琵琶一人旅

琵琶奏者 塩高和之の徒然日記 日々の想いを綴ります。

2011年09月

Get Loud

先日、かねてから観たかったドキュメンタリー映画「Get Loud」を観てきました。久しぶりに血が騒ぐナイスな映画でした。

            get loud

なんたって、ジミーペイジ、ジ エッジ、ジャックホワイトが3人でギター談義をやるんだからこれは見逃せません。もしクラプトンやベックとの3大ギタリストだったら陳腐になってしまうけれど、3世代のトップギタリスト、それも三人三様スタイルが違うというのが面白い。ジャックホワイトについてはあまり知らなかったのですが、一気にファンになりましたね。彼とは同じ血が流れていると感じました。

またエッジとジャックホワイトは、共にパンクを通り越しているのが良いですね。既成概念に囚われない。世間の常識など関係ねー、というパンク精神旺盛で、技術の追求に陥ったロック界に強烈なパンチを浴びせています。

 get loud4           get loud3

日本では、ビートルズや美空ひばりなんかを批判してはならない、みたいなことがまかり通っていますが、私は全然好きではないし、ポップスや歌謡曲にも全くもって興味が無いので、ジャック・ホワイト、ジ・エッジの二人が語った「ポップスはくだらない音楽だと思っていたよ」との言葉に激しく共感しました。
日本では、「これが常識だ」という具合に考え方を押しつけて来る人がとても多く、歌謡曲を知らないやつは日本の音楽が判っていないだの、ビートルズを知らないやつは音楽やっている資格無し、みたいなことを平気でいう人が多いです。それも少しばかりライブ活動をしているような人に多い。私はそういうことを口にする人は基本的に信用も信頼もしていませんし、感性も知性が足りない人だと思っています。だからこの映画は実に痛快でした。

私は元々歌のある洋楽が好きではなかったし、ポップス的なものは全然受け付けなかったので、本物のロックと信じているツェッペリンの「フィジカルグラフィティー」やクリムゾンの各LP、ジェフベックのインスト作品は、正に私という人間を作り上げるバイブルだったわけです。そしてそのツェッペリンの音楽を作っていたジミーペイジが観られるんだからたまらないわけですよ。

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今、自分がやっている音楽とこれほどまでにリンクするのは久しぶりです。私は彼らとは全然規模が違いますし、比べるのはおこがましいですが、魂はつながっている!!と激しく思いました。
お坊ちゃま、お嬢ちゃま、優等生は勿論の事、無頼を気取りながらアカデミズムに尻尾をふっているような輩にこれを見せたいですね。見せても何にも感じないかも知れませんが・・・。

映画の中で、ジャックやエッジが、スーツを着て携帯で話をしている人を見ながら「何の話をしているんだろうね」「どうせオーガニックの話でもしているんだろ」というくだり、痛快!!でした。


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というわけで、私はどんどん私の道を行きます。土曜日は北鎌倉でCD発売記念演奏会がありますので、ロック魂をお持ちの方、ぜひお越し下さい。只激しく演奏するという訳ではありません。既成の伝統に囚われることなく、自分の思う音楽をやるのみです。



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秋の演奏会色々2011

毎度のことですが、今年もこのお知らせが出来ることがとても嬉しいです。
今年は地震・台風と日本列島を天災が襲い、その傷跡は未だ癒えていない状態。その様な中、演奏活動が出来ることに、感謝以外の言葉が出てきません。

kominka-live2011まずは今週の土曜日、10月1日には、北鎌倉の古民家ミュージアムで、CD発売記念コンサートが開かれます。CDに収録した曲を中心に演奏します。これからは楽琵琶の演奏会も増えて行くと思いますが、これを一つの転機にしたい、とも思っています。18時開演です。

10月6日には川越の三番町ギャラリーで漆作家の方の個展の記念演奏をしてきます。このギャラリーはもうずいぶん前にやはり記念演奏をやったのですが、ずっと覚えてくれていて。またお声がかかりました。以前にも弾いた「壇ノ浦」を演奏します。

