2005年10月02日

【展】京の雅び・都のひとびと

現在、東京・丸の内の出光美術館では京の雅び・都のひとびとと題して、琳派の絵画と京焼の展覧会をやっている。
京都の養源院で見た、俵屋宗達の描いた白象や獅子の杉戸絵に衝撃を受けて以来、京都の「琳派」は気になるキーワードであったので、すごく楽しみにしていた展覧会だった。気合マンマンで会場に乗り込む。



まずは京焼。楽焼の茶碗、野々村仁清の御室焼、尾形乾山。
陶器の道にはまったく不勉強。楽焼って、聚楽第の土を使ったから「楽焼」なのか…と、この歳になって新たなことを知るのも悪くないなと開き直りつつ、初代長次郎から綿々と連なる楽家代々の茶碗を眺めて過ごす。黒楽は、同じ黒でも、色の深さ・表面の質感・光沢、どれをとっても同じものはなく、茶碗の黒い底をジーっと眺めていると、吸い込まれそうな気分になる。
秀吉の朝鮮出兵も、朝鮮の茶碗争奪が一因だったと揶揄されているくらいだから、茶碗に魅せられて収集に血道を上げた大名たちも、黒光りする茶碗の底に吸い込まれてその魔力に取り憑かれてしまったんじゃないかなぁ、などと考えてみたり。また、千利休はことに黒楽を好んだという。僕は茶の道もまったく知識がないのだが、あの仄暗い茶室の中でこそ、黒茶碗は人を魅了する効果を生むものなのだろうか。日本の伝統文化は、やはり濃密な陰翳を好むということか、などと考えてみたり。
一方、野々村仁清の一世一代の御室焼、茶碗や水指のフォルムやデザインはとても洗練された佇まいで、これも悪くない。

さて(僕の中では)メインの琳派。
まずは俵屋宗達。彼は生没年不詳というナゾに包まれた人物にして、「俵屋」というアート集団を率いるリーダー。「俵屋」は、もともとは扇絵や装飾料紙(装飾加工紙)などを販売していた商業アート集団だった。いわば「俵屋」というブランドを展開していたわけだ。やがて、その卓越したセンスが京の町に旋風を巻き起こし、工房「俵屋」には武家公家を問わず障壁画などの大きな仕事が舞い込むようになる。
宗達のセンスに心打たれるのは、空間の使い方、抽象性、大胆なフォルム。
屏風「月に秋草図」の空間の使い方と抽象性は本当に素晴らしいと思う。空間の使い方でいえば、建仁寺には「風神雷神図」のレプリカが置いてあるが、あれにしても、風神と雷神のあいだに横たわる「間」は絶妙というしかない。
そして、養源院の杉戸絵に代表される、図面いっぱいに描かれる大胆なフォルム。この展覧会には「龍虎図」が展示してあったが(写真は「虎」−展覧会カタログより)、どうだ、この大胆な構図は。何よりも「これ、虎っていうか猫じゃないか?」とツッコみたくなるコミカルさ。宗達、なかなかファンキーじゃないか。

そして、尾形光琳。「琳派」という呼び名は、後世になって「光琳」の名前より取られたもの。いわば「琳派」の第二世代だが、「俵屋」とは直接的な師弟関係にはなく、俵屋宗達に私淑・傾倒していた尾形光琳が、画風を再興・確立したもの。
俵屋宗達同様、光琳も図面の中でいかに「間」を大事にしているか、ということが分かる。屏風「紅白梅図」「芙蓉図」は、その特徴が顕著に出ている。
光琳については、この秋、根津美術館にて国宝に指定されている「燕子花図」が開陳!これは楽しみ。

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茗荷谷通信さん、東京へ単身赴任中さん、晴歩雨読さん。

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この記事へのコメント
悲しき石庭(?)さま:
TBありがとうございました。
伝 宗達「虎」は、本当に可愛い猫みたいでしたね。
当時、本物の虎が日本にいなかった所為でしょうけど、愛嬌があって、
思わずっとニヤリとしてしまいますよね。
わたしも神社仏閣+城址が好きなので、これからちょくちょくおじゃますると思いますので、よろしくお願いします。
Posted by ヤスミン at 2005年10月03日 22:47
>ヤスミンさん
お越しいただきありがとうございます。
虎といえば、当時の日本では「豹」が雌の虎であると考えられていたらしいですね。
狩野探幽の南禅寺の襖絵には、しっかりと豹柄の生き物が…(!!)
今後ともよろしくどうぞ。
Posted by 石庭 at 2005年10月05日 00:33
こんばんは、またまたおじゃまします。
> 虎といえば、当時の日本では「豹」が雌の虎であると考えられていたらしいですね。
なるほど、そうなんですか。知りませんでした。
南禅寺の探幽は見てないのですが、去年、讃岐の金刀比羅宮に行った時観た、円山応挙の「虎」がやはり、丸顔の猫ちゃんだったのを思い出しました。
金刀比羅宮のホームページ(↓)で、確認しようと思いましたら、
縞々の猫・・じゃない、虎!に混じって、いたんですよ〜 豹柄の生き物が!!

http://www.ksb.co.jp/konpira/
(バーチャルツアー→会場選択(表書院)→PLAY VIDEO と進んでください)

・・・新しい発見の嬉しさのあまり、はしゃいでしまい、申し訳ありません。
今後ともよろしくお願い親します。
Posted by ヤスミン at 2005年10月06日 01:35
こんぴらさんには、2年前の冬に行ったことがあります!
でも、そのときは、ひたすら階段を登って、いちばん上の奥社まで行って、引き返してきてしまったのです。ちょうど年末の頃で、初詣に向けてあれこれと準備が慌しい雰囲気の頃でした。
書院を見学することができたんですね……こんぴらさん、また行って見たくなりました。
Posted by 石庭 at 2005年10月06日 23:26
こんばんわ!!京都ご在住でいらしゃいますか?四条に風神雷神の凄いビルだ、テナントなんだろう?と思っていたら京一だったのでびっくりがっかり、でもあの壁、凄いですよね。
Posted by 京都きよきよ at 2005年10月07日 22:06
こんにちは。楽しく拝見いたしました。
京都在住とはうらやましい。TBさせていただきます。
Posted by ruihui(晴歩雨読) at 2005年10月09日 18:08
>京都きよきよさん
>ruihuiさん
コメントありがとうございます。
いえいえ、京都在住じゃないんですよ。東京〜神奈川が生息地なんです。
京都で撮った写真をちまちまとアップしているブログなんですが……
よろしくお願いします。
Posted by 石庭 at 2005年10月09日 19:47