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copyrighted by tatsu.ono (ex. muse, Suitcase of Border)

[reminiscence09] ダビデの街のジプシー

2008.02.16 (SAT)

荷物を駅に預けて、歩いてアカデミア美術館へ。



ダビデ像は傑作らしい、とは知っているものの、
今までそれ以上に興味を持ったことなんてなかった。
せいぜい教科書のひとコマに見かける程度で、
特にそれほど優れた作品とも感じていなかった。

教科書に載っているような写真は、
大抵は彫像の正面から撮られていて、
しかも写真自体のサイズも小さいことが多いと思う。
そのせいか、実物を観るまで
ダビデは等身大くらいの大きさだとイメージしていた。

でも全然違ったのです。



思っていたより3倍くらい大きい
そして身体のパーツひとつひとつの緻密さ、力強さ。
今にも動き出しそうな、圧倒的な迫力があった。

呆然と、ただずっと観ていた。なかなか側から離れられない。

同じ館内にあった、未完の「囚人たち」の4つの像も素晴らしかった。
完成していないことで、尚更その魅力が増している。
抜け出そうともがく、苦悶がこちらに伝わってくるようだ。

小さな美術館なのに、あまりにも心を奪われて、
やっと出て来るまでに何時間もかかった。
午後にはまた、新しい土地へ向かうことになっている。

駅に向かって歩いていると、マクドナルドを見つけた。
日本と他国でメニューがどう違うのか、前から興味があったので、
立ち寄ってみることにした。

昼時の駅前のファストフード店は、イタリアでも大混雑していた。
内装も日本の物とよく似ている。注文のシステムも同じだ。
ただし、当然だけどメニューはイタリア語で、よくわからない。
おまけにレジの店員は仏頂面で愛想が悪い。
あの…ニッポンのマックでは、スマイルは0円なんですよ。。
店員の表情と増えていく人の列に、気持ちを急かされながら、
どうにか日本にはなさそうなセットを選んで、頼んでみた。


"BOSCAIOLO"とは「木こり風」とかいう意味らしい。
このときは全然わからなかったけど。。
そういえばきのこが、入ってたような、入ってなかったような。。



ネジネジのポテトを見て、食べる前からテンションが上がっている。
しかしそこへ忍び寄る影が…(写真上端やや右)


嬉しくなって、地下に見つけた席でひと通り写真を撮って、
そろそろ食べようとした時、ひとりの女の子が近付いてきた。
何やらメッセージの書かれた段ボールを手に持って、
あれこれと話しかけてくる。
??? なんだ?
書いてある言葉も、言ってることも、よくわからないけど、
どうやら金を欲しがっているらしいことはわかる。
…募金しろとかそういうこと??
警戒しながらも、混乱した頭で、咄嗟に返事をしてしまった。
「えーと、No... No, sorry」
相手は「Only 50cent...」等と困った笑みを浮かべながら、
なかなかその場を離れようとしない。

邪険にもできず、話も通じず、こっちも困惑していると、
終いにはその子は、僕がさっきから食べようとしていたハンバーガーに、
人差し指で唾をつけ始めた。

ちょっ…と!!!
さすがにこれには驚いて、追い払おうとすると、
ニヤニヤしながらもその女の子は去って行った。

まさか店の中に物乞いの子供がいるとは思わなかった。
全く予想もしない出来事だった。

こんなやり方が彼らの生きる術なのか。
遠くの豊かな国から遊びにやって来て、贅沢に金を使う人間のことを、
彼女たちはどんな思いで見ているんだろう。
希望通り50セントくらい渡すべきだったのか、そうじゃないのか…

ハンバーガーには、もうあまり手を付ける気がしなくなってしまった。

モヤモヤと考えながら、ユーロスターに乗り込んで、
次の目的地、ヴェネツィアへと発つ。

Web Lab.の音源を聴けるようにしました。

su/boのウェブ企画として行なった公開合作「Web Lab.
ismusicの死亡に伴って音が全て聴けなくなっていましたが、
ふと思い出したので、Flashに差し替えて試聴できるようにしました。
気付いたら2年以上も放置してしまってた。。

イタリア旅行記もずっと滞ってますが、
書き進めたいとは思っております…。
他にも書くネタが少し溜まってるんで、ちょっとずつ。

[reminiscence08] フィレンツェの午後

ウフィツィ美術館を大体ひと巡りするのに半日を費やした。
次の目的地はサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂
通称「フィレンツェのドゥオモ」
美術館と共に世界遺産に指定されている石造りの教会だ。