10月8日は藤沢にある朝日カルチャーセンター湘南にて、asahi aki
琵琶レクチャー&コンサート。
春に続いて2回目です。お近くの方ぜひどうぞ。
お問い合わせは0466-24-2255です。

12日は定例の琵琶樂人倶楽部。今回は薩摩の四弦と五弦で「敦盛」の聞き比べをします。

15日は神楽坂のアートサロン「香音里」にて、私のソロコンサートをします。ソプラノ歌手 郡愛子さんのご自宅を改装してサロンとした素敵な場所です。
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薩摩琵琶と楽琵琶による演奏で、久しぶりに「平経正」を演奏します。一曲助演で、尺八の田中黎山君に「まろばし」を吹いてもらいます 。
こちらのご予約は
おんがくの共同作業場042-522-3943  または
香音里 03-6280-8044迄お願いします。



そして11月は関西へ一週間ほどツアーに出ます。大阪のコモンカフェ(久しぶりです)奈良の東大寺門前 夢風ひろば、本薬師寺前のLE PARLOIR、 橿原今井の称念寺などなど・・・。関西方面の方ぜひお越し下さい。

11年11月11日ぞろ目は武蔵野スイングホールにて「饗宴~現代に蘇る中世世界」という企画演奏会をやります。中世野歴史や文学を元にした新作曲を集めるという企画です。
genndai出演は私の他、ピアノの安藤紀子、ダンスのかじかわまりこ、筑前琵琶の大久保旭夏、尺八は田中黎山、藪内洋介、そして招待作曲家として、東保光さんを迎えて、新作の会をやります。
お問い合わせは
オフィス オリエンタルアイズ 
orientaleyes40@yahoo.co.jpまでお願いします。



11月の23日には福島県立美術館の招きで「鎮魂~平家物語弾き語り」をやってきます。私の演奏で、どれほどの鎮魂になるか判りませんが、」精一杯やってきます。

12月の頭には恒例の「創心会」をオペラシティー内の近江楽堂でやってきます。


                

他にも色々とあるのですが、まずはざっとご紹介。本当にこれだけの演奏会に恵まれて嬉しいです。
私が良く書く「生かされている」という言葉は、どこか優等生的なものも感じるかも知れせんが、年を重ねるほどに実感できるのです。権威にも組織にも属さない私は、自分の力で何でもやっているつもりでも、結局もっともっと大きなはからいに生かされている、ということが、やればやるほどに感じられるのです。何というのか導かれているように思えて仕方が無いのです。

ぜひ今後もご贔屓に。



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Newest CD「風の軌跡」完成!

6枚目となるCD「風の軌跡」が完成しました。これから事務的な処理をして、25日にはご予約の方にちゃんと発送も出来ると思います。

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         ぜひぜひ聞いてみて下さい。


今回は、楽琵琶と横笛によるデュオで、薩摩琵琶のような弾き語りではありません。全体に雅楽~シルクロードの雰囲気で、邦楽の喜怒哀楽の世界より、もう少し天上界に近いような、さらりとした浮遊感があります。歌は今回入ってません。

コンビを組んでいる大浦さんとは、もう10年以上も前からライブ活動をしていまして、色々な音楽をやってきました。特に私が楽琵琶を弾くようになってから、REFLECTIONSとして活動をしていて、前作「流砂の琵琶」が出てからもう5年経ちます。

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                   大浦gagaku 3   reco-2011-3

私は薩摩琵琶の世界も大好きなんですが、それだけでは何とも表現しきれないものを感じていました。またよくこのブログでも書いているように、従来の「語り」や「うた」にも満足しきれないものを抱えていました。そんな時、大浦さんが楽琵琶を勧めてくれたのです。
最初に、中村かほるさんというプロの雅楽師の方の楽器を触らしてもらったのですが、その時は「とてもじゃないけど私には使えないな」と感じたのを今でも覚えています。その後、当時薩摩琵琶を習っていた師匠から楽琵琶をしばらく借りていたのですが、雅楽の勉強にはなったものの、これで作曲作品を作って弾く、という発想が全然出てきませんでした。

