2018年12月31日

ウイングス ワイルドライフとレッドローズ リマスターに惚れ、高まる来年への期待

毎年ボチボチと出ているポール・マッカートニー関連作品のリマスター盤。今年は新作エジプト・ステーション、ビートルズのホワイトアルバムの50周年記念盤が出たので、「セールスのかちあいを避けるために、今年は見送られるはず」と思っていましたが、なんとワイルドライフとレッドローズのリマスター盤が12月に発売されました。

数あるウイングスのアルバムの中で、私にとってこの2枚はイマイチなツートップなのですが、レッドローズは「幻のダブルアルバム再現」という触れ込みに惹かれて買うことにしました。
しかし、ダブルアルバムを再現したCDがついてくるのは3CD+2DVD+Blu-rayの豪華ボックスセットのみ。「25,000円も出してまで買うまでもないか…」と思っていたところ、2CDセットのCD2に、ダブルアルバム用の音源も収録されることがわかりました(曲順はダブルアルバムのとおりではない)。

レッド・ローズ・スピードウェイ(2CDスペシャル・エディション)
ポール・マッカートニー&ウイングス
ユニバーサル ミュージック
2018-12-07


これは2CD分のハイレゾ音源も同様だったので、喜び勇んでダウンロード購入して、ダブルアルバム用の曲を抜き出してCD1の曲と合体させたうえで並び替えてダブルアルバムを作成しました。

曲はこれ。赤字が追加曲です。
1. Night Out
2. Get On The Right Thing
3. Country Dreamer
4. Big Barn Bed
5. My Love
6. Single Pigeon
7. When The Night
8. Seaside Woman 
9. I Lie Around
10. The Mess [Live At The Hague]
11. Best Friend [Live In Antwerp]

12. Loup (1st Indian On The Moon)
13. Medley: Hold Me Tight - Lazy Dynamite - Hands Of Love - Power Cut
14. Mama’s Little Girl  
15. I Would Only Smile

16. One More Kiss
17. Tragedy
18. Little Lamb Dragonfly

Night Outは粗削りなハードなロック。これで幕開けすることで、これまでの「緩いアルバム」という印象が一変しました。




またThe Messもロックしています。中盤にこれがガツンときてアルバムが締まります。



Medleyをラストに持ってこなかったのも正解だと思います。「出来がイマイチな曲をつなげて長尺にした」という印象が拭えず、アルバムを閉じる曲としてはインパクトに欠けていると思っていましたので。その点、名バラードのDragonflyで余韻たっぷりにしんみりと終わるのはナイス。
アルバム作成当時は「ワイルドライフがイマイチで売れず、ウイングスの評判が悪い。これで値段が高い2枚組になんかしたら売れない」というレコード会社の判断でシングルアルバムになったそうですが、このクオリティーならダブルでも売れたかも。

リマスターのお陰なのか、ハイレゾの力なのか、音に艶が出てエコーに深みが増しました。音の分離がよくなり広がりが増して、これまで音の団子で聴きとれていなかったフレーズも聴こえてきました。
いままで「田舎に住んでいる素朴な少女」という印象だったのですが、「洗練されたメイクをした都会のお姉さん」という印象に変わり、聴くたびにちょっと戸惑っていますが、じき慣れるでしょう。

一方のワイルドライフは「リマスターでいくら洗練したにせよ、駄作は駄作」という思いがあり、購入はパスすることを決めました。
しかし、レッドローズの情報入手目的で買ったレコードコレクターズを読んで気持ちが変わりました。

レコード・コレクターズ 2019年 1月号
ミュージック・マガジン
2018-12-15



サエキけんぞうさんのワイルドライフ愛に満ちた曲の解説を読んで、「アフリカ風」という表現にビビビッと来たのです。先日、トーキングヘッズ集中月間でアフリカンなサウンドにしびれたことがあり、「もう一度、聴いてみよう」という気になりました。どうせならということで、ハイレゾ音源をダウンロード購入しました。
聴いてみて驚き。一曲目のMumboでバスドラがドシンと決まり、ベースがズンズンと迫ってきて演奏のパワーがアップ。それに負けないポールの熱いシャウトに心が震えました。いままで「なんでポールの声がヘンに聞こえるの?」と不思議に思っていましたが、シャウトしていた声だったとは。熱意が伝わってこなかったので誤解していました。




