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今日(金曜日)、無事卒業式が終わった。僕のクラスは入試による公欠などもなく、全員が勢揃いした節目の1日となった。体育館で厳かに行われた式典では、卒業証書授与の場面でクラス担任によって600名近くの生徒が呼名され立ち上がった。そして、最後に総代として僕のクラスのYさんが校長先生から卒業証書を授与された。彼女は、中高6年間のうち5年間僕が担任をした生徒である。昨日も、前期試験の模擬面接で彼女の指導をしたのだが、何を質問しても心から誠実に答える素晴らしい人物であった。彼女の様々に優れた資質のことを考えると、5年間担任をした僕の方が見習わなければならないことが多かったような気がする。

式後のホームルームは、まずは卒業証書を1人ずつ手渡すことから始まり、その後各種賞状を該当生徒に手渡していった。そして、クラスの生徒たちと保護者の皆さんの前で、最後の話をさせていただいた。

何を話すかを全く考えてなかったので、脈絡のない演説になってしまったような気がする。生徒たちにとっては聞き飽きた僕の話かもしれない。これまでの卒業式ならばもう聞くことのできない最後の話ということになるのだが、今はこのブログがあるので、また聞きたくなればブログを訪問してくるようにと言っておいた(笑)。

卒業式ではいつも、その時々で一番気に入っている文章の一節を朗読してクラスの生徒たちに聞かせてあげることにしている。今回は少し前にこのブログでも紹介した2月7日付の毎日新聞夕刊に掲載された内田樹先生の「意義のある負け方」という記事を全文朗読した。全文を引用するわけにはいかないので、一部をここに引用して紹介したいと思う。


究極の勝負とは「生き死にをかけた勝負」だというのがほんとうなら、私たちは全員が今この瞬間も確実に訪れる「負け」に向かって歩んでいる。この敗北に例外はない。

私たちは構造的に敗者である。そのことを基礎にして、勝負ということについて考え直すことが必要だと私は思う。私たちが勝負事に熱中するのは、勝つためではない。「適切な負け方」「意義のある敗北」を習得するためである。

中略

今の日本は、政界でも、企業活動でも、メディアでもさまざまな不祥事が相次いでいる。どんな精緻なシステムでも「バグ」は回避不能であるから、トラブルが起こることは仕方がないと思う。

けれども、その後に「すべて自分の責任だ」と言い切り、「改善点が見つかった」ことを教訓として受け容れ、このような不具合を伴いながら、ここまでやってこられたことを周囲の人々に「感謝する」という語法を以て「敗北」の総括をした人間を私は久しく見たことがない。

たぶん、彼らは決して「負け」を認めないことが賢い生き方であるとする当代の風儀に従順なのであろう。

しかし、死ぬまですべての勝負に勝ち続けることは誰にもできない。私たちはいつか必ず敗北の日を迎える。そのときに、誰からのリスペクトも期待できず、なんの教訓も学べず、ただひたすらに不快な後味だけを残すような「無意味な敗北」を引き受けるということでよいのだろうか。

勝つ以上に多くの利益をもたらす負け方がときにはある。


長い引用になってしまったが、何も付け加えて言うことがないほどに素晴らしい記事であったと僕は思う。国公立大学前期試験という最後の勝負が間近に迫っている卒業生たちに、なんとネガティブな話するのだろうと、思う人もいるかもしれない。僕だって、これから生徒たちが合格という良い知らせを持ってきてくれたときにガッツポーズをするであろう。昨日だって、ガッツポーズをしたかった…。

自称「ネガティブ」他称(こんな言い方あったかな?)「自虐的」な僕だが、6年間の長きにわたり一緒に過ごしてきた生徒たちならば、底の深いところで僕の「ポジティブ」なところを了解してくれていると思う。

賞状をもらえない人たちに対して、「すべての個性は輝いている」などという底の浅い平等主義を唱えても、何の光も見えてこない。みんな、ギリギリのところで自らの「オンリーワン」を支えているのだと思う。「負け」を望んでいる者は誰もいない。僕だって勝ちたい。ただ、真の「勝利」とは、上に突き抜けることではなく下に突き抜けることだと、僕は思っている。

今日の卒業式で、僕は涙を流すことはなかった。涙を流すにはとても慌ただしい日(人生)でもある。そして、多くの卒業生たちと共に、明日からまた2次対策補講が始まる。泣いている時間は、今はない。涙は最後に置いておきたいと思う。すべてが終わったときに、時がゆっくりと流れている静かな場所で…。


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