2017年09月10日

キング・クリムゾン アースバウンドのハイレゾ決定の衝撃

2009年に始まったキング・クリムゾン40周年記念のCD+DVDオーディオ再発シリーズ。カタツムリ並みのスローペースで発売されていき、ようやく去年「ビート」と「スリー・オブ・パーフェクト・ペア」がリリースされ、1990年代までの全スタジオ・アルバムの発売が完了しました(プラス、ライブ作の「USA」も)。

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「次は2000年代のノーヴォーメタルが蘇るか!?」と期待していたところで、誰もが「そんなことがあるはずはない」と思っていたことが発表されました。
カセットテープへの録音による劣悪サウンドで名高いライヴ盤「アースバウンド」が96kHz/24bit音源を収録したDVDとCDのセットで発売されるのです。

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まさか、21世紀の文明の利器を駆使してサウンドを徹底的に改善したのか? 
また、元々の5曲に7曲を加えて12曲にするとのこと。現時点では曲目や使われる音源の収録日が発表されておらず謎だらけです。

現在の「アースバウンド」の内容は次のとおりで1972年のアメリカ・ツアー時の音源を収録しています。
21st Century : 2/11収録
Peoria : 3/10収録
Sailor's Tale : 2/26収録
Earthbound : 2/27収録
Groon : 2/11収録

DGMによるとこのツアーのセットリストの常連曲は、
Pictures Of A City
Formentera Lady
The Sailors Tale
Cirkus
Ladies Of The Road
Groon
21st Century Schizoid Man
Cadence And Cascade
で、これにインプロビゼーション曲が加わります。
多分、新生「アースバウンド」はアメリカ・ツアー再現を目指すのでしょう。3/6のピッツバーグ公演はサウンドボード録音で音質がいいらしいですが、元々の5曲と音質を合わせるためにこの日の音源は使わないでしょうね。

DVDにはさらにオマケが収録されます。
- オリジナル「アースバウンド」のレコード起こし音源
- 3/12のコロラド州デンヴァーのサミット・スタジオでのライヴ。これは元々ラジオ放送のために8トラックのテープに収録されたもので、演奏、音質ともに極上。メル・コリンズのサックスが冴えています。私はDGMでダウンロードして愛聴していました。今回、これのステレオ・リミックスと4chミックスが収録されます
- ライヴ盤「レディース・オブ・ザ・ロード」の2枚目に収録されていたSchizoid Man連続攻撃

「アースバウンド」の音質は期待していませんが、サミットのリミックスは聴く価値があると思いますので、買ってみようと思います。 

rock70s at 00:53|PermalinkComments(0) キング・クリムゾン 

2017年09月06日

スティーヴン・ウィルソン 新作を聴く

先月18日、スティーヴン・ウィルソンの新作「トゥー・ザ・ボーン」が発売されました。

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リリースが発表された時点でポップなアルバムになると発表されていたし、先行して発表された曲でドポップな曲を聴いていたので、耐性ができていた状態で聴くことができました。
1曲目のTo the Boneはエスニック風に始まり、ナレーションを入れたイントロが終わると明るいポップ曲になります。コーラスでは女性ボーカルが華を添えています。誰かと思ったら二ネット・タイェブ。タイトルに「feat. Ninet Tayeb」と書いてある2曲だけでなく、ほぼ全ての曲でバッキング・ボーカルやっていることに驚きました。スティーヴンはよほどのお気に入りです。
この曲でゴキゲンなドラムを叩いているのは現キング・クリムゾンのドラマーになってプログレ・ファンで馴染みの顔になった熊さんジェレミー・ステイシー。

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11曲中6曲で叩いていて、現SWバンドのクレイグ・ブランデルの4曲よりも多いです。ライヴのことを考えたらクレイグに叩かせたらいいと思いますが、何故、ジェレミーを選んだのか?
「ホントはバンドでもジェレミーにやって欲しいけど、フリップさんにガッチリ握られているから仕方なく第二候補のクレイグを使っている」のか、ジェレミーの双子の兄弟で、このアルバムの共同プロデューサーのポールに気遣ったのか、それとも「プログレ曲ならクレイグのプレイが合うが、ポップな曲はジェレミーがいい」ということなのか?
メイキングビデオでクレイグが叩くシーンが収録されていた曲が、最終的にジェレミー担当になっており、クレイグのプレイに不満があったのかな?

このアルバムではギターはスティーヴンが弾いていて、SWバンドのデイヴ・キルミンスターは出番なし。でも彼は「アルバム作りに貢献したい」とのことでバッキングコーラスで頑張ってます。ベースもほとんどスティーヴンがやっていてSWバンドのニック・ベッグスが弾いたのはドポップ曲のPermanatingのみ。ポップ曲ならカジャグーグーで培ったニックのセンスを活かせばいいのにと思いますが、新たな挑戦なので自分でやりたい放題にしたかったのかな。

3曲目のPariahは二ネットとデュエットした曲。このアルバムはピーター・ガブリエルの「So」にインスパイアされたそうなので、この曲を最初聴いた時、「二ネットを仮想ケイト・ブッシュとしてDon't Give Up的世界を狙ったか」と思いました。Blu-rayがやってきて歌詞を読んでビックリ。
スティーヴンが「人生が嫌になった」的なことを歌い、二ネットが「私が苦しみを和らげてあげる」みたいなことを歌っていて、まさにDon't Give Upの世界でした。
この曲の出来はスティーヴンのお気に入りのようでテレビ番組やレコード店の店頭ミニコンサートでも歌っています。



 次のThe Same Asylum as Beforeのサビでは二ネットとデイヴがいい感じのコーラスを入れています。きっと来日してくれると思いますので、予習してみんなでしっかりと合唱しましょう。



Refugeはシリア難民の苦悩を描いた曲。じっくりと感情を込めて歌っています。
どの曲にも増して歌詞が大事だと思っているのか、リリックビデオが公開されています。



Permanatingはアルバムだとのポップさの頂点に君臨する曲。アバのMamma Miaっぽさも感じる箇所があります。インド風ダンスを取り入れたビデオもぶっ飛んでます。スティーヴンはボリウッド映画のファンだそうです。




短い曲を挟んで始まるPeople Who Eat Darknessはパリのバタクラン劇場でのテロ後に書かれた曲。ハードでスピーディなバックに「隣に住んでるテロリスト」について歌っています。
ソフィー・ハンガーというベルリンの女性シンガーのデュエット曲Song and Iは怪しさたっぷり。 「セクシーさと不吉さを兼ね備えた女性ボーカルがいいな」と考えたら、レコード会社が紹介してくれたそうです。




ビデオに映った女性がソフィーかと思いましたが、違いました。プログレ界の住民ではなく、ジャズ界の人のようです。

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Detonationは原理主義テロリストについて歌った曲。9分の起伏のあるスリリングな曲でプログレSWがようやく出てきました。
ラストのSong of Unbornは、生まれることに不安を抱いている胎児に向けて「生きることを怖がらないで」と優しくささやき書ける曲。美しく響く合唱団の声が素敵です。

いろいろなタイプの曲のオンパレード。これまでの彼のアルバムが「高級プログレ料亭」だとしたら、今回はメニュー豊富な「居酒屋」で多くの人にとってとっつき易いと思います。
これで日本での彼の認知度がアップして、念願の来日が実現すれば嬉しいです。  






 

rock70s at 00:09|PermalinkComments(0) スティーブン・ウィルソン