他の曲も印象がガラッと変わって聞きごたえアップ。このアルバムで唯一存在意義を認めていたDear Friendではオーケストラの存在感が増し、豪華さを感じました。




いままで「ワイルドライフは、新しいバンドを作った勢いだけで作成した即興のジャム演奏を収録した。曲の練りが弱く、演奏がドタバタとしていてメロディーもイマイチ」と悪い印象しかなかったのですが、音が明瞭になり分離もよくなったことで、これまで聴こえていなかった細かい芸がわかるようになり、思ったよりもキチンと作られていたということに気づきました。
ワイルドライフを聴きこんでいきたいという好意が芽生えました。

中学生の頃リアルタイムでバック・トゥ・ジ・エッグでウイングスに出会い、そこから時代をさかのぼってLPレコードを買っていったものの、評判の悪さに手が出なかったアルバム。CD化されてレンタルで初めて聴いてみて「やはり噂通りにダメ作品」と思い、1993年あたりにリマスターされた際には「リマスターで生まれ変わったかも」と期待して買ったものの「やはり、ダメなものはダメか」と損した気持ちになり25年間で再生したのは5回もないくらい。それほどに嫌悪感を持っていた反動のせいか、ワイルドライフに惚れてしまいそうです。

ウイングス・ワイルド・ライフ(2CDスペシャル・エディション)
ポール・マッカートニー&ウイングス
ユニバーサル ミュージック
2018-12-07


2CDセットのCD2に収録されたボーナス音源は楽しさがあります。ホームレコーディングと付記された曲ではポールとリンダがレコーディングしている周りで娘さんが楽しそうに遊んでいる様子が収録されていて、微笑ましくなります。




レココレのお陰で、ワイルドライフの魅力を知れたという感謝の念がある一方で、「悪魔のささやき」に耳をふさぎたいという気持ちにもなりました。
それはレッドローズの豪華ボックスセットのDVD/Blu-rayに収録されたJames Paul McCartneyと The Bruce McMouse Showです。前者は1973年のテレビ出演時の映像です。ウイングスの演奏、ポールのソロ演奏が収録されています。オケをバックにしたMy Loveは絶品。



以前からYouTubeにアップロードされていますが、DVD/Blu-rayに収録されたものはより鮮明なものになっているみたいです。
後者は1972年のツアー時の映像にネズミのアニメーションを時おりからめたもので、制作されていたことは知られていたものの、誰も完成版を見たことがなくようやく公開されたものです。
レココレの記事を読んで「見たい、見たいぞ!」という気持ちが高まってきました。しかし、アマゾン価格で25,000円します。高くて手が出ません。


今はガマンして、数年後見飽きた人が中古で出品することを待つことにします。

2010年から始まったポールの作品のリマスター盤再発。
ウイングスは残り、ロンドンタウンとバック・トゥ・ジ・エッグのみとなりました。

Back To The Egg
Wings
Goldrush
1996-12-17



私はこの2枚が大好きなので早く出してくれと切望してきました。ようやく来年願望がかないそうです。
なぜこれらが後回しになったのか(特にバック)。ようやくわかりました。
ウイングスの最終ツアー公演が1979年12月17日のグラスゴー公演なのです。その後、12月29日にカンボジア救済コンサートに出演。これらの40周年記念の時期が来るのを待っていたのでしょう。
グラスゴー公演はブートで高音質のサウンドボード音源が出回っています。私はこれを愛聴しています。これの公式発売バージョンが出るのは確実でしょう。
カンボジア救済コンサートは以前LPレコードとビデオが発売されたものの、CDやDVDにはなっていません。







これらに収録されたウイングス演奏は20曲中5曲だけ。もし、来年ウイングス演奏のフル収録で初CD、初DVD/Blu-rayとなるとしたら大事件です。
またこのコンサートの大トリで行われたロケストラにはレッド・ツェッペリン御一行様(ジミー除)、ピート・タウンゼンドなどのロック界の重鎮が共演しています。リマスターされて音の分離がアップしてどれが誰の演奏なのか聞き分けることができるようになれば凄い話です。






来年のクリスマスを狙って発売されるのは確実。お値段控えめでお願いします!!





