2020年07月04日

フライング・カラーズ プログレバンドとしての進化で真価を知る

マイク・ポートノイ(Dr)、ニール・モーズ(Key)、スティーヴ・モーズ(G)、デイヴ・ラルー(B)、ケイシー・マクファーソン (Vo) で構成されるプログレ・バンド、フライング・カラーズが新ライヴ作品Third Stage: Live In Londonを海外で9月に発売することが発表されました。

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今でこそ、このライヴアルバムを楽しみにしていますが、以前は「このバンドはありえん」という最低の評価をしていました。

私が彼らを知ったのは2012年。トランスアトランティックの二巨頭、ニールとマイキーが新バンドを結成し、ギターには現ディープ・パープルのスティーヴ・モーズが参加というニュースを聞いて、「これはすごい新生プログレバンドの誕生だ」と色めきだち、ファーストアルバムを速攻で購入しました。

フライング・カラーズ
フライング・カラーズ
マーキー・インコーポレイティド
2012-07-25





すごい期待を胸に聴いたものの、鳴ったのは何の変哲もない普通のロック&ポップ。マイキーらしいドラムさばきはあるものの、トランスアトランティックの壮絶プログレワールドとはほど遠いサウンドでした。





ライナーノーツに書かれたバンドの結成経緯を読むと、エグゼクティヴ・プロデューサーのビル・エヴァンスが「バカテクさと、わかりやすいメインストリームさが合体した曲」を演奏する新バンドの結成を目指してメンバーを探して集めたとのこと。

Bill-Evans

つまり、このアルバムに収録されたようなサウンドをやるために結成されたもので、ニール、マイキーはトランスアトランティックドリーム・シアタースポックス・ビアードで彼らが築き上げたスタイルを封印して参加していると気づきました。
これではフライング・カラーズに魅力を感じるはずはないです。とは言え、CDを買ってしまったもののタンスの肥やしにするのはもったいないので、「気に入るまで聴こう」と何回か再生しました。しかし、その都度、違和感が募るばかりで結局肥やしになることが決まりました。
「彼らがこのようなサウンドに満足するはずはない。きっとこのアルバムぽっきりで終了だろう」と思っていました。

月日は流れ2020年。「高い金を払ってAmazon Music HDを使っているから、いろんな新しいサウンドを聴かないともったいない」と思って検索しているうちに、フライング・カラーズがまだ存続していてサード・アルバムを出していることを知りました。
こうなると「もう一回聴いてみて、再評価をしてみるか」という気になりました。

まずはセカンドアルバムのSceond Nature。

Second Nature
Music Theories Recordings
2015-10-15


オープニングのOpen Up Your Eyesにビビビッと来ました。トランスアトランティックっぽいフレーズも演奏される、展開が面白い曲です。ケイシーがメインで歌う途中でニールのボーカルが入るところは曲にワンポイント的な変化が出てナイス。この1曲で好感度がアップしました。



2曲目のMask Machineはサビでウォオオオオオオオの合唱が可能なライヴ映えしそうな曲(今回発売されるライヴDVD/Blu-rayでノリノリ度がよくわかります)。



続く曲もプログレ的味付けが随所に見られ、納得できるアルバムになっていました。マイキーによるとファースト後のツアーを重ねていくうちにメンバー間にケミストリーが働くようになったとのこと。

サードアルバムのThird Degreeもなかなかの出来です。

Third Degree -Digi-
Flying Colors
Music Theories Recordings
2019-10-04






「普通のロックか」と思わせておいて途中で曲調がコロッと変わるところがあり、意外性のある味付けになっています。私のお気に入りは変化自在なMore、そして、バラード調で始まり、途中からググっと盛り上がる展開を見せるCadence。





ラスト1曲前のLove Letterはジェリーフィッシュ的な曲調&コーラスのポップ曲で心が弾みます。このような変化球があるとアルバムに深みが加わります。



私がフライング・カラーズのファーストで耳のシャッターを下ろしているうちに、進化していました。7〜10分程度の中にグググっとおいしさを凝縮させているところがとても聴きやすいです。トランスアトランティックよりも好きになるかも(最近、長い曲を聴くと途中で集中力が薄れるようになっているし)。


 

rock70s at 22:11|PermalinkComments(0) フライング・カラーズ | プログレ

2020年06月17日

新作EPで振り返るフロスト*の素晴らしきプログレ世界

新興プログレバンドの筆頭格のフロスト*が新作EPのOthersを発表しました。

Others - EP [Explicit]
InsideOutMusic
2020-06-05


2016年のサードアルバム以来の新作なので、すごく期待して聴きました。
し、か、し。
期待に反するサウンドでした。機械的なサウンドでドラムがやたら目立ち、ノイジー。先行公開されたExhibit Aを聴くだけでも違和感たっぷりです。



