キング・クリムゾン

2019年06月14日

キング・クリムゾン 40周年記念シリーズ 10年かけてようやく完結

今月、キング・クリムゾンの「リコンストラクション・オブ・ライツ」と「パワー・トゥ・ビリーヴ」の40周年記念CD+DVD audioが発売されました。
2009年から始まったこのシリーズが、10年かけてようやく完結しました。

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このシリーズの第1弾が出たのは、2009年10年。レッドでした。

Red: 40th Anniversary Series (Wdva)
King Crimson
Discipline Us
2009-10-20



当時、これを聴いた感想はこのブログに記載していました。
静と動のコントラストをさらに際立たせたスティーヴン・ウィルソンのサラウンドリミックスを絶賛していました。

しかし、その感動は序ノ口でした。ちょい後に発売された宮殿ではさらに素晴らしいミックスが展開されていました。




当時のブログでは、「スティーブンがミックスを担当した5.1chサウンドは強烈で、この作品の傑作度が500%アップ」と大絶賛。
今でも、I Talkが終わってEpitaphのイントロでメロトロンがシュワーっと左右上下に広がった時の感動を覚えています。

ほんのちょっと間を空けて出たのがリザード。私にとってこのアルバムは「クリムゾンで最低レベル」の作品で、これっぽっちも期待していませんでした。CDを聴いて「音がごちゃごちゃして、よく分からん」状態だったので。

Lizard: 40th Anniversary Series (Wdva)
King Crimson
Discipline Us
2010-01-12



しかし、サラウンドを聴いて印象がガラガラガラッと変わりました。
楽器の音が前後左右にうまいこと分離したことで聴きやすさがアップし、さらにコテコテな楽器の詰め込みが前後左右からの心地よい刺激に感じたのです。
これこそ、サラウンド魔王スティーヴンの真骨頂。私はこのリミックスをリザードの進化系「リザードン」と呼ぶことに決めました。

これらの素晴らしいサラウンドミックスが1カ月のうちに立て続けに発売されたので、その後の怒涛のリリースを期待していたのですが、そこからなしのつぶて。
次にリリースされたのは2010年秋、私の中でワースト2位、3位を争う、ポセイドンとアイランドでした。




Islands, 40th Anniversary Edition
King Crimson
Discipline
2010-11-22


さすがのスティーヴンのサラウンドリミックスでもしょぼさは改善できず、今ではほとんど聴いていません。

「次はジョン・ウェットン、ビルブル時代だ!」と期待して待ったものの再びなしのつぶて。
ようやく暗黒世界が出たのは2011年10月でした。




「ようやく黄金期が来た!」と喜んだものの、実際に聴いてみてサラウンドが活きていたのはスタジオ録音された序盤の2曲だけで、残りの曲はもともとライヴ音源だけにサラウンドにした感動はなかったです。しかし、ボーナス音源は大充実。このシリーズでサイコーレベルでした。

同時にディシプリンが発売されたのですが、脱プログレで嫌いなので完全無視。

ここまで来ると悟りました。
「連発は期待するな。年1回の秋祭りを待て」と。

予想通りに2012年の秋に出たのは戦慄。



すごい。
たまらん。
スティーヴン、偉い!
期待通りのサラウンドでした。

2013年の秋祭りでは、USAが再発。サラウンドミックスはないのですが、オーヴァーダビングされる前の「素のアズベリーパーク公演もハイレゾで収録される」という歴史的意義はありました。




これで70年代アルバムは完結したので満ち足りた気持ちになり、「後はどうでもイイや〜」という気になりました。

しかし、スラックだけはほのかに期待していました。
サラウンドミックスでダブルトリオが魅力的に生まれ変わるかも?と。

スラックが出たのは2015年秋でした。

Thrak
King Crimson
Discipline Global
2015-10-30



聴く前は、期待と不安が半々。サラウンドミックスしたのがスティーヴンではなく、ジャコだったのです。彼が手がけたELPの頭脳改革、トリロジーのサラウンドが絶望的に酷かった。
冒頭のVrooomを聴いて不安が的中。ギターが控えめで、期待していた6人によるバトルロワイヤル感はゼロでした。それ以降の曲は納得がいく曲もあったのですが、クライマックスのVrooom Vrooomは再びパワー不足で、不満感のまま終了

2016年の秋にはビートとスリーが出たもののパス。

「もう終わった」感があったのですが、翌年、全世界のクリムゾンファンが耳を疑った事件が起こりました。
劣悪音質で名を馳せるライヴアルバム、アースバウンドがハイレゾ音源つきで発売されたのです。
「もしや、21世紀の文明パワーで、音質改善されたのか?」と期待して買いましたが、期待ハズレ。2回は聴きましたが以降は封印しました。

Earthbound
King Crimson
Dgm
2017-11-17



これを買うにあたり、「どうせなら40周年記念をコンプリしてはどう?」という気持ちになり、80年代アルバム3枚を一気買いしました。

それから2年。2018年には日本公演に怒涛の3日連続出勤して「現在進行形のクリムゾンが最高レベルである」と認識しているなか、リコンストラクションとパワーの2枚が発売されました。

