先日、六本木ストライプハウスにて、坂本美蘭さんの主催する「七面変化の異装スロット~琵琶裏十一面都市光陀邇」をやってきました。


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美蘭さんは独自の世界観を持つパフォーマーとして活動を広げている方で、私とはここ数年、一緒に組んで即興によるパフォーマンスをやっています。今回は尺八の藤田晄聖君も入れてトリオでのパフォーマンスでしたが、今までも一番ダイナミックでバランスの取れた、なかなか凄い舞台となりました。
いつも六本木のストライプハウスでやるのですが、ここは響きも良く、とても琵琶の音が鳴ってくれて、弾きやすい場所なのです。今回は全体の流れの構成を決めて、大体の感じをイメージしておいたのが、とても良い結果になりました。インプロヴィゼーション(即興)は演者それぞれが持つ可能性を発揮しやすい分、ばらばらになって、観客に何も届かないことも多いのですが、今回はしっかりと表現でき、且つ届けることが出来た手ごたえがありました。

このところインプロによる凄い瞬間を味わうことが多くなりました。私は元々琵琶を手にした時から、インプロ系のライブは結構やっていたのですが、ここ4,5年程またよくやるようになりまして、大きな手ごたえを感じております。
昨年末には、人形町のVisionsにて、安田登先生とSPACの女優 榊原有美さんとのコラボがあったのですが、この時もそれぞれの個性とエネルギーが凄い瞬間を創り上げました。


IMG_0100撮影薄井崇友visions13
左:キッドアイラックアートホール Dance:牧瀬茜 Sax:SOON KIM、映像:ヒグマ春夫とのパフォーマンス 
中:人形町 Visions 謡:安田登 語:榊原有美(有美さんの写っている写真が無く残念)
右:キッドアイラックアートホール Per:灰野敬二 尺八:田中黎山


これらは、皆とんでもない瞬間を経験したライブの写真です。毎年やっている日本橋富沢町楽琵会でも能の津村禮次郎先生とは、曲はあるものの、ほとんど即興でやっています。津村先生とは特に舞台「良寛」でのラストシーンは忘れられません。私が春を寿ぐイメージで静かな曲を弾くと、津村先生が静かに即興的に舞い出すのですが、会場全体が早朝の湖面の様に静まり返り、現実を超えた世界が現れ、会場全体がその世界に包まれるのです。空気が変わるとでも言えばよいでしょうか。とにかくその精緻なまでの姿と静寂は未だ忘れられませんね。

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舞台「良寛」より

インプロは何も制約が無いだけに、自由にできるのですが、そこで重要なものがアンサンブルなのです。ソロの公演であっても、いやソロの公演だからこそ、アンサンブルの力が問われるのです。
先ずは共演者。これは大事なことですし、当然の如く相性もあります。次に場との調和。響きも空間の広さ、天井の高さ、壁や床の材質、場に満ちる光等々。そして現代の社会、時代。そんなことも大きく関係してきます。こういう関わりの中にあるからこそ芸術は芸術たるのであって、この調和こそは芸術の最重要なポイントだと私は思っています。


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いつも即興によるコラボをしている安田登先生と。先日の大府こもれびホールにて
こんな風に考えてみると、Improvisationは特殊な形式ではありませんね。邦楽でもクラシックでも、結局は皆その時々で、色んなものと調和しながら演奏しているのです。楽譜があるかないかだけの違いであって、調和が出来ていない演奏は、即興だろうがクラシックの名曲だろうが、音楽として響いてないのです。音楽家は常に音楽を紡ぎだすのが仕事であって、譜面をお上手になぞる事でも、好き放題勝手にインプロすることでもありません。アンサンブル(調和)能力こそ、音楽家のレベルといっても良いかと思います。是非演奏家ならImprovisationも、表現の一つの形として挑戦してみて欲しいものですが、まあ向き不向きもありますので・・・。
勉強のやり方はそれぞれだと思いますが、演奏家として世の中で活動をするのであれば、色んな音楽・芸術への視点や知識、経験などが備わっていて、且つどんな場面でも調和が出来てこそ芸術家です。自分の勉強した形でしか出来ないというのでは、舞台で演奏は出来ません。



2020美鈴

さて、今度の日曜日は、笛の長谷川美鈴さんとの恒例のサロンコンサートです。長谷川さんとも、これまで何度もご一緒してきて、良い調和がとれるようになってきました。即興によるライブとはまた違った、しっとりとした静かな会ですが、笛・琵琶をゆっくりたっぷりと味わいたい方には是非お勧めです。
1月26日(日)午後2時開演です。是非お越しください。


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ストライプハウスにて

調和を感じられる音楽を響かせたいですね。