前述のように、「立春」のブックレットには
歌詞は載っておりません。

「立春」は
山中湖music inn studio(1994/6/21,22)及び
杉並区のJ&L Recording studio(1994/7/28~8/3)
でレコーディングされたようです。

後に1995年2月に発売される
「立春」のプロモビデオ「如月 し けふの風やとくらむ」
に封入されていた和紙でつくられたインナーに
「立春」の歌詞が掲載されていました。
(※内、ニダイは恐らく全部英語詩なので、日本語訳が掲載。)

歌詩カード(切り抜き)

このビデオは基本、「立春」の
全曲ビデオクリップですが、
ビデオの冒頭とエンドロールに
以下インスト曲が追加されています。
(きいろ結えというインスト曲も
収録されているのですが、
何故かインナーにはクレジットされていません)

・みことの旋律 呼吸 揺らめく水晶と

 川のせせらぎ、夜の虫の声、
   蛙の鳴き声などが使用された
 神聖な感じのする、インスト曲です。
 途中リズムが激しくなり
   そのまま立春の1曲目へ雪崩れ込みます。

 詩がついているのですが、
   歌ってはおらず曲の終盤において
 よく耳を澄まさなければ
   聴こえない低い音量で、朗読をしています。
 (それが人間の声ではない
    機械的な声で不気味な感じがします)
 
・簪と化粧を落として
 
 江戸時代の遊郭をイメージさせるような、
   ピアノのフレーズが主体のインスト曲です。

 以下、インナー掲載されていた「立春」の歌詞です。
 
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一、みことの旋律
  :呼吸
  :揺らめく水晶と(プロモ初収録のインスト)

音の無い音
奏でる
空気と
心の琴線の調和
体内へ
僕は 無色透明

二、詩箋の上の日本猫

愁いの馬齢を 裸に重ね行く
夜と水陰
醴泉と澪し絶えず
陽浅い
楽明

「終わりの水の水先案内人と語らう様」

詩人の絵

それは血の
憂を通し
地 揺れるほど

三、ニダイ


一本の綱と光り
透き通る瞳の罪は
紫の溜息を溶かす
人はメンタルに埋もれ
銀の虫は、時折、雨を降らせる
理性の雨を
僕の影は 渦を巻いて よじれた

早く渡ろうか
溶けて無くなる前に
早く渡ろうか
心の綱渡りを

四、鳴り行く雨

夜明けは 白い
光りさらわれ
今、宵氷雨に

春風に舞う
森の笛の詩声
かすかに聞こえる
朝日の夢
今は 見つめている
意味の無い時雨が ひとひら

五、籠

無影。
行かないでくれ 夢の中に
時の差の激しさに 屈辱の味覚え

無影。
行かないでくれ 何か聞こえてく
嘘だろう この夢に 浮かび上がる 真実の夜

 泣き叫ぶ お前の身は 死の鐘の音の中へ

真実の夜

 屈み込んだ姿は 死の鐘の音の中へ

清う 色合 鎖びれる様
足、途絶えた夢 遥か

歩み得る 明日に

降りしきる 異志の行方

六、日時計と日々記(インスト)

七、美娼

 優夜
愛し得ぬ 魅惑は
いつの夜に仕え

濡れた 雪の夜に 流れる
白く

 華の芽の揺れいげな旋律
 行く風の夜に 惑い歩いて

いつか見える 顕れの男
飾る 光より 真の性
陰るまで

濡れた 雪の夜に 流れる

 華の芽の揺れいげな旋律
 行く風の夜に 惑い歩く

喘声の音色 夢見る瞳と
灰色の夢は 欲望の色

八、簪と化粧を落として(プロモ初収録のインスト)

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この「如月~」のビデオの映像ですが、
恐らく富士の樹海で
撮影されたと思われるイメージビデオです。

所々に松明を持ったメンバーが、
夜の山中を歩く姿が映っていたり
華の映像、川の水面や月の映像、
炎の映像なので構成されています。

このビデオは日本テレビの
フリープロデューサーであり、映像作家および
インスタレーション作家でもある
金大偉氏(Kin Taii)が製作に関わっています。

私はこのビデオを通販で購入したのですが、
当時の通販特典で
以下がオマケでついてきました。

しけふ特典1
しけふ特典2

恐らくビデオ撮影ロケ時に
撮影されたと思われるメンバーの生写真です。

このビデオの裏にこのような文章が載っています。
特徴が旨く表現されていると思います。

しけふ(裏の文字)(切り抜き)

立春の歌詞ですが、純和風文学の
観念小説のような綺麗な日本語を使って
誰の追随も許さない
孤高の世界観を作り出しています。

スケアクロウはこの「如月~」リリース後に、
2枚のオムニバスに参加して、解散してしまいます。

1枚目は「オルタネイティブサン」という
オムニバスアルバムです。

立春に収録されていた
「籠」という曲で参加しているのですが
最初と最後に、不気味なSE
(柱時計の音、いずみの語り)
が付け加えられ、狂気が増しています。

このオムニバスには、他にオートモッドのジュネや、
ゾアの森川誠一郎、ジルラブズ、dip-ashなど、
異形な面子が参加していますので
スケアクロウ以外にも、
買って損はないオムニバスだと思います。

→part 3へ続く