2017年12月04日

ピンク・フロイド ファイナル・カットのカバーアートの正体

ピンク・フロイドの「ファイナル・カット」。1983年にリアルタイムで買って以来、カバーアートを見てきましたが、好きなアルバムじゃなかったので「記章をつけた軍服だな。左上の物体は謎だけど、まっ、いいか」と思うだけで、突っこんで考えたことはなかったです。

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しかし、11/22に再発された紙ジャケを見て、ふと思い立って詳しく調べてみました。
情報元によると、記章は以下のとおり。

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Distinguished Flying Cross
敵に対する飛行攻撃の際の勇敢さ、貢献を表彰したイギリス空軍の賞


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1939–1945 Star
第二次世界大戦に従軍したイギリス連邦民を賞したもの。


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Africa Star
第二次世界大戦での北アフリカ戦線に従軍した者を表彰したもの。


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Defence Medal
第二次世界大戦中に、本部、訓練基地、航空基地などで従事した非戦闘的なイギリス連邦民などを表彰したもの。Starを受賞した者はこのMedalももらえる。

また、左上に写っている赤丸は、戦死したイギリス連邦民を追悼するRemembrance poppyという造花です。

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これらをカバーアートに使うことで何を表現したのか?

まず最初に思い浮かんだのが、LPジャケットに書かれていた「for Eric Fletcher Waters 1913-1944」という表現。
ロジャーは、亡き父がつけるはずだった章をカバーアートに描いたのではないかと仮定しました。そこで検証。
インターネットで発掘できた情報は以下のとおり。
- エリックは、イギリス国軍のロイヤル・フィージリア連隊の少尉だった
- 第二次世界大戦中の1944年2月18日に、イタリアのアンティオでの戦闘の際に戦死
- 1943年9月生まれのロジャーは、当時5か月
- 以下のような写真があることから、親子のふれあいは多少はあった(ロジャーは覚えていないだろうが)

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脱線しますが、ロジャーは母親似ですね。お母さんはビル・ブルフォードにも見えます(笑)。

情報が少ないながら、エリックがDistinguished Flying Crossをつけることはなかったと思います。
アフリカ戦線に行ったのかどうかはわかりません。しかし、映画「ザ・ウォール」では、ピンクがAfrica StarとItaly Star(イタリア戦線に従軍した者を表彰)を付けているシーンがあります。

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もし、これがロジャーの実体験を再現したのなら、エリックはアフリカ戦線に行ったのかも。
StarをもらったのならDefence medalをもらっているのは当然。

Remembrance poppyについては、以下の写真のようにつけるのは一般的なのでしょう。

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ということで、Distinguished Flying Crossの点から「ファイナル・カット」のカバーアートは、エリックを表現したわけではないと私は結論しました。
色合いの綺麗さから選んだのかな?









 






 

rock70s at 08:40|PermalinkComments(0) ピンク・フロイド 

2017年11月28日

ピンク・フロイド 「炎」のカバー・アートに秘められたコンセプト

11/22にピンク・フロイドの紙ジャケットCDの第2弾が発売されました。
そのなかでも、ソニー・ミュージックの入魂を感じたのが「炎」です。

このアルバムは、LPレコードの発売時に黒いビニール・カバーで包まれていました。
このデザインにはWish You Were Hereというタイトルが関係しています。デザインを担当したヒプノシスは「absence(=あるべきものが存在しない)」というテーマを思い浮かべました。
ジャケットを真っ白にしようと思ったものの、ビートルズに先を越されていたのでボツ。その代わりにジャケットを真っ黒のビニールカバーで覆うことにしたが、「そんなんじゃ、誰の何と言う作品なのかわからない」とレコード会社に文句を言われ、丸いカラーステッカーを貼ることになったそうです。

今回の紙ジャケットでは、それがうまく再現できていました。LPの時のようなシュリンクラップではなく、ノリつきの袋状で本体が出し入れ自在です。

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しかし、「炎」と「完全限定盤」のステッカーまでもが黒ビニールに貼られていたことにはガックリきました。もしかしたら、日本盤LPの発売時も「炎」ステッカーを黒ビニールに貼っていたのかもしれませんが、芸術的には邪魔そのものです。私は剥がして透明ビニールカバーに貼り替えました。

ジャケット本体に使われた写真も「あるべきものが存在しない」をテーマにしています。
表面の「燃える男」は、「人々は痛い目に合う(英語でgetting burn)ことを恐れ、本心を隠しがち」ということを示しています。
燃える男はスタントマンで、耐火スーツの上に背広とカツラをつけて火を放ったそうです。
撮影場所は、カリフォルニア州のワーナー・ブラザーズのスタジオ。

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ジャケット裏のセールスマンには、顔がなく、スーツの下にあるはずの体がない。
撮影場所はこれまたカリフォルニア州のユマ砂漠。

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インナースリーブの赤いベールは、「風にはためく布」に思えますが、実は「ヌードの女性を包んでいるのに本体が存在しない」という設定。
場所はバージニア州ノーフォークらしいです。

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湖に飛び込んだはずの男性の周りに、波紋が存在しない。
実は「飛び込み」シーンではなく、湖に沈めた台の上で逆立ちしています。
場所はカリフォルニア州のモノ湖。

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4箇所のうち、3つがカリフォルニア州なので旅行したらいっぺんに回れそう。定年後に巡礼しようかな。

LPレコードには、飛び込み的シーンのポスターがオマケでついていました。子供の頃、とても気に入って部屋の壁に貼って眺めていました。月日が経つにつれ、重力や扇風機の風で画鋲穴の破れが大きくなり、湿気もあって最後はボロボロになってしまい、泣く泣く破棄しました。

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今思えば、手間かけてパネルにすればよかったのですが、高校生にはそこまで知恵が回りませんでした。
その後、「このポスターだけ欲しい」と思い、ネットで探したものの発見できず。「炎」の豪華ボックスセットが発売された時には、「きっと付いてくるはず!」と期待したもののスカされてガッカリ。
今回の紙ジャケでは、このポスターが再現されていましたが、いかんせん小さい。飾る気にはなりません。
誰か発売してくれないかな〜。









 

rock70s at 22:07|PermalinkComments(0) ピンク・フロイド 
リリース情報
2017年
【5月26日】
ビートルズ「サージェント・ペパーズ」50周年記念

【6月2日】
ロジャー・ウォーターズ新作「 イズ・ディス・ザ・ライフ・ウィ・リアリー・ウォント?」

【6月16日】
チープ・トリック新作「ウィア・オール・オーライト」

【7月21日】
マリリオン「Misplaced Childhood」 スティーヴン・ウィルソンによるリミックス(5.1chあり)

【8月18日】
スティーヴン・ウィルソン新作「To The Bone」

管理人のオリジナル小説