンで母親たちは日々苦しんでいるのに。
母親を苦しめているもの。それはこんな社会的プレッシャーなのかもしれない。
子供の事は自分に責任があるとわかっている母親は、だから苦しい。
わかっていながらどうにも出来ない時があるのが、苦しい。
苦しんでいる母親に個人的に友人や身内しか手が差し伸べられないのは、
どう考えてもおかしい。

数ヶ月前、友人が電話をかけてきて話した。
私もよく知っている場所、その友人の家のすぐ近所で、
若いお母さんが乳児を自らの手にかけたそうです。
育児ノイローゼで。友人は言いました。
その人とは、きっとあそこの八百屋で
すれ違っていたかもしれない。
悩みを知っていれば、家に呼んでお茶でも飲みながら、
話を聞くこともできたかもしれないと。
でも現実に、それはできないことでした。


子どもが不登校で一年間学校に行っていない近所のお母さんは、
心労から心身のバランスを崩し、去年夏の間、近くの総合病院に
入院していました。子どもは今もまだ学校に行っていないそうです。


一生懸命に子育てを考えていた(であろう)、真面目なお母さんの
心が壊れていく事は、決して少なくないのです。
そんなお母さんを、心が弱いからといって責めても非難しても、
子どもが救われるわけではない。
いまや母親(両親)だけで子供を育てる事なんて、事実上不可能。
物理的にも、心理的にも多くのサポートが必要なのです。

他人に社会に迷惑をかけないように子供を育てろ。
しかし子供の個性は大事にしろ。
学校や社会からとうてい不可能な事を要求され、そうして集団に合わないものを、
どんどん切り捨てて、最後は親が何とかしなさいと言う。
何とかできるなら、みんなとっくになんとかしてるでしょう!という事を
なぜいまだに気付かない多くの人がいるのだろうかと、不思議でたまらない。


*この記事は「週刊!木村剛」の“[ゴーログ]キレル小学生の教育は親の責任です!”と、
「ジャンバラヤ」にTBします。


riro at 20:57│Comments(5)TrackBack(1)ジャンバラヤ 

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1. 親のしつけ!という一言  [ 家にいさせて ]   October 05, 2005 09:26
そりゃ、あんた、親のしつけの問題でしょ! 旧い人間だからスミマセンと言いつつも、 キムタケさん、「キレル小学生激増」に対して言い放ってる。 ふーん、ずいぶんと簡単に斬ってるよな〜〜。 こういう人が、あっさり「親のしつけ」なんていう一言で片付けてるあたりが まだ...

この記事へのコメント

1. Posted by ぶんぶん   October 03, 2005 19:27
riroさん、こんばんは〜。

>親のしつけの問題でしょ!
と言われてみると、白か黒かどちらか二者択一を迫られている気分になる。
白か黒かで割り切れないグレーゾーンで母親たちは日々苦しんでいるのに。

確かに親のしつけの問題です。
でも、グレーゾーンで母親たちが苦悩しているというのが経験者の私はすごくよくわかります。
男性は四六時中子供と一緒じゃないから、いまいちわからないかもしれませんね。

あと、私も含めて今の親は大人になりきれてないところもあって、子供を受け止める余裕もないんですよね。
親の自分自身も共感してもらいたい。認めてもらいたいっていうのがあるのかも。
隣の芝生は青く見えるし、入ってくる情報も多すぎるし、今の子育てはすごく大変だと思います。
2. Posted by riro   October 03, 2005 21:01
ぶんぶんさん、コメントありがとうございます。

子供の問題は、基本的には親のしつけの問題だと私も思います。
ただ子供の問題行動の中に、子供側にも普通のしつけが通用しない何らかの問題、親側にもきちんとしつける事のできない何らかの問題を抱えている事が
あったとしたら、それを同様に単なるしつけの問題として一刀両断に切り付けるのは、ちょっと乱暴なのでは、と思ったわけです。
(ちょっとわかりにくい書き方だったかもしれませんね^^;)

単なるしつけ不足の問題と、もっと深刻な何かを抱えている場合を、きちんと見極める事ができ、後者の場合、周囲(公的機関も含めて)のサポートがスムーズに行われるシステムが出来て欲しいと思うのです…。
3. Posted by riro   October 03, 2005 21:02
<続き>
>隣の芝生は青く見えるし、入ってくる情報も多すぎるし、今の子育てはすごく大変だと思います。
時代と単純に言い切れない面もあるでしょうが、今は本当に子育てしづらい時代だと思いますよ。
4. Posted by daru   October 05, 2005 09:25
お邪魔します(笑)
相変わらずの、riroさんの鋭い視点、
同感しきりです。
ひょんな所でニアミスしていたのですね〜。
TB、お手数かけてしまい申し訳ありません。
恐縮ですが、こちらから貼らせていただきますね。
5. Posted by riro   October 05, 2005 15:58
TBありがとうございます。
久しぶりにここからTBをしたのですが、
livedoorのリニューアルのせいなのか、
こちらから送れず失礼しました。

daruさんの記事は書き方こそ違っているけど、
根本的な考え方が私と似ているような気がして、
興味深く読ませていただきました。

PS.文は人なり…特徴的な文章は読んだだけで、
すぐ誰が書いたか分かる、という意味ですよ^^

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