2枚目は「Cry-Max Pleasure Super~Loud,
Trance and Violence for Extasy」
というシリーズ物のオムニバスです。

このアルバムもスケアクロウ以外に、
AFTER IMAGE、ZEDEKIAHなど
面白い面子が参加しています。

ここに収録された「枳殻という家」も
壮大なスケールの名曲です。

珍しく歌詞が載っております。
やはり民俗学的というか、意味深い歌詞です。

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思い起こせば白い息精
思いたどれば
人間(ひと)彩ふ
何処までも行く
回帰の橋を

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この「枳殻という家」は
異様な構造となっている曲です。
演奏が終わった後も、不気味なSEが
延々鳴り響き、
鐘の音などが聞こえます。
そして最後に以下の(文)が
超低音で朗読されます。

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(文)
数多くの夕暮れが流れていった
血もかよわないこの家々には
何喰わぬ顔で心さえ捨ててしまった
誘惑が息を殺して潜んでいる
もしこの柱にも
暖かな赤をすみずみまで
塗ることが出来れば村中の夢さえも
奪ってしまえるだろう 

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凄い意味深い詩です。

深読みをすれば、
血なまぐさい解釈も出来る歌詞だと思います。

書いたのはギターの蜂須賀拓未
とのクレジットがありますので
蜂須賀さんが朗読をしていたのでしょうか?

閉鎖的な因習が残る
村のイメージがする詩でした。

スケアクロウはこの名曲「枳殻という家」を
最後の音源として残し
1995年11月4日に解散してしまいます。

彼らが最初にリリースした
音源はデモテープですが
このテープから、最後のオムニバスの曲まで、
本当にクオリティーの高い作品を作成していました。

私が彼らの音源の中で、最初に手にしたのは
1992年7月に発表された
デモテープ「My home and mother」です。

池袋のBrand Xというインディーズショップで、
1200円で購入しました。

デモ(切り抜き)

テープ(切り抜き)

この頃から彼ら独自の音楽構造は完成していました。
 ただこの頃は「立春」時と比べると和風ではなく
ゴシックロックの要素がありましたね。

以下がデモテープ「My home and mother」の収録曲です。

デモ(裏)(切り抜き)

(side A)
He stood in a field where barley grows  
蜃気楼  
Race Dance

(side B)
Concrete hole  
鎖のついた銀のスプーン  
No imagination 

一応、表記を見るとA面3曲、B面3曲の
合わせて6曲入りなのですが
クレジットされていない
隠しトラックがある気がします。

(A面)

1曲目 He stood in a field where barley grows

ピアノが織り成す壮大なスケールの
インストとなっています。
天空の城ラピュタを何故か想起いたしました。

2曲目 蜃気楼

ヴォーカルいずみの伸びのある声を、
まるで楽器のように使った秀作です。
砂漠をさまよい雨を待ち詫びる
旅人をイメージしました。

3曲目 Race Dance

複雑なリズムを刻むミッドテンポ曲です。
段々いずみの声と曲調が激しくなります。
中盤の虫の羽音のような
ギターの音が印象的です。
曲の終盤、転調し曲が激しくなります。
(まるで別の曲のようです)
いずみさんもシャウトしまくりです。

(B面)

1曲目 Concrete hole  

立春時からは想像できない、
ポップな感じの曲です。
唯一ビジュアル系の
面影を残した曲でしょうか。
ラルクアンシエルに在りそうなほど
ポップでカッコいい曲です。
ギターソロも入っています。

2曲目 鎖のついた銀のスプーン  

恐らく作曲は蜂須賀さん
かと思われるインスト曲です。
切ない感じのピアノが印象的です。
子供が遊ぶときの笑い声などが使われており
郷愁を感じさせる曲です。

3曲目 No imagination 

全編でベースが印象的でカッコいい秀曲です。
サビが呪文を唱えているようです。

4曲目 不明

「ワン、ツー、スリー、フォー」という
いずみの掛け声から始まる
謎の曲です。
歌詞は同じ事をループして歌っています。

このデモテープの後、
市川CLUBGIOでシューティングした
3曲入りのライブビデオ
「SCARE CROW」を1800円でリリースします。

ライブビデオ(切り抜き)