そうやってもやもやしていた頃、大浦さんから「オリジナルな曲をつくってやろうよ」という声がかかり、再びチャレンジしてみる気になって今に至るのですが、彼女は各地の民俗芸能や、各国の民族音楽に大変造詣が深く、一緒に話をしているだけでも色々なアイデアが出てきました。そして、それなら琵琶のルーツ、シルクロードを一つの指針にしたらどうかという事で、作曲を始めて、ついにはシルクロードにコンサートツアーに行くまでになってしまったという訳です。

更に私の琵琶を作ってくれている、石田克佳さんが塩高モデル楽琵琶を作ってくれたおかげで、その世界はどんどん飛翔していきました。

gakubiwa8これがその塩高モデル楽琵琶です。ちょっと大ぶりで、ものすごく重いのですが、材料の比重が大きいのか、大変豊かな音が出るんです。
柱は通常の倍、八柱に増やしてもらい、後に更に足して九柱となっています。


琵琶奏者として、これまで活動してきて、作品も色々と発表してきましたが、やっとこのところ、自分のスタイルが明確に形になってきたように思います。
楽琵琶と薩摩琵琶、私にはこの二つの、全く違う世界がどうしても必要なのです。そしてそれが私という人間なのです。

ぜひぜひREFLECTIONS そして「風の軌跡」をご贔屓に!!




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劇団アドック公演「母」

先日、劇団アドックの「母」の公演に行ってきました。
            
            アドック「母」

三浦綾子原作の「母」は小林多喜二の母、セキのことを書いたもので、アドックが劇団創立の頃から何度となく取り上げている作品です。アドックは文芸作品、それも社会派の作品に取り組んでいて、決してエンタテイメントの舞台ではありません。派手な演出があるわけでもなく、古いと言えば確かに古いやり方なのでしょうが、いつもしっかりと内容が伝わってきます。また派手な演出などが無いので、役者ひとりひとりの魅力と実力が重要な要素になっています。


アドック「壁」昨年上演の「壁」(三浦綾子原作「壁の声」)も重厚な作品で、主演の三園さん、関根君の深みのある演技が光り、十二分に堪能しました。今回も実に淡々とはしていますが、愛情に満ちあふれていた小林多喜二の家族が浮かび上がり、母セキの姿を通して、様々な想いや情景が伝わってきました。

私は個人的な感想しか書けませんが、先ずは、今回も主演の三園さんの熱演が良かったですね。観ている我々をぐいぐいと惹きつける魅力に溢れていました。関根君も本当に役者の雰囲気が身についてきた感じで、好感が持てました。もうひとがんばり!
ただ字も読めない田舎出のセキのイメージと、三園さんの上品で都会的なイメージが合わないと思う人も居るかも知れません。その辺は好みの分かれるところだと思います。それと今回は挿入されている音楽がちょっとばらばらな感じで、そこが残念でした。もうちょっとすっきりしても良かったですね。
教会の場面なども、後からくっつけたような感じに見えましたので、全体にもう少しシンプルにしても良いかと思いました。中身がしっかりしているので、余計に感じたのかも知れません。

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世の中全体がエンタテイメントにひた走っているこのご時世に、アドックのような姿勢はとてもすがすがしいです。地味で、静かで、淡々としてあまり目立ちはしないかも知れませんが、確実に中身のあるものをやって行くことは、私の求めるところでもあります。私はそういう所が好きなんです。きっと運営して行くには色々と大変な面もあると思いますが、これからもアドックの作品を観て行きたいですね。



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「価値観」という哲学Ⅱ

先日、ティアラこうとうでのダンス公演「実る季」は無事終わりました。

        2011ティアラ
        かじかわまりこ&花柳面萌(リハ時)

