早、12月ですね。このところ雨も多いですが、紅葉もいい感じになってきて、天気の良い日には紅葉を眺めに散歩してます。先日は北の丸公園に行ってきました。毎年12月は演奏会の数にも少し余裕が出てくるので、体も楽になり、気分も随分とほぐれてきます。仕事に緩急があるというのは良い事ですね。

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先日の北の丸公園 

今年は多くのお仕事を頂き大変充実した年でしたが、これから更に先があるように思っています。曲も色々と創って行きたいし、活動も広げて、もっと自分の音楽を充実させて行きたいですね。
今年も毎年年末の恒例で、日本橋富沢町楽琵会に能楽師の津村禮次郎先生を迎えて開催することになりました。今年は豪華に、vIの田澤明子さんにもお越しいただいて、拙作「二つの月」で津村先生に舞っていただくことになりました。田澤さんとは8thCDでの共演以来、色々と御一緒させてもらっていますが、来年も神奈川のお寺 貞昌院にて、ジョイントの演奏会をやります。コンビネーションもだんだんと深まってきていますので、今月の日本橋富沢町楽琵会は充実の演奏となると思います。是非是非お越しください。19日(木)の開催です。

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「二つの月」は9.11のテロの時に書いたもので、当初はチェロと琵琶のデュオとして1stCDに収めた曲ですが、年月を経てViと琵琶に編曲し直して、8thCDに再録音した曲です。異なるものが出会い、反発を繰り返しながら、最後にはお互いの違いを認め合って共生の道を歩んで行くというストーリー展開になっています。田澤さんのダイナミック且つ繊細な表現と、津村先生の自由闊達な感性が、どんなコラボレーションになって行くか、実に楽しみなのです。





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以前の日本橋富沢町楽琵会にて、津村先生と


さて今日のお題の「Improvisation」ですが、邦楽というと、皆さんお着物を着てきちっとしているイメージで、即興なんかしないように思う方も多いともいますが、実は邦楽は究極の即興音楽と言っても良いくらいに「Improvisation」の応酬なのです。言い方を変えると、現在の邦楽の衰退は、そこを忘れ、習ったことしかやらなくなってしまったからに他なりません。
よくご一緒させていただいている、下掛宝生流ワキ方の安田登先生もそうなのですが、毎回即興でやっているんです。私がその時と場所で、色々なことを色々な形で弾くのですが、それに乗ってや安田先生もその時々で変化して行きます。津村先生も簡単な打ち合わせをするだけで、毎回お互いに結構な即興をやっています。邦楽の中でも特に能はジャズに近いものを感じますね。
そして特に能楽師の方と御一緒するといつも感じるのは、共通言語(と言っても良いくらい)としての「間」ですね。呼吸という人もあるでしょうし、私は「円運動」という言い方で説明することも多いです。始まったとたんに、その円運動の中に入ることが出来れば、あとはもう自由自在にLive して行くのです。
勿論、自由に動くためには土台となる「型」は必要なのですが、これはフリーインプロなんて言っている音楽だろうがジャズだろうが、「身体」(自分がこれまで生きて来た経験の蓄積)という土台は逃れらません。だから逆に「身体」や「型」を認識している演者ならば、そこを土台に自由自在にやれるのです。日々違和感なく日本語を使って生活しているのと同じように、型が身体に染み込んでいる位のレベルは必要かと思いますが・・・。

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インプロ?共話? 安田登先生と、浪曲師の玉川奈々福さんと photo 新藤義久

日本語は世界でも珍しい「共話」という形式で成り立っているそうです。どういうことかというと、「対話」と違って、話しながら、話のストーリーを会話をしている者同士で創り上げていっているのだそうです。話を完結させず、未完成のまま相手に受け取らせ、相手がそれを完成させて行くことを繰り返している、という事です。先日のレクチャーでご一緒したドミニク・チェンさんが紹介していましたが、話を聞いていて、まさにいつもの即興演奏の様だと思いました。ご興味のある方はぜひこちらを読んでみてください。https://kangaeruhito.jp/article/5338

私は前々から「音楽は調和」という事を言っていますが、ドミニクさんの話を聞いていて、まさに音楽を演奏するとは、日本語の会話をしているのと同じだ、と思いました。つまり音楽で「共話」している訳で、これこそが日本の音楽の根幹なのだ思いました。即興というとなんだか適当にやているイメージもあるので、これからは「共話」という言い方を私も使いたいと思います。
この「共話」を持って世界の音楽家と音楽を創り上げて行きたいですね。この「共話」こそ、音楽が生きたものとして輝くキーワードの様に私は思います。この話はまた改めて掘り下げてみたいと思います。

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アゼルバイジャン バクー音楽院 ガラ・ガラエフホールでの日本音楽セミナーにて


Liveな琵琶樂を次世代に、世界に響かせたいですね。