私が彼らの音源で唯一持っておらず、
販売当初に買っておけば
と後悔している音源です。

ビデオ自体は視聴した事は有るのですが・・・

下記の3曲が収録されています。

・蜃気楼
・深海2000m翻車魚~Race Dance
・美娼

オープニングとエンディングに
蜂須賀さん作曲と思われる
ピアノベースのインストが入っています。
これは曲名などはあるのでしょうか?
オープニングの曲は、
リリカルにピアノが歌う名曲です。

1曲目の「蜃気楼」は割と原曲に忠実です。
ライティングが逆光になっており、
メンバーの表情は殆ど見えませんが
いずみさんが両手を広げて
情感たっぷりに歌うのが印象的です。

謎めいたタイトルの2曲目
「深海2000m翻車魚」は点を打つように
間を生かしてドラムが打ち鳴らされ、
いずみのゆったりした怪しげな歌がからむ曲です。

途中、楽器隊の演奏が止んで、
いずみの歌だけになり、静寂が訪れます。
が、それもつかの間、いずみの絶叫とともに
喧騒が訪れ、静寂を破ります。
そしてそのまま激しいRace Danceへ移ります。

この曲はデモテープよりかなり激しく、
メンバーの動きもかなり激しいですね

いずみさんに至ってはステージに
座り込みながらもシャウトする勢いです。

美娼はアルバムに収録されているものとは、
アレンジも歌詞も違います。
立春での詩は和の色が強く、
難しい古語などが使われている歌詞でしたが
この頃は現代語での詩でしたね。

ただ聴き取りづらいのは相変わらずで、
一部だけ歌詞がわかりました。
美娼のサビ前ですが
「シリアスな小説より~」という一節が聴き取れました。

このライブビデオは
限定300本らしいです。
私も店頭に並んでいるのは
あまり見たことがありません。

大昔に今は無き、
目黒のサードステージ(改装前)で
一度9800円で販売しているのを見かけました。

当時は高くてとても手が出せませんでしたが、
社会人になった現在では
買っとけばよかったと後悔する値段でしたね。

結局、気になりつつも
SCARE CROWのライブには一度も行けませんでした。
彼らのラストライブの案内も来ていたのですが・・

葉書(解散ライブ)(切り抜き)
 
この1995年11月4日に
目黒ライブステーションで行われた
「The LAST STAGE」をもって、
孤高のロックバンド、SCARE CROWは解散します。

彼らの結成が、雑誌等の記事によると、
1991年に結成したらしいので
約5年の活動だったことになります。

ドラムの徳永義幸が加入したのが、
1991年3月で、ベースのZINの加入が
1992年3月らしいので、
実際のバンド結成はもっと前かもしれません。

スケアクロウの
音源になっていない楽曲を調べてみました。

・眠る色彩
・舞唄
・Good Morning
・Remember
・記憶 

などの曲がヒットしました。

彼らの孤高の音楽性は
どのような影響により確立されたのでしょうか。
彼らの数少ないインタビュー記事から紐解くと
ジャパン、デビッドシルヴィアン、キングクリムゾン、
ピンクフロイド、クイーン、ポリス、イエス、ラッシュ、
プリンス などの名前が挙がります。

音楽的に「なるほどな」という面子ばかりです。

だけどこれらのバンドから
影響を受けているのは確かだと思いますが
彼らの音楽は唯一無二で、
後にも先にも彼らのようなバンドはいません。

彼らに似た雰囲気の楽曲を
やっているバンドで思いつくのは
日本ではTHE CREATOR OF、
海外ではNINE INCH NAILS位でしょうか。

THE CREATOR OFは知る人ぞ知る
超プログレッシブなハードコアバンドです。
和製TOOLとも呼ばれているバンドです。

近作の「DUST TO DUST」で聴ける
ちょっとしたノイズの使い方とかに
スケアクロウの要素を感じます。

NINE INCH NAILSは超メジャーな
一人インダストリアルバンドです。
このバンドが後期に出した
全編インストゥルメンタルアルバム「Ghosts I-IV 」は、
 
打ち込みのバンドながら、生楽器も使用した
オーガニックな作品となっており
スケアクロウ的な要素も多々感じさせます。

ただスケアクロウが作り出す亜空間は
彼らの物でしかないんですね。

彼らの残した音楽は廃盤の状況で、
事実上手に入らない状態であるのは
罪であるとすら思います。

再結成は不可能だと思いますので
せめて「立春」の再発及び
デモテープのCD化、未発表音源のCD化、
ライブ音源の作品化を心より望みます。

彼らのような音像を描く、”早すぎた”バンドは、
残念ながらもう二度と現れないでしょう。

→完