後半はやたらしんみりしていて、興奮感ゼロ。
「きっと繰り返し聴けば、魅力を感じるかも」と思って、6回は聴きましたが幻滅度は深まるばかりでした。
「フロスト*がこんなにしょーもないはずはない」と思い、歴史をさかのぼって改めて彼らの魅力を探ってみました。

私がフロスト*を知ったのは2006年。
もともとはKinoのピクチャーを聴いてジョン・ミッチェルの声に惚れたことがきっかけでした。




「もっと彼が歌う曲を聴きたい」と思って探したところ、彼がフロスト*いうバンドに参加したことを知り、ファーストアルバムのミリオンタウンを買いました。

Milliontown
InsideOutMusic
2012-07-13


オープニングのHyperventilateにやられました。スピード感あふれるインスト曲で、目まぐるしい展開に、がっつりハートを掴まれました。「これはいい新興プログレバンドに出会った」と喜びました。



しかし、ボーカルはイマイチ。ジョンではなく、創設者のジェム・ゴッドフリーが歌っていました。エフェクターで加工しているのか歪んだ感じがして聴きづらかったです。
「もし次回作があるならジョンに歌わせてくれ」と願いました。

セカンドアルバムの「エクスペリメンツ・イン・マス・アピール」は2009年に発売されました。リードボーカルのデクラン・バークを雇ったので、ボーカルは聴きやすくなった反面、インストパートが減って物足りなさを感じました。今回もジョンの出番はほぼなし。

「フロスト*って、そんなに魅力的はないのかも?」と疑念に思っていたところで、認識を覆したのが2013年のスタジオライヴでした。ジェムとジョンに加え、中途加入のネイサン・キング(B)とクレイグ・ブランデル(Dr)が超絶プレイを披露しています。



ジェムの無邪気さがかわいらしいし、何と言ってもジェムの歌声がオリジナル曲よりも自然なのがよい。ジョンもしっかりと歌っているし。曲の印象がガラッと変わりました。
当時は未発売のサードアルバムに収録されているHeartstringもいい。ジョンのボーカルに痺れます。これこそ私が期待していたスタイルでした。




これらをYouTubeで見て「フロスト*、サイコー」と思ったので「この映像が収録されたDVD+CDが欲しい!」と思ったものの、アマゾンではプレミアで定価の倍の値段がついていて、なかなか手が出ませんでした。

Rockfield (CD+DVD)
Frost
Cube Records
2018-07-06


しかし、つい先日、アマゾンを見たら突如、日本盤が定価で出ていたので速攻で購入しました。ようやく手に入れてとてもうれしく、今、ヘビロテで聴いています。

2016年には、この最強メンツで「フォーリング・サテライツ」をリリース。

Falling Satellites
Frost
Inside Out U.S.
2016-05-27


シンフォニック+ハードさだけでなく、エレクトリック風のアレンジも取り入れ、新鮮味を感じました。静と動、弱と強のコントラストは見事でグイグイ押されるのが心地よかったです。






アルバムごとに異なるアプローチをして変化自在感が彼らの魅力だと感じたので、新作を待ちわびていました。
そんななかで出たのでOthersには、すごく期待していたので、出てきたサウンドにはがっかりしたのです。
クレイグが2019年5月にスティーヴ・ハケットのツアーメンバーとして専任するために脱退したことを知っていたので、彼が抜けたことが失速の原因なのかと思ってフロスト*のサイトを見たら、意外なことが書かれていました。
もともと2枚組として企画されたフォーリングがシングルアルバムになったためにボツとなった曲をミックスして仕上げたのがこのEPだと言うのです。となるとドラムを叩いているのはクレイグ? 一方、初代ドラマーのアンディ・エドワーズのツイッター(Facebookだったかも)では「俺がドラムを叩いた曲が収録されている」との書き込みがありました。
まあ、いずれにせよ、昔作った曲ということでしょう。

今年9月には4作目のスタジオアルバムをリリースするらしいです。Othersが「4作目の序章」ではなく、「3作目レコーディング時の在庫一掃セール」であり、これとは全く違う素晴らしいサウンドが4作目で聴けることを期待します。


 

rock70s at 19:55|PermalinkComments(0) フロスト 
リリース情報
2020年
【7月31日】
ポール・マッカートニー「フレイミング・パイ」リマスター

【9月18日】
フライング・カラーズ「Third Stage: Live In London」
ニック・メイスンズ・ソーサフル・オブ・シークレッツ「Live At The Roundhouse」

【10月2日】
ロジャー・ウォーターズ「US + THEM」


2021年
【1月29日】
スティーヴン・ウィルソン「The Future Bites」

管理人のオリジナル小説