 

rock70s at 19:45|PermalinkComments(0) ポール・マッカートニー | ビートルズ

2018年12月25日

映画ボヘミアン・ラプソディ、ドント・ストップ・ミー的に止まらない

今日、映画ボヘミアン・ラプソディに行って来ました。3回目です。

1280x720-bohemianrhapsodytrn


家族から「何で、また行く?」と言われましたが、何回見ても楽しめるし、感動できるし。ディズニーランドにリピーターとして行くみたいな感じかな。
最初に見たのは11月18日。えらく感動したものの、「ネタバレになるから思い切り書けない」と思い、ブログ投稿を控えましたが、この期に及んで見ていないロックファンは皆無だと思いますので書くことにしました。

クイーンの伝記映画が制作開始されたことを知ったのは音楽情報サイトAmassの記事。その後、配役難航、監督交代という記事が出てきて、「ホントにできあがるのか?」と不安になりましたが、映画マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴーを見にいった際に予告編が上映され安心しました。




予告編を見て思ったのが「フレディの人生をどこまで描くのか?」ということ。「フレディが病魔と闘いながら傑作アルバム、イニュエンドウを完成させる姿がクライマックスなのか」とも思いましたが、「メンバーの心がバラバラになった状態で挑み、起死回生の逆転満塁ホームランとなってバンドが勢いを取り戻したライヴ・エイドがクライマックスになるといいな」とも思いました。いずれにせよ、クイーン・ファンのための映画で、世間的には話題にもならず終息すると思っていました。

イニュエンドウ
クイーン
USMジャパン
2011-09-21




公演が近づくにつれ、ツイッターで配給会社が活発に宣伝ツイを投入。「どうにかして客集めをしたい」という必死さを感じました。そんな中、目に留まったのが試写会の募集。ダメもとで申し込んだら見事当選しました。「やはり、人気がなく倍率が低かったのか」と思ってしまいました。

16B8A822-C5A4-48C2-9594-D59EFEF805A0



水曜日の1830開演というやたら早い時間。終業後、速攻で会場の六本木ヒルズに行きました。「間に合わないかも?」と不安に思いながら到着したら、開場の1800は過ぎていたのにまだ大行列があったので一安心。しかし、話は違いました。
開演時間になって告げられたのは、会場が満杯になったので入れないということ。百人をはるかに超える人たちがショックを受けていました。こちらは「中学生の頃から40年間クイーンを愛してきた。この日を待ちわびていた」という気持ちで六本木まで来ていたので、信じられない気持ちでスタッフに詰め寄りました。
結局、後日、タダ券をもらうことで決着しましたが数日間は怒りが収まらず、その試写会を見た有名人が映画を称えるコメントをツイッターで見るたびに「宣伝のために有名人を優先して入場させたのか。クイーンファンの気持ちを踏みにじるな」と怒りが込み上げてきました。
それとともにシラけた気持ちになり、もう見なくていいやとも思うようになりました。タダ券が家に届いた時には、「もらったからには、行くか」という消極的な気持ちでした。