つい先日に日本の女子短大生が書いた落書きが話題になった。
緑やピンクの部分も大理石でできている。


外から観たドゥオモは写真に納まりきらないほど巨大だった。
中に入ってクーポラ(ドーム状の天蓋)の頂上まで行けるという。
…とはいえ僕は高いところは苦手だ。
しかもあんなところまで階段で登るのだ。
入場料を払って体力を消耗してわざわざ怖い所に行くなんて
全くもって気乗りしないイベントだが、
せっかく来たんだし、意を決して入ってみることにした。

これでもかというくらい長い長い階段をグルグルと上る。
言葉も出ないほど息を切らして、ようやく半分くらい登ったところで
大聖堂の内部を見渡せる廊下に出た。
見下ろすと、もうこの時点でめまいがしそうになる。
だが見上げれば、クーポラ内面に描かれた絵を間近に見ることができ、
見事と言うほかにないその出来栄えに感激してしまった。


天井の絵。最下部から見上げるとこんな感じ。
一体どうやって描いたのか。



階段を上るとほぼ肉眼でこの距離に。写真ではうまく伝わらないけど、
リアルに高いところから身を乗り出してるように見えて、観てるこっちが怖い。


さらに階段を上って、ようやく頂点に辿り着いた。
案の定、怖くてほとんど壁から離れられなかった。。


頂上からフィレンツェの街を一望。
右に写っているのは同じく世界遺産のサンタ・クローチェ聖堂。



写ってないけど脚は完全にすくんでいる。
ちなみにこの頂上部分がおそらく件の落書きゾーン。


ドゥオモを出て、途中でバールに立ち寄りつつ、
今度はミケランジェロ広場へ行ってみた。
ダビデ像のレプリカが置いてあるからそういう名前なんだとか。


ミケランジェロ広場から眺める黄昏のフィレンツェ。
ここからならドゥオモの全体像が見える。



広場の真ん中にはニセモノのダビデ。
緑がかってるのは大理石の色ではないと思われます。


今日観た1枚の絵のことを思い出した。
ミケランジェロの作品をもっと観てみたい。
ここにあるのはレプリカだけど、ダビデ像といえば
美術の教科書にも必ず載ってるし、傑作と言われている。
本物のダビデは、ここフィレンツェのアカデミア美術館にあるらしい。
来る前は予定してなかったけど、明日はアカデミア美術館に行ってみよう。

[reminiscence07] ウフィツィ美術館

2008.02.15 (FRI)

ルネサンスの中心地として名高いフィレンツェの街並には、
遺跡と街が混在するローマとはまた違った趣がある。
ローマよりも少し色彩が豊かで、繊細な装飾が多い。

フィレンツェ観光の最大の目玉はウフィツィ美術館
ルネサンスの宝庫といわれる、イタリア最大の美術館だ。
事前の調べによると、日本から予約して行かないと、
入場するまでにかなり長時間並ばなければならないらしかった。
勿論そんな余裕はなかったので、予約はしてないけど
いちかばちか、早朝から突撃することになった。

 
アルノ川に架かるフィレンツェ最古の橋、ポンテ・ヴェッキオ。
橋の上なのに、商店街みたい。
右は川沿いの道に立ち並ぶ街灯の"足"。


アルノ川沿いの道を歩き、ポンテ・ヴェッキオを横目に観ながら
ウフィツィ美術館に到着。…意外と人が少ない。
案内表示を見ながらチケット売場へ行ってみると、
予約済みの人と予約なしの人で入り口が異なるようだ。
なんと、予約なしの列のほうが圧倒的に短かった。
事前予約無意味!!朝早く来てよかった。


レオナルド・ダ・ヴィンチさんだそうです。
コの字型になっている美術館の、中庭にて。
他にもルネサンスを代表する芸術家たちの像が並んでいる。


喜んで足取りも軽く進んで行ったら、
いつの間にか館内に入ってしまっていた。
受付で日本語オーディオガイドの機械を頼むつもりだったのに…
来た道を戻ろうとすると、スタッフらしき女性に制止される。
なんだかよくわからないまま鑑賞することになってしまった。。

