沖縄シンポジウム決議文
「金利引下げで、生活の平和を!!~高金利被害にともに立ち向かおう!」
私たちは沖縄の歴史から二つのことを学ばなければならない。
一つは、特例高金利を享受してきた日掛け金融をなくせたことから、「つなぎ融資」は高金利で提供される必要はないこと、もう一つは、特例高金利を潰しても高金利被害は終わらないこと。
この二つである。
1970年代後半からサラ金による強引な取り立てなどがようやく知られてきて深刻な社会問題化し、多重債務問題が解決すべき課題と認知されてきた。それには、自己破産件数が24万件を超え、また、経済・生活問題が原因とされる自死者の方も8,897人(いずれも2003年の数字)にも上るという過酷な現実を経なければならなかった。
その辛酸きわまる現実を受けて、多くの人びとの先導的な運動が国民的規模になり、2006年に上限金利規制、総量規制、行為規制・参入規制を三本の柱とする改正貸金業法が成立し、2010年に完全施行された。また、2007年には多重債務改善プログラムが成立した。
改正貸金業法と多重債務改善プログラムが両輪となり、長い間、多くの人々を苦しめてきた多重債務問題が解決に向けて一歩を踏み出した。その結果、2012年には自己破産件数は10万件を下回り、また、経済・生活問題を原因とされる自死者の数も2012年には5,219人となり、負債(多重債務)を原因とされる自死者数も2007年の1973人から2012年には839人と減少をした。
出資法も改正されたが、現在は銀行貸出金利1%前後であるにも拘わらず、利息制限法の上限金利は改正されること無く、戦後のインフレ時の高金利9%台を基準とした15~20%のままである。利息制限法に関して、戦後は終わっていない。
特例高金利を主張する勢力は未だに存在している。中小・零細企業に「つなぎ資金」を提供する特例高金利の貸金業者は必要だとして、改正貸金業法の改悪を目論む主張は根強い。
今回、シンポジウムを行った沖縄県では長年、高金利被害、特に日掛け金融が大きな社会問題となってきた。かつて日掛け金融は年利50~100%を超える異常な高金利が出資法附則に基づく特例として認められていたが、改正貸金業法の成立によりこの特例は廃止された。その結果、ピーク時の2000年には378業者あった沖縄県知事登録の日掛け業者は、改正貸金業法成立後に右肩下がりで減少していき、ついに2012年には消滅した。
日掛け金融の主な利用者は中小・零細の自営業者であり、「つなぎ資金」として利用されていた。異常な高金利である日掛け金融に一旦手を出すと、日掛け金融への支払のために次々と日掛け金融からの借り入れを迫られ、借金は雪崩のようになり、倒産・閉店に追い込まれる。「つなぎ資金」は「つながらない」のである。
今回のシンポジウムで、かつて日掛け金融の主な利用者であった中小零細企業の人々は、日掛け金融が無くなった後は、高金利の「つなぎ資金」に頼らず、収支のやりくりで対応していることを学んだ。
中小・零細企業に対し、今、求められているのは、高金利の「つなぎ資金」を提供することではなく、本来の事業に専念し地力を発揮できる経営環境の整備である。
我々は、改正貸金業法の成果を損なう特例高金利など改悪の動きを断固阻止すること、及び、消費者の生活を破たんさせ、中小・零細企業の黒字企業ですら負担できない現行の利息制限法の上限金利を大幅に引き下げるために、これからも闘い抜くことを宣言する。
平成25年6月29日 利息制限法金利引下実現全国会議沖縄シンポジウム参加者一同
コメント