今週の水曜日は、大久保のルーテル教会にて昨年からやっているシリーズのコンサート「祈りの音 冬の音」をやります。
このシリーズコンサートはプロデュース&作曲の小二田茂幸さんが主催するもので、自然と人間との関わりをテーマに、季節ごとにやっているものです。前回は八丈島に伝わる八丈太鼓を中心に構成しましたが、今回はアイヌの文化を自分の命と引き換えにして紹介した若き女性 知里幸恵さんの「アイヌ神謡集」という本からインスパイアされたコンサートで、アイヌの語り部 宇佐照代さんをゲストにプログラムを組んでいます。
この「アイヌ神謡集」を書いた知里幸恵さんは、小さな頃から囲炉裏端で祖母よりアイヌの色々な話を聴いて育っており、その話をまとめたのがこの本です。彼女は元々心臓が悪く、北海道から東京へ出てくるのも大変だったのですが、言語学者 金田一京助氏の勧めで、滅び行くアイヌの伝承と言葉を何とか残したいという強い想いを持って上京し、病身をおして書き綴り、全てを書き終わったその夜に19歳という若さで亡くなりました。彼女の書いたものは金田一氏や柳田国男氏によって出版され、アイヌが日本の先住民族であるということをあらためて世間に気づかせ、また現代に生きる人々にも多くのことを投げかけています。明治の近代化によって失われた民族の誇りを、彼女は命を差し出して歌い上げたのです。
現代人は「奢り」の中に居る。「もので栄えて、心で滅ぶ」正にそんな時代に生きている。私は常々そんな風に感じています。知里さんは本の序文に、自然と共に生きるアイヌの人々を「なんと幸福な人たち」と評して書いていますが、私はその序文を読みながら、彼女の純粋な眼差しと感性に、心の目が開くような感動を覚えました。素晴らしい文章です。ご興味のある方は序文だけでも読んでみることをお勧めします。
アイヌ神謡集 http://www.aozora.gr.jp/cards/001529/files/44909_29558.html
NHKの「そのとき歴史は動いた」でも紹介されていますので、こちらも必見です。
https://www.dailymotion.com/video/x2mt2p5
http://dai.ly/x2mt2p5
人間はこれだけ凄惨な戦争を繰り返してきて、何故未だにパワー主義を振りかざすことでしか生きてゆくことが出来ないのでしょう。力で敵対する相手の土地も生活も文化も言語も歴史も奪って領土を拡大し、支配し、それに勝利したものを王様と崇め、英雄譚を作り歴史とする・・・。現代の世界も全く同じですね。
現代の文明は確かに素晴らしいものも沢山ありますが、欲望を常に掻き立てられ、それによって消費することで成り立っている経済が本当に豊かなことなのでしょうか。歩きながら、食事をしながら四六時中スマホを見入っている姿は、私には人間の劣化としか写らないのですが・・・・。
知里さんの言葉は、アイヌの伝承を通して現代人に大きな問いかけをしているように思います。普通に思っていること、やっていることが如何に人間として異常なのか、人間の本来の生活とは何なのか・・・・。今こそ、現代人は振り返ることが必要だときっと思うことでしょう。でなければ後はどんな時代が続くというのでしょうか・・・。
今回の舞台は皆様に何かのきっかけを感じていただけると思います。また一連のシリーズコンサートを通して、私の音楽も、目の前の常識や習慣などを超えて、人間本来の心にどれだけコミットしているのか、あらためて見つめ直す良き機会となりました。
このシリーズコンサートはプロデュース&作曲の小二田茂幸さんが主催するもので、自然と人間との関わりをテーマに、季節ごとにやっているものです。前回は八丈島に伝わる八丈太鼓を中心に構成しましたが、今回はアイヌの文化を自分の命と引き換えにして紹介した若き女性 知里幸恵さんの「アイヌ神謡集」という本からインスパイアされたコンサートで、アイヌの語り部 宇佐照代さんをゲストにプログラムを組んでいます。
この「アイヌ神謡集」を書いた知里幸恵さんは、小さな頃から囲炉裏端で祖母よりアイヌの色々な話を聴いて育っており、その話をまとめたのがこの本です。彼女は元々心臓が悪く、北海道から東京へ出てくるのも大変だったのですが、言語学者 金田一京助氏の勧めで、滅び行くアイヌの伝承と言葉を何とか残したいという強い想いを持って上京し、病身をおして書き綴り、全てを書き終わったその夜に19歳という若さで亡くなりました。彼女の書いたものは金田一氏や柳田国男氏によって出版され、アイヌが日本の先住民族であるということをあらためて世間に気づかせ、また現代に生きる人々にも多くのことを投げかけています。明治の近代化によって失われた民族の誇りを、彼女は命を差し出して歌い上げたのです。
現代人は「奢り」の中に居る。「もので栄えて、心で滅ぶ」正にそんな時代に生きている。私は常々そんな風に感じています。知里さんは本の序文に、自然と共に生きるアイヌの人々を「なんと幸福な人たち」と評して書いていますが、私はその序文を読みながら、彼女の純粋な眼差しと感性に、心の目が開くような感動を覚えました。素晴らしい文章です。ご興味のある方は序文だけでも読んでみることをお勧めします。
アイヌ神謡集 http://www.aozora.gr.jp/cards/001529/files/44909_29558.html
NHKの「そのとき歴史は動いた」でも紹介されていますので、こちらも必見です。
https://www.dailymotion.com/video/x2mt2p5
http://dai.ly/x2mt2p5
人間はこれだけ凄惨な戦争を繰り返してきて、何故未だにパワー主義を振りかざすことでしか生きてゆくことが出来ないのでしょう。力で敵対する相手の土地も生活も文化も言語も歴史も奪って領土を拡大し、支配し、それに勝利したものを王様と崇め、英雄譚を作り歴史とする・・・。現代の世界も全く同じですね。
現代の文明は確かに素晴らしいものも沢山ありますが、欲望を常に掻き立てられ、それによって消費することで成り立っている経済が本当に豊かなことなのでしょうか。歩きながら、食事をしながら四六時中スマホを見入っている姿は、私には人間の劣化としか写らないのですが・・・・。
知里幸恵さん
異なるものが共存してこそ地球は存在しえるのです。自然、動植物、皆多種多様な命によって成り立っているのに、人間だけは小賢しいイデオロギーやプライドで自らを苦しめ、自分の視点からしかものを見ようとしない。常に人間第一主義なのです。自然を破壊し他を支配し・・・・。現代は特にそれが顕著ではないでしょうか。日本社会を見ても自分と異なるものをなかなか受け入れませんね。太古の日本人は自然との共生をしていたのではないでしょうか。知里さんの言葉は、アイヌの伝承を通して現代人に大きな問いかけをしているように思います。普通に思っていること、やっていることが如何に人間として異常なのか、人間の本来の生活とは何なのか・・・・。今こそ、現代人は振り返ることが必要だときっと思うことでしょう。でなければ後はどんな時代が続くというのでしょうか・・・。
今回の舞台は皆様に何かのきっかけを感じていただけると思います。また一連のシリーズコンサートを通して、私の音楽も、目の前の常識や習慣などを超えて、人間本来の心にどれだけコミットしているのか、あらためて見つめ直す良き機会となりました。