ダ・ヴィンチ 2008年 02月号 [雑誌]〜自費出版大手の「新風舎」が負債額約20億円で事実上倒産したそうです。毎月、ダ・ヴィンチに注目本というページで2ページほど並べていた本もすべて自費出版だったんですね。調べてみると、著者から数百万円徴収して、書店に並ばないというようなこともあったそうです。詐欺で訴えている人も多いとか。理工系の場合には自費出版で売れると言われても、信じる人はいないでしょうが、小説や絵本などだと、「もしかして売れるかも」などと思って(思わせて)しまうのでしょう。

ブログランキング・にほんブログ村へ→先日も少し書きましたが、売れる本を出すには、それなりに名の知れた出版社であることが、まず第一だと思います。

なぜかと言いますと、全国の主要書店に本が並ぶためには、少なくとも2千冊は刷らなければなりませんし、それを並べてもらうには、取り次ぎにそれなりに信頼されていなければ、売れる見込みを立てて、書店に配本してもらえないからです。また、何十万〜何百万円もする新聞広告を出せるのも資金力のある大手出版社でなければできません。もちろん、文芸書などは、文学賞でも獲らない限り、いきなり大手から出版される可能性など、ほとんどないでしょうから、自費出版というビジネスが成り立つのもわかります。でも、売れると思っての自費出版は考え方が甘いと言われても仕方がないでしょう。本の流通のしくみを知らずに、1冊出せば印税生活ができるなどと思っている人もいるのかもしれません。ここにはときどき書いていますが、印税というのは通常、本の定価の10%で、さらに納税額に応じて、そこから税金が引かれます。確定申告も必要になり、これが今年から税制改正でさらに納税額が多くなる模様なので、実際には6〜7%になるかと思います。つまり、2千円の本を売って、1冊百数十円の印税です。さて、何冊売れば生活できるでしょう?2000冊売って、数十万円もらったとしても、本の作成に費やした時間を考えると、時給千円もいかないでしょう。そういう世界なので、有名になって講演などでお金がもらえる人はわざわざ本など書かない、というカラクリになっています。まぁ、増刷すれば、ある意味、自動的にお金が入ってくることになるので、そこからはおいしいかもしれませんが、それでも額は知れています。累計2万冊になった「やさしい機械工学」もついに寿命を迎えたようで、毎年約2千冊売れていたのが、この3ヶ月はついに100冊も売れなかったそうです。今後は春先の教科書採用に期待するしかありません。それでも、理工系のベーシックな内容は5年くらいでは中身が古くなることはないので、5年で2万冊売れれば、著者にとっても出版社にとってもよかったということになるのでしょう。一方、私の本も出版して数年経ってもまだ増刷していないもの(初版で8千冊刷ったもの2冊です。)もあるわけで、どこかの倉庫で数千冊が眠っていると思うと、出版社にも本にも申し訳なく思ってしまいます。という訳で、私の印税は、また他の本を購入したり、私的な実験装置を購入したり、大学院の授業料に消えていくのです。その活動の中から、また本を書きたくなるものが出てくるので、この循環は永遠に続きます。。。