月の裏庭

- 或る、人生のメモ書き。 - since 2005/07/19

2017年09月

また、その小径を歩く。
噛み締めるように、食い縛るように。

漂う香りは懐かしいような気もするし、最早、在り来たりなような気もする。

何にせよ、遠い。
まるで明晰夢のよう。

ふと我に返って思うのだ。
今見ているのは、本当に現実なのかと。

残念ながら、現実なのだ、と。

ーーー

くすんだ壁。古い額縁。金色のドアノブ。ウェッジウッドのカップ。マンデリン。

あぁ、そうか。
きっと俺は、10年前の君に会うために、この店のドアを開くのだ。
だから、決まって秋なのだろう。

ーーー

いいじゃないか、たまには。

振り返ったって何にもならないのだから、たまには存分に振り返らせてよ。

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君は最も近く、最も遠い。

我が義兄よ。
貴方は遥か先に行ってしまった。

いや、僕が立ち止まって居ただけか。


せめて、空の上では。


なんてな。

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