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 これはピロリ菌を電子顕微鏡で見た写真です。大分大学医学部の村上和成教授からの提供写真です。ピロリ菌はねじれ(らせん状)ており、べん毛を数本もっています。
 私は平成5年から平成23年まで、ある看護学校で胃腸病の講義をしていました。ピロリ菌の話をすると「かわいい名前ですね」とよく言われ、試験に出すとほとんどの学生さんが、満点をとっていました。
 では、ピロリ菌の名前の由来はどこからきたのでしょうか?本名は「ヘリコバクター・ピロリ」と言います。
 実はピロリ菌は発見された時、キャンピロバクターという食中毒を起こす細菌に似ていることから、キャンピロバクター・ピロリと呼ばれていました。
 その後様々な研究から、キャンピロバクターとは違う新しい種類の細菌であることがわかりました。この時、「ヘリコバクター・ピロリ」という名前がつけられたのです。
 ヘリコバクターの「ヘリコ」とは「らせん」という意味です。ヘリコプターもらせん状に舞い上がる?ので、この言葉が使われているのではないかと思います。「バクター」というのは、バクテリアのことで、細菌という意味です。ヘリコバクターとは「ラセン状をした細菌」という意味になります。
 それでは、「ピロリ」とはどういう意味でしょうか?ピロリ菌は人の胃に内視鏡を入れ、胃の粘膜の組織を取ってきて発見されました。この組織を取った場所が胃の出口あたりだったのです。胃の出口のことを医学用語で「ピロルス」と呼んでいますので、「ピロリ」というかわいい名前が付けられたのです。
 ピロリ菌はかわいい名前ですが、胃がんの原因となる怖い細菌なのです。
 世の中、名前だけで判断するのは禁物ということでしょうか?