仕方なく日本語のガイドブックを観ながら、進む。
ボッティチェッリの「」「ヴィーナス誕生
ダ・ヴィンチの「受胎告知」他、教科書でも見覚えのある傑作が並ぶ中で、
僕がなぜか特に心を奪われたのは、「聖家族と幼児洗礼者ヨハネ
1枚だけあったミケランジェロの作品だった。

[reminiscence06] ピサ

ユーロスターに乗り込むと、隣の席は日本人の女性ふたり組だった。
僕と同じく、ローマに滞在した期間が短かったようで、
昨日も丸一日歩き通して名所を巡ったのだという。
電車が走り出すと、ふたりで本を並べ、地図を広げて
ポイントを絞って次の目的地の予定を立て始めた。
まだ若くて学生のように見えるけど、僕よりずっと旅慣れているようだ。

隣の席を時々横目で見つつ、ぼんやりと窓の外を眺めて過ごした。
野を越え山を抜け、外の景色は猛スピードで流れて行く。
トンネルに入ると、気圧の変化で耳が痛かった。
日本でも度々感じる現象だけど、比べものにならないつらさ。
飲み物を多めに買っておいてよかった。

約1時間半、苦しみながら、目的地であるフィレンツェに到着。
宿泊先のホテル・アンバシアトリは昨日のホテルよりも立地がよく、
サンタ・マリア・ノヴェッラ駅の目の前にあった。
グレードも高そうだ。フロントの雰囲気や部屋の作りにも安心感がある。

チェックインして早速、再び駅へ向かう。
ピサの斜塔を観に行くためだ。
切符を買うのにもだいぶ慣れて、少し得意な気分で電車に乗り込んだ。

…意外とピサ中央駅は遠く、降りたときにはもう夕暮れに近かった。
まずは地図を見ながら歩いてみたものの、途中で道に迷いかけ、断念。

結局は駅前に戻り、しばらく避けていたタクシーに乗るハメになった。
当たったドライバーがいかにもイタリア人らしいロン毛・無精ヒゲの兄ちゃんで、
それはそれは心配したが、無事にメーター通りの値段で到着したようだ。
人は見かけによらない。


すっかり日暮れのピサの斜塔。
…やや大袈裟に傾いて見えるような。下から見上げて撮ったせいか。


…思ったより小さい?こんなもんか?
案の定、時間が遅くて中には入れなかったけど、
何枚か写真を撮って、満足。

フィレンツェに戻ったときには、もう夜更けだった。
食事したいけど、近くに店がない。
この時間から歩いて探す気にもなれない。
…結局、ホテルの隣にあったセガフレード・ザネッティに入るしかなかった。。
日本にもいっぱいあるよ。。

[reminiscence05] ヴァチカン

2008.02.14 (THU)

3日目。今日の午後にはユーロスターに乗って次の都市へ移動する。
時間を有効に使うため、朝早くにホテルをチェックアウトしておいた。
しかしスーツケースをゴロゴロ引きずって観光はできないので、
テルミニ駅の荷物預かり所へ預けておくことにした。
コインロッカーではなく、係員に手渡す方式。
例によって言葉で困ったのは言うまでもない。

そのままメトロに乗って、今日の最初の目的地はヴァチカン。
昨日降りたレパントを通り過ぎ、次のオッタヴィアーノ駅で降りて、石畳を歩く。
両脇に商店が並んでいて、人通りはかなり多い。


交差点にて。商店のほかにも、所々バールがあったり。
右は歩行者用押ボタン。


ヴァチカンはイタリアとは別の国家なんだから、
国境を越えるのに何かチェックが入るんだろうか…?
緊張しながら人の流れに乗って歩いていたら、
いつの間にか、本で見覚えのある場所に来てしまった。
取り越し苦労だったらしい。


サン・ピエトロ広場から大聖堂に向かって。
両脇に、広場を取り囲むように回廊が伸び、柱の上には無数の聖人像が置かれている。
ちなみに、正式に入国するにはやはりパスポートが必要なんだとか。


大きな見どころはヴァチカン美術館とサン・ピエトロ大聖堂のふたつ。
まだ朝早いのに、美術館の入り口に向かってとてつもない長蛇の列ができており、
しかもその列がみるみるうちに伸びていく。

まごまごしていたら、どこかの国のガイド(たぶん)に英語で話しかけられた。
団体料金で入れるし、案内するからツアーに参加しませんか、と言う(たぶん)。
そこらの悪そうな商売人とは違う、真面目な雰囲気ではあったけれど、
即座に断った。まぁ英語で説明聞いてもどうせわかんないし。。

