エヴァンゲリスト・オブ・ロック:洋楽情報館

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カテゴリ: スティーブン・ウィルソン

スティーヴン・ウィルソンの新アルバム「The Harmony Codex」の発売がいよいよ来週金曜日(9/29)に迫ってきました。これまで収録曲が4曲公開されています。

The Harmony Codex
Steven Wilson
Spinefarm
2023-09-29


エレクトロな曲、音のちらし寿司状態のプログレ・フュージョン曲、アコギのストロークに爽やかさがある曲。そして、4曲中で異彩を放っているのがニネット・タイェブと共演したRock Bottomです。



ニネットは1983年生まれのイスラエルのシンガーで、以前のスティーヴンのアルバムでも歌っていましたが、今回の曲はこれまでに比べてニネットがやたら目立っています。
そもそも、この曲はニネットがギター1本でデモを作って、スティーヴンに送ったもの。これを聴いた瞬間、スティーヴンは「ジョン・バリーが手掛けたジェームズ・ボンドのテーマ曲みたいなオーケストラアレンジがよい」と思って、彼女にSWバージョンを提案し、デュエットにしたとのことです。
いきなりニネットが低音を響かせつつ歌い上げるところにはゾクソクっときます。曲の構成がシンプルなだけにインパクトは強烈。

ニネットがスティーヴンの曲に最初にからんだのは2015年のアルバム「ハンド・キャンノット・イレース」に収録されたRoutine。この曲では「まあ、よくあるゲストの女性ボーカル」という程度でさほどの印象はなかったです。



このアルバムではAncestralでもボーカリストとしてクレジットされていますが、チョイ役程度。何回聴いても「ああ、あの箇所かな?」と存在感を感じません。

ミニアルバムの「4 1/2」ではポーキュパイン・ツリーのDon't Hate Meでサビを歌って存在感が出てきて、「トゥー・ザ・ボーン」(2017年)に収録されたPariahではさらに存在感が増してスティーヴンとデュエット。プロモビデオで主役扱いで登場し、2018年の来日公演でのPariahの演奏の際がこのビデオのニネットのパートが上映されました。



前作の「The Future Bites」では登場しなかったものの、初登場から回数を重ねるごとに存在感を増しているのが面白いです。もしかしたら、「The Harmony Codex」には彼女がかかわった曲がさらに収録されるかも。楽しみです。

ニネットのことが気になってApple Musicにあった彼女のアルバムを聴いてみましたが、さほどビビビッとは来ませんでした。スティーヴンは彼女の魅力を引き出すのが上手です。


 

ポーキュパイン・ツリーが2005年にリリースした「デッドウイング」のBlu-ray+3CDボックスセットが3月に発売されることが発表されました。

Deadwing - 3CD, Blu-ray & Book
Porcupine Tree
Transmission
2023-03-10


私はこのアルバムでリアルタイムでPTに出会い、惚れ込んだので思い入れがあります。
とは言え、Amazon価格は17,000円(12/20現在)とけっこうするので、大枚はたいて買う価値があるかどうか分析しました。

【Blu-ray】
・2018年にスティーヴン・ウィルソンがリマスターしたハイレゾステレオ
この音源は持っていないですが、ふだん5.1chを聴くので存在意義なし。

・2005年の5.1chサラウンド
私が持っているDVDオーディオ収録と同じ音源。
「完成度が高くて、やり直す必要なし」ということでしょうね。どうせならドルビー・アトモス・ミックスすればよかったのに。

・デッドウイングのドキュメンタリー(55分)
面白い可能性あり。
もともとこのアルバムは、スティーヴンが脚本を書いた「幽霊を題材にした映画」のサントラとして曲作りが進んでいました。しかし、資金難で映像化が実現しませんでした。このことについて言及があるのは間違いなし。もしかしたら、断片的に撮影された映像があるのかも?

・2005年のドイツのTV番組「ロックプラスト」でのライヴ(77分)
この映像の存在を知りませんでした。
YouTubeにアップロードされているのを発見しました。画質、音質ともにそこそこ良い。



カメラアングルがよく、Blackest Eyesでのギャヴィンのタダ者ではないドラムさばきに圧倒されます。2005年10月11、12日のシカゴ公演を収録した既発売の「アライヴィング・サムホエア」よりもギャヴィンの凄さがうまく撮影されています。たまらん。

Arriving.. -CD+Blry-
Porcupine Tree
Transmission
2022-03-25


今回のボックス発売にあたり音源をミックスし直したそうなので音質がさらに向上しているでしょう。もし、この機にドイツのTV局からオリジナル映像を手に入れているのなら画質もよいと期待。

【CD1】
・2018年のリマスター音源
前述のとおり、私には存在意義なし。

【CD2】
・シングルB面曲5曲
4曲はDVDオーディオで聴いたことがあります。残り1曲(So Called Friend)はライヴ音源は聴いたことがあります。新鮮味はゼロ。

【CD3】
・デモ音源13曲
タイトルに見覚えがないものが2曲あります。秘蔵の未発表曲か?
いろんなボックスセットでデモ曲が収録されていますが、私はいつも1回聴いて「あっ、そう」で終わって2度と聴くことがないことが多いです。 これはどうなるかな?

【ブクレット】
105ページもある内容が気になります。前述の脚本が掲載されるかもしれないと思うとワクワクします。
以前発売された「イン・アブセンティア」のボックスのブクレットには、知られざる情報として「ドラマー交代の真相」「ラッセ・ホイルをカバーアート担当にした経緯」「サラウンドの魔術師SW誕生の裏話」が載っていて面白かったです(詳しくはこちら)。今回も期待です。

In Absentia -Earbook-
Porcupine Tree
Kscope
2020-02-28



【結論】
Blu-rayの内容が充実しているし、ブクレットが気になるので買う意義ありです。
早速、注文しました。


 

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