しかし、出だしの映画会社のロゴが出る場面で、ブライアン風のギターにアレンジされたBGMを聴いてテンションアップ(これがブライアンとロジャーの演奏だとは知らなかったです)。冒頭でSomebody to Loveが流れる中、フレディがステージに向かう場面でグググっと引き込まれ、わだかまりが氷解しました。
ファーストアルバムのレコーディング場面でSeven Seasが流れた時には「えっ、この時点で曲ができてたなんてホント?」と思ったり、初のアメリカツアーでFat Bottomed Girlが演奏された際には「えっ、Bohemianのレコーディングシーンなしに1978年まで時代が一気に飛ぶ? どういうこと?」と思ったり、EMI重役の顔を見て「ELOのジェフ・リンかTOTOのデヴィッド・ペイチにそっくり」と思ったり…

rs_1024x627-181105131109-1024-mike-myers-bohemian-rhapsody220px-Джефф_Линн_в_2014_годуhqdefault


Bohemianのシングルカットに反対する重役に向かってマイアミが「狂気はあなたが手がけたんですよね」と言う場面では「何のことかわからん人が大多数だろうな」と思ったりとツッコミ場面満載で楽しみながらストーリーが進行。




ライヴ・エイド直前に自宅を訪問し、父親と和解した場面には、ジーンと来ました。成人した息子を持つ親としては、こういうシーンには弱いんです。最初見た時は、フレディから「アフリカ支援チャリティーコンサートにノーギャラで出る」と言われた父親が「良き考え、良き言葉、良き行い」と言って「ようやくお前がそれができるように成長したのか」と感激したと見えたのですが、2回目でこのセリフをフレディが言ったことに気づき感動が増しました。
子供の頃から父親に何度も教えられてきたことをようやく実行できる機会が訪れた。これがフレディがライヴ・エイドに是が非でも出たかった理由だった。彼は父親を疎んじていたのではなかった。かの父親の息子であることを誇りに思っていたのだ。
書いてきて泣けてきました。

father-son


感動シーンは続きます。ウェンブリーでノリノリで歌うフレディを見るメアリーとジムの表情。二人がフレディが堕落から立ち直ったことを喜んでいることがヒシヒシと伝わってきました。見ているこっちも同感。このコンサートシーンを感動的にするために、クイーンが解散状態だったことにしたり、フレディがコンサート前にエイズと診断されたことにしたりと、史実と異なる演出にしたことは許せます。
ライヴ・エイドで本編がバサッと終了。この割り切り方には大賛成です。そして、Don't Stop Me Nowでエンディングロールが始まり、Show Must Go Onにつなげて終了。
文句なしの流れです。




見終わった瞬間に「また見るぞ」という気になりました。
初回はイオンシネマでの普通の上映だったので、2回目はコンサートのノリで楽しみたいと思い、手拍子、合唱、声援OKの応援上映に行きました。
「みんな冒頭からノリノリになるはずだ」と期待していたのですが、お客さんは様子見をしているようでKeep Yourself AliveやLove of My Lifeを歌っているのは私くらい。寂しい思いをしましたが、We Will Rock Youのズンズンチャの足踏み足踏み手拍子で、お客さんの恥じらいが消え、ライヴ・エイドではコンサートのノリで大騒ぎできました。
これが楽しくって、今日3回目に行ったという次第です。

livea


今回言ってようやく理解できたシーンがあります。フレディが改心する雨の場面。今までロンドンの自宅が舞台だと思っていたのですがミュンヘンだということにようやく気付きました。メアリーが登場する直前で教会みたいな建物が映ったのは場所をわかりやすくするための演出だったのです。

muni


身重のメアリーが、自分を心配してわざわざミュンヘンまでやってきてくれた。このことにフレディは心を動かされたのです。これまで「近所に住んでいるメアリーがやってきたくらいで改心するなんて、演出が軽いな」と思っていたのですが、全く重みが違っていました。

民法だけでなくNHKで特番が組まれるくらいに社会現象となったこの映画。まさかここまでヒットするとは思いもしませんでした。これほど人気があるなら、ディズニーランドのキャプテンEOみたいに通年上映してもいいくらい。
何度でも行くよ。






 

rock70s at 23:33|PermalinkComments(0) クイーン 
リリース情報
管理人のオリジナル小説