それに、ここにはそんなに長くはいられないのだ。
美術館も観たかったけど、まずは大聖堂に入ることにした。

入り口付近まで行くとセキュリティチェックがあった。
空港のように、荷物をX線に通さなければならない。
カメラとフィルムを持っていたので、対処に焦る。。
ここでの焦りを引きずってしまったせいか、
聖堂に入ってからもなんとなく上の空になってしまった。
飾られていた彫刻(ピエタ)のことも、よく覚えていない…。

一周まわったら、やっぱり美術館を観る余裕はなくなってしまった。
来た道を戻って、テルミニ駅へ戻ることにした。
今となっては悔やまれることに、このときはまだ
ミケランジェロの作品のことをそれほど気にしていなかった。

[reminiscence04] ローマは一日にして成らず

コロッセオの外にもたくさんの人がいたが、
雑踏に紛れて座っていたひとりの青年が、ひと際僕の目を引いた。
薄手のコートの襟を立てて、青林檎をかじりながら、
片膝を抱えて文庫本を読んでいた。まるでスナフキンみたいだ。
なんて絵になってるんだろう。

コロッセオから程近く、古代ローマの中心部だったという
フォロ・ロマーノ遺跡を歩いて巡る。
「ローマの休日」では最初の出会いのシーンで使われた場所だ。



さらにそのままサンタ・マリア・イン・コスメディン教会へ。
この教会に、これまた有名な真実の口があるのだ。
手を突っ込んで写真を撮るために大行列で1時間くらい並ぶ、と聞いていたが、
もう夕方に近くなっていたせいか、意外とすんなりだった。
典型的な観光客らしく、恥ずかしげもなく写真を撮る。

 

ここまで来たところで、少しずつ冷えてきたこともあり、
トイレに行きたくなってきた。
しかしローマではこういう観光スポットでもトイレがなく、
バールで借りるのが一般的なのだそうだ。
次の目的地へ行くためには一度テルミニまで戻るので、
着いたら駅近くの店にでも入ればいいか。

教会の目の前にバス停があるため、バスでテルミニへ向かうことにした。
メトロのチケットでバスにも乗れると本にあったし、
地図によるとメトロの駅は遠そうだ。
ところがなかなかテルミニを経由するバスが来ない。
やっと来たと思ったらこのチケットじゃダメと言われる。
バスによっては違う会社が経営しているようだ。
何本もバスをやり過ごすハメになり、イライラしてきた。
尿意もMAXに近付いてきている。周りに店はない。
じっとしてると余計に辛い。メトロに乗ってテルミニに戻ろう。

最寄の駅はチルコ・マッシモ駅。遠いけど仕方ない。
縦長にだだっ広い野原の、両脇の土手のようなところをひたすら歩く。
後で知ったけど、実はこの野原がチルコ・マッシモという遺跡だったらしい。
大競技場という意味で、その昔は戦車レースなんかをやっていたそうだ。
しかし頭の中はそれどころではなく、トイレのことでいっぱいいっぱい。
ただの公園か何かにしか見えない。実際に犬と散歩している人も多い。
川もないのに、なんとなく金八のオープニング風景が連想される。
脳内を無限ループし始める「贈る言葉」のイントロ…
それを頼りに意識を尿意から反らしつつ、歩く。。

ようやく駅にたどり着いた。構内にトイレ発見!助かった!!
と思いきや、ドアのところにコインの投入口がある。
どうやら金がかかるらしい。焦る気持ちを抑えながら、財布を、探る。
もう必死。

どうにかちょうどいい金額のコインを取り出して、用を足すことができた。
…流し方がよくわからない。ドアも開かない。表示は全てイタリア語だ。
とりあえず脇にボタンがひとつあったので、押してみた。
唐突にサイレンが鳴り、警告灯が回り出す。
非常用ボタンだったらしい。。
何はともあれドアは開いた。逃げよう。

テルミニ駅でメトロを乗り継ぎ、今度はレパント駅で下車。
サンタンジェロ城へ向かう。
時間的にもう中には入れないが、ライトアップされ河岸に佇む姿は
美しかった。橋にある像の数々も目を引く。

 

今日の観光はここまでで時間切れ。
明日の昼にはもう次の都市へ向かわなければならない。
こんなに歩いたけど、まだまだ回れなかった場所もたくさんある。
一日では全然足りなかった。


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