踊りと一緒にやるというのは本当に大変で、演奏だけでなく、舞台に合わせて作曲・編曲したり指導したり、色々とやることが多いのです。しかしながら一番の課題は、どこまで踊りと対等にぶつかって行けるか、というところではないでしょうか。主従の関係では良い舞台は出来ません。私は何故か踊りと一緒にやる舞台がとても多いのですが、未だに本当の意味で満足行くものはな無いですね。ストラビンスキーとディアギレフのように、とことんがっぷり四つに組める機会がいつか欲しいもんです。

舞台の写真がないのですが、楽屋写真をちょっとご紹介。

IMGP9084こちらは花柳面先生と、音響作品を作ってくれた清水弾さん。
今回、清水さんが作ってくれた「だんまり」はとても面白かったです。彼の作品はいつも発想が自由で、踊りのイメージをサポートして膨らませてくれます。今回は面先生の振り付けも良かったですね。行き場を失った魂を探して、その魂を拾い上げて、連れ帰る、そんな人間の静かな慈悲心や営みが感じられました。

雑賀先生今回は出演されなかったですが、バレエの雑賀淑子先生が何と、ずっと受付をやってくれました。その気取らないお人柄にはいつも頭が下がります。隣はアシスタントの麻美さん。


「価値観」と一口に言っても本当に多様。皆夫々に夫々の価値観があり、それが共存している。お互いの価値観を認め合う認め合うことがなければ、反目しか生まれない。お互いがある程度、それぞれの魅力を認め合っているからこそ、その「価値観」の違いも「豊穣な魅力」として他に理解して頂けるというもの。もし反目しあっていたら、その姿はリスナーにはすぐ判ってしまいます。同じ琵琶を弾いても、私のようなものも居れば、弾き語りに特化して極めて行く人も居る。そのどれもが、それぞれの琵琶楽の魅力として、聞いている方が認識してくれる、そんな状況が理想ですね。

150920-s_演奏冲4しかし人間は難しい。個人の「価値観」がアイデンティティーになり、イデオロギーになり、結局その違いから罵声飛び交う状況となってしまうこともしばしば・・・。人間は一度、「これはこういうもんだ」と思い込むとなかなかその感覚を変えることが出来ない。
薩摩琵琶は、その誕生の時が軍国の時代であったし、今でもそういうイメージしか見ない人も居ます。やっている人も「忠義の心」みたいなことを大声で歌って自己満足し、それを押し付けている例も結構あります。それは価値観というより、酔っているとしか見えないし、主義主張を吐き出しているに過ぎないと私は感じます。音楽とは思えませんね。
同じ吐き出すにしても、パンクロックのように、70年代に生きるイギリスの若者の心の叫びとして、世界中で共感を得て、既成概念を壊し、新たなものへと向かうエネルギーとして音楽を越えて、美術、ファッション、哲学とあらゆる分野にわたって支持されていったのならまだしも、今この時代の日本で「忠義の心」を歌っても誰が共感してくれるのでしょう???。それも還暦をとうに過ぎたおじいちゃん達が大声で歌って主張しても、若者に共感を得られるとは私には思えない。
音楽や演劇はいつも時代や政治に利用され、様々な「色」が付いて行くものですが、そこに乗らずに、本質を突いて、音楽本来の魅力を発信してゆくのが音楽家ではないでしょうか。

          悟りの窓2011-9-1

これは、このブログでお馴染みの京都の森修さんが送ってくれた、先日9月1日の悟りの窓の写真です。皆さんには、これがいつも載せているものと同じに見えるでしょうか。違って見えるでしょうか。

人は、物事の一面を見るのがせいぜいで、全てを見ることは出来ない。自分の抱いている我見と価値観を取り違えていたら、自分で自分の想念に振り回されているだけで終わってしまう。


       月5

聞いてくれる人の心が豊かに広がるような、静かで大きな音楽を届けたい。そんな音楽家でありたいものです。



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