The ReconstruKction of Light (CD/DVD-A)
Galileo Music Communication GmbH / Fuerstenfeldbrueck
2019-06-07



このリコンストラクションは、「コンストラクション・オブ・ライト」の単なる再発ではないです。
2019年リミックスにあたり、パットのドラムが新録音されたています。こうなってしまった背景が、クリムゾンの日本公式サイトにかかれていました。

「もともとアルバムは1999年に、ナッシュヴィルにあるエイドリアン・ブリューのスタジオで録音されました。その時使われたのは、初期のデジタル技術A-DATだったのですが、このテープは我々の手元にあります。
このデータはのちに、コンピューターの初期編集システムに移行されたのですが、この時点でようやくドラム・パートが最終決定されました。
しかし2006年にエイドリアンのサウンド・エンジニアが急死したことで、コンピューターのデータも永久に失われてしまったのです。
というわけで、我々の元にアルバムはありますがドラムが入っていません。
やる気に満ちあふれたパット・マステロットが、これを、アルバムを“リ・イマジン”する良いチャンスだとポジティヴにとらえたのです。そして『The ConstruKction of Light』のすべてにドラム・パートを加えるという任務を遂行しました」

まだ聴きこんでいないので、コンストとリコンストのどっちが魅力的かは判断がつきかねます。
ただ、コンストを昔リアルタイムで聴いたときの「うるさいから、もうイヤ」という状態にはリコンストを聴いてならなかったので、後者の方が耳に馴染むのかも。
ただし、サラウンドにはがっかりしました。どう聴いてもフロントと同じ音がリアから鳴っているのです。全く楽しめず途中で再生をやめました。

一方のパワーのサラウンドはよかったです。うまいこと前後左右に音を散らばせていて楽しめました。

Power to Believe -CD+DVD-
King Crimson
Panegyric
2019-06-07



公式サイトではこのミックスを絶賛しています。

「『The Power To Believe』が書き残されていたハード・ディスク上には、様々な音源が散らばっていました。それらは、2002年のレコーディング時に使われたプログラムで再生しなければほぼ無意味だったのです。
ありがたいことに、プロデューサーが使用したマシンの中にプログラムは残っていました。おかげで、我々にも使用可能なシンプルなファイル形態に合理化することができました。
しかし問題は、最終マスターに使われた素材の多くが、それらのファイルに入っていなかったことです。
そこで私とロバートでいくつかのパーツを作り、バンドのスタジオ・レコーディングと結合させました。
そういう背景もあって、新しいステレオ・ミックスを作る予定はありませんでしたが、新しい5.1サラウンドには成功しました。
もしまだサラウンド・サウンドに接したことがないなら、ぜひ聴くことをお薦めします。これは、そういった包み込むような臨場感にピッタリな作品だからです。」

この一文を読んで、ますます関心が高まり、オリジナルのステレオミックスと聴き比べたい意欲が湧きました。

ようやく40周年記念シリーズをコンプリしたのも束の間、10月には宮殿の50周年記念ボックスセットの発売が決まっています。まだ詳細は発表されていませんが、アルバムの単品も出るでしょう。30周年シリーズがリマスターCD単品、40周年シリーズがリミックスCDとDVDオーディオのセットとなると、50周年シリーズはCD+Blu-rayオーディオか?
今やDVDオーディオが絶滅危惧種となっていて、再生できる人は限られるので、ほぼ全てのBDレコーダーで再生できるBlu-rayオーディオで発売するのは容易に予想できます。イエスも発売しているし。
今のところは50周年記念の買い替えはしないつもりですが、宣伝にうまいこと踊らされて買ってしまうかも…




 

rock70s at 22:37|PermalinkComments(0)

2018年12月10日

キング・クリムゾン 怒涛の東京公演 3連発に圧倒される パート4

キング・クリムゾンの東京公演3日目。
仕事帰りに3日連続で通うと、オーチャードホールが我が家のように思えてきました。「家に帰ったらキング・クリムゾンが自分を待っていて、自動的に生演奏してくれる。もはやCDやDVDをプレイヤーにかける手間はかからない」という優雅な気分になりました。

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↑トニーの日記より。こんな普段着ぽい格好で自宅で待ってくれているというイメージ

2日目は初日とはガラッと変えたセットリストだったので、3日日も変化させてくると期待が高まりました。
ロイヤルパッケージ参加者がツイッターに投稿した情報を総合すると、セトリは当日朝にビルがロバートに提案し、ロバートが決定して昼頃にメールでメンバーに連絡するとのこと。ロバートがセトリを毎回変えるのは、メンバーに緊張感を与え、進化を促すためだそうです。てっきり「ファンを喜ばせるためにどうしたらよいかをメンバーで話し合って決める」と思っていたので意外でした。さすがはロバート校長。教導者として厳しさを持っているんですね。

