ピロリ菌はオーストラリアのウオーレンとマーシャルが発見しました。ウオーレンは胃の粘膜にらせん状をした細菌がいることに気づいていました。
マーシャルはウオーレンのいる病院に後期研修医として研修していましたが、指導医の紹介で病理学者のウオーレンの仕事を手伝うことになったのです。
しかし、人の胃の粘膜を内視鏡で取って培養し、その細菌が生えてこなければ、証明はできません。共同で培養の実験に取りかかりました。
培養は2日間で、何も生えてこなければ、培養器は捨てていました。何度も実験しましたが、何も生えてこなかったのです。
それは偶然のことでした。培養の担当者が復活祭があったために、休暇をとっていました。つい、培養2日目にチェックすることを忘れ、そのまま放置していたのです。休暇が終わり、研究室に顔を出したところ、何と培養器の中に何か生えているではありませんか。生えたものはまさしくピロリ菌だったのです。実はピロリ菌はゆっくりしか増殖しなかったということです。
つい忘れるというのも、大発見につながるということです。
忘れっぽくなった私も世紀の大発見をしたいものです。