オープニングは3人太鼓合戦。続いて演奏されたのはPicture of a City。2015年のツアーではセトリに入っていたのにこの2日間演奏されなかったので「今日はやる」と予想していたら的中しました。メルが吹くサックスの低音がズズンとくる曲で、お気に入りだったのでやってくれて嬉しかったです。8人編成のヘビーさに圧倒されたところで、アコースティックなCadenceで癒されてFalling Angel。さらにRed、One More Red Nightmareというレッド収録曲攻撃。アルバムA面曲を全て演奏したけどアルバムの曲順とおりにやらないところは、「客に意外性を与えたい」というロバートの意図でしょう。
ちなみにアンコールでStarlessをやりました。アルバム収録曲のProvidenceはインプロ曲でライヴ再現するはずないので、「今日はレッド完全再現の日」と言ってもよかったです。

Red: 40th Anniversary Series (Wdva)
King Crimson
Discipline Us
2009-10-20



そして、Lizard組曲(初日と異なりCirkus抜き)。めくるめく万華鏡的展開を十分に味わえました。
Peaceでクールダウンした後、いよいよ来ました。
2016年のツアーでセトリに加わり頻繁に演奏されたものの、ロバートの満足いく出来栄えにならなかったのか、それともあまりにも指使いが難しくて頻繁な演奏がしんどくなったのか、2017〜2018年のツアーでは演奏頻度が激減してミュウツー並みに激レアになっていたあの曲。
来日公演が決まった時、ファンのみんなが「日本で演奏してくれるのだろうか?」、「自分が行く日に当たるのか?」と気掛かりだったあの曲。
そう、Fractureが演奏されたのです。オリジナルではギター、バイオリン、ベース、ドラムというシンプルな構成ながら、緊張感とドラマチックさに魅了された曲が、ツインギター+サックス+トリプルドラムのアレンジとなり破壊力がとてつもなくアップ。演奏が終わった時は拍手喝采でした。


↑これはオリジナル。2016年になってDGMが音源だけをYouTubeにアップロードしたのはどんな意図があるんだろう?

続くIslandでは、衝撃の余韻に浸りながらほんわかな気分になりました。今回は強弱、緩急がついたセトリになっていて、とても聴きやすかったです。
Islandが終わって「初日と同じようにこれで第一部が終わりか」と思い、スタンディングオベーションのために腰を上げようと思ったら、演奏が継続。何とRadical Action 2とLarks 5も演奏されました。初日と2日目はRadical 1、Meltdown、Radical 2、Larks 5で構成されたRadical組曲だったのですが、今回は後半のみ。これまたロバートが仕掛けた「意外性」なのでしょう。
第一部の終了後、「もう結構おなかいっぱい。ここまでは3日間で最強によい」と満ち足りた気持ちになり、「さらにこれから1時間近くも演奏が聴ける」という幸福感に浸りました。

第二部は3人太鼓に続いてSuitable。全く馴染みがない曲なのでテンションが下がりましたが、次に来たLarks 4でテンション再アップ。この曲も指使いが難しいのにFractureとセットでやってくれるなんて大盤振る舞いです。
その後、Easy MoneyとMoonchild〜Court。2日連続で聴いて十分に感動を味わったので、正直「3回目はもう結構です。他の曲をやって欲しい」という気持ちになりました。贅沢な話ですが…
続けてIndiscipline。どちらかというと嫌いな曲で、まさか3日連続でやられるとは思いもしませんでした。




ジャコが「いいね!」と3日目にしてハッキリ聞き取れる発音で言って曲が終わった際、着席のままで付き合い程度に気の抜けた拍手をしていたら(他の客も着席拍手)、パットが起立しました。「このタイミングで立つなんてどうしたんだ。ケツでもかゆいのか?」と思ったら、他のメンバーも直立不動の姿勢をとっていました。ようやく第二部が終了していたことに気づき、慌ててスタンディングオベイションをしました。
「Indisciplineで終わるなんてあまりにも拍子抜けする。ありえん」と思ったのですが、東京4日目は第一部の最後に持ってきていました。これまた「意外性」狙いなのでしょうかね。

ということで、東京3日目のセトリは以下の通り。
第一部の充実さに比べて、第二部には物足りなさを感じる内容でした。

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3日間クリムゾンのライヴを見て、「山」を連想しました。私は山が好きで、よく登りに行きます。富士山、八ヶ岳、立山、穂高連峰。写真では何度も見ていた山を実際に見たとき、スケールの大きさにいつも驚かされます。
クリムゾンもまさにそれ。このスケールのでかさ、強烈さはCDやDVDでは味わうことができません。生で見ないとわかりません。来日公演は続きます。まだ行けていないクリムゾンファンは是非とも行くことをお勧めします。

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そして、タダのロイヤルパッケージ。DGMのサイトで「BUY VIP & TICKETS」をクリックすると手続きができます(すでに受付終わっているかもしれないが…)。ロバート校長の講話、メンバーとの語り合いは楽しいです。これも味わってほしいです。



 

rock70s at 23:04|PermalinkComments(0)